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真青
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まっさお
ふりがな文庫
“
真青
(
まっさお
)” の例文
旧字:
眞青
しいんと一斉に
固唾
(
かたず
)
を呑んだ黒い影をそよがせて、
真青
(
まっさお
)
な月光に染まっている障子の表をさっとひと
撫
(
な
)
で冷たい夜風が撫でていった。
十万石の怪談
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
水色
真青
(
まっさお
)
にして物凄い所であります。
前面
(
むこう
)
には皀莢滝と申します大滝が有りまして、ドウードッと云うすさまじい水音でございます。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
自動車の中には、中腰になって、洋装の
凄艶
(
せいえん
)
なマダムとも令嬢とも判別しがたい美女が乗っていた。しかしなんという
真青
(
まっさお
)
な顔だ。
人造人間事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ルパンは
窓布
(
カーテン
)
の方に進むが早いかサッとそれを開いた。途端、左の戸口から、ヌッと出た人の顔、
真青
(
まっさお
)
な色をして目をぱちくり
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
すると甚吾は
真赫
(
まっか
)
になってそれから
真青
(
まっさお
)
になって、顫える手で茶碗をとって、冷えた茶を飲みほした。それきり俯向いていた。
寛永相合傘
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
ハッと赤くなり、次ぎの瞬間には
真青
(
まっさお
)
になって、大急ぎで落ちたものを拾い込み、鞄の蓋を閉じると、腰かけの下へ押込んでしまいました。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ああそうかと思って附近を見ると、今まで立っていた
方々
(
ほうぼう
)
の二階家も見えなくなって、
真青
(
まっさお
)
に晴れた空が広々と見渡された。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
刷毛
(
はけ
)
で
刷
(
は
)
いたような
弓
(
ゆみ
)
なりになった
広
(
ひろ
)
い
浜
(
はま
)
……のたりのたりと
音
(
おと
)
もなく
岸辺
(
きしべ
)
に
寄
(
よ
)
せる
真青
(
まっさお
)
な
海
(
うみ
)
の
水
(
みず
)
……
薄絹
(
うすぎぬ
)
を
拡
(
ひろ
)
げたような
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
繁三をつれて、三月の東京座を見に行った叔父が、がちがち
顫
(
ふる
)
えて帰って来た。顔が
真青
(
まっさお
)
になって、唇に血の
気
(
け
)
がなかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それでも小砂利を敷いた
壺
(
つぼ
)
の広い中に、
縞笹
(
しまざさ
)
がきれいらしく、すいすいと
藺
(
い
)
が伸びて、その
真青
(
まっさお
)
な蔭に、昼見る蛍の朱の映るのは
紅羅
(
がんび
)
の花の
蕾
(
つぼみ
)
です。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ハンドルを、しっかりと握りながら、御主人は
真青
(
まっさお
)
になって叫びました。交通巡査は、すぐに黄色いオートバイに飛び乗ってあとを追いかけました。
やんちゃオートバイ
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
その日の昼
比
(
ごろ
)
になって
桐島
(
きりしま
)
伯爵が
歿
(
な
)
くなったと云うことが聞えて来た。豆腐屋の主翁はそれを聞いて
真青
(
まっさお
)
な顔をした。
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
すると代官様の一行は、庄屋
長左衛門
(
ちょうざえもん
)
の家にどやどやと入りました。庄屋は顔を
真青
(
まっさお
)
にして代官様の前に出ました。
三人の百姓
(新字新仮名)
/
秋田雨雀
(著)
それらの夢の景色の中では、すべての色彩が
鮮
(
あざ
)
やかな原色をして、海も、空も、
硝子
(
ガラス
)
のように透明な
真青
(
まっさお
)
だった。
猫町:散文詩風な小説
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
楽屋の
周章者
(
あわてもの
)
は、
真青
(
まっさお
)
になってまた
罵
(
ののし
)
りかけた時、十余人の川中島の百姓たちが、気を
揃
(
そろ
)
えて舞台の上へ飛び上ったから、またまた問題がブリ返りました。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
般若
(
はんにゃ
)
の
留
(
とめ
)
さんというのは背中一面に般若の
文身
(
ほりもの
)
をしている若い大工の職人で、大タブサに結った
髷
(
まげ
)
の
月代
(
さかやき
)
をいつでも
真青
(
まっさお
)
に剃っている凄いような美男子であった。
伝通院
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
太い竹を縄か何かでからげる、その竹が
真青
(
まっさお
)
な色をしている。場所はどんなところであっても差支ない。真青な竹の色と、桃の花の色との配合が、この句の眼目である。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
肩
(
かた
)
はばの広い、
頬
(
ほお
)
ひげを
剃
(
そ
)
ったあとの
真青
(
まっさお
)
な、五分
刈
(
が
)
りの、そして度の強い近眼鏡をかけた丸顔の男が、のっそりと玄関にはいって来たときの光景を思いうかべていた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
そして一生懸命にめんかきをして、ようやく水の上に顔だけ出すことが出来ました。その時私たち三人が
互
(
たがい
)
に見合せた眼といったら、顔といったらありません。顔は
真青
(
まっさお
)
でした。
溺れかけた兄妹
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
監
(
げん
)
がのっそりと寄って来て、
腑
(
ふ
)
に落ちぬという顔をするのを見て、おとどは
真青
(
まっさお
)
になってしまった。娘たちはあんなに言っていたものの、こうなっては気強く笑って出て行った。
源氏物語:22 玉鬘
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
宵
(
よい
)
から大雨、しかも激しい雷鳴が伴って、大地震のような地響きがするばかりか、
真青
(
まっさお
)
な電光が昼のように天地を照らすので、戦争に慣れている私たちも少なからず
脅
(
おびや
)
かされた。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
名もなき鬼に襲われて、名なき故に鬼にあらずと、
強
(
し
)
いて思いたるに突然正体を見付けて今更眼力の
違
(
たが
)
わぬを
口惜
(
くちお
)
しく思う時の感じと異なる事もあるまい。ウィリアムは
真青
(
まっさお
)
になった。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
当人の
飯
(
めし
)
を喰う茶碗に灰を入れて線香を立てゝ位牌の前にチャント供えて置た所が、
帰
(
かえっ
)
て来て之を見て
忌
(
いや
)
な顔をしたとも何とも、
真青
(
まっさお
)
になって腹を立てゝ居たが、私共は
如何
(
どう
)
も怖かった。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ト聞くと等しく文三は
真青
(
まっさお
)
に成ッて、
慄然
(
ぶるぶる
)
と震え出して、
拳
(
こぶし
)
を握ッて歯を
喰切
(
くいしば
)
ッて、昇の半面をグッと
疾視付
(
にらみつ
)
けて、今にもむしゃぶり付きそうな顔色をした……が、ハッと心を取直して
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「何処へいらっしゃる。」母親は、
真青
(
まっさお
)
になった笏の顔をまともに見上げた。
後の日の童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
伊那丸
(
いなまる
)
と
忍剣
(
にんけん
)
が
智慧
(
ちえ
)
をしぼって世の中からかくしておいた
宝物
(
ほうもつ
)
も、こうして、苦もなく発見されてしまった。まもなく梅雪入道の床几の前へ運ばれてきたものは、
真青
(
まっさお
)
に
水苔
(
みずごけ
)
さびたその
石櫃
(
いしびつ
)
。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
初
(
はじめ
)
には天と同じ色の
真青
(
まっさお
)
な石を使おうと思っていたが、地上にはそんなに多くはないし、大きい山を使ってしまうには惜しいし、時に賑やかなところにいって、小さいのを探すこともあったが
不周山
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
午
(
ひる
)
近く、ようやく、
遥
(
はる
)
か前方の
真青
(
まっさお
)
な
麦畠
(
むぎばたけ
)
の中の道に一団の人影が見えた。その中で特に際立って丈の高い孔子の姿を認め得た時、子路は
突然
(
とつぜん
)
、何か胸を
緊
(
し
)
め付けられるような苦しさを感じた。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
藍色の空には、白く光る雲が、糸のように流れているばかり…………崖の下には、
真青
(
まっさお
)
く、真白く
渦捲
(
うずま
)
きどよめく波の間を、遊び戯れているフカの
尻尾
(
しっぽ
)
やヒレが、時々ヒラヒラと見えているだけです。
瓶詰地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
木の葉を
噛
(
か
)
んでいたと見えて、口の端を
真青
(
まっさお
)
にしていた。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
空は
真青
(
まっさお
)
に晴れています。どこまでも
澄
(
す
)
んでいます。
赤とんぼ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
海は
真青
(
まっさお
)
空も真青
ペンギン鳥の歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
その顔面はみるみる
真青
(
まっさお
)
になり、ガタガタと細かく全身を
震
(
ふる
)
わせると、われとわが
咽喉
(
のど
)
のあたりを、両手で
掻
(
か
)
きむしるのだった。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
すると、静子は思切った様に立上って、
真青
(
まっさお
)
になって、私をさし招くのだ。それを見ると、私も何かしらワクワクして、彼女のあとに従った。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
(ええ、勿体ないほどお似合いで。)と言うのを聞いて、懐紙をおのけになると、眉のあとがいま
剃立
(
そりた
)
ての
真青
(
まっさお
)
で。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云われ
真青
(
まっさお
)
になってぶる/\
顫
(
ふる
)
えて傳助地びたへ
踵
(
かゝと
)
が着きませんで、ひょこ/\歩きながら案内をするうちに、団子屋のきんの宅の路地まで参りました。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
場合によっては、この家の
主
(
あるじ
)
に頼んで表戸を締め切ってもらおうと思いましたが、お雪はやっぱり気が気でなく、またも敷居の外へ出て見て、今度は、急に
真青
(
まっさお
)
になり
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかし
閃
(
ひらめ
)
き
出
(
いず
)
る美しい
焔
(
ほのお
)
はなくて、
真青
(
まっさお
)
な
烟
(
けむり
)
ばかりが悩みがちに
湧出
(
わきいだ
)
し、
地湿
(
じしめ
)
りの強い匂いを
漲
(
みなぎ
)
らせて、
小暗
(
おぐら
)
い森の
梢高
(
こずえだか
)
く、からみつくように、うねりながら昇って行く。
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
年賀状は、
真紅
(
まっか
)
な朝日と、金いろの雲と、
真青
(
まっさお
)
な松とを、俗っぽく刷り出した絵葉書であったが、次郎は、何よりもそれを大切にして、いつも
雑嚢
(
ざつのう
)
の中にしまいこんでいた。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
奥に婚礼用の松が
真青
(
まっさお
)
に景気を添える。
葉茶屋
(
はぢゃや
)
では
丁稚
(
でっち
)
が
抹茶
(
まっちゃ
)
をゆっくりゆっくり
臼
(
うす
)
で
挽
(
ひ
)
いている。番頭は往来を
睨
(
にら
)
めながら茶を飲んでいる。——「えっ、あぶねえ」と高柳君は突き飛ばされた。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
通りの海添いに立って見ると、
真青
(
まっさお
)
な海の上に軍艦だの商船だのが一ぱいならんでいて、煙突から煙の出ているのや、
檣
(
ほばしら
)
から檣へ万国旗をかけわたしたのやがあって、眼がいたいように
綺麗
(
きれい
)
でした。
一房の葡萄
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
生徒は
真青
(
まっさお
)
に緊張してそれを聴く。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
彼は
真青
(
まっさお
)
になって、ブルブル震えてさえいるのだ。何がそうさせたのか、彼が極度にこう
奮
(
ふん
)
していることは一目でわかる。
百面相役者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
扉
(
ドア
)
を開いてやると、転がるように壮平爺さんが入ってきた。顔色は
真青
(
まっさお
)
だ。不眠か興奮のせいか、
瞼
(
まぶた
)
が
腫
(
は
)
れあがっている。
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
月代
(
さかやき
)
が
真青
(
まっさお
)
で、
鬢
(
びん
)
の膨れた
色身
(
いろみ
)
な手代、うんざり鬢の
侠
(
いさみ
)
が一人、これが
前
(
さき
)
へ立って、コトン、コトンと棒を突く。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
久「へい、それはお
宅
(
たく
)
の
御飯炊
(
ごぜんたき
)
ですか、
彼
(
あ
)
の人は男振は宜しゅうございますが、何しろ真黒に成って働きますから、
紺屋
(
こうや
)
なら
真青
(
まっさお
)
だが、炭屋だから真黒でどうも」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
悪獣毒蛇を恐れない茂太郎が、この時、
面
(
かお
)
の色を
真青
(
まっさお
)
にして返事ができませんでした。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さっきから空の大半は
真青
(
まっさお
)
に晴れて来て、絶えず風の吹き
通
(
かよ
)
うにもかかわらず、じりじり人の肌に
焼附
(
やきつ
)
くような
湿気
(
しっけ
)
のある秋の日は、目の前なる
大川
(
おおかわ
)
の水一面に
眩
(
まぶ
)
しく照り輝くので
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「筍の
真青
(
まっさお
)
なのはなぜだろう」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのとき機体がスーッと浮きあがったかと思うと、
真青
(
まっさお
)
な光の尾を大地の方にながながとのこして、宇宙艇はたちまち
月明
(
げつめい
)
の
天空
(
てんくう
)
高くまい上った。
月世界探険記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
真
常用漢字
小3
部首:⽬
10画
青
常用漢字
小1
部首:⾭
8画
“真”で始まる語句
真
真似
真面目
真実
真直
真中
真紅
真暗
真赤
真鍮