“濃鼠”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
こいねずみ60.0%
こいねず40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
『暑いなア。』と小池はインバネスをいだついでに、竪絽たてろ濃鼠こいねずみ薄羽織うすばおりをもてると、お光は立つてインバネスを柱の折釘をれくぎにかけ、羽織は袖疊そでだたみにして床の間にせた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
可愛らしい狆児ちんころのようなものであって、その毛色は濃鼠こいねずみで誠にサバサバしたごく軽い毛である。その顔の愛らしい事といったら実に一見してその動物の性情の愛すべきことが分るです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
右の眼は初月みかづきのような半眼はんがん、それに蓬蓬ぼうぼうの髪の毛、口は五臓六腑が破れ出た血にまがわして赤い絵具を塗り、その上処どころ濃鼠こいねずの布で膏薬張こうやくばりをしてあった。
お化の面 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
夕映えの色も常に異なった暗黄色を帯びて物凄いと思う間に、それも消えて、暮れかかる濃鼠こいねずの空を、ちぎれちぎれの綿雲は悪夢のように果てもなく沖から襲うて来る。
(新字新仮名) / 寺田寅彦(著)