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漁
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あさ
ふりがな文庫
“
漁
(
あさ
)” の例文
しかし水から出すとすぐに、その光沢は
褪
(
あ
)
せてきて、その姿が指の間に
融
(
と
)
け込む。彼はそれを水に投げ込み、また他のを
漁
(
あさ
)
り始める。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ある夏の日、二つ井戸へ医学書の古本を
漁
(
あさ
)
りに行つた帰り、道頓堀を歩いてゐると喫茶店の勘定場で金を払つてゐる修一を見つけた。
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
そつと
旧
(
もと
)
のやうに書物の
間
(
あひだ
)
に収めて、
猶
(
なほ
)
もその
辺
(
へん
)
の一冊々々を
何心
(
なにごゝろ
)
もなく
漁
(
あさ
)
つて
行
(
ゆ
)
くと、今度は思ひがけない一通の手紙に
行当
(
ゆきあた
)
つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そろそろ山の宿の方に近づきますと、綺麗に見える
隅田川
(
すみだがわ
)
にも流れ寄る
芥
(
ごみ
)
などが多く、それでも
餌
(
えさ
)
でも
漁
(
あさ
)
るのか、
鴎
(
かもめ
)
が下りて来ます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
彼の男が女房の命令で、電休日を待ちかねて、買い出しというのか、交換というのか、物を
漁
(
あさ
)
りにでかけるのは、無理ないと思う。
食べもの
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
▼ もっと見る
成る
可
(
べ
)
く人目にかからぬように毎晩服装を取り換えて公園の
雑沓
(
ざっとう
)
の中を
潜
(
くぐ
)
って歩いたり、古道具屋や古本屋の店先を
漁
(
あさ
)
り
廻
(
まわ
)
ったりした。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
だから……という訳でもあるまいが、彼等浪人生活者の中にはいつもその浪人式の圧迫力を利用して何かの利権を
漁
(
あさ
)
っている者が多い。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それからそれと
漁
(
あさ
)
り読み行くうちに、今までに全く閑却していた方面に、新たに多くの興味を見出して、一度消化されたはずの書物が
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
……古本
漁
(
あさ
)
りに留守の様子は知ってるけれど、
鉄壺眼
(
かなつぼまなこ
)
が光っては、と
跼
(
しゃが
)
むわ、首を伸ばすわで、幸いあいてる腰窓から
窺
(
うかが
)
って、大丈夫。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私たちは三人で小舟に乗って、沖合はるかに漕ぎ出して行くと、海は一面に美しく
凪
(
な
)
いで、餌を
漁
(
あさ
)
る海鳥の
啼声
(
なきごえ
)
が
賑々
(
にぎにぎ
)
しかった。
えぞおばけ列伝
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
したが、のう、お春、さきさまが優れた方であればあるだけ、わしゃそなたが心配でならぬ。女子を
漁
(
あさ
)
る殿御の心は大てい一つ。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
久助が、食物を
漁
(
あさ
)
りまわっては持って来るのだった。そのうちに、銭など持っていることもあり、それのある時は、木賃の
薄
(
うす
)
蒲団に寝た。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雄鶏がいれば外敵が来てもコーコーと
啼
(
な
)
いて知らせてくれるし、
餌
(
え
)
を
漁
(
あさ
)
る時にも雄鶏が先へ見付けて雌鶏に食べさせてくれるし
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
職を
漁
(
あさ
)
りに出た夫もまだ帰って来ないとき、そして恵子が母親を待ち兼ねたとき、母親もまた
餌
(
え
)
を運んで来る子供達が待ちきれなくなって
接吻を盗む女の話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
ところが河井から京都の朝市の事を聞き、早朝の市日を熱心に
漁
(
あさ
)
った。商人が
鵜
(
う
)
の目
鷹
(
たか
)
の目で
漁
(
あさ
)
った後に吾々のような素人が行くのである。
四十年の回想:『民藝四十年』を読んで
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
私もそう思うが
軽率
(
けいそつ
)
な恋愛
漁
(
あさ
)
りから、人を死なせてしまったという責任を感じるのだ。君の妹の少将の
命婦
(
みょうぶ
)
などにも言うなよ。
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ある日のこと私が後ろから帯をつかまへられながら木柵につかまつて川のはうを見てたら水のうへを白い鳥が行きつもどりつ魚を
漁
(
あさ
)
つてゐた。
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
お前に言はれるまでもなく、暮から隨分骨を折つて辻斬野郎を
漁
(
あさ
)
つたが、現場をつかまへなきや、何うすることも出來ない。
銭形平次捕物控:317 女辻斬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その代りに長い月日の間めったやたらに書物を
漁
(
あさ
)
り読んだ。初めから新聞の社説書きになることを心がけてとうとうそれに成功した人である。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
眞理を
漁
(
あさ
)
りて、
技
(
わざ
)
を有せざる者は、その歸るや出立つ時と
状
(
さま
)
を異にす、
豈
(
あに
)
空
(
むな
)
しく岸を離れ去るのみならんや 一二一—一二三
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
だが、混濁した虚妄の世界は、やはり彼の脳裏にまつわりついていた。入社して彼に与えられた仕事は差当って書物を読み
漁
(
あさ
)
ることだけだった。
美しき死の岸に
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
これは確かに有益な忠告である。ただ新刊書ばかり
漁
(
あさ
)
るのは好くないことに相違ない。しかしながら読書における
尚古
(
しょうこ
)
主義にもまた限界がある。
如何に読書すべきか
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
ヘルンが学校に行ってる間、夫人は
暇
(
ひま
)
を
盗
(
ぬす
)
んで熱心に読書をし、手の
及
(
およ
)
ぶ限り、日本の古い伝説や怪談の本を
漁
(
あさ
)
りよんだ。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
素人娘
(
しろうとむすめ
)
を女房に貰おうかと思うと、すぐに、あのデパートで幅切れを
漁
(
あさ
)
る浅間しさが眼について、よう貰い切れなかった。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それでも彼女は、
椅子
(
いす
)
を動かしたり、
戸棚
(
とだな
)
の上にある化粧道具をかき回したり、マリユスの服にさわってみたりして、すみずみまで
漁
(
あさ
)
り初めた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
詞書
(
ことばがき
)
によって、題詠でないらしい歌、つまり題を与えられて、それによって作文の稽古のように無理にまとめたのではないらしい歌を
漁
(
あさ
)
って見る。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
こんなことで、古本に趣味を持って、唐本などを
漁
(
あさ
)
っている知人へは、それぞれ頼んであったので、それで、その男が知らしてくれたものであった。
妖影
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そのかわり他の恋人群の間に機密を
漁
(
あさ
)
った。ことに連合軍の将校に好意の
濫売
(
らんばい
)
をやったから、報告材料には困らない。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
「とにかく、後の仕事は、君が珍蔵する
十六世紀前紀本
(
インキュナプラ
)
でも
漁
(
あさ
)
ることだ。そして、僕等の墓碑文を作ることなんだよ」
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
私は夏の夕方など時々モデル
漁
(
あさ
)
りに出かける事があるが多くは自分では
獲
(
と
)
れず、顔なじみの子供等にもらって来る。
蝉の美と造型
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
ジャボールを立つ前の日、M技師と私は、土産物の島民の編物を
漁
(
あさ
)
るために、低い島民の家々を——もっと正確にいえば、家々の縁の下を覗き歩いた。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
街のゴミタメを
漁
(
あさ
)
って野宿して乞食のように生きており、どうしても
掴
(
つか
)
まらなくなり、一年ぐらい
彷徨
(
ほうこう
)
しているうちに、警察の手で精神病院へ送られた。
石の思い
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
コツコツコツコツと叫ぶのは餌を
漁
(
あさ
)
っている
夜鷹
(
よたか
)
であって、ギャッ——と鋭く喚くのは敵に襲われた
鵜烏
(
うがらす
)
である。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
取るに足らない小さな谷や尾根を
漁
(
あさ
)
り歩いて、それが前人に取り残されていたがゆえに、自分がひとかどのことを成しとげたように思い込む功名主義など
ピークハンティングに帰れ
(新字新仮名)
/
松濤明
(著)
平松刑事
(
ひらまつけいじ
)
は、ほかの
方面
(
ほうめん
)
での
聞込
(
ききこ
)
みを
漁
(
あさ
)
りに
出
(
で
)
かけていたから、
署
(
しょ
)
へ
帰
(
かえ
)
つてすぐに、
井口警部
(
いぐちけいぶ
)
の
前
(
まえ
)
へ
呼
(
よ
)
ばれた。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
丁度
(
ちやうど
)
其時
(
そのとき
)
、
庭
(
には
)
に
入
(
はひ
)
つて
來
(
き
)
たのは、
今
(
いま
)
しも
町
(
まち
)
を
漁
(
あさ
)
つて
來
(
き
)
た
猶太人
(
ジウ
)
のモイセイカ、
帽
(
ばう
)
も
被
(
かぶ
)
らず、
跣足
(
はだし
)
に
淺
(
あさ
)
い
上靴
(
うはぐつ
)
を
突掛
(
つツか
)
けたまゝ、
手
(
て
)
には
施
(
ほどこし
)
の
小
(
ちひ
)
さい
袋
(
ふくろ
)
を
提
(
さ
)
げて。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
もっともそれは、わたしの
漁
(
あさ
)
るものが珍品として値の高い古い時代のものでなく、当時ざらにあった幕末から明治初年のものにかぎられていたせいもあろう。
武鑑譜
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
親父は
馬喰町
(
ばくろちょう
)
の方に宿を取っておりまして毎日、柳原、日陰町
界隈
(
かいわい
)
の問屋筋で出物を
漁
(
あさ
)
っておりましたのでございますが、そう申してはなんでございますが
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
私はその本屋をはじめ、小川町の「三久」、浜町の「京常」、
池
(
いけ
)
の
端
(
はた
)
の「バイブル」、駒形の「小林文七」「鳥吉」などから
頻
(
しき
)
りに西鶴の古本を
漁
(
あさ
)
り集めた。
明治十年前後
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
涙香が死んでからしばらくしてから、珍本を
漁
(
あさ
)
ることに熱心な木村毅君が、涙香の翻訳に用いた探偵小説の原著を発見して二三十冊も買いこんだことがあった。
黒岩涙香のこと
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
かつてはわれわれの同志だった者が——昔は純粋な情熱から支那を愛していた者が、今は利権
漁
(
あさ
)
りに狂奔して、昨日の支那の友は今日、支那の敵になっている。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
俺が、研究室でバーナード・ショーの全集を
漁
(
あさ
)
っているうちに、桑田はかねがね書くといっていた三幕物の社会劇を、もうとっくに書き上げているかも知れない。
無名作家の日記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
子供たちは、食料を求めて山野を
漁
(
あさ
)
り歩いた。たまたま、珍しい
木苺
(
きいちご
)
などを発見すると、その場所へ目印を置き、他の仲間へは秘密にして、楽しんだものである。
甘い野辺
(新字新仮名)
/
浜本浩
(著)
また書を
漁
(
あさ
)
って犠牲の理論も読んでみた。けれども皆私の心を動かす根本的の力を欠いていた。なぜというに私の利己主義はその根を認識論の上に深く張っている。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
この詩を広く人生に
擬
(
ぎ
)
して解せむか、
曰
(
いは
)
く、凡俗の大衆は眼低し。
法利賽
(
パリサイ
)
の徒と共に虚偽の生を営みて、醜辱
汚穢
(
おわい
)
の沼に網うつ、名や財や、はた
楽欲
(
ぎようよく
)
を
漁
(
あさ
)
らむとすなり。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
従って私は水泳の時間は欠席するか
蛤
(
はまぐり
)
を
漁
(
あさ
)
る事によって、せめての
鬱晴
(
うさば
)
らしとしたものであった。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
自分
(
じぶん
)
たちのみじめな
生活
(
せいかつ
)
にくらべて、つねに、だれにすがるということなく、
自
(
みずか
)
らの
力
(
ちから
)
で、
海
(
うみ
)
や、
湖
(
みずうみ
)
や、
河
(
かわ
)
を
漁
(
あさ
)
り、
南
(
みなみ
)
から
北
(
きた
)
へ、
北
(
きた
)
から
南
(
みなみ
)
へと
渡
(
わた
)
って、
雄々
(
おお
)
しく
生活
(
せいかつ
)
する
温泉へ出かけたすずめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
毎月、食堂での食べ越しの結果は、高い食券の闇買ひと、代用食の買ひ
漁
(
あさ
)
りに狂奔した。
雑炊
(
ざふすゐ
)
食堂の行列と国民酒場の行列とは、今思ひ出しても悪夢のやうにいやである。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
『大日本地名辞書』などを
漁
(
あさ
)
って見たが、二山の記事は勿論のこと、いずれの山名さえも見出すことが出来なかったが、自分は心中ではこの二山を同山異名と臆断していた。
平ヶ岳登攀記
(新字新仮名)
/
高頭仁兵衛
(著)
ペッタリ
坐
(
すわ
)
ってるものや、バタバタ
駈
(
か
)
け出してるものや、三四人で廊下の羽目板に顔をならべて
唄
(
うた
)
ってるのや、他の工場から
漁
(
あさ
)
りにくる男工達とフザけてるのや色々だった。
工場新聞
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
“漁”の解説
漁(いさり、りょう)とは、人間がさまざまな漁具を用いて、水産資源を捕獲する行為のことである。また、さまざまな漁具の種類、用法によって類別される漁の方法のことを漁法という。
なお、漁をおこなう行為のうち、その労働的側面に着目する場合、漁撈といって区別するのが一般的である。また、趣味・娯楽として楽しむ漁の場合は、とくに遊漁といって区別する。
(出典:Wikipedia)
漁
常用漢字
小4
部首:⽔
14画
“漁”を含む語句
漁夫
漁場
漁師
漁舟
漁人
漁業
漁火
漁船
漁色
不漁
漁村
大漁
女漁
海保漁村
鴎外漁史
王漁洋
漁師原
川漁
樵漁
漁樵
...