“楔:くさび” の例文
“楔:くさび”を含む作品の著者(上位)作品数
野村胡堂3
ヴィクトル・ユゴー3
中里介山3
長塚節2
小栗虫太郎2
“楔:くさび”を含む作品のジャンル比率
自然科学 > 地球科学・地学 > 地震学(児童)100.0%
自然科学 > 地球科学・地学 > 気象学7.7%
文学 > フランス文学 > 小説 物語7.7%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
英ソの緩衝かんしょう地帯である「大地軸孔」一帯を精査して、ナチスのくさびを南新疆にうちこもうというのではないか。
人外魔境:10 地軸二万哩 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ばらばらに黒いくさびはづされたこの残留の街衢の中で、彼等の笑ふやうに、その笑ひが己の面上にあると思ふのか。
逸見猶吉詩集 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
どこの釘、くさびかすがい、或いは、結び綱をとけば、道具がくずれるか、やろうと思えば、どんなことでも出来る。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
そういう密集せる人込みの中を、クリストフはひざひじで突きのけながら、くさびのように道を開いて進んだ。
なた刀背みねてつくさびんでさうしてつてうごかしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
次に袋の両側にくさびを入れ、二人の男が柄の長い槌を力まかせに振って楔を打ち込んで、袋から液体蝋をしぼり出す。
午後から空模様が変って来たので、為吉は水夫一同と一緒に七個ななつある大倉口メイン・ハッチの押さえ棒へくさびを打って廻った。
上海された男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
窓には格子こうしもなく、庭に向いていて、その地方の風習に従って小さな一つのくさびでしめてあるきりだった。
と、そうも思われたけれども、何よりくさびのように打ち込まれた、逢痴の声と血潮の失踪とが、それを根底から否定してしまうのだった。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
白い髪の毛は顳顬こめかみのあたりに少々残っているだけで、頤髯あごひげはまばらでくさびがたをしている。
頭をくさびのように細い竹と竹との間に押し込んだものと見えて、籠は一寸ちょっと見た所では破れてはいない。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
てつくさびさきめた唐鍬たうぐはの四かくあなところにはかゆるんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
人の好い道綱は、そんな私達のくさびになっているのを苦にして何かと責め好い私の方ばかりを責めるのだった。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「二十三年前に盜んだ御用金三千兩は、濱町河岸の石置場、百貫あまりの御影石みかげいしの下だ——左の小さいくさびを取ると、子供にも取出せる」
「だがむろん、一ノ関の手はゆるみはしない、藩ぜんたいがよろこび祝っているうちにも、一ノ関は隙へ隙へとくさびを打っていた」と甲斐はまた呟いた。
自分はこの世に生れて來たことを、哀しい生存を、狂亂所爲多きく在ることの、否定にも肯定にも、脱落を防ぐべきくさびの打ちこみどころを知らない。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
いに紛れて、そういう人事にはくさびをうっておくつもりで、復一はこういうと、養母は
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
これは組み立ての時に、どうしたことか、くさびをはめることを忘れたので、根が締まっていないので風で動いたので、楔一本のため、どれ位心配をしたことか。
谷底へついて見ると紐のちぎれさうな脚袢きやはんを穿いた若者が炭竈すみがまの側でかしの大きなほたくさびを打ち込んで割つて居るのであつた。
炭焼のむすめ (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
くさび形に削ったのだろうか? こう思われる程ゲッソリと、頬が頤へかけて落ちている。
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
米友が、ついに堪りかねて、憤然として弁信のお喋りの中へくさびを打込みました。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
生活に打ち込まれた一本のくさびがどんなところにまでひずみを及ぼして行っているか、彼はそれに行き当るたびに、内面的に汚れている自分をってゆくのだった。
ある心の風景 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
「先生は、僕を単に、先生が蝶子さんの性格に魅着して困るのを断ち切るために中に挟んだくさびか斧だと言ったが、一体全体、そんなことが世の中にあり得るだろうか——」
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
初めは毛の代りに木や銅のくさびを置いてそれに霜をつけることにしたのである。
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
それにしてはこれらのお話が、日本の性格東洋の風格と云うものを強くお話の中に錯綜して、人と人を結んだお話は、東洋諸国を結合するくさびとなるじゃないかと思います。
現下に於ける童話の使命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もちろん、その原因として、中間に、こゝにいる葛岡さんというものを挟みはしましたが、しかし、これは気の毒ながら、挽木の鋸目のこめに入れるくさびのようなものです。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
われはくさびの如く車の間にはさまりて、後へも先へも行くこと叶はず。
「では、この頃洛中に流行はやります摩利の教とやら申すのも、やはり無常を忘れさせる新しい方便なのでございましょう。」と、御話のくさびを入れますと、もう一人の女房も、
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
伸子は、胸のなかへくさびをさしこまれるように肉体の苦痛を感じた。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
それでも父が居なくなると、家の中はくさびがゆるんだやうになつた。
お末の死 (新字旧仮名) / 有島武郎(著)
この一事は、いよいよ両家の親和を永久にするくさびともなるであろう
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
取巻が、別に心中物語をはじめたので、お角さんがくさびを入れて、
いよいよ下降する石畳から、壊はされた黒いくさびの扉口からだ。
逸見猶吉詩集 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
まさに、魏の中軍へいきなりくさびを打ちこんできたかたちだ。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
テナルディエは一種の鉄のくさびを持つことを許されていた。
今日の苦笑すべき紛乱は、むしろその要求の非常に急迫していることと、これに対する幾つかの提案の、まだどこかにくさびの抜けた所があることをかたっているように私らには感じられる。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
流木をわるにしても、おのがないので、ジャック・ナイフで板をけずって、何本もくさびをこしらえて、それを流木の干割ひわりにうちこんだ。すると、正目のよく通ったアメリカ松は、気もちよくわれた。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
「それだ。それは、大きな収穫だった。山路君と陳君との友情は、やがて、日本と中国との永遠の友情のくさびとなるのだ」国際優秀機は、太平洋の上空を、秀麗富士のそびえる日本の空を目指して、悠々と飛んでいる。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
のっそりでも恥辱はじは知っております、と底力味あるくさびを打てば、なかなか見事な一言じゃ、忘れぬように記臆おぼえていようと、くぎをさしつつ恐ろしくにらみて後は物云わず、やがてたちまち立ち上って
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
先ず前の実験装置で霜の結晶が何故自然にちぎれて落下するかということを見るために、銅箱の底に銅のくさびをつけてその楔の先端に霜の結晶を作るようにして、その結晶を箱の外から焦点距離の長い顕微鏡で覗くことにした。
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
みだらなものでさえなければ、少しも幸福の妨げとなるものではないとされ、また、やがて一家族が生まれいずべきふたりの運命の和合をまず家の中で始め、同棲どうせい生活がそのくさびとして長く結婚のへやを有することは
欄間の飾りより天井板まで美を尽してしかも俗ならぬやうに、家はくさびを打ちて動かぬやうに建てたらんが如く、天保は床脇とこわきの柱だけ丸木を用ゐ、無理に丸窓一つを穿うが手水鉢ちょうずばち腕木うでぎも自然木を用ゐ
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
——気が付くまいが、此天井には仕掛があるんだ、七万両を盗みに入る者のあった時、そいつをひと潰しにするように、四本のくさびを抜けば、岩の天井が一ぺんに落ちるようになって居る筈だ、有難ありがたいことには、先祖の石坂左門次様が
大江戸黄金狂 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
ここはこの海岸にそうて三里のあひだ千尺二千尺ぐらゐのあざれた山脈から海のはうへ到るところ枝を出して無数の渓谷を形づくつてるその三つの枝のなかのひとつが根もとを水に浸蝕されて逆にくさびを打ち込んだやうなぐあひになつてるのである。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
スウェーデンの俗信ずらく、木にくさびを打ち込んで半ば裂けた中に楔を留めた処や兎の頭を見た妊婦は必ず欠唇の子を生むと、一体スウェーデン人はよほど妊婦の心得に注意したと見えて妊婦が鋸台の下を歩けば生まるる子の喉が鋸を挽くように鳴り続け
毎晩々々、私がこの女を抱いてやるとき、常にこう云う角度からこの洞穴を覗き込み、ついこの間もしたようにそのはなをかんでやり、小鼻の周りを愛撫あいぶしてやり、又或る時は自分の鼻とこの鼻とを、くさびのように喰い違わせたりするのですから
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
かぶとの前についている剣にくさびを入れることを忘れて、陛下が突然地面にお降りになって、ぐるぐる像の周囲を御廻りになりながら天覧になったが、その時にその剣がぶらぶら揺れるので、それが落ちたら切腹ものだったと言っていたのを記憶している。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
忠直卿は茶臼山に駒を立てていたが、越前勢の旗差物が潮のように濠を塞ぎ、曲輪くるわに溢れ、寄手の軍勢から一際鋭角を作って、大坂城の中へくさびのごとく食い入って行くのを見ると、他愛もない児童のように鞍壺くらつぼに躍り上ってよろこんだ。
忠直卿行状記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
と底力味あるくさびを打てば、中〻見事な一言ぢや、忘れぬやうに記臆おぼえて居やうと、釘をさしつゝ恐ろしく睥みて後は物云はず、頓て忽ち立ち上つて、嗚呼飛んでも無い事を忘れた、十兵衞殿ゆるりと遊んで居て呉れ、我は帰らねばならぬこと思ひ出した
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
一體いつたい家屋かおくあたらしいあひだはしら横木よこぎとのあひだめつけてゐるくさびいてゐるけれども、それが段々だん/″\ふるくなつてると、次第しだいゆるみがる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
この勢いでは、この男に持って行かれてしまうかも知れない——所望と打出された以上は、相手が相手だけに、どうしても只では済まされない、ここは先手を打つよりほかはないと、老巧なる細川三斎は、政宗と王羲之おうぎしとをすっかり取組まして置いて、穏かにくさびを打込んだ、
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「小半次はあの銅鑼を縁側の長押なげしの上に乘せ、糸をつけたくさびを差込んで、楔を拔けば直ぐ落ちるやうにして置いたのさ。その糸の端は泉水を越して母屋の縁側に引いてあつたので、いゝ加減時刻をはかつて、縁側でその糸を引くと、離屋の長押の上の銅鑼は恐ろしい音を立てて縁側に落ちたのだ」
確かに今乗った下らしいから、また葉を分けて……ちょうど二、三日前、激しく雨水の落としたあとの、みぎわくずれて、草の根のまだ白い泥土どろつち欠目かけめから、くさびゆるんだ、洪水でみずの引いた天井裏見るような、横木よこぎ橋板はしいたとの暗い中を見たがなにもおらぬ。
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それで大地震だいぢしん出會であつて容易よういいくらかの傾斜けいしやをなしても、それがためにくさびはじめてしてることになり、其位置そのいちおい構造物こうぞうぶつ一層いつそうかたむかんとするのに頑強がんきよう抵抗ていこうするにあるのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)