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きれ
ふりがな文庫
“
布片
(
きれ
)” の例文
死体をかついでいたのはジャン・ヴァルジャンです。
鍵
(
かぎ
)
を持っていたのは、現にかく申し上げてる私です。そして上衣の
布片
(
きれ
)
は……。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そして自分は、何々委員とかいう名を貰って、赤い
布片
(
きれ
)
でも腕にまきつければ、それでいっぱしの犬にでもなった気で得意でいるんだ。
新秩序の創造:評論の評論
(新字新仮名)
/
大杉栄
(著)
紙包の中には、洋紙の帳面が一册に半分程になつた古鉛筆、
淡紅色
(
ときいろ
)
メリンスの
布片
(
きれ
)
に捲いたのは、鉛で拵へた玩具の懷中時計であつた。
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
だから
素跣足
(
すはだし
)
のまま寝台を降りて畳椅子の上に乗っかると、殆ど同時に八字
鬚
(
ひげ
)
の小男が、白い
布片
(
きれ
)
をパッと私の
周囲
(
まわり
)
に引っかけた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
すると、絹の焼け
布片
(
きれ
)
がでてきた。彼はそれを
無造作
(
むぞうさ
)
にひらいた。こんどは黄金メダルがでてきた。ぴかぴか光るので彼はびっくりした。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
「さっきの話であ、おめえ、頭の髪も、髪さ結び付けた赤い
布片
(
きれ
)
も皆鼠に喰われでしまって、ほんで駄目なったのだ——って話だっけ……」
蜜柑
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
その傍で細君は、薄暗い吊洋燈と焚火の明りで、何かしら子供等のボロ
布片
(
きれ
)
のやうな物をひろげて、針の手を動かしてゐた。
奇病患者
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
目を上げて見ると、黄色いやせた面長な顔と、どす赤くくぼんだ目をした、背の高い、頭に
布片
(
きれ
)
をかぶった女の姿が映じた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ところで、最初にあの黙示図を憶い出してもらいたいのだ。知ってのとおりクリヴォフ夫人は、
布片
(
きれ
)
で両眼を覆われている。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
上框
(
あがりかまち
)
の板の間に上ると、
中仕切
(
なかしき
)
りの
障子
(
しょうじ
)
に、赤い
布片
(
きれ
)
を
紐
(
ひも
)
のように細く切り、その先へ重りの鈴をつけた
納簾
(
のれん
)
のようなものが一面にさげてある。
寺じまの記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
信如
(
しんにょ
)
とか何とか云う坊さんの子が、
下駄
(
げた
)
の緒を切らして困っていると、美登利が、紅入友禅か何かの
布片
(
きれ
)
を出してやるのを
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
上衣には、裾から腰のあたりまで幅一フィートばかりの
布片
(
きれ
)
が、長く引き裂かれていたが、裂き取られてはいなかった。
マリー・ロジェエの怪事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
古物展覧の方も古代な
布片
(
きれ
)
とか仏像のような、なんでも時代がついて、曰く因縁のありそうなものを並べ、鳴戸のお弓の涙などと子供だましでなく
佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
また、相手のテーブルの上にこぼれた砂だの煙草の粉を、吹き払ったり掃き落したりもした。相手のインキ壺を拭く新らしい
布片
(
きれ
)
を持って来もした。
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
姉もまた赤い
布片
(
きれ
)
で
衣
(
ころも
)
を縫って、地蔵の肩にまきつけたり、小さな
頭布
(
ずきん
)
をつくったりして、石の頭に冠せたりした。
幼年時代
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
帶
(
おび
)
は
一重
(
ひとへ
)
で
左
(
ひだり
)
の
腰骨
(
こしぼね
)
の
處
(
ところ
)
でだらりと
結
(
むす
)
んであつた。
兩方
(
りやうはう
)
の
端
(
はし
)
が
赤
(
あか
)
い
切
(
きれ
)
で
縁
(
ふち
)
をとつてある。
粗
(
あら
)
い
棒縞
(
ぼうじま
)
の
染拔
(
そめぬき
)
でそれは
馬
(
うま
)
の
飾
(
かざ
)
りの
鉢卷
(
はちまき
)
に
用
(
もち
)
ひる
布片
(
きれ
)
であつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
彼女の手紙、彼女の手帳、すべて彼女のことを思わせるようなものを皆納ってしまった。彼の書籍の中からは草花の模様のある濃い色の
布片
(
きれ
)
が出て来た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
死体の
上衣
(
うわぎ
)
から、幅一
呎
(
フィート
)
ばかりの
布片
(
きれ
)
が裾から腰の辺まで裂いて、腰のまわりにぐるぐると三重に巻きつけて、背部でちょっと結んでとめてあったことを
「マリー・ロオジェ事件」の研究
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
肩から
斜
(
はす
)
に腰へ巻きつけただぶだぶの
布片
(
きれ
)
が素足をのこして三角の裾をつくつてゐた。カーテンのお化けだ。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
額に八千代の唇が触つたやうな気持がして楯彦氏は
吃驚
(
びつくり
)
して目を覚ました。鏡を見ると、白い
布片
(
きれ
)
に
捲
(
くる
)
まつた
毬栗
(
いがぐり
)
な自分の額が三
分
(
ぶんの
)
一ばかり剃り落されてゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ジョーはその包みを開き好いように両膝を突いて、幾つも幾つもの結び目を解いてからに、大きな重そうな巻き物になった何だか黒っぽい
布片
(
きれ
)
を引き摺り出した。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
額は
布片
(
きれ
)
で鉢巻をし、その布片がもう赤くなっている。血が
滲
(
にじ
)
み出して、ひろがっているのである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
寐
(
いね
)
ても
寐
(
ね
)
つかれずや、コホンコホンと
咳
(
しはぶ
)
く声の、骨身に
徹
(
こた
)
へてセツナそうなるにぞ、そのつど少女は、慌てて父が枕
上
(
もと
)
なる洗ひ洒しの
布片
(
きれ
)
を取りて父に与へ、赤きものの交りたる啖を拭はせて
小むすめ
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
玄子
(
げんし
)
と
余
(
よ
)
とは
先
(
ま
)
づ
林
(
はやし
)
に
入
(
い
)
りて、
樹
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
を
折
(
を
)
り
來
(
きた
)
り、それを
柱
(
はしら
)
として
畑中
(
はたなか
)
に
立
(
た
)
て、
日避
(
ひよけ
)
の
布片
(
きれ
)
を
天幕
(
てんと
)
の
如
(
ごと
)
く
張
(
は
)
り、
豆
(
まめ
)
の
莖
(
くき
)
の
束
(
たば
)
にしてあるのを
借
(
か
)
り
來
(
きた
)
つて、
地
(
ち
)
に
置
(
お
)
き、
其上
(
そのうへ
)
に
布呂敷
(
ふろしき
)
シオルなど
敷
(
し
)
いて
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
咳嗽
(
せき
)
噴嚔
(
くしゃみ
)
をする時は
布片
(
きれ
)
又は紙などにて鼻口を覆うこと——とある。
女婿
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
胃吉驚き「オヤオヤ何か来たぜ、妙なものが。ウムお
屠蘇
(
とそ
)
だ。モミの
布片
(
きれ
)
へ包んで
味淋
(
みりん
)
へ浸してあるからモミの
染色
(
そめいろ
)
が
一所
(
いっしょ
)
に流れて来た。腸蔵さん
直
(
すぐ
)
にそっちへ廻して
進
(
あ
)
げるよ」腸蔵「イヤ
真平
(
まっぴら
)
だ」
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
即ち鍋上に
穴
(
あな
)
を
穿
(
うが
)
てる
布片
(
きれ
)
を
覆
(
お
)
ひ、内に
餌
(
え
)
を
入
(
い
)
れて之を沼中に
投
(
とう
)
じたるなり、「どろくき」と
称
(
しやう
)
する魚十余尾を
得
(
え
)
たり、形
鰌
(
どぜう
)
に非ず「くき」にも非ず、一種の
奇魚
(
きぎよ
)
なり、衆争うて之を
炙
(
あぶ
)
り
食
(
しよく
)
すれど
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
面
(
かお
)
に白い
布片
(
きれ
)
が掛けてある。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
爺様に、頭の髪さ赤い
布片
(
きれ
)
でも縛って、少しの間、
廉
(
やす
)
ぐ売って歩いで見ろ——って言われたごとあったが、俺なあ婆様、そうして見だのしゃ。
蜜柑
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
……おかしいな……妙だな……と男ながら惚れ惚れと鏡越しに
見恍
(
みと
)
れているうちに、若い親方は、吾輩の首の
周囲
(
まわり
)
に白い
布片
(
きれ
)
をパッと拡げた。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「恐竜を
恐
(
おそ
)
れていては仕事ができないよ。あんなものは、針金と
布片
(
きれ
)
と紙とペンキでこしらえあげた造り物と思って向えばいいんだ。しっかりしろよ」
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
中へ野見の老人が這入って仕草をするという騒ぎ……一方、古物展覧の方も古代な
布片
(
きれ
)
とか仏像のような何んでも時代が附いて
曰
(
いわ
)
く因縁のありそうなものを並べ
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
切らして困つてゐると、美登利が、紅入友禅か何かの
布片
(
きれ
)
を出してやるのを、信如が妙な意地と遠慮とで使はない。あの光景なんか今でもハツキリと思ひ出せる。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「お
内儀
(
かみ
)
さん
變
(
へん
)
なこと
聞
(
き
)
くやうでがすが
帶
(
おび
)
にする
布片
(
きれ
)
はどの
位
(
くれえ
)
有
(
あ
)
つたらえゝもんでがせうね」と
聞
(
き
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
裾から腰の辺まで裂かれた
布片
(
きれ
)
が、マリーの腰のまわりを三重に巻くということも彼の論理的の矛盾ということが出来るのであって、実際に死体を発見した人たちが
「マリー・ロオジェ事件」の研究
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
或る夏の夕方には、
布片
(
きれ
)
一枚を畑物を掠めた
償
(
つぐな
)
いに
畝
(
うね
)
の上に置いてもどったこともあれば、若干の金をも眼に立つところに置いてただで掠める野のものでない証左としていた。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「もし/\。今見てゐると、お前さんはこの国旗の
布片
(
きれ
)
で濡手を拭きなすつたやうだね。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
赤い
布片
(
きれ
)
か何かで無雑作に髪を束ねた頭を、垢染みた浅黄の手拭に包んで、雪でも降る日には、不格好な
雪沓
(
つまご
)
を穿いて、半分に截つた赤毛布を頭からスツポリ被つて来る者の多い中に
二筋の血
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
近在から通ふ
児童
(
こども
)
なぞは、
絨
(
フランネル
)
の
布片
(
きれ
)
で頭を包んだり、肩掛を冠つたりして、声を揚げ乍ら雪の中を飛んで行く。町の
児童
(
こども
)
は又、思ひ/\に誘ひ合せて、後になり前になり群を成して行つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
私は着物のへりを一部分ひき裂いてその
布片
(
きれ
)
をずっと伸ばして、壁と直角に置いた。牢獄のまわりを手さぐりして回っているうちに、完全に一周すればこの布片に出会うことはまちがいない。
落穴と振子
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
未
(
いま
)
だ
嘗
(
かつ
)
て、彼女はこういう調子でにんじんに話しかけたことはないのである。
面喰
(
めんくら
)
って、彼は顔をあげる。見ると、彼女の指は、
布片
(
きれ
)
と糸で、さっぱりと、大きくがんじょうに包まれている。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「
布片
(
きれ
)
ぢやないの」
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
そのまん中に頭を白い
布片
(
きれ
)
で巻いた、浴衣一貫の福太郎がボンヤリと坐っていたが、スッカリ気抜けしたような恰好で
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
鳥取藩と芸州藩の諸隊が、この青雲寺を取り囲んだのは。錦の
布片
(
きれ
)
を付けた同士が、激しく戦った。ここまで付いて来た農兵隊は、蜘蛛の子を散らすように逃亡した。
乱世
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
大きな硝子箱の中に古代
裂
(
ぎれ
)
の上に据えた七宝と、白絹の
布片
(
きれ
)
の上に置かれた鶏とはちょうど格好な対照であった。自分ながら幹部の人々の趣向の
旨
(
うま
)
いのに感心した位であった。
幕末維新懐古談:60 聖上行幸当日のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
赤い
布片
(
きれ
)
か何かで無雜作に髮を
束
(
たば
)
ねた頭を、
垢染
(
あかじ
)
みた
浅黄
(
あさぎ
)
の手拭に包んで、雪でも降る日には、不恰好な
雪沓
(
つまご
)
を穿いて、半分に
截
(
き
)
つた赤毛布を頭からスッポリ
被
(
かぶ
)
つて來る者の多い中に
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
彼女は彼女の衣服から引き裂かれた
布片
(
きれ
)
で絞殺され、両腕のまわりに紐の跡がはっきり附いていた。両手には薄色のキッドの手袋をはめ、ボンネットは、リボンによって
頸
(
くび
)
にひっかかっていた。
「マリー・ロオジェ事件」の研究
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
ぽつさりとして
玄關
(
げんくわん
)
に
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
るのは
悉皆
(
みんな
)
怪我人
(
けがにん
)
ばかりである。
首
(
くび
)
から
白
(
しろ
)
い
布片
(
きれ
)
を
吊
(
つ
)
つて
此
(
こ
)
れも
白
(
しろ
)
く
繃帶
(
ほうたい
)
した
手
(
て
)
を
持
(
も
)
たせたものもあつた。
其處
(
そこ
)
に
蒼
(
あを
)
い
顏
(
かほ
)
をしてぐつたりと
横
(
よこた
)
はつて
居
(
ゐ
)
るものもあつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「唯の
布片
(
きれ
)
だと思つとるだよ。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
いつぞや肺病で死んだニーナさんが寝かされていたその
寝台
(
ベッド
)
の上に、湯タンポと
襤褸
(
ぼろ
)
っ
布片
(
きれ
)
で包まれながら、
素
(
す
)
っ
裸体
(
ぱだか
)
で放り出されているじゃないの。
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
布
常用漢字
小5
部首:⼱
5画
片
常用漢字
小6
部首:⽚
4画
“布片”で始まる語句
布片地