“化身:けしん” の例文
“化身:けしん”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治11
野村胡堂6
岡本綺堂4
谷崎潤一郎3
ロマン・ロラン3
“化身:けしん”を含む作品のジャンル比率
歴史 > 地理・地誌・紀行 > アジア50.0%
芸術・美術 > 芸術・美術 > 芸術史 美術史40.0%
文学 > フランス文学 > 小説 物語7.7%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
話しかけて笛を取りかえ、夜もすがら二人してきょうに乗じて吹き明かしたが後で聞けばそれは鬼の化身けしんであったという
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すなわちパンデン・ラハモ(聖なる〔戦陣の〕女神)の化身けしんであって、世界の各部を征服する力を持って居らるる方である。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
徳兵衞の後ろに小さくなつて居る娘——八方から射す燈明の中に浮いて、それは本當に觀音樣の化身けしんではないかと思ひました。
傳説の大日如來だいにちによらい化身けしんだと言はれた、お竹といふ召使も、こんな清らかな娘だつたかも知れません。
「そうしてその摩利信乃法師とやら申す男は、真実天狗の化身けしんのように見えたそうな。」と、念を押すように御尋ねなさいました。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
なぜならばシナ皇帝は文珠菩薩の化身けしんであるから、チベットの国へ外国人を入れるような馬鹿な事を書くものですか。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
——その後、女影おなかげの原に通り魔が出るという噂が立ったのを聞いて、彼女は、いよいよこの化身けしんの効果を信じておりました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その美少年は小女郎狐か、もしくはその眷族の化身けしんで、かれは畜類とまじわっているのであるという奇怪の噂はだんだんに広まって来た。
半七捕物帳:24 小女郎狐 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
木々にせいがあるなら、花に化身けしんがあるなら、あなおもしろの交響よ! とこの宵月に舞踊するであろう。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それそれ、あの人たちは、神か菩薩ぼさつかの化身けしんでしょうよ。まったく、悪いことはできないもので」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分自身よりもいっそう親愛なも一人の者……それはいったいだれだったか?……夢のなかでその者が自分のうちに化身けしんしたかのようだった。
ナオミがじいッと視線を据えて、顔面の筋肉は微動だもさせずに、血の気のせた唇をしっかり結んで立っている邪悪の化身けしんのような姿。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
前時代のすぐれた人々によって考えられた正義や憐憫れんびんや人類親和などの夢想を、彼はことごとくフランスのうちに化身けしんせしめていた。
どう考えてもあの婆さんはやはり蛇の化身けしんで、なにかの意味で或る男や或る女を魅こむに相違ない。
半七捕物帳:30 あま酒売 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
宗祖と言つても、これ實に非凡の美色、よしやこれが惡魔の化身けしんであつたにしても、御釋迦樣でもない限りは、この誘惑に抗し切れないことでせう。
「かりにもお師匠さまを疑うたのはわしの迷いであった。玉藻は悪魔じゃ。いつぞやの夢に見た天竺、唐土の魔女もやはり玉藻の化身けしんに相違あるまい」
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
慈悲の権化ごんげである菩薩、仏の化身けしんである観音さまも、般若の智慧を、親しくみがいて、一切は空なりということを、体得せられたればこそ
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
その間に、陸の女は、黒衣や頭巾や膝行袴などの化身けしんの皮は、吉弥も手伝って、ぬぎ捨てていた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「手代の佐太郎ですよ——ちょいと良い男で、薄墨華魁を観音様の化身けしんのように思って居る——これはあのこまちゃくれた小僧の春松の悪口ですがね」
そして、再び奇怪なる少年の姿を見なおし、こいつ天狗てんぐ化身けしんではあるまいかと、したをまいた。はるかにながめた、呂宋兵衛るそんべえは、
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は、まさかその虚無僧が、花世の化身けしんとは夢にも気づかない。——先の視線のすきを狙っては、じりじりと、十手をひそめて、い進んでいた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのあたまのうえを、ふわっと、白くながれてゆくマグネの煙が、島崎の化身けしんのように。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこであの沙門は天狗の化身けしんだなどと申す噂が、一層高くなったのでございましょう。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
どの作のどのひとを見ても、幽艶、温雅、誠実、艶美、貞淑の化身けしんであり、所有者でありながら、そのいずれにも何かしら作者の持っていたものを隠している。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
——だからこの風雨に、観音菩薩かんのんぼさつ化身けしんが救いに降りて来ても、彼女にはすこしの不思議でも何でもない。当然こうあらねばならぬ気持であった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これだこれだ。そちはまさに当世の樊噲はんかいだ。樊噲の化身けしんを見るようだ」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「手代の佐太郎ですよ、——ちよいと良い男で、薄墨華魁おいらんを觀音樣の化身けしんのやうに思つてゐる——これはあのこまちやくれた小僧の春松の惡口ですがね」
「これはいちばんひどい。虚偽の化身けしんだ。僕は息がつけなくなる。出て行こう。」
名はいはざるべし、くいある堕落の化身けしんを母として、あからさまに世の耳目じもくかせんは、子の行末の為め、決してき事にはあらざるべきを思うてなり。
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
その禿は蛇の化身けしんで、それを見たものは三日のうちに死ぬという。
半七捕物帳:55 かむろ蛇 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
これ一切経いっさいきょうにもなき一体の風流仏、珠運が刻みたると同じ者の千差万別の化身けしんにして少しも相違なければ、拝みし者たれも彼も一代の守本尊まもりほんぞんとなし
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
名はいわざるべし、くいある堕落の化身けしんを母として、あからさまに世の耳目じもくかせんは、子の行末ゆくすえのため、決してき事にはあらざるべきを思うてなり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
藥師やくし化身けしんやうおもふ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
地獄のあらゆるものの身に即して化身けしんする。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
二人の男女は全く愛の本能の化身けしんとなる。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
梅桃桜菊色々の花綴衣はなつづりぎぬ麗しく引纏ひきまとわせたる全身像ほれた眼からは観音の化身けしんかとも見ればたれに遠慮なく後光輪ごこうまでつけて、天女のごとく見事に出来上り
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この時この瞬間、さながら風の如き裾の音高く、化粧の夜気やきに放ち、忽如こつじよとして街頭の火影ほかげ立現たちあらはるゝ女は、これよるの魂、罪過と醜悪との化身けしんに候。
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
クリスト教国に生れて仏教を信ずる所以ゆえんはどうしても仏教が深遠だからである。自分は阿弥陀仏あみだぶつ化身けしん親鸞僧正しんらんそうじょうによって啓示けいじされたる本願寺派の信徒である。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
彼は自信、ウヌボレの化身けしんであった。
不連続殺人事件 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
妙覚尼が武州公を佛菩薩の化身けしんだと云い、へんに有難がった解釈をしているのに反し、道阿弥はなりハッキリと主人公の心理をつかんでいたらしく、従って又相当に公の信任を得ていたらしく想像される。
すなわ化身けしんの所作である。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
虫さえいとう美人の根性こんじょう透見とうけんして、毒蛇の化身けしんすなわちこれ天女てんにょなりと判断し得たる刹那せつなに、その罪悪は同程度の他の罪悪よりも一層おそるべき感じを引き起す。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
エエ、それがわたしの化身けしんなの
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まあ、諸国の神宮寺じんぐうじなぞをのぞいてごらんなさい。本地垂跡ほんじすいじゃくなぞということが唱えられてから、この国の神は大日如来だいにちにょらい阿弥陀如来あみだにょらい化身けしんだとされていますよ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
大学生雨谷あまたには、りっぱな燕尾服えんびふくをつけ、頭髪はとんぼの目玉のように光らせ、それから長い口ひげをぴんと上にはねさせ、あごには三角形のあごひげをはやして、どうやら西洋の悪魔の化身けしんのように見える。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と一同は重蔵の言葉にたれたように、しばらくは大地に顔を伏せて顫えたままの新九郎に瞠目どうもくしたが、蝶の化身けしんと云ってもいい美しい姿を見て、ある者はひそかに重蔵の愛童ではないかとさえ疑った様子であった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この事件の発した当夜、即ち、十五夜の晩以来、各〻方が、いわゆる郁次郎の化身けしんと目されておる覆面の男と、例の唖男とは、明らかに、連絡のあることに相成っておるが、その唖男と、郁次郎とを、対決させておられたかどうじゃ」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「面白いぢやありませんか、歡喜天といふのは、象の頭で人間の身體の和合神わがふしんですつてね。男體は大荒神おほあらがみで、女體は觀音樣の化身けしん、——その聖天樣の像といふのは、天竺てんぢく傳來の大した御本尊ですぜ」
いつも同じ不可解な熱情が、初めの和音からすぐに彼女をとらえ、頭から足先まで彼女を燃えたたせ、そして音楽がつづいてる間、このつつましい中流婦人を、倨傲きょごうなヴィーナスの神となし、人の魂のあらゆる激情の化身けしんとなした。
その時糟屋の入道が云うのに、たとい尋常の発心であっても互にこう云う姿になって何の憎しみがありましょう、ましてあの人故の御発心と聞きましては、殊更おなつかしい気がいたします、今こそ思いあたりましたが、あの人は菩薩の化身けしんなのです
三人法師 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「源大納言さんの八講に行ったのです。たいへんな準備でね、この世の浄土のように法要の場所はできていましたよ。音楽も舞楽もたいしたものでしたよ。あの方はきっと仏様の化身けしんだろう、五濁ごじょくの世にどうして生まれておいでになったろう」
源氏物語:15 蓬生 (新字新仮名) / 紫式部(著)
源十郎への復讐にお艶を逃がし、左膳への意趣いしゅ返しには弥生のいどころを知ったお藤、ひそかに何事か胸中にたたんで、わななくお艶をいそがせて庭に立ったが、まもなく化物屋敷の裏木戸から、取り乱した服装の女性嫉妬しっと化身けしんが二つ
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「どなたじゃ! ……。それへ来たのはどなた様じゃ! もしやこのばばが日頃信仰する観世音菩薩かんぜおんぼさつ化身けしんではおさぬか。あわれ、お助けなされませ。——外道げどうのために、この難儀な目にうた不愍ふびんなばばを!」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、コロンボ市の旅行者区域マカラム街あたりをこの椅子いすで「流し」ているかぎり——ヤトラカン・サミ博士は、こんど生まれ変わる時は、どうかして、その、奥様ミセスたちのブルマスに化身けしんしたいものだと、いつも、こんなに突き詰めて考えているくらいだった。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
そこが凡夫の浅ましさじゃ。ちょうどあの頃あの屋形には、つるまえと云う上童うえわらわがあった。これがいかなる天魔の化身けしんか、おれをとらえて離さぬのじゃ。おれの一生の不仕合わせは、皆あの女がいたばかりに、って湧いたと云うてもい。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
なるほど、これは妙なところへ落着いた。昔大江山の奥に酒呑童子しゅてんどうじが住んでいた、それを頼光らいこうが退治した。酒呑童子は鬼の化身けしんだと俗説に唱えられていたが、近頃それはポルチュガルの漂流人が、あの山へ隠れていたのだと新奇な説を唱え出した学者がある。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
深い天井の下に、いつまでも変らずにある真鍮しんちゆうの香炉、花立、燈明皿——そんな性命いのちの無い道具まで、何となく斯う寂寞じやくまく瞑想めいさうに耽つて居るやうで、仏壇に立つ観音くわんおんの彫像は慈悲といふよりはむしろ沈黙の化身けしんのやうに輝いた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そしてどんな技芸にも学問にも通じている。つまり彼女は、あまり馬鹿馬鹿しくかしこいので、みんなが彼女のことを智恵の化身けしんだといってる位だ。しかし、実を云うと、少し元気がなさすぎるので、僕はどうも好きになれない。君だって彼女を、僕のように気持のいい旅の道連れだとは思わないだろうと思う。
この法印は叡山に於て非常な学者で、一切経をひもとき読むこと五返であったけれども恵心僧都えしんそうずが矢張り五返読んでいるという前例をはばかって三返だといった程で、時の地蔵菩薩の化身けしんと称していたこの法印が上人を智恵深遠と崇めていたのはよく法然を知る者と云うべく、他の人の賞美よりも意味が深いのである。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
無地むぢかとおもこん透綾すきやに、緋縮緬ひぢりめん長襦袢ながじゆばん小柳繻子こやなぎじゆすおびしめて、つまかたきまでつゝましきにも、姿すがたのなよやかさちまさり、打微笑うちほゝゑみたる口紅くちべにさへ、常夏とこなつはな化身けしんたるかな。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
望んでも結構なんだけれど、見たまえ。——窓の外は雨と、もみじで、霧が山を織っている。峰の中には、雪を頂いて、雲を貫いてそびえたのが見えるんです。——どんな拍子かで、ひょいと立ちでもした時口が血になって首が上へ出ると……野郎でこのつらだから、その芸妓のような、すごく美しく、山の神の化身けしんのようには見えまいがね。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)