-
トップ
>
-
投節
喧しい
国侍ども、
殺風景な歌ばかり歌いおるわ……そもそも、島原の
投節、新町のまがき節、江戸の
継節、これを三都の三名物という。
遊女に今紫があれば芸妓に
芳町の
米八があった。後に千歳米坡と名乗って舞台にも出れば、
寄席にも出て
投節などを唄っていた。彼女はじきに
乱髪になる癖があった。
三尺を腰低く前にて結びたる
遊び
人らしき男一人、両手は
打斬られし如く両袖を落して、少し
仰向加減に大きく口を明きたるは、春の
朧夜を
我物顔に
咽喉一杯の声張上げて
投節歌ひ行くなるべし。