トップ
>
傍
>
かたわ
ふりがな文庫
“
傍
(
かたわ
)” の例文
二年生のときにN先生の研究の手伝いの
傍
(
かたわ
)
らそれに縁のあるミラージに関する色々の実験をしたことも生涯忘れられぬ喜びであった。
科学に志す人へ
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
私は私の早まった行為をくやむ
傍
(
かたわ
)
ら、不思議にも安心に似たような気分が湧き、同時にまた幾分か理性が働きかけたようにも思った。
犬神
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
人知によって
馴養
(
じゅんよう
)
され類別され冷やかに定列された世界の
傍
(
かたわ
)
らにもち出すと、それは粗野な動物界であり、自由な音響の世界である。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
傍
(
かたわ
)
らの
苜蓿畑
(
うまごやしばたけ
)
を狩り立てるためだ。今度こそ、兎の小僧が二匹や三匹、どんなことがあったっていないはずはないときめていたのだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
中世以後武士を「
侍
(
さむらい
)
」と申すのは、主人の
傍
(
かたわ
)
らに
侍
(
さむろ
)
うて、身の回りの面倒をみたり、主人のために雑役に従事したためであります。
融和問題に関する歴史的考察
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
▼ もっと見る
手燭をささげた小間使が両側に控え、式台には、少し
傍
(
かたわ
)
らに寄って、
裃
(
かみしも
)
に正装した神山外記が出迎えていた。彼は平伏して云った。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
幾個
(
いくつ
)
かの皿すでに洗いおわりて
傍
(
かたわ
)
らに重ね、今しも洗う大皿は特に心を用うるさまに見ゆるは
雪白
(
せっぱく
)
なるに
藍色
(
あいいろ
)
の
縁
(
ふち
)
とりし品なり。
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
傍
(
かたわ
)
らのハンドルを廻すとカラカラと音がして、球形の天井が徐々に左右へ割れ、月光が魔法使いの
眼光
(
がんこう
)
でもあるかのように鋭くさしこむ。
空中墳墓
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
傍
(
かたわ
)
らに引き添ったは童子の
紅丸
(
べにまる
)
、並んでいるのは猪十郎。この二人にも変化はない。一人は珠のように美しく、一人は醜くて
跛者
(
びっこ
)
である。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その旅行の準備にかかる
傍
(
かたわ
)
ら、彼は自分の家に、画工を雇って、西蜀四十一州の
大鳥瞰図
(
だいちょうかんず
)
を、一巻の絵巻にすべく、精密に写させていた。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
藤枝は幾分緊張した顔で私の方をさそうように見たが、ふと
傍
(
かたわ
)
らの壁にかけてある美しい色の額をさしながら私にささやいた。
殺人鬼
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
それは二三間手前でわざわざ車を止めてレールから
傍
(
かたわ
)
らにひっぱって
下
(
おろ
)
したのだから間違いないというし、車掌もそれを証言するそうです。
穴
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
フランクは「とうとう」——と
傍
(
かたわ
)
らの人に言った——「私が信じていた通り、世間の人も私の曲を鑑賞するようになった」と。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
葉子と
又従兄
(
またいとこ
)
くらいの関係にあるその青年は、町で本屋をしていたが、
傍
(
かたわ
)
ら運動具の店をも持っていた。その細君はこの町長の養女であった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼は自分の力に出来るだけのことをして、その
傍
(
かたわ
)
ら独りで学ぼうと志した。そのためには年長の生徒でも何でも
畏
(
おそ
)
れず臆せず教えようとした。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
鶏は
素
(
もと
)
より夜明けを報ずるめでたい鳥であったけれども、これを庚申さんの
傍
(
かたわ
)
らに持って来るのには、何かまた特別のわけがなくてはならない。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
傍
(
かたわ
)
らの小箱から、ドキドキ光る短剣を取出すと、それを右手にかざして、向側の裸女の肉塊めがけて投げつける姿勢だ。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
家にいて仕事をして
傍
(
かたわ
)
ら弟子を教えることなら教えますが、学校というようなことになると私には見当が附きません。
幕末維新懐古談:65 学校へ奉職した前後のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
私は一羽の鳶が螺旋を描きながら舞いあがっている
遥
(
はる
)
かの鎮守の森の
傍
(
かたわ
)
らに眺められる黒い門の家を指差して、同じ方角にゼーロンの首を持ちあげて
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
ややもすれば湧き立とうとする人の情と人の心を、荒々しい言葉で
抑
(
おさ
)
えつけるように手きびしく叱っておくと、
傍
(
かたわ
)
らを
顧
(
かえり
)
みて対馬守はふいっと言った。
老中の眼鏡
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
それは
己
(
じぶん
)
が私立大学を卒業して、新進の評論家として
傍
(
かたわ
)
ら詩作をやって世間から認められだした
比
(
ころ
)
の姿であった。
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
孔子はそれを別室で聞いていたが、しばらくして
傍
(
かたわ
)
らなる
冉有
(
ぜんゆう
)
に向って言った。あの瑟の音を聞くがよい。
暴厲
(
ぼうれい
)
の気がおのずから
漲
(
みなぎ
)
っているではないか。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
三歳の少女と肩を並べつつ、ひたすらに英学を修め、
傍
(
かたわ
)
ら坂崎氏に
就
(
つ
)
きて心理学およびスペンサー氏社会哲学の講義を聴き、一念読書界の人とはなりぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
某これより諸国を
巡
(
め
)
ぐり、あまねく強き犬と
噬
(
か
)
み合ふて、まづわが牙を鍛へ。
傍
(
かたわ
)
ら仇敵の
挙動
(
ふるまい
)
に心をつけ、
機会
(
おり
)
もあらば名乗りかけて、父の
讐
(
あだ
)
を
復
(
かえ
)
してん。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
氏はそれを
傍
(
かたわ
)
らで聞きながら自分の作物に深い興味を見出すものの如くしばしば噴き出して笑ったりなどした。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
鎧櫃
(
よろいびつ
)
も有る、鎗も是に懸り居ります、
傍
(
かたわ
)
らにはこの通り種子ヶ嶋の鉄砲に玉込もして有る、狼藉者が来てゴタ/″\致す時は、止むを得ずブッ払う積りで
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
造酒は、
傍
(
かたわ
)
らの愛刀、
阪東
(
ばんどう
)
二
郎
(
ろう
)
幸村
(
ゆきむら
)
の
鍛
(
う
)
って
野分
(
のわけ
)
の称ある逸剣を取って、ニヤニヤ笑いながら、「
金打
(
きんちょう
)
しよう」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その
傍
(
かたわ
)
らに、わたしは自分の机や書棚やインクスタンドや原稿紙のたぐいを買いあるいた。妻や女中は火鉢や
盥
(
たらい
)
やバケツや七輪のたぐいを毎日買いあるいた。
十番雑記
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
傍
(
かたわ
)
らに大橋図書館をひかえた宏荘の建物の中に住い、令嬢豊子さんは子爵金子氏
令嗣
(
れいし
)
の新夫人となっている。よろずに思いたらぬことのない
起伏
(
おきふ
)
しであろう。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
流石
(
さすが
)
に疲れが出たのであろう、
傍
(
かたわ
)
らの冷えた大
湯呑
(
ゆのみ
)
をとり上げると、その七八分目まで一思いに
煽
(
あお
)
って、そのまま座を立った。風はいつの間にかやんでいる。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
その橋には名がない、すぐ
傍
(
かたわ
)
らに地蔵堂があるので、俗に地蔵橋と呼ばれているのだが、庄兵衛はその地蔵堂で伊原をおろし、
納屋
(
なや
)
町へ
駕籠
(
かご
)
をたのみにいった。
十八条乙
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鉄の
格子
(
こうし
)
がはまっているようだ。番兵が石像のごとく突立ちながら腹の中で情婦とふざけている
傍
(
かたわ
)
らに、余は
眉
(
まゆ
)
を
攅
(
あつ
)
め手をかざしてこの高窓を見上げて
佇
(
たた
)
ずむ。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから、もう一人の色つやの悪い、
痩
(
や
)
せた、貧相な女の子の姿が、その
傍
(
かたわ
)
らに
色褪
(
いろあ
)
せて、ぼおっと浮ぶ。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
小田原藩の足軽の一人が、
傍
(
かたわ
)
らからマラソンでも見るような気分で、問いかけたものですから、山崎譲が
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
こんな山奥でも人は死ぬ、余りに当然なことながら、夢のようにはかない気がした。きっと年寄りが死んだのでしょうね? と旅人は
傍
(
かたわ
)
らの農夫にたずねてみた。
禅僧
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
傍
(
かたわ
)
らの小卓に、緑色青銅の壺に
金飾
(
きん
)
の覆を
被
(
かぶ
)
せたインドの香炉が置いてある。マタ・アリは、マッチを
擦
(
す
)
って手早く覆の小穴から投げ落す。白い煙りがあがった。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
その堂の建て方も自分の家よりはよほど
丁寧
(
ていねい
)
で中も綺麗になって居ります。その
仏壇
(
仏堂
)
の
傍
(
かたわ
)
らには特別に経蔵を設けまた仏像の中に経文を備えてあるところもある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
天麩羅飯
(
てんぷらめし
)
も出来れば
五目鮨
(
ごもくずし
)
も出来るというような訳で茶話会の
傍
(
かたわ
)
ら食物の共進会が始まった
様
(
よう
)
な訳です。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
その年帰郷し、以後五十余年間、三備地方を巡遊、箏曲の教授をなす。
傍
(
かたわ
)
ら作曲し、その研究と普及に一生涯を捧げた。座頭の位階を返却す。検校の位階を固辞す。
盲人独笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
………敏子が洋裁の
河合
(
かわい
)
女史を連れて来た。この人は洋裁を教える
傍
(
かたわ
)
らアルバイトに婦人服の注文に応じている。税金がかからないので市価より二三割安くできる。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
千八百八十三
年
(
ねん
)
、ペテルブルグの
師範学校
(
しはんがっこう
)
を
卒業
(
そつぎょう
)
したソログーブは、
各地
(
かくち
)
に
移
(
うつ
)
り
住
(
す
)
みながら、
教師
(
きょうし
)
を
勤
(
つと
)
め、
傍
(
かたわ
)
ら
詩
(
し
)
を
作
(
つく
)
っていたが、
間
(
ま
)
もなく
長篇小説
(
ちょうへんしょうせつ
)
『
重苦
(
おもくる
)
しい
夢
(
ゆめ
)
』
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
そんなことをいっていると、
玄関
(
げんかん
)
の
戸
(
と
)
が
開
(
あ
)
く
音
(
おと
)
がしました。
二人
(
ふたり
)
の
少年
(
しょうねん
)
は、
足音
(
あしおと
)
のしないように
走
(
はし
)
って、すぐ
傍
(
かたわ
)
らの
畑
(
はたけ
)
に
生
(
は
)
えているすすきの
蔭
(
かげ
)
に
隠
(
かく
)
れてしまいました。
子供どうし
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
然
(
しか
)
るに荷物の整理いまだその
緒
(
ちょ
)
に
就
(
つ
)
かざるを以て、観測所の
傍
(
かたわ
)
らの
狭屋
(
きょうおく
)
に立場もなきほど散乱したる荷物を解き、整理を急ぐといえども、
炊事
(
すいじ
)
を
為
(
な
)
す暇だになければ
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
大きな眼を早くも、クルクル廻して、人なつかしそうに、早くも新子にほほえみかけながら、子供らしい元気なおじぎをすると、
傍
(
かたわ
)
らの若い叔母の手にぶらさがった。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
而
(
しか
)
して小供もまた外出がちで家にいることの少ない父親よりも、幼少の時から常住
傍
(
かたわ
)
らにいて
撫育
(
ぶいく
)
してもらう母親の方に多く熱烈な親しみを持つから、家庭教育の義務は
現代の婦人に告ぐ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
それらのもののみは、私たちを欺かない日々の友であった。後に生れてくる人々よ、
希
(
ねがわ
)
くはこれらのものを
傍
(
かたわ
)
ら近くに置かれよ。それは声なくともいつも人情を恋している。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
良人
(
りょうじん
)
五年の
中風症
(
ちゅうふうしょう
)
、死に至るまで看護怠らずといい、
内君
(
ないくん
)
七年のレウマチスに、主人は家業の
傍
(
かたわ
)
らに自ら
薬餌
(
やくじ
)
を進め、これがために遂に資産をも傾けたるの例なきにあらず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
夫を失ったスルイヤは一人娘を育てる
傍
(
かたわ
)
ら新しい進歩主義を奉ずる婦人団体へ入って居た。
母と娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
其
傍
(
かたわ
)
らに
蕗
(
ふき
)
の多く生えたるあり。
蕗葉
(
ふきのは
)
は直径六七尺、高さ或は丈余なるあり。馬上にて其蕗の葉に手の届かざるあり。
試
(
こころみ
)
に
携
(
たずさ
)
うる処の蝙蝠傘を以て比するに、其
大
(
おおい
)
さは倍なり。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
皆家元の家来もしくは書生同様に育てられるので、
稚
(
おさな
)
いうちは学校に遣ってもらう、
傍
(
かたわ
)
ら兄弟子から芸を仕込まれたり、自分で研究したりする。つまり一種の天才教育である。
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
傍
常用漢字
中学
部首:⼈
12画
“傍”を含む語句
近傍
路傍
傍若無人
傍人
傍観
其傍
片傍
傍目
傍輩
傍聞
傍題
傍眼
両傍
傍岡
直傍
傍見
御傍
傍聴
傍視
傍々
...