“隅田川:すみだがわ” の例文
“隅田川:すみだがわ”を含む作品の著者(上位)作品数
島崎藤村9
永井荷風7
寺田寅彦4
江戸川乱歩4
長谷川時雨2
“隅田川:すみだがわ”を含む作品のジャンル比率
歴史 > 伝記 > 日本8.3%
芸術・美術 > 彫刻 > 彫刻史 各国の彫刻2.4%
文学 > 日本文学 > 日本文学0.9%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
あるやみの晩に、隅田川すみだがわをくだっていたひとりの船頭が、自分の船のそばにみょうな波がたっているのに気づきました。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
暑くなってから、私はよく自分の生徒を連れて、ここへ泳ぎに来るが、隅田川すみだがわなぞで泳いだことを思うと水瀬からして違う。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それは隅田川すみだがわを往復する川蒸汽の音に彷彿そっくりで、どうかするとあの川岸に近い都会の空で聞くような気を起させる。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
線の細かい広重ひろしげ隅田川すみだがわはもう消えてしまった代わりに、鉄とコンクリートの新しい隅田川が出現した。
Liber Studiorum (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
折柄おりから上潮あげしおに、漫々まんまんたるあきみずをたたえた隅田川すみだがわは、のゆくかぎ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
その時、半蔵は翌朝の天気を気づかい顔に戸の方へ立って行った。隅田川すみだがわに近い水辺の夜の空がその戸に見えた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そのころ日比谷や池ノはた隅田川すみだがわにも納涼大会があり、映画や演芸の屋台などで人を集め、大川の舟遊びも盛っていた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
その頃の隅田川すみだがわには花見船が静かに往き来していて、花びらがちらちらと川の水に散りかかっていたのでした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
江戸のなごりに、隅田川すみだがわを見て行こう、と半蔵が言い出して、やがて三人で河岸の物揚げ場の近くへ出た。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
正面に待乳山まつちやまを見渡す隅田川すみだがわには夕風をはらんだ帆かけ船がしきりに動いて行く。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
隅田川すみだがわの両岸は、千住せんじゅから永代えいたい橋畔きょうはんに至るまで、今はいずこも散策の興を催すには適しなくなった。
放水路 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
西北から、大きな緑の帯のような隅田川すみだがわが、武蔵むさし下総しもうさの間を流れている……はるかに、富士と筑波を両方にひかえて。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
隅田川すみだがわ木母寺もくぼじ梅若塚うめわかづかの大念仏は十五日で、この日はきまって雨が降る。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
くもり空、どんよりにごった隅田川すみだがわを、ていれるしオォルは揃わぬし、外から見た目には綺麗きれいでも、ぼくには早や
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
二階は、水楼の感じがすると、三吉が来るたびに言うところで、隅田川すみだがわが好く見えた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そこはおげんの伜が東京の方に持った家で、夏らしい二階座敷から隅田川すみだがわの水も見えた。
ある女の生涯 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
隅田川すみだがわの方へ流込ながれこんでいる、致方しかたがないので、衣服きものすそを、思うさま絡上まくりあげて、何しろこの急流ゆえ
今戸狐 (新字新仮名) / 小山内薫(著)
明智の運転する自動車は、芝公園をぬけ、京橋にはいり、永代橋えいたいばしをわたって少し行った、隅田川すみだがわぞいの、さびしい場所でとまりました。
青銅の魔人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
川蒸汽の音の聞えるところへ出ると、新大橋の方角へ流れて行く隅田川すみだがわの水が見える。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
本所横網ほんじょよこあみには隅田川すみだがわを前にして別荘風な西洋造りの建物がある。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
対岸の商船学校から、オールをそろえて短艇ボートぎ出してくるのが、家鴨とは反対に隅田川すみだがわの上流の方へむかってすべるように行く。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
……いろいろと隅田川すみだがわの夜明けの景色だけは深く身にみて今になお忘れない。
目にある隅田川すみだがわも彼には江戸の運命と切り離して考えられないようなものだった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そこは郷里の木曾川きそがわのようでもあれば、東京の隅田川すみだがわのようでもある。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そのなかにもなおわずかにわが曲りしつえとどめ、疲れたる歩みを休めさせた処はやはりいにしえのうたに残った隅田川すみだがわの両岸であった。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
すでに一そうの船もいない隅田川すみだがわがくろく、ふくらんで流れてゆく。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
隅田川すみだがわにかかっていた橋は、両国橋のほかはすべて焼けおちてしまいました。
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
そろそろ山の宿の方に近づきますと、綺麗に見える隅田川すみだがわにも流れ寄るごみなどが多く、それでもえさでもあさるのか、かもめが下りて来ます。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
なにか、陰惨な世界を見たくて、隅田川すみだがわを渡り、或る魔窟へ出掛けて行ったときなど、私は、その魔窟の二三丁てまえの小路で、もはや立ちすくんでしまった。
断崖の錯覚 (新字新仮名) / 太宰治黒木舜平(著)
隅田川すみだがわが見える。白い、可憐かれんな都鳥が飛んでいる。川上の方に見える対岸の町々、煙突の煙なぞが、濁った空気を通して、ゴチャゴチャ二人の眼に映った。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
きみなつかしと都鳥みやこどり……幾夜かここに隅田川すみだがわ
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
隅田川すみだがわ首尾しゅびまつなぞその他なおいくらもあろう。
車はやがて隅田川すみだがわを渡り、川沿いに向島むこうじまへと向った。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
かかる少年時代の感化によって、自分は一生涯たとえ如何なる激しい新思想の襲来を受けても、恐らく江戸文学を離れて隅田川すみだがわなる自然の風景に対する事は出来ないであろう。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
かつて江戸町奉行がこれを撃つことを禁ぜようとしたが、津軽家がきかずに、とうとう上屋敷を隅田川すみだがわの東にうつされたのだと、巷説こうせつに言い伝えられている。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
わたしは幼年のころ、橋場、今戸、小松島、言問ことといなど、隅田川すみだがわの両岸に数寄すきをこらした富豪の別荘が水にのぞんで建っていたことをはからずもおもいうかべた。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ただ、中に「隅田川すみだがわ」とか、「あやつづみ」の如きものがあって、これらはどこまでも苦悶くもん憂愁執著しゅうじゃくが続くのであるが、こういうものは異例である。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
いつのほどにか名高い隅田川すみだがわという酒問屋さかどんやの前あたりまで来たが、すると、たちまち向うに見える雷門の新橋しんばしと書いた大提灯おおぢょうちんの下から
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それはマクネイル・ホイッスラーという西洋人が、廣重ひろしげよりも、いかなる日本人よりも、よりよく隅田川すみだがわの夏の夜の夢を知っていたということである。(昭和三年九月、渋柿)
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
隅田川すみだがわから吹いて来る川風のような感じであった。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「機首を左へ曲げ、隅田川すみだがわ沿って、本所ほんじょ浅草あさくさの上空へやれ。高度は、もっと下げられぬか」そう云ったのは、警備司令部付の、塩原参謀しおばらさんぼうだった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
父の水泳場は父祖の代から隅田川すみだがわ岸に在った。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
第二次の実験は隅田川すみだがわの艇庫前へ持って行ってやったのだが、その時に仲間の一人が、ボイラーをかついで桟橋さんばしから水中に墜落する場面もあって、忘れ難い思い出の種になっている。
(新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
神田川かんだがわ八丁堀はっちょうぼりなぞいう川筋、また隅田川すみだがわ沿岸の如きは夕陽せきようの美をたざるも、それぞれ他の趣味によって、それ相応の特徴を附する事が出来る。
また広重ひろしげをして新東京百景や隅田川すみだがわ新鉄橋めぐりを作らせるのも妙であろうし、北斎ほくさいをして日本アルプス風景や現代世相のページェントを映出させるのもおもしろいであろう。
映画時代 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
どうかすると湖水のように静かな隅田川すみだがわの水の上へ出て、都会の真中とも思われないほど清い夏の朝の空気を胸一ぱいに吸って、た多くの荷船の通う中を漕ぎ帰って来たのもその石垣の側だ。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それに、次郎や末子の生まれた家と、土屋の甥のしばらく住んでいた家とは、歩いて通えるほど近い同じ隅田川すみだがわのほとりにあったから、そんな関係から言っても以前にはよく往来した間がらである。
分配 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
隅田川すみだがわの水はいよいよ濁りいよいよ悪臭をさえ放つようになってしまったので、その後わたくしは一度も河船には乗らないようになったが、思い返すとこの河水も明治大正の頃には奇麗きれいであった。
向島 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
十五分も走ると、勝鬨橋かちどきばしの近くの隅田川すみだがわの岸につきました。その岸に、こわれかかった倉庫のような建物があります。人見と運転手は、大トランクを運んで、その建物の中にはいりました。
妖人ゴング (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
中川沿岸も今でこそ各種の工場の煙突や建物なども見え、人の往来ゆききも繁く人家も多くなっているが、その時分は隅田川すみだがわ沿いの寺島てらじま隅田すみだの村〻でさえさほどににぎやかではなくて
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
欄干によりて無月の隅田川すみだがわ
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
あたしは芝で生れて神田かんだで育って、綾瀬あやせ隅田川すみだがわ上流)の水郷すいごうに、父と住んでいたことがある。あたしの十二の時、桜のさかりに大火事に焼かれて、それでうちは没落しはじめたのです。
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「あの時王子の御父おとっさんは、家へ帰って来るとお島は隅田川すみだがわへ流してしまったと云って御母おっかさんに話したと云うことは、お前も忘れちゃいないはずだ」養父はねちねちした調子で、そんな事まで言出した。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そのころはまだ純粋の武蔵野で、奥州街道はわずかに隅田川すみだがわの辺を沿うてあッたので、なかなか通常の者でただいまの九段あたりの内地へ足を踏み込んだ人はなかッたが、そのすこし前の戦争の時にはこの高処たかみへも陣が張られたと見えて
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
「なるほど、よろしゅうございます。では、これは隅田川すみだがわ川施餓鬼かわせがきのある時に川へ流すことに致しましょう。焼いて棄てるは勿体ない。このまま仏間になど置きましてもよろしいが、それより川へ流せば一番綺麗でよろしゅうございましょう」
「おれにゃ、うそ坊主ぼうずあたまァいえねえよ。——かりにもおんなじ芝居しばいものが、こんなことを、ありもしねえのにいってねえ。それこそ簀巻すまきにして、隅田川すみだがわのまんなかへおッまれらァな」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
戦争後、市川の町はずれに卜居ぼくきょしたことから、以前麻布あざぶに住んでいた頃よりも東京へ出るたびたび隅田川すみだがわの流れを越して浅草の町々を行過る折が多くなったので、おのずと忘れられたその時々の思出を繰返して見る日もまた少くないようになった。
水のながれ (新字新仮名) / 永井荷風(著)
縁起えんぎをいうと、その昔、隅田川すみだがわをまだ宮戸川といった頃、土師臣中知はじのおみなかともといえる人、家来の檜熊ひのくま浜成はまなり竹成たけなりという両人の者を従え、この大河に網打ちに出掛けたところ、その網に一寸八分黄金無垢むくの観世音の御像おぞうが掛かって上がって来た。