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飛退
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とびの
ふりがな文庫
“
飛退
(
とびの
)” の例文
引掻
(
ひつか
)
きさうな
権幕
(
けんまく
)
をするから、
吃驚
(
びつくり
)
して
飛退
(
とびの
)
かうとすると、
前足
(
まへあし
)
でつかまへた、
放
(
はな
)
さないから
力
(
ちから
)
を
入
(
い
)
れて
引張
(
ひつぱ
)
り
合
(
あ
)
つた
奮
(
はづ
)
みであつた。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
千種十次郎と早坂勇は、五六間
飛退
(
とびの
)
きました。炎の中には忿怒の
塑像
(
そぞう
)
のような博士が、全身焼け
爛
(
ただ
)
れ乍ら、カッと
此方
(
こっち
)
を睨んで居るのです。
音波の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
巡査は慌てて
飛退
(
とびの
)
くと、石は
傍
(
かたえ
)
の岩角に
中
(
あた
)
って、更に跳ね返って
彼
(
か
)
の𤢖の上に落ちた。𤢖の
傷
(
きずつ
)
ける顔は更に
微塵
(
みじん
)
に砕けて、怪しい
唸声
(
うなりごえ
)
は止んだ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
灰神楽
(
はいかぐら
)
がドッと渦巻き起って部屋中が真白になった。思わず
飛退
(
とびの
)
いた巡査たちが、気が付いた次の瞬間にはモウ銀次と小女の姿が部長室から消え失せていた。
骸骨の黒穂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
『
脛押
(
すねおし
)
か。』と
轟大尉
(
とゞろきたいゐ
)
は
顏
(
かほ
)
を
顰
(
しか
)
めたが、
負
(
ま
)
けぬ
氣
(
き
)
の
大尉
(
たいゐ
)
、
何程
(
なにほど
)
の
事
(
こと
)
やあらんと
同
(
おな
)
じく
毛脛
(
けずね
)
を
現
(
あら
)
はして、
一押
(
ひとおし
)
押
(
お
)
したが、『あ
痛
(
い
)
た、たゝゝゝ。』と
後
(
うしろ
)
へ
飛退
(
とびの
)
いて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
はっと思うなり
飛退
(
とびの
)
いてしまって、自身はそこに気絶して倒れた。石塔はすなわちその記念の為であった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
すると、ポチは驚いて
飛退
(
とびの
)
いて、不思議そうに小首を
傾
(
かし
)
げて、其ガツガツと食うのを黙って見ている。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「えゝ、こんな奴を相手に手間取るは無益だ」と一人の罪人は
烈
(
はげ
)
しく打合う其の中を
掻潜
(
かいくゞ
)
って通り抜けようと致しますから、文治は
飛退
(
とびの
)
きながら、その一人を引留め
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
風早學士は、覺えず首を
縮
(
ちぢ
)
めて、我に返ツた。慌てて後へ引返さうとして、勢込むで
踵
(
きびす
)
を
囘
(
かへ
)
す……かと思ふと、何物かに
嚇
(
おどか
)
されたやうに、
些
(
ちよツ
)
と飛上ツて、慌てて傍へ
飛退
(
とびの
)
き、そして振返ツた。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
開き「谷間田、何うした
略
(
ほ
)
ぼ見当が
附
(
つい
)
たかえ」とて入来るは此事件を監督する
荻沢
(
おぎさわ
)
警部なり谷間田は悪事でも見附られしが如く忽ち椅子より
飛退
(
とびの
)
きて「ヘイヘイ凡そ見当は附きました是から
直
(
すぐ
)
に探りを ...
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
大原思わず「ヒャー」といって
後
(
うし
)
ろへ
飛退
(
とびの
)
きたり。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
私に追われて、あれと
遁
(
に
)
げる時、——ただたよりだったのですから、その
扱帯
(
しごき
)
を
引手繰
(
ひきたぐ
)
って、
飛退
(
とびの
)
こうとしたはずみに、腰が宙に浮きました。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
秀子が驚いて
飛退
(
とびの
)
きました。勇がズボンのかくしから掴み出して、茶卓の上へ置いたのは、黒いラベルを貼った青酸のビンと、銀色の光に西洋鍵が一つ。
流行作家の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
娘は怖いと思いましたから、思わず知らず
飛退
(
とびの
)
く
機
(
はず
)
みで、新吉の手へ
縋
(
すが
)
りましたが、蛇が居なくなりましたから手を放せばよいのだが、其の手が
何時迄
(
いつまで
)
も放れません。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
花嫁の方を振返る間もなく、唖女の両手を払い
除
(
の
)
けて
飛退
(
とびの
)
こうとしたが、間に合わなかった。
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
其時小さな
鞠
(
まり
)
のような物が
衝
(
つ
)
と軒下を
飛退
(
とびの
)
いたようだったが、
軈
(
やが
)
て
雪洞
(
ぼんぼり
)
の
火先
(
ひさき
)
が立直って、一道の光がサッと
戸外
(
おもて
)
の
暗黒
(
やみ
)
を破り、雨水の処々に溜った
地面
(
じづら
)
を一筋細長く照出した所を見ると
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
慌てて
飛退
(
とびの
)
いて更に
熟
(
よく
)
視
(
み
)
ると、人違いでない、
確
(
たしか
)
に父の安行である。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
變
(
かは
)
れば
現在
(
げんざい
)
、
夫
(
をつと
)
の
見
(
み
)
る
前
(
まへ
)
。
婦人
(
ふじん
)
は
身震
(
みぶる
)
ひして
飛退
(
とびの
)
かうとするのであつたが、
輕
(
かる
)
く
撓柔
(
しなやか
)
に
背
(
せ
)
にかかつた
手
(
て
)
が、
千曳
(
ちびき
)
の
岩
(
いは
)
の
如
(
ごと
)
く、
千筋
(
ちすぢ
)
の
絲
(
いと
)
に
似
(
に
)
て、
袖
(
そで
)
も
襟
(
えり
)
も
動
(
うご
)
かばこそ。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
左右を見廻すと近くに居た連中は
皆
(
みんな
)
、八方へ
飛退
(
とびの
)
いた姿勢のまま真青な顔を引釣らして福太郎の顔を見上げていたが、中には二三人、顔や手足に
血飛沫
(
ちしぶき
)
を浴びている者も居た。
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
葉子は
飛退
(
とびの
)
きました。海蔵寺三郎の眼の中に恐ろしい——気狂い染みた光を見たのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:13 食魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
片手には鞄を提げて居るを見て治平は驚きましたから、
俄
(
にわ
)
かに
飛退
(
とびの
)
き両手を突き
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
官人の、
真前
(
まっさき
)
に
飛退
(
とびの
)
いたのは、
敢
(
あえ
)
て
怯
(
おび
)
えたのであるまい……
衣帯
(
いたい
)
の
濡
(
ぬ
)
れるのを
慎
(
つつし
)
んだためであらう。
雨ばけ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
万平は材木の隙間から
飛退
(
とびの
)
いた。その隙間をジイッと睨んで腕を組んだ。芝居の事も何も忘れたらしく真青になって考え込んでいたが、そのまま鉢巻を解いて
眉深
(
まぶか
)
く
頬冠
(
ほおかむり
)
をした。
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
二人は危うく
飛退
(
とびの
)
きました。白刃はサッと間を断って、真弓の振袖の先を
劈
(
つんざ
)
きます。
百唇の譜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
なお且つ
飜々
(
はらはら
)
とふるいながら、
衝
(
つ
)
と
飛退
(
とびの
)
くように、滝の下行く桟道の橋に
退
(
の
)
いた。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
権次は
飛退
(
とびの
)
こうとしました。お駒の見幕があまりに凄まじかったのです。
黄金を浴びる女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
呉羽は本能的に
飛退
(
とびの
)
いて、
傍
(
そば
)
の椅子を小楯に取り冷やかに笑う。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
石垣の
草蒸
(
くさいきれ
)
に、棄ててある瓜の皮が、化けて脚が生えて、むくむくと動出しそうなのに、「あれ。」と
飛退
(
とびの
)
いたり。取留めのないすさびも、この女の人気なれば、話せば逸話に伝えられよう。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
飛退
(
とびの
)
く官兵の一人は、足を苅られて
屏風
(
びょうぶ
)
の如く倒れたのです。
芳年写生帖
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
石垣の
草蒸
(
くさいきれ
)
に、
棄
(
す
)
ててある瓜の皮が、
化
(
ば
)
けて
脚
(
あし
)
が生えて、むく/\と
動出
(
うごきだ
)
しさうなのに、「あれ。」と
飛退
(
とびの
)
いたり。
取留
(
とりと
)
めのないすさびも、此の女の人気なれば、話せば逸話に伝へられよう。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
膾
(
なます
)
になれと斬りかかります。平次は
鼬
(
いたち
)
のように
飛退
(
とびの
)
きました。
銭形平次捕物控:025 兵糧丸秘聞
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
舳
(
みよし
)
と
艫
(
とも
)
へ、二人はアッと
飛退
(
とびの
)
いた。紫玉は欄干に
縋
(
すが
)
って身を
転
(
か
)
わす。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もう一度切っ
尖
(
さき
)
が触れると、二人は又サッと
飛退
(
とびの
)
きました。
奇談クラブ〔戦後版〕:04 枕の妖異
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
暑さの
取着
(
とッつき
)
の晩方頃で、いつものように遊びに行って、人が
天窓
(
あたま
)
を
撫
(
な
)
でてやったものを、
業畜
(
ごうちく
)
、
悪巫山戯
(
わるふざけ
)
をして、キッキッと歯を
剥
(
む
)
いて、
引掻
(
ひっか
)
きそうな剣幕をするから、
吃驚
(
びっくり
)
して
飛退
(
とびの
)
こうとすると
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
悲鳴をあげて
飛退
(
とびの
)
きました。
身代りの花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
舳
(
みよし
)
と
艫
(
とも
)
へ、二人はアツと
飛退
(
とびの
)
いた。紫玉は
欄干
(
らんかん
)
に
縋
(
すが
)
つて身を
転
(
か
)
はす。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
飛退
(
とびの
)
く
隙
(
ひま
)
に雀の子は、
荒鷲
(
あらわし
)
の
翼
(
つばさ
)
を
潜
(
くぐ
)
りて土間へ飛下り素足のまま、一散に
遁出
(
にげい
)
だすを、
遁
(
のが
)
さじと
追縋
(
おいすが
)
り、裏手の空地の
中央
(
なかば
)
にて、
暗夜
(
やみ
)
にも
著
(
しる
)
き玉の
顔
(
かんばせ
)
、
目的
(
めあて
)
に三吉
衝
(
つ
)
と寄りて
曳戻
(
ひきもど
)
すを振切らんと
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
衝
(
つ
)
と
飛退
(
とびの
)
くやうに、滝の下行く
桟道
(
さんどう
)
の橋に
退
(
の
)
いた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「わい、」と叫んで、饂飩屋は舞台を
飛退
(
とびの
)
く。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あッというて
飛退
(
とびの
)
いたが、それも隠れた。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あツといふて
飛退
(
とびの
)
いたが、
其
(
それ
)
も
隠
(
かく
)
れた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
美少年
(
びせうねん
)
が、
何
(
なん
)
と
飛退
(
とびの
)
きもしよう
事
(
こと
)
か。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私は
吃驚
(
びっくり
)
して
飛退
(
とびの
)
いた。
雛がたり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
飛
常用漢字
小4
部首:⾶
9画
退
常用漢字
小6
部首:⾡
9画
“飛”で始まる語句
飛
飛沫
飛騨
飛鳥
飛出
飛白
飛込
飛翔
飛行
飛石