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喧
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やかま
ふりがな文庫
“
喧
(
やかま
)” の例文
作法などをとやかく
喧
(
やかま
)
しくいうが、その作法なるものも古美術を尊重し、審美生活を愛する心から生まれているということが出来る。
現代能書批評
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
三野村のような男にいつまでも係り合っていては後の身のためにならぬと
喧
(
やかま
)
しくいうのと、お園自身でだんだんそれとわかって来て
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
起してはいけないと思って、伊織はそのまま黙って、また往来を
視
(
み
)
ていた。——しかし、隣の部屋の
喧
(
やかま
)
しさは前と少しも変りはない。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
緑のスロープも、高地になるに随って明るく、陰影が
一刷毛
(
ひとはけ
)
に撫で下ろされた。
蘆
(
あし
)
の
叢
(
くさむら
)
の多い下の沢では、
葦切
(
よしき
)
りが
喧
(
やかま
)
しく
啼
(
な
)
いていた。
土竜
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
ガスストーブなんか使用していないこの下宿では、おかみさんが女中に
喧
(
やかま
)
しくいって、毎夜寝る時に必ずこのコックを締めさせている。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
▼ もっと見る
喧
(
やかま
)
しい
国侍
(
くにざむらい
)
ども、
殺風景
(
さっぷうけい
)
な歌ばかり歌いおるわ……そもそも、島原の
投節
(
なげぶし
)
、新町のまがき節、江戸の
継節
(
つぎぶし
)
、これを三都の三名物という。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そんなに毎晩
夜
(
よ
)
を
更
(
ふ
)
かして
碌
(
ろく
)
に
寝
(
ね
)
もしないじゃないか。何の事だ。
風邪
(
かぜ
)
でも引くと
宜
(
よ
)
くない。勉強にも程のあったものだと
喧
(
やかま
)
しく云う。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
瞬間、今迄
喧
(
やかま
)
しかった監房という監房が抑えられたようにシーンとなった。俺は途中まで
箸
(
はし
)
を持ちあげたまゝ、息をのんでいた。
独房
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「どうも汽車の音が
喧
(
やかま
)
しくて仕様が有りません。授業中にあいつをやられようものなら、
硝子
(
ガラス
)
へ響いて、稽古も出来ない位です」
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「有難う御座いました、いろ/\解りました。稻荷樣の
罰
(
ばち
)
といふこともありますから、そのうちには下手人も判りませう。お
喧
(
やかま
)
しう——」
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
矢来の酒井の森には
烏
(
からす
)
の声が
喧
(
やかま
)
しく聞える。どの家でも夕飯が済んで、門口に若い娘の白い顔も見える。ボールを投げている少年もある。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
彼は、ただもう
昏々
(
こんこん
)
と眠った。空襲警報が鳴っても、ボーイが、よほど
喧
(
やかま
)
しくいわないと、彼は、防空地下室へ下りようとはしなかった。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そんな訳もない事を云って
疵
(
きず
)
を附けては、
向
(
むこう
)
の親父さんの耳にでも入ると悪いやね、あの娘のお
母
(
っか
)
さんは継母で
喧
(
やかま
)
しいから
可愛
(
かわい
)
そうだわね
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
喧
(
やかま
)
しい店のことであるから、料理場にものを通したり、表を通る客に声をかけるに大きな声を張りあげるので、彼女たちの
咽喉
(
のど
)
はつぶれて
日本三文オペラ
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
三人は、
喧
(
やかま
)
しく
行々子
(
よしきり
)
の鳴いている
蘆間
(
あしま
)
をくぐって、砂洲に出た。そして、しばらく蜆を拾ったり、穴を掘ったりして遊んだ。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
女流声楽家三浦
環
(
たまき
)
と今は故人の千葉
秀浦
(
しうほ
)
との関係は
一頻
(
ひとしき
)
り
喧
(
やかま
)
しい
取沙汰
(
とりさた
)
になつたので、世間には今だにそれを覚えてゐる人も
鮮
(
すくな
)
くあるまい。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
境内一面の
楠
(
くすのき
)
の下枝と向い合って、雀の声の
喧
(
やかま
)
しい
藁葺
(
わらぶき
)
屋根が軒を並べている。御維新以前からのまんまらしい、陰気なジメジメした横町だ。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
喧
(
やかま
)
しいやい。と白き
頸
(
うなじ
)
を
鷲掴
(
わしづか
)
み、「この阿魔、生意気に人
好
(
ごのみ
)
をしやあがる。
汝
(
うぬ
)
どうしても
肯
(
き
)
かれないか。と
睨附
(
ねめつ
)
くれば、お藤は声を震わして、 ...
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのなかに更にもう一つのを投げおとした。阿賀妻は混みあい奪いあう
喧
(
やかま
)
しい人々の姿がぽーッと消えるような気がした。眼がかすんだのだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
で、その城の下が通路になって居りますけれども私は特別に城の中に入って行きました。別段
喧
(
やかま
)
しく言う者もなかったです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
樹木の多い郊外の庭にも、
鶯
(
うぐいす
)
はもう
稀
(
まれ
)
に来て鳴くのみである。
雀
(
すずめ
)
の軒近く
囀
(
さえず
)
るのを
喧
(
やかま
)
しく思うような日も一日一日と少くなって行くではないか。
虫の声
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そこで坊さん・社会教育家・職業的慨世家——これはどこにでもある——がしじゅう何だかんだと
喧
(
やかま
)
しく言うんだけれど
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
眼を
瞑
(
ふさ
)
ぎいし十兵衛は、その時例の
濁声
(
だみごえ
)
出し、
喧
(
やかま
)
しいわお浪、黙っていよ、
我
(
おれ
)
の話しの邪魔になる、親方様聞いて下され。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
鼎
(
かなへ
)
の湯のやうに沸き立つ
喧
(
やかま
)
しい近郷近在の評判や取々の沙汰に父は面目ながつて暫らくは一室に幽閉してゐたらしいが其間も屡便りを送つて來た。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
轡蟲
(
くつわむし
)
は
闇
(
くら
)
いなかへ
放
(
はな
)
たれゝば、
直
(
たゞち
)
に
聲
(
こゑ
)
を
揃
(
そろ
)
へて
鳴
(
な
)
く。
土地
(
とち
)
で
其
(
そ
)
れが一
般
(
ぱん
)
にがしや/\といふ
名稱
(
めいしよう
)
を
與
(
あた
)
へられて
居
(
ゐ
)
るだけ
喧
(
やかま
)
しく
只
(
たゞ
)
がしや/\と
鳴
(
な
)
く。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
小春日和の
麗
(
うらら
)
かさに
陽炎
(
かげろう
)
が燃えていた。海岸通りには荷役の
権三
(
ごんぞう
)
たちが群を
作
(
な
)
して
喧
(
やかま
)
しく呶鳴り合って居た。外国の水夫が三々五々歩き廻っていた。
上海された男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
近くにいた支那人の
一団
(
ひとかたまり
)
が、
喧
(
やかま
)
しくがやがや言って席を代えさせまいとしたが、祖母はグングン
傍
(
そば
)
を通っていった。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ここに於て私は新陳代謝の必要を常に
喧
(
やかま
)
しく唱えるのである。要するに政界の堕落はもはやその極点に達している。
選挙人に与う
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
口小言のみ
喧
(
やかま
)
しいのへ、信吾は信吾で朝晩の惣菜まで、故障を言ふ
性
(
たち
)
だから、人手の多い家庭ではあるが、靜子は矢張一日何かしら用に追はれてゐる。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
羽根を乱した儘で、鷲は
喧
(
やかま
)
しい群衆が近づいて来るのを、すこしも恐れぬらしく、その枝で休息するべく落着いた。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
ところが二高に来て見ると、これはまた京都以上に細々した事が
喧
(
やかま
)
しかった。第一靴を脱いで上草履に穿き替えなければ板間に上ることが出来なかった。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
この人がどういうわけか、私たちの母を
喧
(
やかま
)
し屋であったようにいいふらしたので、心外に思ってすごしてきた。
故郷七十年
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
わざと
喧
(
やかま
)
しく言って
脅
(
おどか
)
して見るのだろうという気もする。あれくらいなことは、今日は
失敗
(
しくじ
)
っても、二度三度と慣れて来れば造作なく出来そうにも思える。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「実に
喧
(
やかま
)
しい!」とルパンが叫んだ。「さあ、上にのぼろうじゃないか。エイギュイユ城の見物も面白いよ。」
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
やっぱり、今度のそれも大若衆がやったのであろうなど腹の中で考えて一層不安が増し、取り沙汰が
喧
(
やかま
)
しくなるという風で、物情実に騒然たる有様であった。
幕末維新懐古談:18 一度家に帰り父に誡められたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
お力の中座をしたるに
不興
(
ぶきよう
)
して
喧
(
やかま
)
しかりし折から、店口にておやお
皈
(
かへ
)
りかの声を聞くより、客を置ざりに中坐するといふ法があるか、皈つたらば此処へ来い
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
母はお説教などは何も言ったことはないが、ただ言葉遣いだけは非常に
喧
(
やかま
)
しく、何遍直されたか分らない。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
「矢っ張り士族平民が
喧
(
やかま
)
しいんだそうですが、考えて見ると此方は私のお母さんのお父さんが
御家人
(
ごけにん
)
だったから、満更
素町人
(
すちょうにん
)
でもないということになったのさ」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
やっぱり
喧
(
やかま
)
しいの。初めはなぜやかましくなかったかと云うと、それは運動場をコンクリート? か何かで修理するために子供らは皆教室につまっていたのです。
獄中への手紙:01 一九三四年(昭和九年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
喧
(
やかま
)
しい騒音とともに、聴こえない超音波が、非常に発生しているわけだ、そしてそのなかのある波長のものが人間に眠り音波として作用するらしい——眠り病が
睡魔
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
大八車が二台三台と続いて通る、その
空車
(
からぐるま
)
の
轍
(
わだち
)
の響が
喧
(
やかま
)
しく起こりては絶え、絶えては起こりしている。
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それはここでも好いし、どこか
外
(
ほか
)
へ行ったら、
猶
(
なお
)
好いでしょう。あなたのおばさんが
喧
(
やかま
)
しそうですから。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
何だ
喧
(
やかま
)
しい
贅言
(
たはごと
)
云ずと此
己
(
おれ
)
を叔父だと
云
(
ぬか
)
せば
濟
(
すむ
)
事だと
罵
(
のゝし
)
る聲の耳に
入
(
いり
)
九郎兵衞は不※目を
覺
(
さま
)
し猶も樣子を
打聞
(
うちきく
)
に
詫
(
わび
)
る一人の女の聲扨は我今
眠
(
ねぶ
)
りし中
惡物
(
わるもの
)
共がお里を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
みんな奥様のお口添えがあったからでして、なんでも、旦那様はどちらかというと、口
喧
(
やかま
)
しいお方でしたが、奥様は、いかにも大家の娘らしく、寛大で、
淑
(
しと
)
やかで
幽霊妻
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
お
蔭
(
かげ
)
で、平和な
家禽
(
かきん
)
一同をいっときホッとさせる。ところが、彼女はまたやって来る。前よりもいっそう
喧
(
やかま
)
しく、騒々しい。そして、無茶苦茶に地べたを転げ回る。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
その度毎に、隣の裁縫の師匠の家で、小雀の
囀
(
さえず
)
るような娘達の声が一際
喧
(
やかま
)
しくなる。それに促されてお玉もどんな人が通るかと、覚えず気を附けて見ることがある。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
...
被
(
き
)
せおって! 人に怨みがあるものかないものか! 見よ、見よ、ここ三代が間に
汝
(
なんじ
)
の屋敷にぺんぺん草を生やしてくれん!』『ええ、
喧
(
やかま
)
しいやい、ソレ、もっと薪を ...
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「大鼠や、
廿日鼠
(
はつかねずみ
)
がたくさんいるわ。ちょろちょろ出て来て、うるさいけど、慣れれば
喧
(
やかま
)
しいとも思わないわ。ただ枕の上を飛び越えたりされると、いやですけど。」
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
けれども夜の時計の音は、あまり
喧
(
やかま
)
しく耳について、どうしても寝つかれなかつた。それの一刻の音毎にそそられて、彼の心持は一段一段とせり上つて昂奮して来た。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
聞えん
風
(
ふり
)
も出来ぬから、渋々
起
(
た
)
って取次に出て、倒さになる。私のお辞儀は家内の物議を
惹起
(
ひきおこ
)
して度々
喧
(
やかま
)
しく言われているけれど、面倒臭いから、構わず倒さになる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
喧
漢検準1級
部首:⼝
12画
“喧”を含む語句
喧嘩
喧騒
夫婦喧嘩
喧噪
口喧
喧囂
喧々囂々
大喧嘩
喧々
口喧嘩
喧擾
喧嘩腰
喧嘩師
喧嘩口論
嫉妬喧嘩
喧嘩早
喧嘩買
兄弟喧嘩
喧伝
痴話喧嘩
...