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際立
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きはだ
ふりがな文庫
“
際立
(
きはだ
)” の例文
正面
(
しやうめん
)
に
待乳山
(
まつちやま
)
を
見渡
(
みわた
)
す
隅田川
(
すみだがは
)
には
夕風
(
ゆふかぜ
)
を
孕
(
はら
)
んだ
帆
(
ほ
)
かけ船が
頻
(
しき
)
りに動いて
行
(
ゆ
)
く。水の
面
(
おもて
)
の
黄昏
(
たそが
)
れるにつれて
鴎
(
かもめ
)
の羽の色が
際立
(
きはだ
)
つて白く見える。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
襟章
(
えりしやう
)
も赤や緑のやうな
際立
(
きはだ
)
つた色ではなかつたから、砲兵であつたかも知れない。その男は八の方を見返りもせずに行つた。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
背景に
船
(
ふね
)
と
檣
(
ほばしら
)
と
帆
(
ほ
)
を大きく
描
(
か
)
いて、其
余
(
あま
)
つた所に、
際立
(
きはだ
)
つて花やかな
空
(
そら
)
の
雲
(
くも
)
と、
蒼黒
(
あをぐろ
)
い
水
(
みづ
)
の色をあらはした
前
(
まへ
)
に、
裸体
(
らたい
)
の労働者が四五人ゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、それ等は何れも
如何
(
いか
)
にも尋常に、少しの
際立
(
きはだ
)
つことなく、いつも穏かに取片附いてゆき、そこには
殆
(
ほと
)
んど何の推移もなかつたやうにさへ思はれた。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
私
(
わたくし
)
は
三々五々
(
さん/\ごゞ
)
群
(
むれ
)
をなして、
其處此處
(
そここゝ
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
を
)
る、
顏色
(
いろ
)
の
際立
(
きはだ
)
つて
白
(
しろ
)
い
白耳義人
(
ベルギーじん
)
や、「コスメチツク」で
鼻髯
(
ひげ
)
を
劍
(
けん
)
のやうに
塗
(
ぬ
)
り
固
(
かた
)
めた
佛蘭西
(
フランス
)
の
若紳士
(
わかしんし
)
や
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
その白と黒の毛色が、木々の中に
際立
(
きはだ
)
つて鮮やかに見えた。これこそベシーの
Gytrash
(
ガイトラッシュ
)
——長い毛と大きな頭とを持つた
獅子
(
しし
)
のやうな動物の姿だつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
何も
際立
(
きはだ
)
つた事件はないが、
魚河岸
(
うをがし
)
の暇になつたり、何かするところをなかなか器用に書いてある。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
枝
(
えだ
)
々のなかの
水田
(
みづた
)
の
水
(
みづ
)
がどむよりして
淀
(
よど
)
むで
居
(
ゐ
)
るのに
際立
(
きはだ
)
つて
真白
(
まつしろ
)
に
見
(
み
)
えるのは
鷺
(
さぎ
)
だつた
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
おつぎの
裝
(
よそほ
)
ひは
側
(
そば
)
では
疎末
(
そまつ
)
であつても、
處々
(
ところ/″\
)
ちらり/\と
白
(
しろ
)
い
穗先
(
ほさき
)
が
覗
(
のぞ
)
いて
大抵
(
たいてい
)
はまだ
冴
(
さ
)
え/″\として
只
(
たゞ
)
一
枚
(
まい
)
の
青疊
(
あをだゝみ
)
を
敷
(
し
)
いた
樣
(
やう
)
な
田圃
(
たんぼ
)
の
間
(
あひだ
)
をくつきりと
際立
(
きはだ
)
つて
目
(
め
)
に
立
(
た
)
つのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ブリユツセルは京都程の大きさに過ぎない都で、其れが麹町区の様な高台と神田日本橋両区程の低地とに
際立
(
きはだ
)
つて区分され、高台の方に王宮初め諸官
衙
(
が
)
や諸学校や美術館やが
凡
(
すべ
)
て
集
(
あつま
)
つて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
都育ちの小池の姿が、四人一組の
薙刀振
(
なぎなたふ
)
りの中で、
際立
(
きはだ
)
つて光つてゐた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
銀杏返
(
いてふがへし
)
に結つた髪、黒の紋附の
縮緬
(
ちりめん
)
の羽織、新しい
吾妻
(
あづま
)
下駄、年は取つてもまだ何処かに昔の美しさと
艶
(
あで
)
やかさとが残つてゐて、それがあたりの荒廃した物象の中にはつきりと
際立
(
きはだ
)
つて見えた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
中に、量のある了輔の聲と、榮さんのソプラノなのが
際立
(
きはだ
)
つて響く。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
忽
(
たちま
)
ち
燈
(
ともしび
)
の光の消えて
行
(
ゆ
)
くやうにあたりは全体に
薄暗
(
うすぐら
)
く灰色に
変色
(
へんしよく
)
して来て、満ち
来
(
く
)
る
夕汐
(
ゆふしほ
)
の上を
滑
(
すべ
)
つて
行
(
ゆ
)
く
荷船
(
にぶね
)
の
帆
(
ほ
)
のみが
真白
(
まつしろ
)
く
際立
(
きはだ
)
つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
華
(
はな
)
やかな
色
(
いろ
)
の
中
(
なか
)
に、白い
薄
(
すゝき
)
を染め抜いた帯が見える。
頭
(
あたま
)
にも真白な
薔薇
(
ばら
)
を一つ
挿
(
さ
)
してゐる。其
薔薇
(
ばら
)
が
椎
(
しい
)
の
木陰
(
こかげ
)
の
下
(
した
)
の、
黒
(
くろ
)
い
髪
(
かみ
)
の
中
(
なか
)
で
際立
(
きはだ
)
つて
光
(
ひか
)
つてゐた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
は
今
(
いま
)
は
私
(
わたくし
)
と
同
(
おな
)
じやうに、
此
(
この
)
軍艦
(
ぐんかん
)
の
賓客
(
ひんきやく
)
ではあるが、
彼
(
かれ
)
は
軍艦
(
ふね
)
を
家
(
いへ
)
とする
水兵
(
すいへい
)
の
身
(
み
)
——
水兵
(
すいへい
)
の
中
(
うち
)
にも
氣象
(
きしやう
)
勝
(
すぐ
)
れ、
特
(
こと
)
に
砲術
(
ほうじゆつ
)
、
航海術
(
かうかいじゆつ
)
には
際立
(
きはだ
)
つて
巧妙
(
たくみ
)
な
男
(
をとこ
)
なので
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
差渡
(
さしわた
)
し、
池
(
いけ
)
の
最
(
もつと
)
も
廣
(
ひろ
)
い、
向
(
むか
)
うの
汀
(
みぎは
)
に、こんもりと一
本
(
ぽん
)
の
柳
(
やなぎ
)
が
茂
(
しげ
)
つて、
其
(
そ
)
の
緑
(
みどり
)
の
色
(
いろ
)
を
際立
(
きはだ
)
てて、
背後
(
うしろ
)
に
一叢
(
ひとむら
)
の
森
(
もり
)
がある、
中
(
なか
)
へ
横雲
(
よこぐも
)
を
白
(
しろ
)
くたなびかせて、もう
一叢
(
ひとむら
)
、
一段
(
いちだん
)
高
(
たか
)
く
森
(
もり
)
が
見
(
み
)
える。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
庇
(
ひさし
)
傾
(
かたぶ
)
きたる
大
(
だい
)
なる家屋の
幾箇
(
いくつ
)
となく其道を挾みて立てる、旅亭の古看板の幾年月の
塵埃
(
ちりほこり
)
に黒みて
纔
(
わづ
)
かに軒に認めらるゝ、
傍
(
かたはら
)
に
際立
(
きはだ
)
ちて白く
夏繭
(
なつまゆ
)
の籠の日に光れる、驛のところどころ家屋
途絶
(
とだ
)
えて
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
食堂には応接
室
(
しつ
)
の
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
を使つた。代助は
戸
(
と
)
の
開
(
あ
)
いた
間
(
あひだ
)
から、
白
(
しろ
)
い卓布の
角
(
かど
)
の
際立
(
きはだ
)
つた
色
(
いろ
)
を認めて、午餐は洋食だと心づいた。梅子は
一寸
(
ちよつと
)
席を立つて、
次
(
つぎ
)
の
入口
(
いりぐち
)
を
覗
(
のぞ
)
きに行つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
人家
(
じんか
)
の
軒下
(
のきした
)
や
路地口
(
ろぢぐち
)
には話しながら
凉
(
すゞ
)
んでゐる人の
浴衣
(
ゆかた
)
が
薄暗
(
うすぐら
)
い
軒燈
(
けんとう
)
の光に
際立
(
きはだ
)
つて白く見えながら、あたりは一体にひつそりして
何処
(
どこ
)
かで犬の
吠
(
ほ
)
える声と
赤児
(
あかご
)
のなく声が
聞
(
きこ
)
える。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
此
(
こ
)
の
媚
(
なま
)
めいた
胸
(
むね
)
のぬしは、
顏立
(
かほだ
)
ちも
際立
(
きはだ
)
つて
美
(
うつく
)
しかつた。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
明かな夜の色の中に黒くくつきりと
際立
(
きはだ
)
つて見える。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
三四郎も女
連
(
れん
)
に
別
(
わか
)
れて下宿へ
戻
(
もど
)
らうと思つたが、三人が話しながら、ずる/\べつたりに
歩
(
ある
)
き出したものだから、
際立
(
きはだ
)
つて、挨拶をする機会がない。
二人
(
ふたり
)
は自分を引張つて行く様に見える。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
際
常用漢字
小5
部首:⾩
14画
立
常用漢字
小1
部首:⽴
5画
“際”で始まる語句
際
際限
際涯
際物
際物屋
際会
際疾
際中
際敏
際無