ねづみ)” の例文
するとあるとき、ライオンが猟人かりうどつかまつてしばられたとこへれいねづみて「おぢさん、つといで」とつてしばつたなわ噛切かみきつてやりました。
一六いちろく三五さんご采粒さいつぶかの、はい、ござります。』とすみかべ押着おつゝけた、薬箪笥くすりだんすふるびたやうな抽斗ひきだしけると、ねづみふんが、ぱら/\こぼれる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其頃そのころ武内たけのうち富士見町ふじみちやう薄闇うすぐら長屋ながやねづみ見たやうなうちくすぶつてながら太平楽たいへいらくならべる元気がぼんでなかつた
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かつ此麽こんなことをしたことはないのですが、にいさんの拉典語ラテンご文典ぶんてんに、『ねずみは——ねづみの——ねずみに—ねずみを——おゥねずちやん!』といてあつたのをおぼえてましたから
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
用心口ようじんぐちしてお寢間ねまもどたまひしが再度ふたゝびつてお菓子戸棚くわしとだなのびすけつとのびんとりいだし、お鼻紙はながみうへけておしひねり、雪灯ぼんぼり片手かたてゑんいづれば天井てんぜうねづみがた/\とれて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
夫れ台所だいどころに於けるねづみ勢力せいりよく法外はふぐわいなる飯焚男めしたきをとこ升落ますおとしの計略けいりやくも更に討滅たうめつしがたきを思へば、社会問題しやくわいもんだいみゝかたむくる人いかで此一町内いつちやうない百「ダース」の文学者ぶんがくしや等閑なほざりにするをべき。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
馬鹿ばかな事をふな、手前てめえ江戸えどぢやアねえぞ、十一のときしう西尾にしをざいから親父おやぢが手を引いてうちれてて、何卒どうぞ置いてくれとたのまれる時、おれねづみ半切はんぎれ狂歌きやうかを書いてつたツけ
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
そこで、歴史にあつた事件は、必らず僕等の心にも起つて居るので——エメルソンの『歴史論』には、ねづみの寄り合ひを記録してないのは、歴史の本分を忘れて居るのだとまで云つてある。
神秘的半獣主義 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
「ふうむ。ねづみの穴はこれだな」
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ねづみが「おぢさんわたいのやうないさなものをいぢめたつてあなたの手柄てがらにもなりますまい」つてつたらライオンは「ハヽヽヽなるほどさうだ」つてゆるしてやつた。
天井てんじやうねづみがあれ御覽ごらん、とゆびをさすに、ふでやの女房つまはじめとしてにあるものみなわらひころげぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つていふはなし思出おもひだして「おぢさん、ライオンはなれたらねづみでもひませんか」と動物園どうぶつゑんのおぢさんにきました。すると、おぢさんのこたへはこうでした「すぐつちまふ」
たゞにはかずねづみれにもみゝそばだてつ疑心ぎしん暗鬼あんきしやうずるおく其人そのひと現在げんざいすを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まち人恋ふるねづみなき格子の咒文じゆもん、別れの背中せなに手加減の秘密おくまで、唯おもしろく聞なされて、くるわことばを町にいふまで去りとははづかしからず思へるもあはれなり、年はやうやう数への十四
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしもどりましたからは御心配ごしんぱいなくお就蓐やすみくだされと洒然さつぱりといひてとなりつまかへしやり、一人ひとりさびしく洋燈らんぷあかりに烟草たばこひて、忌々いま/\しき土産みやげをりねづみべよとこぐなはのまゝ勝手元かつてもと投出なげいだ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今日此頃けふこのごろ全盛ぜんせい父母ふぼへの孝養こうよううらやましく、おしよくとほあねの、いのらいのかずらねば、まちびとふるねづみなき格子かうし呪文じゆもんわかれの背中せな手加减てかげん秘密おくまで、たゞおもしろくきゝなされて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)