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実
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みの
ふりがな文庫
“
実
(
みの
)” の例文
旧字:
實
「ああ。わかった。
私
(
わたし
)
は、あのくわを
造
(
つく
)
るときに、
米
(
こめ
)
や、
豆
(
まめ
)
が、たくさん
実
(
みの
)
ってくれるようにとばかり
思
(
おも
)
っていた。それだからだ。」
おじいさんとくわ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「——左大臣家へ、参られたら、忠平公へ、よろしくお伝え申しあげてくれい。春秋の
実
(
みの
)
り物や、四時のお便りは欠かしていないが」
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
峠を越すと、広い平原になって、そこから城下の方まで、十里四方の水田がひろがって、田には
黄金
(
こがね
)
の稲が一杯に
実
(
みの
)
っていました。
三人の百姓
(新字新仮名)
/
秋田雨雀
(著)
空には秋のような日が照り渡って、地上には麦が
実
(
みの
)
り、大鎌や小鎌を持った農夫たちが、至るところの畑の中で、戦争のように
忙
(
いそ
)
がしく働いている。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
事件はこれからですが、ね、ある日、それは夏でしたね、私の裏庭には、一本の大きな
棗
(
なつめ
)
の木があって、それに棗の実がいっぱいに
実
(
みの
)
っていたのです。
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
新約聖書に、
耶蘇
(
やそ
)
が
実
(
みの
)
らぬ
無花果
(
いちじく
)
を通りかゝりに
咀
(
のろ
)
うたら、夕方帰る時最早枯れて居たと云う記事がある。耶蘇程の心力の強い人には出来そうな事だ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
丁々坊
瞬
(
またた
)
く
間
(
ま
)
というは、
凡
(
およ
)
そこれでござるな。何が、
芝居
(
しばい
)
は、
大山
(
おおやま
)
一つ、
柿
(
かき
)
の
実
(
みの
)
ったような見物でござる。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それらの樹木が
実
(
みの
)
らす果実はたいてい
干乾
(
ひから
)
びていた。生命の液汁はことごとく観念となって凝結していた。クリストフはそれらの観念の間に見分けがつかなかった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
およそ神祇を
祀
(
まつ
)
る者、馬牛肉を食う者、人に財を分たぬ者は必ず死ぬ、わが言を信ぜずば三月に至って日月光なし、またわれは草に青い花を咲かせ、木に穀を
実
(
みの
)
らせ
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
待て! われわれは、まだ、自分の手で作り出さなければならぬもの、また作り出し得るもの、自分の畑で
実
(
みの
)
らすべき種を、悲しい哉、悉く彼等作者に仰いでゐるんだ。
職業(教訓劇)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
それは幾十年という長い年月をこの山里に生いたった者の淡い誇りでもあり、果実と山人との間の天然の親しみの不可分な妙境の尊さででもあった。
果物
(
くだもの
)
は四季に
実
(
みの
)
った。
かき・みかん・かに
(新字新仮名)
/
中島哀浪
(著)
凩
(
こがらし
)
に吹きさらされた松本平とも違い、冬というものを知らぬげな伊豆の海岸の、右には
柑橘
(
かんきつ
)
が
実
(
みの
)
り、眼のさめるほど
碧
(
あお
)
い海を左にしての湯治帰りだから、世界もパッと明るい。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あれと
追駈
(
おっかけ
)
ッこをして見たり、樹に逐い登らして、それを竿でつゝいたり、弱った
秋蝉
(
ひぐらし
)
を捕ってやったり、ほうせん花の
実
(
みの
)
って
弾
(
はじ
)
けるのを自分でも面白くって、むしって見たり
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
富は祈祷のみに依て来らず、働くは祈るなり(Laborare est orare)、身と心とを神に
任
(
まか
)
せ
精々
(
せいせい
)
以て働きて見よ、神も宇宙も汝を助け汝の労力は
実
(
みの
)
るぞかし。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
いくら骨を折つても、穀物が
実
(
みの
)
つたことはない。垣は誰も破らぬに独りでに破れて仕舞ふ。牛は逃げて仕舞つたり、菜の中へ這入つたりします。無益な艸は外よりも早く延びます。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
古河より先きに住んで租税の負担をして居る人民が今日其土地に居ることが出来ない、祖先来の田畑を耕すことがならず、祖先来の田畑が
実
(
みの
)
らなくなつたと云ふ事実と比較が出来るものでない。
政治の破産者・田中正造
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
あの連中だとて、俺のような苦しみを
嘗
(
な
)
めなかったとは、どうして言われよう? 彼らはよくその試練に堪えて、自分が籾であることを立証したばかりだ。俺は生れながらに
実
(
みの
)
らない糠であった。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
新蔵といい、菊之助といい、いずれも
秀
(
ひい
)
でて
実
(
みの
)
らざるもの、殊に哀惜の感が深い。菊之助は我が子に父の職業を継がせるなと言った。新蔵の弟子たちは廃業した。これらの消息は何を語っているか。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すもゝ
実
(
みの
)
るみなみ
独逸
(
ドイツ
)
のたかき
国
(
くに
)
の中にありといふミユンヘンの町
歌の潤い
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
乾燥が出来ないために、折角
実
(
みの
)
ったものまで腐る始末だった。小作はわやわやと事務所に集って小作料割引の歎願をしたが無益だった。彼らは
案
(
あん
)
の
定
(
じょう
)
燕麦
売揚
(
うりあげ
)
代金の中から厳密に小作料を控除された。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
刈りし
後
(
のち
)
穂には出でても
実
(
みの
)
らねば人の手ふれぬひつぢ穂やわれ
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
罷
(
や
)
めて福州の第中に居る。茘枝あり初めて
実
(
みの
)
る。絶大にして美、名づけて亮功紅と曰ふ。亮功は深家御書閣の名なり。靖康中、深、建昌軍に謫せられ、既に行く。茘枝復た実らず。明年深帰りしに、茘枝復た
故
(
もと
)
の如し。云々
放翁鑑賞:07 その七 ――放翁詩話三十章――
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
五穀
(
ごこく
)
の
実
(
みの
)
らぬ里やある
県歌 信濃の国
(新字新仮名)
/
浅井洌
(著)
その
年
(
とし
)
は、りんごに
虫
(
むし
)
がつかずよく
実
(
みの
)
って、
予想
(
よそう
)
したよりも、
多
(
おお
)
くの
収穫
(
しゅうかく
)
があったのであります。
村
(
むら
)
の
人々
(
ひとびと
)
は、たがいに
語
(
かた
)
らいました。
牛女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
二匹の牛、十匹の羊、五匹の豚が、あらゆる物に調理され、酒は
山東
(
さんとう
)
の
生粋
(
きっすい
)
、
秋果
(
しゅうか
)
はこの山の
実
(
みの
)
りだし、隠れたる芸能の粋士もまた
寨中
(
さいちゅう
)
に少なくない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昔仏その従弟調達が
阿闍世
(
あじゃせ
)
王より日々五百釜の供養を受け、全盛するを見、諸比丘を戒めた
偈
(
げ
)
に、芭蕉は
実
(
みの
)
って死し、竹も蘆も実って死し、騾は孕んで死し、士は貧を以て自ら喪うと言った。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
いずれも流れの末永く人を
湿
(
うる
)
おし田を
実
(
みの
)
らすと申し伝えられてあります。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それが、
日数
(
ひかず
)
がたつにつれて、それらの
野菜
(
やさい
)
は、
太
(
ふと
)
い
根
(
ね
)
を
持
(
も
)
ったり、また、まるまると
肥
(
こ
)
えたり、
大粒
(
おおつぶ
)
に
実
(
みの
)
ったりしましたからね。
公園の花と毒蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
黄河の水ひとたび溢るれば、何万人の人命は消えますが、
蒼落
(
そうらく
)
としてまた
穂
(
ほ
)
は
実
(
みの
)
り人は増してゆく。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ご
安心
(
あんしん
)
遊
(
あそ
)
ばしてください、
下界
(
げかい
)
は
穀物
(
こくもつ
)
がすきまもなく、
野
(
の
)
に、
山
(
やま
)
に、
圃
(
はた
)
にしげっています。また
樹々
(
きぎ
)
には
果物
(
くだもの
)
が
重
(
かさ
)
なり
合
(
あ
)
って
実
(
みの
)
っています。
消えた美しい不思議なにじ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「なかなかよく
実
(
みの
)
っておりますな。
畝
(
うね
)
の
肥
(
こえ
)
も、母上がお手ずからおやりになりましたか」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
春
(
はる
)
になると、
村
(
むら
)
のあちら、こちらに、
雪
(
ゆき
)
のような、
白
(
しろ
)
いなしの
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
きました。そして、いずれも、
夏
(
なつ
)
のころにはみごとに
実
(
みの
)
ったのであります。
金が出ずに、なしの産まれた話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ことにことしの秋はよく
実
(
みの
)
り、国中豊楽を唱えておりますれば、この際、各地の地頭官吏をはじめ、
田吏
(
でんり
)
にいたるまでを、
襄陽
(
じょうよう
)
にあつめて、慰労の
猟
(
かり
)
を催し大宴を張り、もってご威勢を人民に示し
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秋
(
あき
)
になっておはぐろ
色
(
いろ
)
に
実
(
みの
)
るのを
楽
(
たの
)
しみにしていたのに、このごろたくさんありが
上
(
あ
)
がったり、
下
(
さ
)
がったりして、とうとう
枯
(
か
)
れ
枝
(
えだ
)
をつくってしまった。
戦友
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「——広いなあ。この広い平地に、これだけ稲の種が
実
(
みの
)
ったら!」
鬼
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのほか、いちごの
畑
(
はたけ
)
があり、
夏
(
なつ
)
にかけて、
丘
(
おか
)
のスロープには、
大粒
(
おおつぶ
)
なぶどうのふさが、みごとに
実
(
みの
)
るのでした。
子供はばかでなかった
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「お上人さまの功徳でも、この秋は、ふッさりと穂が
実
(
みの
)
ろうぞや」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どうか、
米
(
こめ
)
や
豆
(
まめ
)
が、よく
実
(
みの
)
ってくれるように。」と、
鉄
(
てつ
)
を
打
(
う
)
って、百
姓
(
しょう
)
のつかうくわなどを
造
(
つく
)
っていました。
おじいさんとくわ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
だれも、ここへはやってこないから
安心
(
あんしん
)
なさい。そして、まあここから、ちょっと
外
(
そと
)
をのぞいてごらんなさい。あんなにきびが
実
(
みの
)
っているじゃありませんか。
汽車の中のくまと鶏
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あちらの
田
(
た
)
には、あんなに
米
(
こめ
)
が
実
(
みの
)
っているじゃありませんか。おまえさんがどこへ
降
(
お
)
りようとかってなんだ。
汽車の中のくまと鶏
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
また、
来年
(
らいねん
)
、
稲
(
いね
)
の
実
(
みの
)
るころになると、
太吉
(
たきち
)
じいさんは、
新
(
あたら
)
しいかがしを
造
(
つく
)
りました。
去年
(
きょねん
)
の
子鳥
(
ことり
)
たちはもう
親鳥
(
おやどり
)
となって、
同
(
おな
)
じように、その
子供
(
こども
)
たちに
向
(
む
)
かって
からすとかがし
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
明
(
あ
)
くる
年
(
とし
)
の
春
(
はる
)
、またりんごの
花
(
はな
)
は
真
(
ま
)
っ
白
(
しろ
)
に
雪
(
ゆき
)
のごとく
咲
(
さ
)
きました。そして、
夏
(
なつ
)
には、
青々
(
あおあお
)
と
実
(
みの
)
りました。
牛女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
おまえは、その
町
(
まち
)
に
住
(
す
)
むことになる。
山
(
やま
)
には、
黄色
(
きいろ
)
に、
果物
(
くだもの
)
が
実
(
みの
)
っているし、
流
(
なが
)
れのふちにも、
野原
(
のはら
)
にも、
赤
(
あか
)
い
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
いている。おまえはこんないいところはないと
思
(
おも
)
う。
幸福の鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そして、ここに
別荘
(
べっそう
)
を
建
(
た
)
てます。
美
(
うつく
)
しい
花
(
はな
)
は
咲
(
さ
)
いているし、
果物
(
くだもの
)
は、
実
(
みの
)
っているし、
温泉
(
おんせん
)
がわいている。こんないいところはありません。どんな
美
(
うつく
)
しい
人
(
ひと
)
もくるでしょう。
花咲く島の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
五
年
(
ねん
)
、十
年
(
ねん
)
の
後
(
のち
)
には、りっぱな
楽園
(
らくえん
)
となるでしょう。
果物
(
くだもの
)
は、いまでも、みんなの
食
(
た
)
べきれぬほど
実
(
みの
)
っています。
海
(
うみ
)
からは
魚
(
さかな
)
が
捕
(
と
)
れますし、また、
山
(
やま
)
にゆけば
温泉
(
おんせん
)
がわいています。
花咲く島の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
村
(
むら
)
は、
小高
(
こだか
)
いところにありました。
春
(
はる
)
から、
夏
(
なつ
)
にかけて、
養蚕
(
ようさん
)
に
忙
(
いそが
)
しく、
秋
(
あき
)
に、また、
果物
(
くだもの
)
が
美
(
うつく
)
しく
圃
(
たんぼ
)
に
実
(
みの
)
りました。
大
(
おお
)
きな
池
(
いけ
)
があって、
池
(
いけ
)
のまわりは、しらかばの
林
(
はやし
)
でありました。
愛は不思議なもの
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そして、りんごには、おかげで
悪
(
わる
)
い
虫
(
むし
)
がつかずによく
実
(
みの
)
りました。
牛女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
実
常用漢字
小3
部首:⼧
8画
“実”を含む語句
真実
事実
忠実
実家
現実
実母
口実
実父
実体
実在
果実
実際
実験
実行
実相
誠実
実生
実現
情実
実験室
...