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隅田川
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すみだがわ
ふりがな文庫
“
隅田川
(
すみだがわ
)” の例文
この景色がまたなく美しい。線の細かい
広重
(
ひろしげ
)
の
隅田川
(
すみだがわ
)
はもう消えてしまった代わりに、鉄とコンクリートの新しい隅田川が出現した。
Liber Studiorum
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
なるほど、
宣
(
よろ
)
しゅうございます。では、これは
隅田川
(
すみだがわ
)
で
川施餓鬼
(
かわせがき
)
のある時に川へ流すことに致しましょう。焼いて棄てるは勿体ない。
幕末維新懐古談:51 大隈綾子刀自の思い出
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
そろそろ山の宿の方に近づきますと、綺麗に見える
隅田川
(
すみだがわ
)
にも流れ寄る
芥
(
ごみ
)
などが多く、それでも
餌
(
えさ
)
でも
漁
(
あさ
)
るのか、
鴎
(
かもめ
)
が下りて来ます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
時折、
言問橋
(
ことといばし
)
を自動車のヘッドライトが
明滅
(
めいめつ
)
して、行き過ぎます。すでに一
艘
(
そう
)
の船もいない
隅田川
(
すみだがわ
)
がくろく、
膨
(
ふく
)
らんで流れてゆく。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
明智の運転する自動車は、芝公園をぬけ、京橋にはいり、
永代橋
(
えいたいばし
)
をわたって少し行った、
隅田川
(
すみだがわ
)
ぞいの、さびしい場所でとまりました。
青銅の魔人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
釣
(
つり
)
の帰りらしい小舟がところどころ
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
のように浮いているばかり、見渡す
隅田川
(
すみだがわ
)
は再びひろびろとしたばかりか
静
(
しずか
)
に
淋
(
さび
)
しくなった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼は自分の
内部
(
なか
)
から
湧
(
わ
)
いて来るもののために半ば押出されるようにして、
隅田川
(
すみだがわ
)
の水の中へでも自分の身体を浸したいと思付いた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
奥州街道はわずかに
隅田川
(
すみだがわ
)
の辺を沿うてあッたので、なかなか通常の者でただいまの九段あたりの内地へ足を踏み込んだ人はなかッたが
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
対岸の商船学校から、オールを
揃
(
そろ
)
えて
短艇
(
ボート
)
を
漕
(
こ
)
ぎ出してくるのが、家鴨とは反対に
隅田川
(
すみだがわ
)
の上流の方へむかって
辷
(
すべ
)
るように行く。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
暴風雨
(
あらし
)
のあとで、
隅田川
(
すみだがわ
)
の濁流は岸をひたし、
壊
(
こわ
)
れた家の材木だの、ひとや家畜の死骸などが流れるのみで、渡し舟すら通わない日だった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのころ日比谷や池ノ
畔
(
はた
)
、
隅田川
(
すみだがわ
)
にも納涼大会があり、映画や演芸の屋台などで人を集め、大川の舟遊びも盛っていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「機首を左へ曲げ、
隅田川
(
すみだがわ
)
に
沿
(
そ
)
って、
本所
(
ほんじょ
)
浅草
(
あさくさ
)
の上空へやれ。高度は、もっと下げられぬか」そう云ったのは、警備司令部付の、
塩原参謀
(
しおばらさんぼう
)
だった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
西北から、大きな緑の帯のような
隅田川
(
すみだがわ
)
が、
武蔵
(
むさし
)
と
下総
(
しもうさ
)
の間を流れている……はるかに、富士と筑波を両方にひかえて。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
かつて江戸町奉行がこれを撃つことを禁ぜようとしたが、津軽家が
聴
(
きか
)
ずに、とうとう上屋敷を
隅田川
(
すみだがわ
)
の東に
徙
(
うつ
)
されたのだと、
巷説
(
こうせつ
)
に言い伝えられている。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
なにか、陰惨な世界を見たくて、
隅田川
(
すみだがわ
)
を渡り、或る魔窟へ出掛けて行ったときなど、私は、その魔窟の二三丁てまえの小路で、もはや立ちすくんで
了
(
しま
)
った。
断崖の錯覚
(新字新仮名)
/
太宰治
、
黒木舜平
(著)
わたしは幼年のころ、橋場、今戸、小松島、
言問
(
こととい
)
など、
隅田川
(
すみだがわ
)
の両岸に
数寄
(
すき
)
をこらした富豪の別荘が水にのぞんで建っていたことを
図
(
はか
)
らずもおもいうかべた。
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
父の水泳場は父祖の代から
隅田川
(
すみだがわ
)
岸に在った。それが都会の新文化の発展に
追除
(
おいの
)
けられ追除けられして
竪川
(
たてかわ
)
筋に移り、
小名木川
(
おなぎがわ
)
筋に移り、場末の
横堀
(
よこぼり
)
に移った。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
……いろいろと
隅田川
(
すみだがわ
)
の夜明けの景色だけは深く身に
沁
(
し
)
みて今になお忘れない。
昔日
(
せきじつ
)
の夢を序にかえる。
「明治のおもかげ」序にかえて
(新字新仮名)
/
喜多村緑郎
(著)
折柄
(
おりから
)
の
上潮
(
あげしお
)
に、
漫々
(
まんまん
)
たる
秋
(
あき
)
の
水
(
みず
)
をたたえた
隅田川
(
すみだがわ
)
は、
眼
(
め
)
のゆく
限
(
かぎ
)
り、
遠
(
とお
)
く
筑波山
(
つくばやま
)
の
麓
(
ふもと
)
まで
続
(
つづ
)
くかと
思
(
おも
)
われるまでに
澄渡
(
すみわた
)
って、
綾瀬
(
あやせ
)
から千
住
(
じゅ
)
を
指
(
さ
)
して
遡
(
さかのぼ
)
る
真帆方帆
(
まほかたほ
)
が
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
氾濫
(
はんらん
)
した
隅田川
(
すみだがわ
)
の水は、すでにこの家の床を浸し、なお強い勢いで増水しつつあった。
暴風雨の中
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
濁水
(
だくすい
)
がゴーゴーという音を立てて、
隅田川
(
すみだがわ
)
の方へ
流込
(
ながれこ
)
んでいる、
致方
(
しかた
)
がないので、
衣服
(
きもの
)
の
裾
(
すそ
)
を、思うさま
絡上
(
まくりあ
)
げて、何しろこの急流
故
(
ゆえ
)
、流されては一大事と、犬の様に
四這
(
よつんばい
)
になって
今戸狐
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
人の
往来
(
ゆきき
)
も繁く人家も多くなっているが、その時分は
隅田川
(
すみだがわ
)
沿いの
寺島
(
てらじま
)
や
隅田
(
すみだ
)
の村〻でさえさほどに
賑
(
にぎ
)
やかではなくて、
長閑
(
のどか
)
な別荘地的の光景を存していたのだから、まして中川沿い
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ただ、中に「
隅田川
(
すみだがわ
)
」とか、「
綾
(
あや
)
の
鼓
(
つづみ
)
」の如きものがあって、これらはどこまでも
苦悶
(
くもん
)
憂愁
執著
(
しゅうじゃく
)
が続くのであるが、こういうものは異例である。大概
成仏
(
じょうぶつ
)
して舞を舞うという事に終る。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
隅田川
(
すみだがわ
)
にかかっていた橋は、両国橋のほかはすべて焼けおちてしまいました。
大震火災記
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
むかしおとこありけるという好男子に
由縁
(
ゆかり
)
ありはらの
業平文治
(
なりひらぶんじ
)
がお話はいざ言問わんまでもなく
鄙
(
ひな
)
にも知られ都鳥の其の名に高く
隅田川
(
すみだがわ
)
月雪花
(
つきゆきはな
)
の
三
(
み
)
つに遊ぶ
圓朝
(
えんちょう
)
ぬしが人情かしら
有為転変
(
ういてんぺん
)
の世の
態
(
さま
)
を
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その
中
(
なか
)
にもなおわずかにわが曲りし
杖
(
つえ
)
を
留
(
とど
)
め、疲れたる歩みを休めさせた処はやはりいにしえの
唄
(
うた
)
に残った
隅田川
(
すみだがわ
)
の両岸であった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
車はやがて
隅田川
(
すみだがわ
)
を渡り、川沿いに
向島
(
むこうじま
)
へと向った。吾妻橋を通り過ぎる時には、紋三は今朝の不愉快な一条を思い出していた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
翌日の新聞は、
隅田川
(
すみだがわ
)
の満潮と、川開の延期とを伝えた。
水嵩
(
みずかさ
)
が増して危いという記事は、
折角
(
せっかく
)
翹望
(
まちもう
)
けた娘達をガッカリさせた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
隅田川
(
すみだがわ
)
も見えはすまいかと、昔住んだ土地がなつかしくて見廻しました。綾瀬を越して行くと
向島
(
むこうじま
)
の土手になって、
梅若
(
うめわか
)
や
白髭
(
しらひげ
)
の辺に出るのです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「あの時王子の
御父
(
おとっ
)
さんは、家へ帰って来るとお島は
隅田川
(
すみだがわ
)
へ流してしまったと云って
御母
(
おっか
)
さんに話したと云うことは、お前も忘れちゃいない
筈
(
はず
)
だ」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
縁起
(
えんぎ
)
をいうと、その昔、
隅田川
(
すみだがわ
)
をまだ宮戸川といった頃、
土師臣中知
(
はじのおみなかとも
)
といえる人、家来の
檜熊
(
ひのくま
)
の
浜成
(
はまなり
)
竹成
(
たけなり
)
という両人の者を従え、この大河に網打ちに出掛けたところ
幕末維新懐古談:12 名高かった店などの印象
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
また
広重
(
ひろしげ
)
をして新東京百景や
隅田川
(
すみだがわ
)
新鉄橋めぐりを作らせるのも妙であろうし、
北斎
(
ほくさい
)
をして日本アルプス風景や現代世相のページェントを映出させるのもおもしろいであろう。
映画時代
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
あたしは芝で生れて
神田
(
かんだ
)
で育って、
綾瀬
(
あやせ
)
(
隅田川
(
すみだがわ
)
上流)の
水郷
(
すいごう
)
に、父と住んでいたことがある。あたしの十二の時、桜のさかりに大火事に焼かれて、それで
家
(
うち
)
は没落しはじめたのです。
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
おれにゃ、
嘘
(
うそ
)
と
坊主
(
ぼうず
)
の
頭
(
あたま
)
ァいえねえよ。——
仮
(
かり
)
にもおんなじ
芝居
(
しばい
)
の
者
(
もの
)
が、こんなことを、ありもしねえのにいって
見
(
み
)
ねえ。それこそ
簀巻
(
すまき
)
にして、
隅田川
(
すみだがわ
)
のまん
中
(
なか
)
へおッ
放
(
ぽ
)
り
込
(
こ
)
まれらァな
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
隅田川
(
すみだがわ
)
での恋人、「さくら」が、一足先きに
艇庫
(
ていこ
)
に納まり、各国の競艇のなかに、
一際
(
ひときわ
)
、
優美
(
エレガント
)
な
肢体
(
したい
)
を
艶
(
つや
)
やかに光らせているのをみたときは、なんともいえぬ、
嬉
(
うれ
)
しさで、彼女のお腹を
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
内容
(
なかみ
)
は、左膳の計略で壺にはあらで、
隅田川
(
すみだがわ
)
の水に洗われたまるい河原の石……いずれをいずれと
白真弓
(
しらまゆみ
)
と、左膳がその石のおもてに一筆ふるってあったのは剣怪ちかごろの大出来だったが
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
隅田川
(
すみだがわ
)
から吹いて来る川風のような感じであった。上原さんは、その川風にさからうように、すこし右肩をあげて築地のほうに黙って歩いて行かれる。私は小走りに走りながら、その後を追った。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
隅田川
(
すみだがわ
)
は夕潮でいっぱいだった。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
欄干によりて無月の
隅田川
(
すみだがわ
)
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
もう十日余りで十二月に入ろうという晩秋の
隅田川
(
すみだがわ
)
に、これは何とした酔狂ぞ、一人の男が、水泳ぎをやっているではないか。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
明治四十一、二年のころ
隅田川
(
すみだがわ
)
に架せられた
橋梁
(
きょうりょう
)
の中でむかしのままに木づくりの姿をとどめたものは
新大橋
(
しんおおはし
)
と
千住
(
せんじゅ
)
の大橋ばかりであった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
二階は、水楼の感じがすると、三吉が来る
度
(
たび
)
に言うところで、
隅田川
(
すみだがわ
)
が好く見えた。対岸の町々の灯は美しく水に映じていた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それはマクネイル・ホイッスラーという西洋人が、
廣重
(
ひろしげ
)
よりも、いかなる日本人よりも、よりよく
隅田川
(
すみだがわ
)
の夏の夜の夢を知っていたということである。(昭和三年九月、渋柿)
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その頃の
隅田川
(
すみだがわ
)
には花見船が静かに往き来していて、花びらがちらちらと川の水に散りかかっていたのでした。並木の桜の散るのを見て、その頃がなつかしく思出されました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
橄欖
(
かんらん
)
の
翠
(
みど
)
りしたたるオリムピアがすでに
昔
(
むかし
)
に過ぎ去ってしまった
証拠
(
しょうこ
)
には、みんなの面に、身体に、帰ってからの
遊蕩
(
ゆうとう
)
、不節制のあとが歴々と刻まれ、
曇
(
くも
)
り空、どんより
濁
(
にご
)
った
隅田川
(
すみだがわ
)
を
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
隅田川
(
すみだがわ
)
木母寺
(
もくぼじ
)
梅若塚
(
うめわかづか
)
の大念仏は十五日で、この日はきまって雨が降る。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
暑くなってから、私はよく自分の生徒を連れて、ここへ泳ぎに来るが、
隅田川
(
すみだがわ
)
なぞで泳いだことを思うと水瀬からして違う。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あるやみの晩に、
隅田川
(
すみだがわ
)
をくだっていたひとりの船頭が、自分の船のそばにみょうな波がたっているのに気づきました。
少年探偵団
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
神田川
(
かんだがわ
)
や
八丁堀
(
はっちょうぼり
)
なぞいう川筋、また
隅田川
(
すみだがわ
)
沿岸の如きは
夕陽
(
せきよう
)
の美を
俟
(
ま
)
たざるも、それぞれ他の趣味によって、それ相応の特徴を附する事が出来る。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
第二次の実験は
隅田川
(
すみだがわ
)
の艇庫前へ持って行ってやったのだが、その時に仲間の一人が、ボイラーをかついで
桟橋
(
さんばし
)
から水中に墜落する場面もあって、忘れ難い思い出の種になっている。
池
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
“隅田川”の解説
隅田川(すみだがわ)は、東京都北区の岩淵水門で荒川から南へ分岐し、東京湾に注ぐ全長23.5キロメートルの一級河川である。途中で新河岸川・石神井川・神田川・日本橋川などの支流河川と合流する。古くは墨田川、角田川とも書いた。
(出典:Wikipedia)
隅
常用漢字
中学
部首:⾩
12画
田
常用漢字
小1
部首:⽥
5画
川
常用漢字
小1
部首:⼮
3画
“隅田川”で始まる語句
隅田川両岸一覧
隅田川渡船