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一向
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いっこう
ふりがな文庫
“
一向
(
いっこう
)” の例文
なにしろそういう人々は
事
(
こと
)
生命財産に関係することだとあって、衣服が破れ、鼻血を出し、靴の脱げ落ちることなど
一向
(
いっこう
)
意に
介
(
かい
)
せず
時限爆弾奇譚:――金博士シリーズ・8――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
だから木の香や刃物の香が新らしいうちは、人の家だと思うから、
覗
(
のぞ
)
いて見ようともしない。
一向
(
いっこう
)
平気なのは雀ぐらいなものである。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
尤も代馬の現れるのは大日岳の下であるから、当然この山が白馬岳と呼ばるべきで、そうすれば白馬の大池で
一向
(
いっこう
)
に差支ないのである。
白馬岳
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「着物どころか
櫛簪
(
くしかんざし
)
までも、ちゃんと御持参になっている。いくら僕が止せと云っても、
一向
(
いっこう
)
御取上げにならなかったんだから、——」
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一向
(
いっこう
)
人も来ないようでしたからだんだん私たちは
恐
(
こわ
)
くなくなってはんのきの下の
萱
(
かや
)
をがさがさわけて
初茸
(
はつたけ
)
をさがしはじめました。
二人の役人
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
日頃女には
一向
(
いっこう
)
冷淡であった兄も、その遠眼鏡の中の娘丈けには、ゾッと寒気がした程も、すっかり心を乱されてしまったと申しますよ。
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「わたくしも若いときには少し飲みましたが、年を取っては
一向
(
いっこう
)
いけません。この
徳利
(
とっくり
)
も退屈しのぎに
列
(
なら
)
べてあるだけで……。」
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
般若の面の男 見よう
見真似
(
みまね
)
の、から
猿
(
ざる
)
踊りで、はい、
一向
(
いっこう
)
にこれ、
馴
(
な
)
れませぬものだでな、ちょっくらばかり面をつけて見ます
了見
(
りょうけん
)
の
処
(
ところ
)
。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すると、川の
水
(
みず
)
は
一向
(
いっこう
)
引
(
ひ
)
いていませんが、まさかと
思
(
おも
)
っていた
橋
(
はし
)
が、
半分
(
はんぶん
)
以上
(
いじょう
)
も、みごとにその上にかかっているので、びっくりしました。
鬼六
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
相渝
(
あいかわ
)
らず娘の方ではそんな父親が監視していることなぞ知らないものですから
一向
(
いっこう
)
おかまいなしで毎晩庭へ出るのだそうです。
不思議な国の話
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
彼は吾輩の近づくのも
一向
(
いっこう
)
心付かざるごとく、また心付くも無頓着なるごとく、大きな
鼾
(
いびき
)
をして長々と体を
横
(
よこた
)
えて眠っている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、一行は尻をたたいてこの
家
(
や
)
を出たが、婆さん
一向
(
いっこう
)
平気なもの、振向いてもみない。
食物
(
しょくもつ
)
本位の宿屋ではなかったと見える。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
もとより往来
繁
(
しげ
)
き
表通
(
おもてどおり
)
の事わけても雨もよひの折からとて唯両三日中には鑑札が
下
(
さが
)
りませうからとのみ
如何
(
いか
)
なる
訳合
(
わけあい
)
にや
一向
(
いっこう
)
合点
(
がてん
)
が行き申さず。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私は日本製のものは嫌いで見ないから
一向
(
いっこう
)
知らないが、帝国館や電気館あるいはキネマ倶楽部などの外国物専門の館へは、
大概
(
たいがい
)
欠かさず見に行く。
活動写真
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
伯父さんはぶりぶりして足を急がせたが、なにしろふとってるので頭と背中がゆれる
割合
(
わりあい
)
に
一向
(
いっこう
)
足がはかどらなかった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
その後へ来た青毛布のぢいさんなどは
一向
(
いっこう
)
匂ひなにかには平気な様子でただ虎のでけえのに驚いて居る。(九月十五日)
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「まず、それを洗え。とかく念仏
一向
(
いっこう
)
の仲間には、まま敵がたの曲者がまぎれこんでいるものだ。——義助にそう申せ」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▲話は
一向
(
いっこう
)
纏
(
まと
)
まらないが
堪忍
(
かんにん
)
して下さい。御承知の
通
(
とおり
)
、私共は
団蔵
(
だんぞう
)
さんを
頭
(
あたま
)
に、
高麗蔵
(
こまぞう
)
さんや
市村
(
いちむら
)
(
羽左衛門
(
うざえもん
)
)と東京座で『四谷怪談』をいたします。
薄どろどろ
(新字新仮名)
/
尾上梅幸
(著)
が多くは、細かい花びらが
頬
(
ほお
)
を
掠
(
かす
)
めて胸に入っても、
一向
(
いっこう
)
無関心でありました。無関心が
一層
(
いっそう
)
あわれを誘いました。
病房にたわむ花
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
お登和「曹達で煮たのもよくありますがあれでは曹達の匂いがして味が抜けて形が崩れて
一向
(
いっこう
)
美味しくありません。 ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
どっちを聞いて見てもごもっともで私はどっちが善いか悪いかということは
一向
(
いっこう
)
分らなかったですが、とにかく男は心を
大量
(
たいりょう
)
に持たなくちゃあならん
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
けれど森の精は
一向
(
いっこう
)
迎えに来てくれませんでした。王子は悲しそうにお城の裏門の方を眺められました。
お月様の唄
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
是非
(
ぜひ
)
一度
(
いちど
)
お
目通
(
めどお
)
りを
願
(
ねが
)
わずには
居
(
い
)
られなくなりました、
一向
(
いっこう
)
何事
(
なにごと
)
も
弁
(
わきま
)
えぬ
不束者
(
ふつつかもの
)
でございますが、これからは
末長
(
すえなが
)
くお
教
(
おし
)
えを
受
(
う
)
けさせて
戴
(
いただ
)
きとう
存
(
ぞん
)
じまする……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
であるから坪内君の『書生気質』を読んでも
一向
(
いっこう
)
驚かず、平たくいうと、文学士なんてものは小説を書かせたら駄目なものだと思っていた。格別気にも留めずにいた。
明治の文学の開拓者:――坪内逍遥――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
乃公
(
おれ
)
の着いた日には
仏蘭西
(
フランス
)
の
軽業師
(
かるわざし
)
が此瀑布の上で綱渡りをする所だった。お母さんは
彼
(
あれ
)
は
狂人
(
きちがい
)
だと言ったが、
一向
(
いっこう
)
キ
印
(
じるし
)
らしくもない。見た所音なしそうな人である。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
何
(
ど
)
の家にも、子女の五六人七八人居ない家はないが、それで
一向
(
いっこう
)
新しい
竈
(
かまど
)
の
殖
(
ふ
)
える様子もない。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「
娘子
(
じょうし
)
久しく待つ、何ぞ
一向
(
いっこう
)
薄情
是
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
くなる」と、云って遂に喬生と
倶
(
とも
)
に
西廊
(
せいろう
)
へ入って暗室の中へ往くと、
彼
(
か
)
の女が坐っていて喬生をせめ、その手を握って柩の前へ往くと
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
これには
一向
(
いっこう
)
御着手なし(新川、浜田、
名東
(
みょうどう
)
、岐阜、宮城その他二、三県はとにかく)。
禾花媒助法之説
(新字新仮名)
/
津田仙
(著)
実際また平七は、有朋がこの別荘に、何日閉じこもっていようとも、どんな風に世間の目をくらまして、長州陸軍の根を育てる苦心をしていようとも、
一向
(
いっこう
)
用のないことだった。
山県有朋の靴
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
それは何も
一向
(
いっこう
)
いいことではない
筈
(
はず
)
なのだけれど、いうことを聞かぬいたずら
者
(
もの
)
の
腕白
(
わんぱく
)
どもに、
老教師
(
ろうきょうし
)
はもうほとほと手を
焼
(
や
)
いているので、まるで
探偵
(
たんてい
)
みたいな
顔
(
かお
)
つきをしながら
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
悪い事も考えれば善い事も考える、歩きたいと思えば足が動くし、手を揚げようとすれば手が揚がる、生理学者の説明はさることながら
詮
(
せん
)
ずるに人間は
一向
(
いっこう
)
に判らない
大怪物
(
だいかいぶつ
)
である。
大きな怪物
(新字新仮名)
/
平井金三
(著)
僕もそう思ってるんだが、
一向
(
いっこう
)
お許しが出ないし、それに場所も(あたりを見廻す)
みごとな女
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
夫
(
そ
)
れから私はどうもその船に
乗
(
のっ
)
て
亜米利加
(
アメリカ
)
に
行
(
いっ
)
て見たい
志
(
こころざし
)
はあるけれども、木村と云う人は
一向
(
いっこう
)
知らない。去年大阪から出て来た
計
(
ばか
)
りで、そんな幕府の役人などに縁のある
訳
(
わ
)
けはない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
他の多くの家は
真言
(
しんごん
)
宗、
一向
(
いっこう
)
宗の信徒が圧倒的で、冠婚葬祭には特に、相互の往来や交渉はなく、村長である島田家の祝宴にも、参会者は同じ宗旨の十二、三人しか列席していなかった。
おごそかな渇き
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
手で地上を探って鎌や、鉈を腰に挟んで、一歩一歩池の畔に出た時に心覚えのあるだらだら坂を登って、やっと昼前に柴を刈っていた場所まで来て見たが、それから
先
(
さ
)
きは
一向
(
いっこう
)
覚えがない。
稚子ヶ淵
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
頭ばかり手をつけずに、全部
分解
(
ぶんかい
)
がすんだあとであった。一つは女で今頭を分解したところで、頭をメチャメチャに切り
剖
(
さ
)
けられては男も女もない。矢野にはまだなにがなにやら
一向
(
いっこう
)
わからぬ。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
彼等は
一向
(
いっこう
)
平気で、少しもそこから去らないから、仕方なしにまた汽車を動かして、
其処
(
そこ
)
を通って
行
(
ゆ
)
くと、
最早
(
もはや
)
彼等の姿は、決して人の眼に映らないが、
何処
(
どこ
)
からともなく、嫌な声で、多くの人々の
大叫喚
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
彼は、新しい
襟章
(
えりしょう
)
も、
佩剣
(
はいけん
)
も、
一向
(
いっこう
)
嬉しくないのである。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
その他の役者は
一向
(
いっこう
)
名もない
手合
(
てあ
)
いばかりであった。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「わたくし、まだ札の取り方も
一向
(
いっこう
)
に存じませぬ」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ところが友人は
一向
(
いっこう
)
にこれを信用しない。
しゃもじ(杓子)
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
上
一向
(
いっこう
)
専念の修業
幾年
(
いくねん
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
敵国は空中よりの爆弾が
一向
(
いっこう
)
効目
(
ききめ
)
がなくなったことを確認し、そして遂に、その軍用機整備の縮小を決行するに至った
次第
(
しだい
)
であります。
今昔ばなし抱合兵団:――金博士シリーズ・4――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
まさか内部から賊が這入るとは考えぬので、外に面した所には金網を張る程用心深い人でも、あすこ丈けは
一向
(
いっこう
)
戸締りをしないものですよ
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
が、瀬戸物のパイプを
銜
(
くわ
)
えたまま、煙を吹き吹き、その議論に耳を傾けていた老紳士は、
一向
(
いっこう
)
辟易
(
へきえき
)
したらしい
景色
(
けしき
)
を現さない。
西郷隆盛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ところが自分たちは遠方に住んでいて、そういう機会が得にくいのかも知れぬが、今まで
一向
(
いっこう
)
に九州の鳥の話を聴いていない。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
昔は亭主に口返答なんかした女は、一人もなかったんだって云うが、それなら
唖
(
おし
)
を女房にしていると同じ事で僕などは
一向
(
いっこう
)
ありがたくない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私たちの
一向
(
いっこう
)
に気のない事は——はれて雀のものがたり——そらで
嵐雪
(
らんせつ
)
の句は知っていても、今朝も
囀
(
さえず
)
った、と心に
留
(
と
)
めるほどではなかった。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
構
(
かま
)
いませんよ。それよりまああの
梨
(
なし
)
の木どもをご
覧
(
らん
)
なさい。
枝
(
えだ
)
が
剪
(
き
)
られたばかりなので
身体
(
からだ
)
が
一向
(
いっこう
)
釣
(
つ
)
り合いません。まるで
蛹
(
さなぎ
)
の
踊
(
おど
)
りです。」
チュウリップの幻術
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
けれども
今
(
いま
)
にもうしろから
鬼婆
(
おにばばあ
)
に
襟首
(
えりくび
)
をつかまれそうな
気
(
き
)
がして、
気
(
き
)
ばかりわくわくして、
腰
(
こし
)
がわなわなふるえるので、
足
(
あし
)
が
一向
(
いっこう
)
に
進
(
すす
)
みません。
安達が原
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
“一向(一向俊聖)”の解説
一向 俊聖(いっこう しゅんしょう、暦仁2年1月1日(1239年2月6日)? - 弘安10年11月18日(1287年12月24日)?)は、鎌倉時代の僧侶。伝記に謎が多く、実在が疑問視されていたが、考古遺物により、存在が証明された。
(出典:Wikipedia)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
“一向”で始まる語句
一向宗
一向一揆
一向堂
一向寺
一向衆
一向専修