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入日
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いりひ
ふりがな文庫
“
入日
(
いりひ
)” の例文
印度洋の
入日
(
いりひ
)
はさぞ雄大だらうと思はれてよ。レツドシー、名前からしていゝわねえ。……あたし巴里へ行つたらダンスを習ひたいの。
新婚旅行
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
ホテルの窓より眺むれば、展望幾重、
紫嵐
(
しらん
)
を
凝
(
こら
)
すカルメル山脈の上、金を流せる
入日
(
いりひ
)
の空を点破して飛鳥遥にナザレの方を指す。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
この水音だけでも夏とは思われない。まして
入日
(
いりひ
)
を背中から浴びて、正面は陰になった山の色と来たら、——ありゃ全体何と云う色だろう。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私達は諏訪神社の
森蔭
(
もりかげ
)
で休息した上、諏訪池から帰ったが、その夕べ今度は
千々岩
(
ちぢわ
)
灘の
入日
(
いりひ
)
を見るべく絹笠山に
上
(
のぼ
)
った。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
入日
(
いりひ
)
の
残光
(
ざんこう
)
が急にうすれて、
夕闇
(
ゆうやみ
)
が
煙色
(
けむりいろ
)
のつばさをひろげて、あたりの山々を包んでいった。と、東の空に、まん丸い月が浮きあがった。
満月
(
まんげつ
)
だ。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
朱
(
しゆ
)
の
木瓜
(
ぼけ
)
はちら/\と
灯
(
ひ
)
をともし、
樹
(
き
)
の
根
(
ね
)
を
包
(
つゝ
)
むだ
石楠花
(
しやくなげ
)
は、
入日
(
いりひ
)
の
淡
(
あは
)
い
色
(
いろ
)
を
染
(
そ
)
めつゝ、
然
(
しか
)
も
日
(
ひ
)
は
正
(
まさ
)
に
午
(
ご
)
なのである。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
入日
(
いりひ
)
の落るを見て北條が歌を詠じたと云う……えゝ何とか云った……オヽ……「敵は打つ心
間
(
まゝ
)
なる鴻の台夕日
詠
(
なが
)
めしかつ浦の里」と
詠
(
よ
)
んだと申すて」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
四方山
(
よもやま
)
の物語に時移り、
入日
(
いりひ
)
の影も
何時
(
いつ
)
しか消えて、冴え渡る空に星影寒く、階下の
叢
(
くさむら
)
に蟲の鳴く聲露ほしげなり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
赤く
入日
(
いりひ
)
を受けた雲の水に映るのを眺めて高く突き出た桟橋の上に立つて居た時は何だか漂泊者らしい感がした。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
同時に彼も何となく口が
利
(
き
)
き
悪
(
にく
)
い気もちになって、しばらくは
入日
(
いりひ
)
の光に煙った
河原蓬
(
かわらよもぎ
)
の中へ
佇
(
たたず
)
みながら、
艶々
(
つやつや
)
と水をかぶっている黒馬の
毛並
(
けなみ
)
を眺めていた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
植木鉢
(
うゑきばち
)
、
草花
(
くさばな
)
、
花束
(
はなたば
)
、
植木棚
(
うゑきだな
)
、その
間
(
ま
)
を
靜
(
しづ
)
かに流れるは、
艶消
(
つやけし
)
の
金
(
きん
)
の光を
映
(
うつ
)
しつつ、
入日
(
いりひ
)
の
運
(
うん
)
を悲んで、西へ
伴
(
ともな
)
ふセエヌ
川
(
かは
)
、紫色の波長く恨をひいてこの流
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
他
(
た
)
の
雜木
(
ざふき
)
は
其
(
そ
)
の
葉
(
は
)
をからりと
落
(
おと
)
して
其
(
そ
)
の
梢
(
こずゑ
)
よりも
遙
(
はるか
)
に
低
(
ひく
)
く
垂
(
た
)
れて
居
(
ゐ
)
る
西
(
にし
)
の
空
(
そら
)
の
明
(
あか
)
るい
入日
(
いりひ
)
を
透
(
すか
)
して
見
(
み
)
せるやうに
疎
(
まばら
)
に
成
(
な
)
るのに、
確乎
(
しつか
)
としがみついて
離
(
はな
)
れない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
この外『新古今』の「
入日
(
いりひ
)
をあらふ沖つ
白浪
(
しらなみ
)
」「
葉広
(
はびろ
)
かしはに霰ふるなり」など、または
真淵
(
まぶち
)
の
鷲
(
わし
)
の
嵐
(
あらし
)
、
粟津
(
あわづ
)
の
夕立
(
ゆうだち
)
の歌などの如きは和歌の
尤物
(
ゆうぶつ
)
にして俳句にもなり得べき意匠なり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
渡津海
(
わたつみ
)
の
豊旗雲
(
とよはたぐも
)
に
入日
(
いりひ
)
さし
今夜
(
こよひ
)
の
月夜
(
つくよ
)
清明
(
あきら
)
けくこそ 〔巻一・一五〕 天智天皇
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
次の
附句
(
つけく
)
は
是
(
これ
)
を例の
俳諧
(
はいかい
)
に変化させて、晴れた或る日の
入日
(
いりひ
)
の頃に、月も出ていて空がまだ赤く、向こうから来る
鑓
(
やり
)
と鑓持ちとが、その空を背景にくっきりと浮き出したような場面を描いて
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
わか
葉
(
ば
)
洩
(
も
)
る
入日
(
いりひ
)
を
浴
(
あ
)
びてあかあかと
遙
(
はる
)
に
笑
(
わら
)
ひき。
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
入日
(
いりひ
)
に
濡
(
ぬ
)
れて
面
(
おも
)
はゆに
紅
(
あか
)
らむゆふべ
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
今日
(
けふ
)
の
入日
(
いりひ
)
の悲しさよ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
山科
(
やましな
)
や、
竹
(
たけ
)
の
入日
(
いりひ
)
に
哀音
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
赤赤
(
あかあか
)
と
入日
(
いりひ
)
うつれる
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
遠き岬に
入日
(
いりひ
)
する
海郷風物記
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
秋も十一月に入って、お天気はようやく
崩
(
くず
)
れはじめた。今日も
入日
(
いりひ
)
は姿を見せず、灰色の雲の
垂
(
た
)
れ
幕
(
まく
)
の向う側をしのびやかに落ちてゆくのであった。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
皇后ジヨセフインに別れた
奈破翁
(
ナポレオン
)
一世や、前の夫人に
死
(
しに
)
別れたモリエエルが常に
此処
(
ここ
)
へ来て
楽
(
たのし
)
まぬ心を慰めたと云ふ話をし
乍
(
なが
)
ら、
少時
(
しばらく
)
柔かい春の初めの
入日
(
いりひ
)
に
照
(
てら
)
されて居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
風の
飜
(
あふり
)
が
蒸暑
(
むしあつ
)
く、
呼吸
(
いき
)
の
出入
(
でいり
)
も苦しいと……ひとしほマノンの戀しさに、ほつと
溜息
(
ためいき
)
二
度
(
ど
)
ついた……風の
飜
(
あふり
)
が
蒸暑
(
むしあつ
)
く、踏まれた花の
香
(
か
)
が高い……見渡せば、
入日
(
いりひ
)
華
(
はな
)
やぐポン・ヌウフ
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
堂へ
行
(
ゆ
)
かれて、
柱
(
はしら
)
板敷
(
いたじき
)
へひらひらと大きくさす月の影、海の
果
(
はて
)
には
入日
(
いりひ
)
の雲が
焼残
(
やけのこ
)
って、ちらちら
真紅
(
しんく
)
に、
黄昏
(
たそがれ
)
過ぎの
渾沌
(
こんとん
)
とした、水も山も
唯
(
ただ
)
一面の大池の中に、その
軒端
(
のきば
)
洩
(
も
)
る夕日の影と
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
全く世界
一色
(
いっしき
)
の内に
裹
(
つつ
)
まれてしまうに違ないと云う事を、それとはなく意識して、一二時間後に起る全体の色を、一二時間前に、
入日
(
いりひ
)
の
方
(
かた
)
の局部の色として認めたから、局部から全体を
唆
(
そその
)
かされて
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
なごの海の
霞
(
かすみ
)
のまよりながむれば
入日
(
いりひ
)
を洗ふ沖つ白波 (
実定
(
さねさだ
)
)
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
つづき居る
椰子
(
やし
)
の
木立
(
こだち
)
のひまもりて
入日
(
いりひ
)
の雲のくれなゐ見えつ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
霧の
中
(
うち
)
、
入日
(
いりひ
)
のあとの
河
(
かは
)
の
面
(
も
)
をただうち
眺
(
なが
)
む。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
爛眼
(
ただらめ
)
の
入日
(
いりひ
)
の
日
(
ひ
)
ざしひたひたと
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
真赤
(
まつか
)
な
入日
(
いりひ
)
の
一
(
ひと
)
さかり。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
旗男
(
はたお
)
少年は、得意の
立泳
(
たちおよぎ
)
をつづけながら、夕日に向かって挙手の礼をささげた。こんな
入日
(
いりひ
)
を見るようになってから、もう三日目、いよいよお天気が定まって本当の真夏になったのだ。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ウンガルンの
俘虜
(
ふりよ
)
むらがりて長崎の街を歩くに赤く
入日
(
いりひ
)
す
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
なごの海の霞のまよりながむれば
入日
(
いりひ
)
を洗ふ沖つ白波
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
高塔
(
あららぎ
)
や、
九輪
(
くりん
)
の
錆
(
さび
)
に
入日
(
いりひ
)
かげ
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
日暮
(
ひくれ
)
どき、
入日
(
いりひ
)
に濁る
靄
(
もや
)
の
内
(
うち
)
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
入日
(
いりひ
)
の海へ流れゆく。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
百舌鳥
(
もず
)
鳴くや
入日
(
いりひ
)
さしこむ
女松原
(
めまつばら
)
同
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
晩夏
(
おそなつ
)
の
入日
(
いりひ
)
に
噎
(
むせ
)
ぶ
夕
(
ゆふ
)
ながめ。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
けふの
入日
(
いりひ
)
もたんぽぽに
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
けふも
入日
(
いりひ
)
があかあかと
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
どうして
入日
(
いりひ
)
が
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
入日
(
いりひ
)
に燃えて
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
入
常用漢字
小1
部首:⼊
2画
日
常用漢字
小1
部首:⽇
4画
“入日”で始まる語句
入日子
入日影
入日時
入日賣