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土塊
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つちくれ
ふりがな文庫
“
土塊
(
つちくれ
)” の例文
此の空地を斜に横ぎツて、四十人に餘る生徒が、
雁
(
がん
)
が列を亂したやうになツて、
各自
(
てんでん
)
に
土塊
(
つちくれ
)
を蹴上げながら蹴散らしながら飛んで行く。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
試みにその中のただ一つを掘り出してこの世の空気にさらすと、たちまちに色も光も消え
褪
(
あ
)
せた一片の
土塊
(
つちくれ
)
に変わってしまった。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
が、あんな獣のやうな卑しい男を、懲すために、お前の一身を犠牲にしては、黄金を
土塊
(
つちくれ
)
と交換するほど、馬鹿々々しいことぢやないか。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
長い触覚と焦茶色の後肢とをもつた小さな精霊が、そこらの
土塊
(
つちくれ
)
や草葉のなかを押分けて、それを捜し廻つてゐるらしいうちに、またしても
独楽園
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
陽があがれば野原に出て男達は木の根を掘っくりかえし、女達は
土塊
(
つちくれ
)
を
打
(
ぶ
)
っ
砕
(
くだ
)
き、
陽
(
ひ
)
が沈めば小屋に帰って
眠
(
ね
)
るのだった。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
▼ もっと見る
ロミオ
心臟
(
しんざう
)
が
此處
(
こゝ
)
に
殘
(
のこ
)
ってゐるのに、
何
(
なん
)
で
歸
(
かへ
)
ることが
出來
(
でき
)
ようぞい?
鈍
(
どん
)
な
土塊
(
つちくれ
)
め、
引返
(
ひッかへ
)
して、おのが
中心
(
たましひ
)
を
搜
(
さが
)
しをれ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
かけたり、わざと
土塊
(
つちくれ
)
をほうり込んだりするんですッて。そうして誰もいないと、庭から回ってはいって来るんだそうです
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
折り詰めを開き見るに、
土塊
(
つちくれ
)
と
馬糞
(
ばふん
)
あるのみ。ここにおいて、老僕輩は全くこれを老狐の所為となし、自らこれにだまされたるを深く残念に思いたり
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
逃亡はするが、紳士の逃亡で、人だか
土塊
(
つちくれ
)
だか分らない
坑掘
(
あなほり
)
になり
下
(
さが
)
る目的の逃亡とは、何不足なく
生育
(
そだ
)
った自分の頭には影さえ射さなかったろう。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
遂
(
つひ
)
には
其處
(
そこ
)
に
恐怖
(
おそれ
)
が
加
(
くは
)
はれば
棒
(
ぼう
)
で
叩
(
たゝ
)
いたり
土塊
(
つちくれ
)
を
擲
(
はふ
)
つたり、
又
(
また
)
は
自分等
(
じぶんら
)
の
衣物
(
きもの
)
をとつてぱさり/\と
叩
(
たゝ
)
いたりして
其
(
その
)
火
(
ひ
)
を
消
(
け
)
すことに
力
(
つと
)
めるのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
小形の
龕燈
(
がんどう
)
が一つ、掘り返した
土塊
(
つちくれ
)
のうえに置いてあり、その灯がこの見るに忍びない光景を照らしだしていた。
墓
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
と、その時、頭上から、
土塊
(
つちくれ
)
と一緒に、何物か崖を
辷
(
すべ
)
って落ちて来、岩に当たり、
幽
(
かす
)
かな音を立て、水へ落ちた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
勢いこんだチョビ安の足に、土がくずれて、ド、ドウとこもった音とともに、
土塊
(
つちくれ
)
が穴のなかへ落ちこんでいく。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その定まった形のない
土塊
(
つちくれ
)
が身振りをしたり罪を犯したりすること、死んだ無形のものが生命の働きをうばうということ、これはいかにも恐ろしいことであった。
ジーキル博士とハイド氏の怪事件
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
此の木は岩の裂目から生え出してゐたので、ライフはこの裂目をよぢ登り始めた。小さな石が彼の足の下に崩れた。砂利や
土塊
(
つちくれ
)
が轉がり落ちた。その音より外には深い靜寂。
鷲の巣
(旧字旧仮名)
/
ビョルンステェルネ・ビョルンソン
(著)
うぬ
惚
(
ぼ
)
れの強いかの女はまた、
莫迦
(
ばか
)
莫迦しくひがみ
易
(
やす
)
くもある。だが結局
人夫
(
にんぷ
)
は人夫の
稼業
(
かぎょう
)
から預けられた
土塊
(
つちくれ
)
や石柱を
抱
(
かか
)
え、それが
彼等
(
かれら
)
の眼の中に
一
(
いっ
)
ぱいつまっているのだ。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
暗い
足許
(
あしもと
)
には泥土質の
土塊
(
つちくれ
)
や
水溜
(
みずたま
)
りがあって、歩き
難
(
にく
)
かったが、奥へ奥へと進んで行くと、向側の入口らしい仄明りが見えて来た。人々はその辺で一かたまりになって
蹲
(
うずくま
)
った。
死のなかの風景
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
ぼんやり見てゐた私はその時、その
中洲
(
なかす
)
の上にふと一つの生き物を発見した。はじめは
土塊
(
つちくれ
)
だとさへ思はなかつたのだが、のろのろとそれが動きだしたので、気がついたのである。
赤蛙
(新字旧仮名)
/
島木健作
(著)
蕭条たる風雨の中で、かなしく黙しながら、孤独に、永遠の
土塊
(
つちくれ
)
が存在してゐる。
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
また、よくもさっきは、この竹童を
盲
(
めくら
)
とあなどって、
土塊
(
つちくれ
)
をぶつけたり、お
師匠
(
ししょう
)
さまの
悪口
(
わるくち
)
をたたいたり、そして、
鞍馬
(
くらま
)
の竹童のことを、天下のお
乞食
(
こじき
)
さまとののしり恥ずかしめたな。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
濡
(
ぬ
)
れた糸が、こまの紐を
捲
(
ま
)
くように、だんだんからだへ捲きついて行くような気持だ。が、からだを支えていた
土塊
(
つちくれ
)
が崩れる。すると、にんじんは滑り落ちる。姿を消す。水の底を這う。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
しかし、婆さんは
倅
(
せがれ
)
の打消しを聞かぬふりをして、爪先で
土塊
(
つちくれ
)
を弾きながら
麦畑
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
凡
(
およ
)
そ感情の暖かい潮流が
其方
(
そち
)
の心に
漲
(
みなぎ
)
って、
其方
(
そち
)
が大世界の不思議をふと我物と悟った時、
其方
(
そち
)
の
土塊
(
つちくれ
)
から出来ている体が
顫
(
ふる
)
えた時には、わしの秘密の威力が
其方
(
そち
)
の心の底に触れたのじゃ。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
与謝野君ですか……与謝野君の玉と珍重する材料を僕はつまらぬ
土塊
(
つちくれ
)
をひねくって居るように見えてならないです、要するに新詩社一派は根本の一個所に誤解があるように僕には見えるです
子規と和歌
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
まあ、一つの県全体に一時に雨が降つたとしたところで、其の県と地球全体とを比較すれば広い畑と其の中の一塊の
土塊
(
つちくれ
)
のやうなものだ。雲は風に追はれて、彼方此方、大空の中を駈け廻る。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
一昨日
(
おととい
)
は畑を歩いて、苦しい
蛙
(
かわず
)
の鳴き声を聞いた。ドウしても
蛇
(
へび
)
にかゝった蛙の鳴き声と思って見まわすと、
果然
(
はたして
)
二尺ばかりの山かゞしが小さな蛙の足を
啣
(
くわ
)
えて居る。余は
土塊
(
つちくれ
)
を投げつけた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
三歳の時、
囲炉
(
ゐろり
)
に落ちしとかにて、右の半面焼け
爛
(
たゞ
)
れ、
偏
(
ひと
)
へに
土塊
(
つちくれ
)
の如く、眉千切れ絶え、
眥
(
まなじり
)
白く出で、唇、狼の如く釣り歪みて、鬼とや見えむ。獣とか見む。われと鏡を見て打ち
戦
(
をのゝ
)
くばかりなり。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
喜太郎は、そう言って、地べたに飛び下りたが、すぐその手で
土塊
(
つちくれ
)
をつかむと、それを部屋の中になげこんだ。土塊は天井にあたってばらはらに砕けた、そしてむざんにも握飯の表面をまだらにした。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
この
土塊
(
つちくれ
)
のお蔭でこれが
漸
(
ようや
)
く明るくなったような気がする。
土塊石片録
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
槌で打たなければ、切り崩せない堅さの
土塊
(
つちくれ
)
であつた。
心象風景
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
土塊
(
つちくれ
)
と一しょに
金
(
きん
)
の這入った壺を掘り出す。5010
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
一片
(
ひとかけ
)
の
土塊
(
つちくれ
)
もケイコバードやジャムだよ。
ルバイヤート
(新字新仮名)
/
オマル・ハイヤーム
(著)
そして片手に
土塊
(
つちくれ
)
を掴んで投げつけた。
少年の死
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
土塊
(
つちくれ
)
のように
投
(
ほう
)
り出された章魚人夫
サガレンの浮浪者
(新字新仮名)
/
広海大治
(著)
ゝゝゝ
土塊
(
つちくれ
)
運ぶゝゝゝゝ 行々子
俳句の作りよう
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
中
実生
(
みしょう
)
二葉
(
ふたば
)
は
土塊
(
つちくれ
)
を
抽
(
ぬ
)
く
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
が、あんな
獣
(
けだもの
)
のような
卑
(
いや
)
しい男を、
懲
(
こら
)
すために、お前の一身を犠牲にしては、黄金を
土塊
(
つちくれ
)
と交換するほど、
馬鹿
(
ばか
)
々々しいことじゃないか。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
土塊
(
つちくれ
)
のバタバタと棺に当たる音がする。時の間に墓は築かれて小僧の
僧衣
(
ころも
)
姿が黒くその前に立ったと思うと、例の調子はずれの
読経
(
どきょう
)
が始まった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
ぼろぼろに乾いたそこらの土は、
土塊
(
つちくれ
)
は、その香気のために絶えず
焚
(
た
)
き籠められ、いぶし
浄
(
きよ
)
められている。
水仙の幻想
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
勘次の指す背戸口に地底から洩れる青白い光りが、
土塊
(
つちくれ
)
を隈取ってぼうっと霞んで、心なしか地面が少し盛り上っている。藤吉はつかつかと進んでその上に立った。
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
裂
(
さ
)
けよ!
此
(
この
)
胸
(
むね
)
よ!
破産
(
はさん
)
した
不幸
(
みじめ
)
な
心
(
こゝろ
)
よ、
一思
(
ひとおも
)
ひに
裂
(
さ
)
けてしまうてくれい!
目
(
め
)
も
此上
(
このうへ
)
は
牢
(
らう
)
へ
入
(
はひ
)
れ、もう
自由
(
じいう
)
を
見
(
み
)
るな!
穢
(
けがらは
)
しい
塵芥
(
ちりあくた
)
め、
元
(
もと
)
の
土塊
(
つちくれ
)
へ
歸
(
かへ
)
りをれ、
活
(
い
)
きて
働
(
はたら
)
くには
及
(
およ
)
ばぬわい
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
坑夫と云えば名前の示すごとく、
坑
(
あな
)
の中で、日の目を見ない
家業
(
かぎょう
)
である。
娑婆
(
しゃば
)
にいながら、娑婆から下へ
潜
(
もぐ
)
り込んで、暗い所で、
鉱塊
(
あらがね
)
土塊
(
つちくれ
)
を相手に、浮世の声を聞かないで済む。定めて陰気だろう。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
手にさわった
土塊
(
つちくれ
)
をつかんで、竹童のかげへ、バラッと投げつけた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ぐっしゃり一まとめに
土塊
(
つちくれ
)
のように置いてあった。
奈々子
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
土塊
(
つちくれ
)
を一つ動かし物芽出づ
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
金の力などは、本当の正義の前には
土塊
(
つちくれ
)
にも等しいことを、あの男に思ひ知らせてやりたいと思ひます。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
土塊
(
つちくれ
)
や、石ころや、また家々の屋根の瓦などは、この大きな酔つ払ひの顔から、眼から、狂気じみた焦だたしさを感じ、それぞれ自分達の身うちに熱病やみのやうな胸苦しい動悸を覚えながらも
独楽園
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
パリス (廟の前へ進みて)なつかしい
花
(
はな
)
の
我妹子
(
わぎもこ
)
、
花
(
はな
)
を
此
(
この
)
新床
(
にひどこ
)
の
上
(
うへ
)
に
撒
(
ま
)
いて……あゝ、
天蓋
(
てんがい
)
は
石
(
いし
)
や
土塊
(
つちくれ
)
……
其
(
その
)
撒
(
ま
)
いた
草花
(
くさはな
)
に
夜毎
(
よごと
)
に
香
(
かほ
)
る
水
(
みづ
)
を
注
(
そゝ
)
がう。
若
(
も
)
しそれが
盡
(
つ
)
きたなら、
歎
(
なげ
)
きに
搾
(
しぼ
)
る
予
(
わし
)
が
涙
(
なみだ
)
を。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
金の力などは、本当の正義の前には
土塊
(
つちくれ
)
にも等しいことを、あの男に思い知らせてやりたいと思います。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
不意に突然に意外に、敵は今彼女の眼前に、何の力もなく何の意地もなく
土塊
(
つちくれ
)
の
如
(
ごと
)
くに横わっている。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
“土塊”の意味
《名詞》
土の団塊。
(出典:Wiktionary)
土
常用漢字
小1
部首:⼟
3画
塊
常用漢字
中学
部首:⼟
13画
“土”で始まる語句
土産
土
土地
土塀
土間
土器
土手
土瓶
土堤
土耳古