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覗
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うかゞ
ふりがな文庫
“
覗
(
うかゞ
)” の例文
然れども
僅
(
わづ
)
かに現在の「生」を
覗
(
うかゞ
)
ひ知ることを得るなり、現在の「生」は夢にして「生」の後が
寤
(
ご
)
なるべきや否や、吾人は之をも知る能はず。
明治文学管見:(日本文学史骨)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
遥か上の方で難かしい顔をしてるらしいのが仰向くとやつと
覗
(
うかゞ
)
はれます。奥さんが怪物の大きなお腹に向つて言ひました。
怪物と飯を食ふ話
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
横山に額を切られた鹿島も、上田も、
隙
(
すき
)
を
覗
(
うかゞ
)
つて逃げた。同志のうちで其場に残つたのは
深痍
(
ふかで
)
を負つた柳田一人であつた。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「平河さんへはお寄りにならなかつたんでございますか。」とおくみは、さうした青木さんのお顔元を
覗
(
うかゞ
)
ひながら聞いた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
敵打
(
かたきうち
)
などといふことが多くそれにからんでゐる。これにも『世相』から動かされて、そこから出発して行つたかれの芸術の傾向を
覗
(
うかゞ
)
ふことが出来る。
西鶴小論
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
▼ もっと見る
主人は暖い飯で満腹にもなつて、
上機嫌
(
じやうきげん
)
だつた。Aさんと弟との関係の、妙にすつきりと
覗
(
うかゞ
)
はれるその話で、胸に何か生き/\と動くものを受けた。
姉弟と新聞配達
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
ある真夜なかの事、ジヤンは敵の偵察を言ひつかつて、独逸軍の塹壕から、
漸
(
やつ
)
と十
米突
(
メートル
)
ばかりの
近間
(
ちかま
)
まで
覗
(
うかゞ
)
ひ寄つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
更
(
ふ
)
けて遅く帰るようで有ったらば隙を
覗
(
うかゞ
)
って打果してしまうか、
或
(
あるい
)
は旨く
此方
(
こちら
)
へ引入れて、家老ぐるみ抱込んでしまうかと申す
目論見
(
もくろみ
)
でございます。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
西行かすかに
眼
(
まなこ
)
を転じて、声する方の闇を
覗
(
うかゞ
)
へば、ぬば玉の黒きが中を朽木のやうなる光り有てる霧とも雲とも分かざるものの仄白く立ちまよへる上に
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
と女は一寸の間、
気配
(
けはい
)
を
覗
(
うかゞ
)
つた後で云つた。「お上から廻はされてこんな処に迄化けて這入りこんでゐるのよ。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
車外
(
しやぐわい
)
の
猛獸
(
まうじう
)
は、
見
(
み
)
る/\
内
(
うち
)
に
氣色
(
けしき
)
が
變
(
かわ
)
つて
來
(
き
)
た。
隙
(
すき
)
を
覗
(
うかゞ
)
つたる
水兵
(
すいへい
)
は、サツと
出口
(
でぐち
)
の
扉
(
とびら
)
を
排
(
ひら
)
くと、
途端
(
とたん
)
、
稻妻
(
いなづま
)
は、
猛然
(
まうぜん
)
身
(
み
)
を
跳
(
をど
)
らして、
彼方
(
かなた
)
の
岸
(
きし
)
へ
跳上
(
をどりあが
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
我が車の隙を
覗
(
うかゞ
)
ひて走りぬけんとしたる時「ボン、ジヨオルノオ、アントニオ」(
吉日
(
よきひ
)
をこそ、アントニオ)と呼ぶは、むかし聞き慣れたる
忌
(
いま
)
はしき聲なり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
拵
(
こしら
)
へることが大嫌ひで、何處にも女房や召仕を
覗
(
うかゞ
)
ふやうな相手は無し、少しも心當りは無いのだが——
銭形平次捕物控:262 綾の鼓
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
心
(
こゝろ
)
は
變化
(
へんくわ
)
するものなり、
雪三
(
せつざう
)
が
徃昔
(
そのかみ
)
の
心裏
(
しんり
)
を
覗
(
うかゞ
)
はゞ、
糸子
(
いとこ
)
に
對
(
たい
)
する
觀念
(
くわんねん
)
の
潔白
(
けつぱく
)
なること、
其名
(
そのな
)
に
呼
(
よ
)
ぶ
雪
(
ゆき
)
はものかは、
主人
(
しゆじん
)
大事
(
だいじ
)
の
一
(
ひ
)
ト
筋道
(
すぢみち
)
、
振
(
ふり
)
むくかたも
無
(
な
)
かりし
物
(
もの
)
の
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
妻は其の返しとして良人の為めに茶をつぎ菓子を切る、其の有様を見るだけでも、私は非常な愉快を感じ、強いて其の裏面を
覗
(
うかゞ
)
つて、折角の美しい感想を破るに忍びない。
一月一日
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
彼が私の先の言葉を聞いてからずつと默つてゐるので、私は眼を上げて彼の樣子を
覗
(
うかゞ
)
つてみた。彼の眼は私に注がれてゐたが、激しい驚きと鋭い
穿鑿
(
せんさく
)
の色を同時に浮べた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
又自分は
未
(
ま
)
だ
仏蘭西
(
フランス
)
の中流以上の家庭を
覗
(
うかゞ
)
ふ機会の
少
(
すくな
)
い為に、自分の知りたいと思ふ
仏蘭西
(
フランス
)
婦人の最も優れた性格と
其
(
その
)
最近の生活状態とに
就
(
つい
)
て何等の資料を得て
居
(
を
)
りません。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
客二 お秋ちやん、もう何時だい?(言ひながら阪井の方を
覗
(
うかゞ
)
ふ様に注意してゐる)
疵だらけのお秋
(新字旧仮名)
/
三好十郎
(著)
程經てから、『折角の日曜だツたのに……』と口の中で
呟
(
つぶや
)
いて、
忠志
(
ただし
)
君は時計を出して見た。『兎に角僕はお先に失敬します。』と
楠野
(
くすの
)
君の顏色を
覗
(
うかゞ
)
ひ乍ら、インバネスの砂を拂つて立つ。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
覗
(
うかゞ
)
ふに彼の三人は
有頂天
(
うちやうてん
)
に成りて遊び戯ふれ居しが其中の一人は
豫
(
かね
)
て知りたる源八なり是は歌浦が客と聞き
素
(
もと
)
より
心立
(
こゝろだて
)
惡
(
あし
)
き源八にて兩親の
憂
(
うき
)
苦勞
(
くらう
)
し給ふも
渠
(
かれ
)
ゆゑとは思へども敵にも有らぬ者を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
反
(
そ
)
り
返
(
かへ
)
つた
唇
(
くちびる
)
のやうに
膨
(
ふく
)
れた
肉
(
にく
)
は
埃
(
ほこり
)
に
塗
(
まみ
)
れて
黒
(
くろ
)
く
變
(
へん
)
じて
居
(
ゐ
)
た。
棺臺
(
くわんだい
)
を
透
(
す
)
かして
人
(
ひと
)
が
之
(
これ
)
を
覗
(
うかゞ
)
へば
恐怖
(
おそれ
)
を
懷
(
いだ
)
いて
少
(
すこ
)
しづゝのたくるのであつた。
女房
(
にようばう
)
が
出
(
で
)
たのだといつて
村落
(
むら
)
の
者
(
もの
)
は
減
(
へ
)
らず
口
(
ぐち
)
を
叩
(
たゝ
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
覗
(
うかゞ
)
ひしれない
小熊秀雄全集-04:詩集(3)小熊秀雄詩集1
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
万古の大戯曲家シヱーキスピーアが「世には哲学を以ても科学を以ても
覗
(
うかゞ
)
ひ見るべからざるものあり」と言ひたりしも
各人心宮内の秘宮
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
颶風
(
ぐふう
)
の勢少しく
挫
(
くじ
)
けたるとき、こゝに坐したる
女子
(
をみなご
)
の、彼恢復せられたるエルザレム中の歌を歌ひ、耳を傾けて夫の聲のこれに應ずるや否やを
覗
(
うかゞ
)
ひしこと幾度ぞ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そしてわたしの顔色を
覗
(
うかゞ
)
ひながら、「青木さんからお人が見えた」といふ。わたしは「青木」といふ発音だけでも、一種
厭
(
いと
)
ふべきものに対するいやな心持を
味
(
あぢは
)
つた。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
障子越しに
長物
(
ながもの
)
で突殺せば、大野惣兵衞から五十両褒美をくれるというので、慾張った奴で、剣術は少し心得ておりますが、至って臆病者でございます、
怖々
(
こわ/″\
)
様子を
覗
(
うかゞ
)
いますと
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
此裂
(
これ
)
でおすげなされと
呼
(
よび
)
かくる
事
(
こと
)
もせず、これも
立盡
(
たちつく
)
して
降雨
(
ふるあめ
)
袖
(
そで
)
に
詫
(
わび
)
しきを、
厭
(
いと
)
ひもあへず
小隱
(
こかく
)
れて
覗
(
うかゞ
)
ひしが、さりとも
知
(
し
)
らぬ
母
(
はゝ
)
の
親
(
おや
)
はるかに
聲
(
こゑ
)
を
懸
(
か
)
けて、
火
(
ひ
)
のしの
火
(
ひ
)
が
熾
(
おこ
)
りましたぞえ
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
上田立夫と四郎左衛門とは、時機を
覗
(
うかゞ
)
つて横井を斬らうと決心した。しかし当時の横井はもう六年前の一藩士では無い。朝廷の大官で、
駕籠
(
かご
)
に乗つて出入する。身辺には門人や従者がゐる。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
お霜の寢息を
覗
(
うかゞ
)
つて、夜半に半次の中間部屋に忍び込み、しな
垂
(
だ
)
れかゝるやうな恰好で、後ろから手を前へ廻し、デレデレして居る半次の胸、心の臟を突いた——奧方をやつた時と同じ手口だ
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
同作家の「婦人に寄語す」と題する一篇を読まば、英国の如き両性の間柄厳格なる国に於てすら、斯の如き放言を吐きし詩家の胸奥を
覗
(
うかゞ
)
ふに足る可けむ。
厭世詩家と女性
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
翁は暫く身を屈して、少女のさまを
覗
(
うかゞ
)
ひ居たるが、やをら岸に登りて、きと眼を我姿に注ぎ、空中に十字を書し、彼
大銅鉢
(
だいどうはつ
)
を抱いて舟中に移し、己も續いて乘りうつれり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
父は
縦
(
よ
)
しや預言者たる素質を有してゐなかつたにしても、
遂
(
つひ
)
に consacrés の群に加はることが出来ずに時勢の秘密を
覗
(
うかゞ
)
ひ得なかつたのは、単に身分が低かつたためではあるまいか。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
と
覗
(
うかゞ
)
う傳助の
素頭
(
すこうべ
)
を、すぽんと
抜打
(
ぬきうち
)
にしましたが、傳助は
好
(
い
)
い面の皮。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
下手人は恐ろしく
食
(
く
)
へない奴だ。毎晩主人の樣子を
覗
(
うかゞ
)
つて、殺す折を
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
イザヤは其慷慨
凛凄
(
りんせい
)
なる舌を其「時」によりて得たり、而して其義奮猛烈なる精神をもて、次ぎの「時」の民を率ゐたり、カアライルの批評的眼光を以て
覗
(
うかゞ
)
へば
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
いつは
立
(
た
)
ち
退
(
の
)
いてくれるかと、老人夫婦は客の様子を
覗
(
うかゞ
)
つてゐるが、平八郎は落ち着き払つてゐる。
心安
(
こゝろやす
)
い人が来ては奥の間へ通ることもあるので、
襖一重
(
ふすまひとへ
)
の先にお
尋者
(
たづねもの
)
を置くのが心配に堪へない。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
余は此書の
価直
(
かち
)
を論ずるよりも寧ろ此著の精神を
覗
(
うかゞ
)
ふを主とするなり。即ち紅葉が粋と侠とを集めて一美人を作り、其一代記を
書
(
もの
)
したる中に、如何なる美があるを探らんとするなり。
粋を論じて「伽羅枕」に及ぶ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
芭蕉の葉色、秋風を笑ひて
籬
(
まがき
)
を
蓋
(
おほ
)
へる微かなる
住家
(
すみか
)
より、ゆかしき
音
(
ね
)
の洩れきこゆるに、仇心浮きて
其
(
そ
)
が
中
(
なか
)
を
覗
(
うかゞ
)
ひ見れば、年老いたる盲女の琵琶を弾ずる面影
凛乎
(
りんこ
)
として、俗世の物ならず。
秋窓雑記
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
想世界の敗将気
沮
(
はゞ
)
み心疲れて、何物をか得て満足を求めんとす、労力義務等は実世界の遊軍にして常に想世界を
覗
(
うかゞ
)
ふ者、其他百般の事物彼に迫つて剣鎗相
接爾
(
せつじ
)
す、彼を援くる者、彼を満足せしむる者
厭世詩家と女性
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
我は今無言なり、膝を折りて柱に
憑
(
もた
)
れ、歯を
咬
(
か
)
み、眼を
瞑
(
めい
)
しつゝあり。知覚我を離れんとす、死の
刺
(
はり
)
は我が
後
(
うしろ
)
に来りて
機
(
をり
)
を
覗
(
うかゞ
)
へり。「死」は近づけり、然れどもこの時の死は、生よりもたのしきなり。
我牢獄
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
覗
漢検準1級
部首:⾒
12画
“覗”を含む語句
覗見
差覗
覗込
垣覗
覗眼鏡
覗機関
明巣覗
股覗
覗窓戸
覗目鏡
覗得
覗口
覗出
覗入
見覗
藪覗
付覗
窺覗
盲目覗
盗人覗
...