枯葉かれは)” の例文
あらをはつたとき枯葉かれはおほいやうなのはみなかまでゝうしろはやしならみきなはわたして干菜ほしなけた。自分等じぶんら晝餐ひるさいにも一釜ひとかまでた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
四五本しごほんまがつたりたふれたりだが、竹垣たけがき根岸流ねぎしりうとりまはした、木戸きどうちには、うめ枝振えだぶりのいのもあるし、何處どこからつたか、はしうへやなぎ枯葉かれは風情ふぜいがある。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そうなると、街路樹がいろじゅの葉が枯葉かれはとなって女や男の冬着のぼうや服の肩へ落ち重なるのも間のない事だ。
巴里の秋 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
あいちやんはぼうれや枯葉かれはかさなつたうへりてて、みづながれは此處こゝきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
私はやがて再び枯葉かれはをガサガサと音させながら、山径を村の方へと下りて行った。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
クロは自由のになっても、竹童のそばを離れることなく、流れる水をすっていると、かれはまた火打石ひうちいしを取りだして、そこらの枯葉かれはに火をうつし、煙の立ちのぼる夕空をあおぎながら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その中の一ツは出入りの安吉やすきちという植木屋が毎年々々手入ていれの松の枯葉かれは、杉の折枝おれえだ、桜の落葉、あらゆる庭の塵埃ちりあくたを投げ込み、私が生れぬ前から五六年もかかってようやくに埋め得たとう事で。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
だが、あきふかくなると、薔薇がつた。きくれた。さうして、枯葉かれはつもつた間から、やうやさびしげな山茶花さざんくわがのぞき出すと、北にらなつた一れんくらかべが、俄然がぜんとして勢力せいりよくをもたげ出した。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
そこは冬のけしきで、野にはりのこった枯葉かれはの上に、しもがきらきら光っていました。山から谷にかけて、雪がまっ白に降りうずんだなかから、しばをたくけむりがほそぼそとあがっていました。
浦島太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
何もしないでゐてもわるいから、さくら枯葉かれはでもかうかしらんと漸く気が付いた時、箒がないといふ事を考へ出した。また縁側へ腰を掛けた。掛けて二分もしたかと思ふと、庭木戸がすうといた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
けふは、下生したばえ枯葉かれはの山
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
植物は芽と葉と枯葉かれは
南洋館 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
蘆の枯葉かれはを洗ひ去れ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
枯葉かれは雑木ざふき
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
忍びて紙屑買かみくづかひには成ぬかと聞て久八しばらく考へ却つて夫こそ面白おもしろからんと紙屑買にぞなりにけり嗚呼ああ榮枯盛衰えいこせいすゐひとへに天なり命なり昨日迄は兎も角も大店の番頭支配人とも言はれし身が千種木綿ちくさもめん股引もゝひきねぎ枯葉かれはのごとくにて木綿布子ぬのこ紋皮もんぱ頭巾づきん見る影も無き形相なりふりは商賣向の身拵みごしら天秤棒てんびんぼうに紙屑かご鐵砲笊てつぱうざる
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それで巨人きよじんせた西風にしかぜその爪先つまさきにそれを蹴飛けとばさうとしても、おそろしく執念深しふねんぶか枯葉かれはいてさうしてちからたもたうとする。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あし枯葉かれはをぬら/\とあをぬめりのみづして、浮草うきぐさ樺色かばいろまじりに、船脚ふなあしころの、五位鷺ごゐさぎはうちやう。またひとしきりはげしくきふに、なめらかなおもみづひゞいて、鳴渡なりわたるばかりとつたが。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
或る夕方、私は再びそのヴィラまで枯葉かれはうずまった山径やまみちを上って行った。庭の木戸は私がそうして置いたままに半ば開かれていた。私の捨てた煙草たばこ吸殻すいがらがヴェランダのゆか汚点しみのように落ちていた。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
あし枯葉かれはを洗ひ去れ
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あひだそらわたこがらしにはかかなしい音信おどづれもたらした。けやきこずゑは、どうでもうれまでだといふやうにあわたゞしくあかつた枯葉かれは地上ちじやうげつけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
睫毛まつげばかりに附着くツついて、ちひさな枯葉かれはをかぶりながら、あの蓑蟲みのむしかゝつてた。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかも、かまとこしへれぬところをりから枯葉かれはなかいて、どんよりとかすみけたみづいろは、つて、さま/″\の姿すがたつて、それからそれへ、ふわ/\とあそびにる、いたところの、あの陽炎かげらふ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)