四日よつか)” の例文
四日よつか目は朝より甲板かふばんさふらひき。伊太利亜イタリアの山の色の美しきを見つつ、かの国を君と見歩くゆかりの無くやはありける。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
うそおもふなら、退屈たいくつせずに四日よつか五日いつかわし小屋こや対向さしむかひにすはつてござれ、ごし/\こつ/\と打敲ぶつたゝいて、同一おなじふねを、ぬしまへこさへてせるだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
荒浪あらなみたか印度洋インドやう進航すゝみいつてからも、一日いちにち二日ふつか三日みつか四日よつか、とれ、けて、五日目いつかめまでは何事なにごともなく※去すぎさつたが、その六日目むいかめよるとはなつた。
三四郎は其日から四日よつかとこを離れなかつた。五日いつか目に怖々こわ/″\ながら湯にはいつて、鏡を見た。亡者の相がある。思ひ切つて床屋とこやつた。そのあくは日曜である。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
道子みちこはハンドバツグからピースのはこ取出とりだしながら、見渡みわたすかぎりあたりはぼんの十四日よつかよる人出ひとでがいよ/\はげしくなつてくのをながめた。(昭和廿八年十二月作)
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
韋駄天ゐだてんちからでもりませいでは。‥‥どんなお早駕籠はやでも四日よつかはかゝりませうで。‥‥』と、玄竹げんちくはもうおもてをあげることが出來できなかつた。但馬守たじまのかみきつかたちたゞして
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
史学研究の大望を起して、上京を思立つた自分は、父母の家を辞した日の夕方、この伯母が家に着いて、れゆく秋の三日みつか四日よつか、あかぬ別れを第二の故郷とともに惜み惜まれたのであつた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
5 水仙月すゐせんづき四日よつか
紅海に出でて四日よつか目の夜は睡眠の欲と外囲ぐわいゐの苦しさとに枕持ちて甲板かふばんの籐椅子をとことしにで申しさふらふ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
すでに、大地震おほぢしん當夜たうやから、野宿のじゆくゆめのまださめぬ、四日よつか早朝さうてう眞黒まつくろかほをして見舞みまひた。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それならまだしもだが、やゝともすると三日みつか四日よつかまる錢湯せんたう敷居しきゐまたがずにすごして仕舞しまふ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
非常ひじやう困難こんなんあひだに、三日みつか※去すぎさつたが、大佐たいさからはなん音沙汰おとさたかつた、また、左樣さう容易たやすくあるべきはづもなく、四日よつかぎ、五日いつかぎ、六日むいかぎ、その七日目なぬかめまでこのおそろしき山中さんちゆう
巴里パリイへ着いてから四日よつか目の朝だ。オテル・スフロウの二階で近いスルボン大学の鐘を聞きながら病院に居る様な気持で白い寝台ねだいの上から窓を眺めた。陰鬱な冬曇りが続く。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
……あかいとで、あししるしをつけた幾疋いくひきかを、とほ淀橋よどばしはうみづはなしたが、三日みつか四日よつかごろから、をつけて、もとのいけおもうかゞふと、あしいとむすんだのがちら/\る。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
翌日よくじつは平岡の返事を心待こゝろまちらした。其あくる日もあてにして終日しうじつうちにゐた。三日みつか四日よつかつた。が、ひら岡からは何の便たよりもなかつた。其中そのうち例月れいげつの通り、青山あをやまかねもらひに行くべきた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
蒸暑むしあついのがつゞくと、蟋蟀こほろぎこゑ待遠まちどほい。……此邊このあたりでは、毎年まいねん春秋社しゆんじうしや眞向まむかうの石垣いしがき一番いちばんはやい。震災前しんさいぜんまでは、たいがい土用どよう三日みつか四日よつかめのよひからきはじめたのが、年々ねん/\、やゝおくれる。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
同人どうにん嘆息たんそくした。——いまでも金魚麩きんぎよぶはう辟易へきえきする……が、地震ぢしん四日よつか五日いつかめぐらゐまでは、金魚麩きんぎよぶさへ乾物屋かんぶつや賣切うりきれた。また「いづみ干瓢鍋かんぺうなべか。車麩くるまぶか。」とつてともだちは嘲笑てうせうする。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大雪おほゆきなど、まちみちえますと、三日みつか四日よつかわたし一人ひとり——」
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)