肥後ひご)” の例文
筑前ちくぜん筑後ちくご肥前ひぜん肥後ひご豊前ぶぜん豊後ぶんご日向ひゅうが大隅おおすみ薩摩さつまの九ヵ国。それに壱岐いき対馬つしまが加わります。昔は「筑紫ちくししま」と呼びました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
れから又肥後ひごの細川藩の人にソレを貸したことがある、貸したその時にアレを写しはしなかったろうかと如何どうも気になってたまらない
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ころし其血にて自分は盜賊たうぞく切殺きりころされしてい取拵とりこしらへ夫より九州へ下り肥後ひご熊本くまもとにて加納かなふ屋利兵衞といふ大家に奉公し七百兩餘の金子をかすめ夫を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一ばんよく知られているのは肥後ひごの鼠島、是は橘南谿たちばななんけいの『西遊記』続篇という、百五十年ばかり前の旅行記に出ている。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
兄の菊池伝四郎きくちでんしろうは、やり組の五十人頭として戦に出ている、菊池家は吉野朝の勤王家として名だかい、肥後ひご(熊本県)の菊池の血統をひいているもので
伝四郎兄妹 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その手に一条の竹のむちを取って、バタバタと叩いて、三州は岡崎、備後びんごは尾ノ道、肥後ひごは熊本の刻煙草きざみたばこ指示さししめす……
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
肥後ひご不知火しらぬい、越中の蜃気楼しんきろうなども、民間にていろいろ妄説を付会しているが、これという害もなければ利もない。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「わざわざあんな歌をお歌いになるほど赤い鼻の人もここにはいないでしょう。左近さこんの命婦さんか肥後ひご采女うねめがいっしょだったのでしょうか、その時は」
源氏物語:06 末摘花 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ことに私を喜ばせたのは、左方に当たり肥後ひごの連峰の黛からぬきんでて紺青色の阿蘇あその上半部とそれになびきかかる噴煙を、はっきりと眺め得たことであった。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
万延以来、鹿児島の町人で郷士是枝柳右衛門これえだりゅうえもんを通じて薩州その他九州の尊攘派と連絡がついているので、中山忠愛ただなる卿の教旨を持たせて清河らを肥後ひごに送った。
新撰組 (新字新仮名) / 服部之総(著)
明治の初年薩摩境に近い肥後ひごの南端の漁村から熊本の郊外に越した時、父が求めた古家で、あとでは瓦葺かわらぶきの一棟が建増されたが、母屋おもやは久しく茅葺であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
彼れ嘉永三年鎮西ちんぜいの山川を跋渉ばっしょうし、四年藩主の駕にして江戸に到り、相房形勢の地を按じ、さらに東北に向って遠征を試みんと欲し、肥後ひごの人宮部鼎蔵ていぞう
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
尾張おわり殿、肥後ひご殿、仙台殿、一ッ橋殿、脇坂殿、大頭おおあたまばかりが並んでいた。その裏門が海に向いた、わけても宏壮な一宇の屋敷の外廻りの土塀まで来た時であった。
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
今九枚残っているのが、肥後ひごの熊本の本願寺支配の長峰山ちょうほうざん随正寺ずいしょうじという寺の宝物ほうもつになって居ります。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかしこれは日本につぽんのごく一部いちぶおこなはれたゞけで、九州きゆうしゆう筑後ちくご肥後ひごなどに時々とき/″\ることが出來できます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
肥後ひご菊池家きくちけ磯貝平太左衛門武行いそがいへいたざえもんたけゆきと云う武士があった。すこぶる豪勇無雙むそうさむらいであったが、主家の滅亡後、何を感じたのか仏門に入って、怪量かいりょうと名乗って諸国を遍歴した。
轆轤首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
肥後ひごの加藤清正から、彼と昵懇じっこんな黒田長政をかいして、正式に兵庫をその家中へ懇望して来た折も
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
為朝ためとも九州きゅうしゅうくだると、さっそく肥後ひごくに根城ねじろさだめ、阿蘇忠国あそのただくにという大名だいみょう家来けらいにして、自分勝手じぶんがって九州きゅうしゅう総追捕使そうついほしというやくになって、九州きゅうしゅう大名だいみょうのこらずしたがえようとしました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
現に誰も知っている一例を挙げれば、肥後ひごの山奥にある五個ごかしょうです。壇の浦でほろびた平家の残党はの山奥に身を隠して、其後そのご何百年の間、世間には知られずに別天地を作っていました。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
肥後ひご細川家ほそかわけ家中かちゅうに、田岡甚太夫たおかじんだゆうと云うさむらいがいた。これは以前日向ひゅうがの伊藤家の浪人であったが、当時細川家の番頭ばんがしらのぼっていた内藤三左衛門ないとうさんざえもんの推薦で、新知しんち百五十こくに召し出されたのであった。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
寛永かんえい九年十二月九日御先代妙解院殿忠利公みょうげいんでんただとしこう肥後ひごへ御入国遊ばされ候時、景一も御供おんともいたし候。十八年三月十七日に妙解院殿卒去遊ばされ、次いで九月二日景一も病死いたし候。享年きょうねん八十四歳に候。
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
徳富猪一郎君は肥後ひご熊本の人なり。さきに政党の諸道に勃興するや、君、東都にありて、名士の間を往来す。一日余のりょを過ぎ、大いに時事を論じ、痛歎して去る。当時余ひそかに君の気象を喜ぶ。
将来の日本:02 序 (新字新仮名) / 田口卯吉(著)
長崎奉行永井岩之丞ながいいわのじょうの一行は東から。五月の半ばには、八百人の同勢を引き連れた肥後ひごの家老長岡監物ながおかけんもつの一行が江戸の方から上って来て、いずれも鉄砲持参で、一人ずつ腰弁当でこの街道を通った。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
和紙を用いた加工品としては、肥後ひご来民くたみ団扇うちわを挙げねばなりません。平竹ひらたけを用い、骨は上にやや開き、色は淡い渋色に染められます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
肥後ひごとか壱岐いきの島とかに、至って奇抜な同じ例がまだ伝わっていて、ほぼ全国の分布と推定することができ、亀や小犬の類も多くは人語しているから
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そのことは、前に五島の下にて述べたる一例にても分かるであろう。かかる話は、九州中にても肥前ひぜん肥後ひご方面に多い。佐賀の方言にては河童をカワソーという。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
彫金ほりきんというのがある、魚政うおまさというのがある、屋根安やねやす大工鉄だいてつ左官金さかんきん。東京の浅草あさくさに、深川ふかがわに。周防国すおうのくに美濃みの近江おうみ加賀かが能登のと越前えちぜん肥後ひごの熊本、阿波あわの徳島。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
陸前りくぜん松島まつしま宮戸島みやとじまだとか、三河みかは吉胡よしこだとか、河内かはち國府こふだとか、備中びつちゆう津雲つぐもだとか、肥後ひご阿高あこうなどでは、ずいぶんたくさん人間にんげんほねて、あるひとつの場所ばしよからは百體ひやくたい三百體以上さんびやくたいいじようほね
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
徳富猪一郎君は肥後ひご熊本の人なり。さきに政党の諸道に勃興するや、君、東都にありて、名士の間を往来す。一日余のりょを過ぎ、大いに時事を論じ、痛歎して去る。当時余ひそかに君の気象を喜ぶ。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
また、肥後ひご国益城郡、柴垣氏の報知によるに、やや以上の仕方と異なるところあれば、左に掲ぐ。
妖怪玄談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
これに反して他の二カしょでヂロと載せているのは(肥後ひご信濃しなの)、ヂとジとの差異を聴き分けたのではなくて、おそらくジロは地炉だという学問が干渉したものである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
東西ともに怪火の種類すこぶる多く、狐火きつねび、鬼火、火の玉、竜灯りゅうとう、火柱、火車等、いちいち列挙することはできぬ。なかんずく、わが国において古来最も名高きは肥後ひご不知火しらぬいである。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
肥後ひご五箇庄ごかのしょうと並んで、山中の隠れ里として有名であった阿波あわ祖谷山いややまなどは、小民の家はみな竹ので、あの頃はまだ夏冬を通して、このタフを着て住んでいるという話であった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
これは肥後ひご球磨くま地方の、モウゾウ隠れ(隠れんぼ)の歌であった。これよりも一段と劇的なのは今も田舎いなかに残っている狐遊きつねあそび、大阪でもと「大和やまとの源九郎はん」などといった鬼ごとである。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
伊勢国(山田、松阪、津、一身田、四日市、桑名) 尾張国(名古屋、熱田、津島、大野、半田) 三河国(豊橋、岡崎、北大浜、西尾、蒲郡、豊川) 遠江とおとうみ国(掛川、浜松、平田、中泉) 駿河するが国(静岡、小川、清水、藤枝) 相模さがみ国(大磯) 武蔵国(忍) 上総かずさ国(千葉、茂原) 近江おうみ国(大津、豊蒲、五ヶ荘、愛知川、八幡、彦根、長浜) 美濃国(岐阜) 上野こうずけ国(安中、松井田、里見、高崎、八幡) 岩代いわしろ国(福島) 陸前国(築館、一迫) 陸中国(盛岡、花巻) 陸奥むつ国(弘前、黒石、板屋野木、鰺ヶ沢、木造、五所川原、青森、野辺地) 羽前うぜん国(米沢、山形、寒河江、天童、楯岡、新庄、鶴岡) 羽後うご国(酒田、松嶺、湯沢、十文字、横手、沼館、六郷、大曲、秋田、土崎、五十目、能代、鷹巣、大館、扇田) 越後国(新井、高田、直江津、岡田、安塚、坂井、代石、梶、新潟、沼垂、葛塚、新発田、亀田、新津、田上、加茂、白根、三条、見附、浦村、片貝、千手、六日町、塩沢、小出、小千谷、長岡、大面、寺泊、地蔵堂、新町、加納、野田、柏崎) 丹波国(亀岡、福知山) 丹後国(舞鶴、宮津、峰山) 但馬たじま国(出石、豊岡) 因幡いなば国(鳥取) 伯耆国(長瀬、倉吉、米子) 出雲国(松江、平田、今市、杵築) 石見いわみ国(波根、太田、大森、大国、宅野、大河内、温泉津、郷田、浜田、益田、津和野) 播磨はりま国(龍野) 備前びぜん国(閑谷) 備後びんご国(尾道) 安芸国(広島、呉) 周防すおう国(山口、西岐波、宮市、徳山、花岡、下松、室積、岩国) 長門ながと国(馬関、豊浦、田辺、吉田、王喜、生田、舟木、厚東、萩、秋吉、太田、正明市、黄波戸、人丸峠、川尻、川棚) 紀伊国(高野山、和歌山) 淡路国(市村、須本、志筑) 阿波国(徳島、川島、脇町、池田、撫養) 讃岐さぬき国(丸亀、高松、長尾) 伊予国(松山、宇和島、今治) 土佐国(高知、国分寺、安芸、田野、山田、須崎) 筑前国(福岡、若松) 筑後国(久留米、吉井) 豊前ぶぜん国(小倉、中津、椎田) 豊後ぶんご国(日田) 肥前ひぜん国(長崎、佐賀) 肥後ひご国(熊本) 渡島おしま国(函館、森) 後志しりべし国(江差、寿都、歌棄、磯谷、岩内、余市、古平、美国、小樽、手宮) 石狩国(札幌、岩見沢) 天塩てしお国(増毛) 胆振いぶり国(室蘭)
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
羽後うご由利郡の本荘ほんじょう西方から、雄物川おものがわ平原の浅舞あさまい横手へ越える峠は、海岸部の方が表口、肥後ひご山鹿やまがの奥岳間村から筑後ちくごの矢部へ越える冬野の山道は、複雑していたが肥後の方が表だったと記憶する。
峠に関する二、三の考察 (新字新仮名) / 柳田国男(著)