さか)” の例文
新字:
「辻斬の曲者は、腕の良い人に斬りかけてあべこべにやられて死んでしまつたことにして、それで市がさかえるぢやありませんか」
可愛かはいいこの一族いちぞくは、土手どてつゞくところ、二里にり三里さんりあしとともにさかえてよろこぶべきことを、ならず、やがて發見はつけんした。——房州ばうしうときである。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
濱島君はまじまくんよ、心豐こゝろゆたかにいよ/\さかたまへ、きみ夫人ふじん愛兒あいじ御身おんみは、この柳川やながは生命いのちにかけても守護しゆごしまいらすべし。
さかゆる事天のめぐみとは云乍いひながら一ツには大岡越前守殿の明智めいち英斷えいだんるものなりともつぱ當時たうじ人々ひと/″\うはさをなせしとぞ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なほこの人の作に「武運長久」といふ題にて、『治まれる世にも忘れぬもののふの八十やそちまたのながくひさしも』『八幡山やはたやま雲のはたても豐かにてとほくさかゆくもののふの道』
愛国歌小観 (旧字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
イタリイはふる時代じだい文化ぶんかさかえたくにでありますから、これ博物館はくぶつかんをさめてあるものにはすぐれたしなおほく、とうてい國々くに/″\ではられないものがたくさんあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
しかして下界もしその心を自然のうるもとゐにとめてこれに從はゞその民さかえむ 一四二—一四四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
この諸平もろひらのゐた時分じぶんに、近世きんせいでもっとも名高なだか香川景樹かがはかげきといふ歌人かじん京都きようとにゐました。非常ひじよう上手じようず評判ひようばんがあり、門人もんじんおほく、その一門いちもんさかえていままでもつゞいてゐるほどのひとでありました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
さか行くわが子幾人を彼は無慚に斃せしか!
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
なつなかのさかえはぎぬ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
まめもち草餅くさもち砂糖餅さたうもち昆布こんぶ切込きりこみたるなど色々いろ/\もちき、一番いちばんあとのうすをトンととき千貫せんぐわん萬貫まんぐわん萬々貫まん/\ぐわん、とどつ喝采はやして、かくいちさかゆるなりけり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
うませいよいよさかえ行けるに母のお勝も大いに安堵あんどし常に念佛ねんぶつまい道場だうぢやうに遊びき庄兵衞が菩提ぼだいとむら慈悲じひ善根ぜんこんを事としたれば九十餘さい長壽ちやうじゆたも大往生だいわうじやう素懷そくわい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『やあ、だん/″\と目出度めでたことあつまつてますな。新造軍艦しんざうぐんかん獻納けんなうされる、海底戰鬪艇かいていせんとうていあらはれてる、日本海軍につぽんかいぐん益々ます/\さかえ——。』と快活くわいくわつなるおもてげてニコとわらふ。松島海軍大佐まつしまかいぐんたいさ微笑びせうびて
バラ撒き、お小夜が一人水死したといふことでいちさかえましたよ
からうじて腕車くるまくゞらしたれば、あみにかゝつたやうに、彼方あなた此方こなたを、すゞめがばら/\、ほら蝙蝠かうもりるやうだつた、と車夫同士くるまやどうしかたりなどして、しばらく澁茶しぶちやいちさかえる。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
以てつかひける故に一同こぞつて出精しゆつせいなし益々ます/\伊勢屋の暖簾のれんとみさかえければ其久八が赤心せきしんかんじて養父五兵衞もうまかはりし如く慈善じぜんの心をおこし昔しの行ひをはぢ己れは隱居して久八に家督かとく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ほろびるといつて、あへ部落ぶらくくなるといふ意味いみではない、おとろへるといふ意味いみではない、ひといへとはさかえるので、進歩しんぽするので、繁昌はんじやうするので、やがてその電柱でんちう眞直まつすぐになり、鋼線はりがねはり
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すなはひといへとは、さかえるので、かゝ景色けしきおもかげがなくならうとする、末路まつろしめして、滅亡めつばうてうあらはすので、せんずるに、へびすゝんでころもぎ、せみさかえてからてる、ひといへとが、みな光榮くわうえいあり
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)