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擬
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まが
ふりがな文庫
“
擬
(
まが
)” の例文
擬
(
まが
)
いの神尾主膳に附添いの者共はみな集まって来たし、この家の主人や
婢僕
(
ひぼく
)
までもみな廊下のところに、そっと様子を見に来ている。
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
正宗相伝の銀河に
擬
(
まが
)
う
大湾
(
おおのだれ
)
に、火焔
鋩子
(
ぼうし
)
の返りが
切先
(
きっさき
)
長く垂れて
水気
(
みずけ
)
が
滴
(
したた
)
るよう……
中心
(
なかご
)
に「建武五年。
於肥州平戸
(
ひしゅうひらとにおいて
)
作之
(
これをつくる
)
。
盛広
(
もりひろ
)
」
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
常の衣の上に
粗𣑥
(
あらたへ
)
の
汗衫
(
じゆばん
)
を被りたるが、その
衫
(
さん
)
の上に縫附けたる
檸檬
(
リモネ
)
の
殼
(
から
)
は大いなる
鈕
(
ぼたん
)
に
擬
(
まが
)
へたるなり。肩と
鞾
(
くつ
)
とには青菜を結びつけたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
擬
(
まが
)
ひ
唐棧
(
たうざん
)
の袖口が
綻
(
ほころ
)
びて、山の入つた帶、少し延びた不精髯——叔母さんが見たら、さぞ悲しがるだらうと思ふ風體でした。
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
コンボチェリー(渦巻羊毛布)。ツクツク(羊毛
擬
(
まが
)
いの段通)等で、その他モンゴリヤへの輸出品中最大部分を占めて居るものは経典である。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
僧都、すぐに出向うて、遠路であるが、途中、早速、
硝子
(
ビイドロ
)
とその
擬
(
まが
)
い
珠
(
たま
)
を取棄てさして下さい。お
老寄
(
としより
)
に、御苦労ながら。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その画が
擬
(
まが
)
いもない
歌麿
(
うたまろ
)
の筆であったことは、その後見た同じ
描者
(
かきて
)
の手に成った画のしなやかな線や、落着きのいい色彩から推すことができた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
不寝番
(
ねずばん
)
の男は私たちを奥まった二階の部屋へ案内しました。洋室
擬
(
まが
)
いに窓を狭め、畳が敷いてある様子までが、
胡乱
(
うろん
)
に感じられる部屋つきです。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
従四位といへば、絵で見る天神様のやうに
冠
(
かんむり
)
を
被
(
き
)
て、
直垂
(
ひたたれ
)
でも着けてゐなければならぬ筈だのに、亡くなつた八雲氏は
擬
(
まが
)
ひもない西洋人である。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
擬
(
まが
)
い物と来てはそれこそ人間の資格がない。彼の祖母が
四度
(
よど
)
目の投身をしなかったのは善良の女でないと阿Qは思った。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
人なき室をキヨロ/\と見巡して
再
(
また
)
それを熱心に見る。——鉛筆の走書の粗末ではあるが、書かれてあるのは
擬
(
まが
)
ひもなく静子自身の顔ではないか!
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
擬
(
まが
)
ひアストラカンの冬帽をかむつて、三日ばかり
剃刀
(
かみそり
)
を知らない
頬
(
ほほ
)
のままの礼助、しかも
何処
(
どこ
)
となく旅先の
慌
(
あわただ
)
しい疲労を浮べてゐる目つきの礼助は
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
随分ばか/\しいようなお話で、今日の人たちは嘘のように思うかも知れませんが、これは
擬
(
まが
)
いなしの実録です。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
右の眼は
初月
(
みかづき
)
のような
半眼
(
はんがん
)
、それに
蓬蓬
(
ぼうぼう
)
の髪の毛、口は五臓六腑が破れ出た血に
擬
(
まが
)
わして赤い絵具を塗り、その上処どころ
濃鼠
(
こいねず
)
の布で
膏薬張
(
こうやくばり
)
をしてあった。
お化の面
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
外国
擬
(
まが
)
いの長々しい読みづらい字がそこに書いてあった。しかし仙太は「なにくそ!」という気がした。
競馬
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
イギリスの
擬
(
まが
)
い黒玉とドイツの黒ガラス玉とをまねて製造する特殊な工業があったが、原料が高くて賃金があまり出せないので、いつもはかばかしくゆかなかった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
両替屋稼業が店中の小銭を片ッ端から紙片へ包まれてしまっては始末にわるい、いわんやその上にビラ字
擬
(
まが
)
いで落語家の名がひとつひとつ記されているにおいておや。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
噴火口と
擬
(
まが
)
いそうな欠けたところが、大屋根の
破風
(
はふ
)
のように
聳
(
そび
)
えて、霧を吐く窓になっている。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
私は
擬
(
まが
)
い物やこけおどしな品は扱いません、金を
儲
(
もう
)
けるにはそのほうが早みちでございましょうが、性分でどうも筋の通った物でないと手に取る気にもならないんでございます
ひやめし物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
つつうと進み出ると、噛みつくように言ったのは
擬
(
まが
)
い
鎮西
(
ちんぜい
)
八郎のあの大兵漢です。
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
さらにいっそう薄気味悪いことには、
擬
(
まが
)
うかたなくそれが、黒死館で邪霊と云われるテレーズ・シニヨレだったのである。法水は
側
(
はた
)
の驚駭には
関
(
かま
)
わず、その妖しい幻の生因を
闡明
(
せんめい
)
した。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
居間の床の間に、
擬
(
まが
)
いの
応挙
(
おうきょ
)
らしい一幅の前に、これだけは見事な碁盤と埋れ木細工の
対
(
つい
)
の石入れがあったことを思い出しながら、伝二郎はなれなれしく飯をかっこむ真似をして見せた。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
鶏肉熟せるを見て少しずつ盗み食いついに平らげてしまい、今更骨と汁のほかに一物なきを知って
狼狽
(
ろうばい
)
の末呻吟する、たまたま、
鳶
(
とび
)
が多く空に舞うを見て自分の尻赤く鶏肉に
擬
(
まが
)
うに気付き
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
第三に尋常のものと違って、
擬
(
まが
)
いの西洋館らしく、一面に
仮漆
(
ニス
)
が
塗
(
かか
)
っていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
括
(
くく
)
り枕へ半紙を巻きつけた所には、
擬
(
まが
)
うかたもない庸之助の似顔が、半面は、彼がふだん怒ったときにする通り、眉の元に一本太い盛り上りが出来、目を釣り上げ、意気張って
睨
(
にら
)
まえている。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
煉瓦造りの江崎は別として他はペンキ塗りの洋風
擬
(
まが
)
い、三尺の入口に
更紗
(
さらさ
)
の
暖簾
(
のれん
)
、左右は箱形の硝子張りへ見本の写真、はいるとすぐ人力車の
蹴込
(
けこ
)
みのようなリノリウムの敷いてある撮影場
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
その代りノズドゥリョフは酒にかけては眼がなかった。まだスープも出ないうちから客の大きなコップへなみなみとポルトワインを注ぎ、また、別のコップへは
擬
(
まが
)
いの
*5
ソーテルンを注いだ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
昨日
(
きのふ
)
甘
(
あま
)
へて
買
(
か
)
ふて
貰
(
もら
)
ひし
黒
(
くろ
)
ぬりの
駒下駄
(
こまげた
)
、よしや
疊
(
たゝみ
)
は
擬
(
まが
)
ひ
南部
(
なんぶ
)
にもせよ、
比
(
くら
)
ぶる
物
(
もの
)
なき
時
(
とき
)
は
嬉
(
うれ
)
しくて
立出
(
たちいで
)
ぬ、さても
東叡山
(
とうえいざん
)
の
春
(
はる
)
四
月
(
ぐわつ
)
、
雲
(
くも
)
に
見紛
(
みまが
)
ふ
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
の
花
(
はな
)
も
今日
(
けふ
)
明日
(
あす
)
ばかりの十七日
成
(
な
)
りければ
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それは緑の水中に、消え残る雪の塊とも
擬
(
まが
)
うべき浴泉の婦人を見出したからであった。丈にも余る黒髪を、今洗い終ったところらしかった。それからまた離れた川中に、子供の群が泳ぎ戯れてもいた。
壁の眼の怪
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
を指の
尖
(
さき
)
のほの
透
(
す
)
きてあからむ花と
擬
(
まが
)
ふかな
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
擬
(
まが
)
い
唐桟
(
とうざん
)
の袖口が
綻
(
ほころ
)
びて、山の入った帯、少し延びた
不精髯
(
ぶしょうひげ
)
——叔母さんが見たら、さぞ悲しがるだろうと思う風体でした。
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
刀の
柄
(
つか
)
へ手をかけて立ち上った
擬
(
まが
)
いの神尾主膳は、竜之助の槍の穂先で
咽喉
(
のど
)
を押えられて動きが取れなくなってしまった。
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
夜は、間遠いので評判な、
外濠
(
そとぼり
)
電車のキリキリ
軋
(
きし
)
んで通るのさえ、池の水に映って消える長廊下の
雪洞
(
ぼんぼり
)
の行方に
擬
(
まが
)
う。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
臥し向っている洋室
擬
(
まが
)
いの腰張のニス板が、
睫毛
(
まつげ
)
の間から見はるかす限りもない大地の拡がりに感ぜられて来ました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
鴻池の主人は
吃驚
(
びつくり
)
して皿を取り上げて見た。
擬
(
まが
)
ふ
方
(
かた
)
もない立派な青磁である。
側
(
そば
)
にゐる誰彼は幾らか冷かし気味に
青磁の皿
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
十個の味噌桶の底にそれぞれ
擬
(
まが
)
い小判を平等に入れて、上から
鋸屑
(
おがくず
)
を
被
(
おお
)
いかぶせ、その上から味噌を詰込んでアラカタ百斤の重さになるように手加減をした。
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
さうして次の寫眞の間に、横手の、便所へ行く方のずつと前へ行つてゐて、こんだよく見屆けてやらうと思つて明るくなるのを待つてゐると、矢張
擬
(
まが
)
ひなしの高橋ぢやないか。
我等の一団と彼
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
白飾玉はノールウェーからき、黒飾玉はイギリスからき、黒ガラス玉はドイツから来る。飾り玉の方が軽くて
貴
(
とうと
)
くて価も高い。その
擬
(
まが
)
い玉はドイツでできるが、フランスでもできる。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
何分にも吉良の形見では人気が付かないのですが、河辺の家では吉良の形見というよりも先祖の形見という意味で大切に保存していたそうで、これは
擬
(
まが
)
い無しの本物だと云うことでした
半七捕物帳:61 吉良の脇指
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
擬
(
まが
)
いも無い池田家の定紋。
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
青苔
(
あをごけ
)
の美しく
蒸
(
む
)
した、雨落のところに据ゑた、
擬
(
まが
)
い物ながら大きい
鞍馬石
(
くらまいし
)
の根に、ポカリと小さい穴があいてゐるのです。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
権六は、少しく不安心になってきたものだから、後ろの席でこれも
擬
(
まが
)
い勤番の木村に尋ねると、権六とは負けず劣らずの
代物
(
しろもの
)
で、
岡引
(
おかっぴき
)
を勤めていた男。
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
鴻池の主人は
吃驚
(
びつくり
)
して皿を取り上げて見た。
擬
(
まが
)
ふ
方
(
かた
)
もない立派な青磁である。
側
(
そば
)
にゐる誰彼は幾らか冷かし気味に
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
坊主は、欄干に
擬
(
まが
)
ふ
苔蒸
(
こけむ
)
した
井桁
(
いげた
)
に、
破法衣
(
やれごろも
)
の腰を掛けて、
活
(
い
)
けるが如く
爛々
(
らんらん
)
として
眼
(
まなこ
)
の輝く青銅の竜の
蟠
(
わだかま
)
れる、
角
(
つの
)
の枝に、
肱
(
ひじ
)
を安らかに
笑
(
え
)
みつゝ言つた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
両岸は洋館や洋館
擬
(
まが
)
いの支那家屋の建物が塀のように立ち並んでいるところが多く、ところどころに船が湊泊する
船溜り
(
ボート・ケイ
)
が膨らんだように川幅を
拡
(
ひろ
)
げている。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
全体が耐震耐火のルネッサンス
擬
(
まが
)
いという、故伯爵の
凝
(
こ
)
り
性
(
しょう
)
と用心深さを遺憾なく発揮したものであった。
けむりを吐かぬ煙突
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
洋風
擬
(
まが
)
ひの
家屋
(
うち
)
の離れ/″\に列んだ——そして
甚麽
(
どんな
)
大きい建物も
見涯
(
みはて
)
のつかぬ大空に圧しつけられてゐる様な、石狩平原の
中央
(
ただなか
)
の都の
光景
(
ありさま
)
は、やゝもすると私の目に浮んで来て
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
偽りの真珠たる露の玉を見、
擬
(
まが
)
いの金剛石たる霜を見、ほころびた人類と
補綴
(
つぎ
)
をあてた事変とを見、太陽に多くの汚点と月に多くの穴とを見、至る所にかくも多くのみじめさを見る時
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
平次はそう言いながら、お夏の
丸髷
(
まるまげ
)
から、
擬
(
まが
)
い物の
鼈甲
(
べっこう
)
に、これも怪しい銀の帯をした
笄
(
こうがい
)
を取って、スッと抜きました。
銭形平次捕物控:044 お民の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いや、みんな
擬
(
まが
)
ひものでさ。」大金持ちの Stotesbury 氏は、星のやうに光つてゐる自分の女房と、無作法な客とを等分に見ながら答へた。
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
擬
常用漢字
中学
部首:⼿
17画
“擬”を含む語句
擬宝珠
模擬
擬寶珠
擬態
江戸児擬
擬勢
擬兵
擬装
擬物
擬音
見擬
擬似
梅擬
擬作高
擬議
擬似恋愛
比擬
模擬試験
擬古
擬古狂詩
...