“麥(むぎ)” の例文
新字:麦
雜木林(ざふきばやし)の間(あひだ)には又(また)芒(すゝき)の硬直(かうちよく)な葉(は)が空(そら)を刺(さ)さうとして立(た)つ。其(その)麥(むぎ)や芒(すゝき)の下(した)に居(きよ)を求(もと)める雲雀(ひばり)が時々(とき/″\)空(そら)を占(し)めて春(はる)が深(ふ)けたと喚(よ)びかける。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
麥(むぎ)一箱、いゑのいも(里芋(さといも))一籠(かご)、うり一籠、旁(はた)の物(もの)、六月三日に給ひ候ひしを、今迄御返事申候はざりし事恐入(おそれいり)候(さふらふ)。
ナニ、青(あを)いんでもかまひませんが、なるなら黄色(きいろ)い方(はう)がいゝ。麥(むぎ)は熟(じゆく)するほど丈夫(ぢやうぶ)ですからね。この細(ほそ)い麥藁(むぎわら)の穗先(ほさき)の方(はう)を輕(かる)く折(を)つてお置(お)きなさい。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
付其外帳面(ちやうめん)へ書留(かきとめ)るに米千八百五俵麥(むぎ)五百三十俵並に箪笥(たんす)長持(ながもち)數(す)十棹(さを)村役人立合(たちあひ)にて改め相濟(あひすみ)其夜寅半刻(なゝつはんどき)事濟に相成山駕籠(やまかご)三挺(ちやう)を申付て是へ文藏夫婦に下男吉平を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
えつさ、こらさ、と麥(むぎ)を背負(しよ)つて、其(そ)の下男(げなん)どもが出直(でなほ)して、薪雜木(まきざつぽう)の手(て)ぐすね引(ひ)いて
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
軌道(レール)と直角(ちよくかく)に細長(ほそなが)い茅葺(くさぶき)の農家(のうか)が一軒(けん)ある其(そ)の裏(うら)は直(す)ぐ山(やま)の畑(はたけ)に續(つゞ)いて居(ゐ)るらしい。家(いへ)の前(まへ)は廣庭(ひろには)で麥(むぎ)などを乾(ほ)す所(ところ)だらう、廣庭(ひろには)の突(つ)きあたりに物置(ものおき)らしい屋根(やね)の低(ひく)い茅屋(くさや)がある。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
實(じつ)は、少年(せうねん)と共(とも)に、只(たゞ)一口(ひとくち)に、堪難(たえがた)き空腹(くうふく)を滿(みた)したきは山々(やま/\)だが、待(ま)てよ、今(いま)此(この)小(ちい)さい魚(うを)を、周章(あは)てゝ平(たいら)げたとて何(なに)になる、農夫(のうふ)は如何(いか)に飢(うゑ)ても、一合(いちごう)の麥(むぎ)を食(く)はずに地(ち)に播(ま)いて一年(いちねん)の策(はかりごと)をする
麥(むぎ)生(ふ)のひまに罌粟(けし)のいふ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
日(ひ)ざしは麥(むぎ)の
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
其(そ)の時(とき)畑(はた)には刷毛(はけ)の先(さき)でかすつた樣(やう)に麥(むぎ)や小麥(こむぎ)で仄(ほのか)に青味(あをみ)を保(たも)つて居(ゐ)る。それから冬(ふゆ)は又(また)百姓(ひやくしやう)をして寂(さび)しい外(そと)から專(もつぱ)ら内(うち)に力(ちから)を致(いた)させる。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
成程(なるほど)麥(むぎ)の言(い)ふ通(とほ)りにしましたら、子供(こども)らしい翫具(おもちや)が出來(でき)ました。細(ほそ)い麥藁(むぎわら)を下(した)から引(ひ)く度(たび)に、麥(むぎ)の穗先(ほさき)が動(うご)きまして、『今日(こんにち)は、今日(こんにち)は』と言(い)ふやうに見(み)えました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
待(ま)て、旅(たび)といへば、内(うち)にゐて、哲理(てつり)と岡(をか)ぼれの事(こと)にばかり凝(こ)つてゐないで、偶(たま)には外(そと)へ出(で)て見(み)たがよい。よしきり(よし原(はら)すゞめ、行々子(ぎやう/\し))は、麥(むぎ)の蒼空(おほぞら)の雲雀(ひばり)より、野趣(やしゆ)横溢(わういつ)して親(した)しみがある。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「腹(はら)減(へ)つたら此處(こゝ)にあんぞ」といつてばたりと飯臺(はんだい)の蓋(ふた)をした。後(あと)で勘次(かんじ)は蒲團(ふとん)からずり出(だ)して見(み)たら、麥(むぎ)ばかりのぽろ/\した飯(めし)であつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
麥畠(むぎばたけ)に熟(じゆく)した麥(むぎ)は、父(とう)さんに穗先(ほさき)の方(はう)の細(ほそ)い麥藁(むぎわら)と、胴中(どうなか)の方(はう)の太(ふと)い麥藁(むぎわら)とを呉(く)れました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「驢馬(ろば)の代(かは)りはおもしろい。何(ど)うだ。野郎(やらう)、麥(むぎ)を搗(つ)くか。」
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
眞晝(まひる)のやうな月夜(つきよ)に立(た)つて、コト/\麥(むぎ)を搗(つ)いたとさ。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)