山路やまぢ)” の例文
我も暗き山路やまぢにありてまたかくのごとくなりき、そはわが思ひめぐらしてかくかろがろしく懷けるわが企圖くはだてを棄てたればなり 四〇—四二
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
すなわちこの様に解釈してこそこの歌、すなわち、「いもすがりにきし山路やまぢどひくらしつ」
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
いや蒼空あをそらしたときには、なんのこともわすれて、くだけろ、微塵みぢんになれとよこなぐりにからだ山路やまぢ打倒うちたふした。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
是非無くも「人をまつ山路やまぢわかれず見えしかば思ひまどふにふみすぎにけり」と返事して使をかえした。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
わたしはさうかんがへると、今度こんどはわたしのいのちですから、太刀たち弓矢ゆみやうばつたなり、すぐにまたもとの山路やまぢました。其處そこにはまだをんなうまが、しづかにくさつてゐます。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あしひきの山路やまぢえむとするきみこころちてやすけくもなし 〔巻十五・三七二三〕 狭野茅上娘子
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
先頃越後國猿島さるしま河原よりあとくらましたる昌次郎夫婦の者はおや憑司とはかりてころせし男女の死體したい己等おのれら着物きものきせそれより信州の山路やまぢにかゝりしのび/\に江戸へ來りて奉公口ほうこうぐち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ナブルスを出はなれて程なく新道より北に折れ、山路やまぢを行くこと二時間、セバスチエーに到る。即ち昔のイスラエル王国の首都サマリヤにて、後ヘロデも此処に壮麗なる府を建てぬ。
俊頼朝臣としよりあそんに「降雪ふるゆきたにおもかげうづもれてこずゑぞ冬の山路やまぢなりける」これらはじつに越後の雪の真景しんけいなれども、此あそん越後にきたり玉ひしにはあらず、ぞくにいふ哥人かじんながら名所めいしよをしるなり。
行親 天下やうやく定まりしとは申せども、平家の殘黨ほろびつくさず。且は函根より西の山路やまぢに、盜賊ども徘徊する由きこえましたれば、路次ろじの用心として斯樣にいかめしう扮裝いでたち申した。
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
愈〻いよ/\平地へいちはなれて山路やまぢにかゝると、これからがはじまりとつた調子てうし張飛巡査ちやうひじゆんさ何處どこからか煙管きせる煙草入たばこいれしたがマツチがない。關羽くわんうもつない。これを義母おつかさんおもむろたもとから取出とりだして
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
墨磨りに山路やまぢ越ゆると女童めわらはや硯も持ちて幼なかるべし
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
秋山あきやま黄葉もみぢしげまどはせるいもを求めむ山路やまぢ知らずも
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
けがたき雪の山路やまぢの雪のまに
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
山路やまぢにさそふ人にてありき
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
死出しで山路やまぢ裾野すそのなる
きり山路やまぢ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
されど彼のむれは新しき食物くひものをいたく貪り、そがためかなたこなたの山路やまぢに分れ散らざるをえざるにいたれり 一二四—一二六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
それから、——どうです、よくふものは、おそろしいではありませんか? それから半時はんときもたたないうちに、あの夫婦ふうふはわたしと一しよに、山路やまぢうまけてゐたのです。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
大方おほかたくあらむと、したることとて、民子たみこあらかじ覺悟かくごしたから、茶店ちやみせ草鞋わらぢ穿いてたので、此處こゝ母衣ほろから姿すがたあらはし、山路やまぢゆき下立おりたつと、爪先つまさきしろうなる。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
俊頼朝臣としよりあそんに「降雪ふるゆきたにおもかげうづもれてこずゑぞ冬の山路やまぢなりける」これらはじつに越後の雪の真景しんけいなれども、此あそん越後にきたり玉ひしにはあらず、ぞくにいふ哥人かじんながら名所めいしよをしるなり。
いもすがりにきし山路やまぢどひくらしつ
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
汝等かくして後こなたに歸ることなかれ、今出づる日は汝等に登り易き山路やまぢを示さむ。 一〇六—一〇八
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
此處こゝもりあへふかしといふにはあらねど、おしまはし、周圍しうゐ樹林きばやしにて取卷とりまきたれば、不動坂ふどうざか團子坂だんござか巣鴨すがもなどに縱横たてよこつうずる蜘蛛手くもでみちは、あたか黄昏たそがれ樹深こぶか山路やまぢ辿たどるがごとし。
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
また一ツ背中せなかたゝいた、親仁おやぢこひげたまゝ見向みむきもしないで、山路やまぢうへかた
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
親仁おやぢ差心得さしこゝろえたものとえる、きツかけに手綱たづないたから、うまはすた/\と健脚けんきやく山路やまぢげた、しやん、しやんしやん、しやんしやん、しやんしやん、——眼界がんかいとほざかる。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
らぬそゞろ歩行あるきも、山路やまぢとほく、遙々はる/″\辿たどるとばかりながる……
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)