トップ
>
春風
>
はるかぜ
ふりがな文庫
“
春風
(
はるかぜ
)” の例文
ちょうど、その
唄
(
うた
)
の
声
(
こえ
)
は、
海
(
うみ
)
で
潮
(
しお
)
のわく
音
(
おと
)
のようであり、
女
(
おんな
)
たちの
姿
(
すがた
)
は、
春風
(
はるかぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれるこちょうのごとくに、
見
(
み
)
られたのでした。
砂漠の町とサフラン酒
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
供
(
とも
)
二人三人
召連
(
めしつ
)
れ
春風
(
はるかぜ
)
と
言
(
い
)
ふ
遠
(
とほ
)
がけの
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
り、
塔
(
たふ
)
のあたりに
至
(
いた
)
り、
岩窟堂
(
がんくつだう
)
の
虚空蔵
(
こくうざう
)
にて
酒
(
さけ
)
をのむ——とある。
古武士
(
こぶし
)
が
野
(
の
)
がけの
風情
(
ふぜい
)
も
興
(
きよう
)
あり。
怪力
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
明かなる君が
眉目
(
びもく
)
にはたと行き逢える今の
思
(
おもい
)
は、
坑
(
あな
)
を出でて天下の
春風
(
はるかぜ
)
に吹かれたるが如きを——言葉さえ
交
(
か
)
わさず、あすの別れとはつれなし。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
碧瑠璃海岸
(
コオト・ダジュウル
)
の
春風
(
はるかぜ
)
を肩で切りながら、夢のように美しいニースの『
英国散歩道
(
プロムナアド・デザングレ
)
』や、
竜舌蘭
(
アロエス
)
の咲いたフェラの岬をドリヴェできるというわけなのよ。
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
すると窓から流れこんだ
春風
(
はるかぜ
)
が、その一枚のレタア・ペエパアを
飜
(
ひるがえ
)
して、
鬱金木綿
(
うこんもめん
)
の
蔽
(
おお
)
いをかけた鏡が二つ並んでいる
梯子段
(
はしごだん
)
の下まで吹き落してしまった。
葱
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
二十三年の今まで絶えて
覺
(
おぼえ
)
なき異樣の感情
雲
(
くも
)
の如く湧き出でて、例へば
渚
(
なぎさ
)
を閉ぢし池の氷の
春風
(
はるかぜ
)
に
溶
(
と
)
けたらんが如く、若しくは滿身の力をはりつめし
手足
(
てあし
)
の
節々
(
ふし/″\
)
一時に
緩
(
ゆる
)
みしが如く
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
子爵
(
ししやく
)
の
寵愛
(
ちようあい
)
子
(
こ
)
よりも
深
(
ふか
)
く、
兩親
(
おや
)
なき
妹
(
いもと
)
の
大切
(
たいせつ
)
さ
限
(
かぎ
)
りなければ、
良
(
よ
)
きが
上
(
うへ
)
にも
良
(
よ
)
きを
撰
(
え
)
らみて、
何某家
(
なにがしけ
)
の
奧方
(
おくがた
)
とも
未
(
ま
)
だ
名
(
な
)
をつけぬ十六の
春風
(
はるかぜ
)
、
無慘
(
むざん
)
や
玉簾
(
たますだれ
)
ふき
通
(
とほ
)
して
此初櫻
(
このはつざくら
)
ちりかヽりし
袖
(
そで
)
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
春風
(
はるかぜ
)
の
把
(
と
)
る
彩
(
あや
)
の筆
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
春風
(
はるかぜ
)
は
微吹
(
そよふ
)
きぬ
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
そよそよ
春風
(
はるかぜ
)
歌時計:童謡集
(旧字旧仮名)
/
水谷まさる
(著)
春風
(
はるかぜ
)
並木
(
なみき
)
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あたたかな
春風
(
はるかぜ
)
は、そよそよと
空
(
そら
)
を
吹
(
ふ
)
いて、
野原
(
のはら
)
や、
田
(
た
)
の
上
(
うえ
)
を
渡
(
わた
)
っていました。ほんとうに、いい
天気
(
てんき
)
でありました。
春の真昼
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
春風
(
はるかぜ
)
もああ云う
滑
(
なめら
)
かな顔ばかり吹いていたら定めて
楽
(
らく
)
だろうと、ついでながら想像を
逞
(
たくま
)
しゅうして見た。御客さんは三人の
中
(
うち
)
で一番普通な
容貌
(
ようぼう
)
を有している。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
憂
(
う
)
きに
月日
(
つきひ
)
の
長
(
なが
)
からん
事
(
こと
)
愁
(
つ
)
らや、
何事
(
なにごと
)
もさらさらと
捨
(
す
)
てヽ、
憂
(
う
)
からず
面白
(
おもしろ
)
からず
暮
(
くら
)
したき
願
(
ねが
)
ひなるに、
春風
(
はるかぜ
)
ふけば
花
(
はな
)
めかしき、
枯木
(
かれき
)
ならぬ
心
(
こヽろ
)
のくるしさよ、
哀
(
あは
)
れ
月
(
つき
)
は
無
(
な
)
きか
此胸
(
このむね
)
はるけたきにと
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
春風
(
はるかぜ
)
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
春風
(
はるかぜ
)
の
吹
(
ふ
)
く、あたたかな
晩
(
ばん
)
がたでした。
弟
(
おとうと
)
は、
S町
(
エスまち
)
の
露店
(
ろてん
)
へ、いっしょにいってくれというのでした。
二人
(
ふたり
)
は、
電車
(
でんしゃ
)
に
乗
(
の
)
って、でかけることになりました。
緑色の時計
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
空
(
むな
)
しき家を、空しく抜ける
春風
(
はるかぜ
)
の、抜けて行くは迎える人への義理でもない。
拒
(
こば
)
むものへの
面当
(
つらあて
)
でもない。
自
(
おのず
)
から
来
(
きた
)
りて、自から去る、公平なる宇宙の
意
(
こころ
)
である。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
春風
(
はるかぜ
)
は、
遠
(
とお
)
くから
吹
(
ふ
)
いて、
遠
(
とお
)
くへ
去
(
さ
)
っていきます。
百姓
(
しょう
)
が
愉快
(
ゆかい
)
そうに
働
(
はたら
)
いています。お
姫
(
ひめ
)
さまは、なにを
見
(
み
)
ても
珍
(
めずら
)
しく、
心
(
こころ
)
も、
身
(
み
)
ものびのびとなされました。
お姫さまと乞食の女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
生温
(
なまぬる
)
い
磯
(
いそ
)
から、塩気のある
春風
(
はるかぜ
)
がふわりふわりと来て、親方の
暖簾
(
のれん
)
を
眠
(
ねむ
)
たそうに
煽
(
あお
)
る。身を
斜
(
はす
)
にしてその下をくぐり抜ける
燕
(
つばめ
)
の姿が、ひらりと、鏡の
裡
(
うち
)
に落ちて行く。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
惜しい事に作者の名は聞き落したが、老人もこうあらわせば、豊かに、
穏
(
おだ
)
やかに、あたたかに見える。
金屏
(
きんびょう
)
にも、
春風
(
はるかぜ
)
にも、あるは桜にもあしらって
差
(
さ
)
し
支
(
つかえ
)
ない道具である。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
春風
(
はるかぜ
)
が
吹
(
ふ
)
くころになると、
窓
(
まど
)
のガラスの
汚
(
よご
)
れがきわだって
目
(
め
)
につくようになりました。
冬
(
ふゆ
)
の
間
(
あいだ
)
は、ほこりのかかるのに
委
(
まか
)
していたのです。
裁縫室
(
さいほうしつ
)
の
窓
(
まど
)
からは、
運動場
(
うんどうじょう
)
の
大
(
おお
)
きな
桜
(
さくら
)
の
木
(
き
)
が
見
(
み
)
えました。
汽車は走る
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
愛せらるる事を専門にするものと、愛する事のみを念頭に置くものとが、
春風
(
はるかぜ
)
の吹き回しで、
旨
(
あま
)
い潮の
満干
(
みちひき
)
で、はたりと天地の前に行き
逢
(
あ
)
った時、この変則の愛は成就する。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
春風
(
はるかぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いて、たこのうなりがきこえています。お
母
(
かあ
)
さんは
小さな妹をつれて
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
女の声は静かなる
春風
(
はるかぜ
)
をひやりと
斬
(
き
)
った。詩の国に遊んでいた男は、急に足を
外
(
はず
)
して下界に落ちた。落ちて見ればただの人である。相手は寄りつけぬ高い
崖
(
がけ
)
の上から、こちらを
見下
(
みおろ
)
している。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼
(
かれ
)
は又三千代を
訪
(
たづ
)
ねた。三千代は
前日
(
ぜんじつ
)
の如く
静
(
しづか
)
に
落
(
お
)
ち
着
(
つ
)
いてゐた。
微笑
(
ほゝえみ
)
と
光輝
(
かゞやき
)
とに
満
(
み
)
ちてゐた。
春風
(
はるかぜ
)
はゆたかに
彼女
(
かのをんな
)
の
眉
(
まゆ
)
を吹いた。代助は三千代が
己
(
おのれ
)
を挙げて自分に信頼してゐる事を知つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
若き空には星の乱れ、若き
地
(
つち
)
には
花吹雪
(
はなふぶき
)
、一年を重ねて二十に至って愛の神は今が
盛
(
さかり
)
である。緑濃き黒髪を
婆娑
(
ばさ
)
とさばいて
春風
(
はるかぜ
)
に織る
羅
(
うすもの
)
を、
蜘蛛
(
くも
)
の
囲
(
い
)
と五彩の軒に懸けて、
自
(
みずから
)
と引き
掛
(
かか
)
る男を待つ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“春風”の意味
《名詞》
春風 (シュンプウ、はるかぜ)
春先の暖かい風。
(出典:Wiktionary)
春
常用漢字
小2
部首:⽇
9画
風
常用漢字
小2
部首:⾵
9画
“春風”で始まる語句
春風駘蕩
春風馬堤曲
春風秋雨
春風亭
春風便
春風庵
春風行
春風万里
春風影裏
春風頼惟疆