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ふりがな文庫
“
繰返
(
くりかえ
)” の例文
文芸に四種の理想があるのは毎度
繰返
(
くりかえ
)
した通りでありまして、その四種がまたいろいろに分化して行く事も前に述べたごとくであります。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「寝る時にも手に持って寝ます。寝る時にも手に持って寝ます」と二度そのところを
繰返
(
くりかえ
)
してわはははとお笑いになりました。
僕の帽子のお話
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
三度紀昌が
真面目
(
まじめ
)
な顔をして同じ問を
繰返
(
くりかえ
)
した時、始めて主人の顔に
驚愕
(
きょうがく
)
の色が現れた。彼は客の眼を
凝乎
(
じっ
)
と見詰める。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「レエスに負けたって仕方がねエよ。だけど負けたのは
恥
(
はず
)
かしいねエ」とかなんとか同じ文句を
繰返
(
くりかえ
)
しているうち、
監督
(
かんとく
)
のHさんから
肩
(
かた
)
を
叩
(
たた
)
かれ
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
庄太郎は、さっきの
愚
(
おろか
)
な
邪推
(
じゃすい
)
を笑うどころではなく、
強
(
し
)
いて自分自身を安心させる様に、大丈夫、大丈夫と
繰返
(
くりかえ
)
した。
灰神楽
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
『ですからなぜ、あの家住みませんでしたか。私あの家、面白いの家と思いました』と
幾度
(
いくど
)
も
繰返
(
くりかえ
)
して
口惜
(
くや
)
しがった。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
それから
堀尾
(
ほりお
)
一等卒へ、じろりとその眼を転ずると、やはり右手をさし
伸
(
の
)
べながら、もう一度同じ事を
繰返
(
くりかえ
)
した。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今更いうも愚痴なれど……ほんに思えば……岸より
覗
(
のぞ
)
く
青柳
(
あおやぎ
)
の……と
思出
(
おもいだ
)
す
節
(
ふし
)
の、ところどころを長吉は
家
(
うち
)
の
格子戸
(
こうしど
)
を開ける時まで
繰返
(
くりかえ
)
し繰返し歩いた。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「僕が?」と、わたしは悲しげに
繰返
(
くりかえ
)
した。そしてわたしの胸は、うち
克
(
か
)
つことのできない名状すべからざる
陶酔
(
とうすい
)
にいざなわれて、あやしく
震
(
ふる
)
え始めた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
第三年目の冬も惰性的に前の年の実験を
繰返
(
くりかえ
)
していた。その中にふと気が付いて、
冷
(
つめた
)
い銅板の面を上に逆さに置いて、その下に水を入れた器を置いて見た。
雪を作る話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
……
繰返
(
くりかえ
)
して申上げます。本日午後五時、二百名より成るドイツ将校下士官兵の一隊は、イギリス本土よりわが占領地区カレー市へ無事
帰還
(
きかん
)
いたしました。
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は再び
繰返
(
くりかえ
)
すが、海洋美と山岳美と
渾然
(
こんぜん
)
融和して、大風景を形作る雲仙の
如
(
ごと
)
き名山を知らない。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
由紀子は教養の高い、貞淑な女でしたが、夫卓二の職酷な態度に
虐
(
しいた
)
げられて、次第に生気を失い、今から一年前、
繰返
(
くりかえ
)
して申しますが——心臓麻痺を起して急死しました。
奇談クラブ〔戦後版〕:03 鍵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
鏡
(
かがみ
)
のおもてに
映
(
うつ
)
した
眉間
(
みけん
)
に、
深
(
ふか
)
い八の
字
(
じ
)
を
寄
(
よ
)
せたまま、ただいらいらした
気持
(
きもち
)
を
繰返
(
くりかえ
)
していた
中村松江
(
なかむらしょうこう
)
は、ふと、
格子戸
(
こうしど
)
の
外
(
そと
)
に
人
(
ひと
)
の
訪
(
おとず
)
れた
気配
(
けはい
)
を
感
(
かん
)
じて、じッと
耳
(
みみ
)
を
澄
(
すま
)
した。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「そうだ、多くの土人の怨霊が
凝
(
こ
)
って鬼火となり、椙原家の人間を取殺そうとしているのだ、然もそれは今度が初めてではない、七十年目
毎
(
ごと
)
に
繰返
(
くりかえ
)
されている事が分ったのだ」
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
今日
(
きょう
)
は三十
人
(
にん
)
の
患者
(
かんじゃ
)
を
受
(
う
)
ければ、
明日
(
あす
)
は三十五
人
(
にん
)
来
(
く
)
る、
明後日
(
あさって
)
は四十
人
(
にん
)
に
成
(
な
)
って
行
(
ゆ
)
く、かく
毎日
(
まいにち
)
、
毎月
(
まいげつ
)
同事
(
おなじこと
)
を
繰返
(
くりかえ
)
し、
打続
(
うちつづ
)
けては
行
(
ゆ
)
くものの、
市中
(
まち
)
の
死亡者
(
しぼうしゃ
)
の
数
(
すう
)
は
决
(
けっ
)
して
減
(
げん
)
じぬ。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それを見ると、見物は訳もなく
嬉
(
うれ
)
しがった。その段取を、幾回となく
繰返
(
くりかえ
)
すに連れて、潮のような哄笑が、見物席に幾度も、
湧
(
わ
)
き立った。啓吉も、腹を
抱
(
かか
)
えて、笑った一人である。
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
代理大使
(
だいりたいし
)
がつい
私
(
わたし
)
の
横
(
よこ
)
の
方
(
ほう
)
にゐたが、
彼
(
かれ
)
はまだ
残
(
のこ
)
りをしさうに「キヤニユスピークイングリシユ?」を
繰返
(
くりかえ
)
してゐた。
私
(
わたし
)
はまた
笑
(
わら
)
ひながら、
前
(
まえ
)
と
同
(
おな
)
じことを
繰返
(
くりかへ
)
すより
外
(
ほか
)
なかつた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
そこで
鱗
(
うろこ
)
なら鱗、毛なら毛を彫って、同じような刀法を
繰返
(
くりかえ
)
す頃になって、殿にご休息をなさるよう申す。殿は一度お入りになってお茶など召させらるる。準備が尊いのはここで。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
何だか小さい手で
恰
(
あだか
)
も
合掌
(
がっしょう
)
しているようなのだが、頭も足も
更
(
さら
)
に解らない、ただ灰色の
瓦斯体
(
ガスたい
)
の様なものだ、こんな風に、同じ様なことを三度ばかり
繰返
(
くりかえ
)
したが、その
後
(
ご
)
はそれも
止
(
と
)
まって
子供の霊
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
と、
例
(
れい
)
の
身分
(
みぶん
)
のいい
家鴨
(
あひる
)
はもう一
度
(
ど
)
繰返
(
くりかえ
)
して
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そう明確に答えを
繰返
(
くりかえ
)
していたのであった。
日本名婦伝:細川ガラシヤ夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が
繰返
(
くりかえ
)
して云う通り、演説はできず講義としては
纏
(
まと
)
まらず、定めて聞苦しい事もあるだろうと思います。その辺はあらかじめ
御容赦
(
ごようしゃ
)
を願います。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
五階の北の
端
(
はし
)
の窓で、首くくりがあったのです。しかも、それが、少し時を隔てて、三度も
繰返
(
くりかえ
)
されたのです。
目羅博士の不思議な犯罪
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「ながらへば
寅
(
とら
)
卯
(
う
)
辰
(
たつ
)
巳
(
み
)
やしのばれん、うしとみし年今はこひしき。」それをばあたかも我が身の上を
咏
(
えい
)
じたもののように
幾度
(
いくたび
)
か
繰返
(
くりかえ
)
して聞かせるのであった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
でも、その時わたしが味わったような至福の感じは、わたしの
生涯
(
しょうがい
)
にもはや二度と再び
繰返
(
くりかえ
)
されなかった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
ぼくは、
愈々
(
いよいよ
)
、あなたを忘れねば、と
繰返
(
くりかえ
)
し、オォルに力を入れて、スライドを
蹴
(
け
)
っていたときです。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
そんな会話が
繰返
(
くりかえ
)
されているうちに、
夜更
(
よふ
)
けとなった。このとき病院の玄関に、一人の男が訪れた。院長の許可が出て、上へあげられた彼は、矢走千鳥の病室に通った。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
左近は喜びの余り眼に涙を浮べて、喜三郎にさえ何度となく礼の言葉を
繰返
(
くりかえ
)
していた。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
食事後
(
しよくじご
)
の
気分
(
きぶん
)
は
前
(
まえ
)
よりも一
層
(
そう
)
打寛
(
うちくつろ
)
いだものであつたが、
彼等
(
かれら
)
の
或者
(
あるもの
)
は
尚
(
なお
)
も
未練
(
みれん
)
がましく
私達
(
わたしたち
)
の
傍
(
そば
)
へ
寄
(
よ
)
つて
来
(
き
)
て、
揉手
(
もみて
)
をしながら「キヤンニユスピイク、イングリシユ?」を
繰返
(
くりかえ
)
した。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
私達が
昨日
(
さくじつ
)
見て来た地獄は旧火山である西雲仙中央火山丘の一つが、その後絶えず
繰返
(
くりかえ
)
された爆発のため
山形
(
さんけい
)
を失い、現在の地獄盆地を現出したものに
外
(
ほか
)
ならないと、地質学者は説く。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
世の
溷濁
(
こんだく
)
と諸侯の無能と孔子の不遇とに対する
憤懣
(
ふんまん
)
焦躁
(
しょうそう
)
を幾年か
繰返
(
くりかえ
)
した後、ようやくこの頃になって、漠然とながら、孔子及びそれに従う自分等の運命の意味が判りかけて来たようである。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
アンドレイ、エヒミチはやはり
相手
(
あいて
)
の
顔
(
かお
)
を
見
(
み
)
ずに、
知識
(
ちしき
)
ある
者
(
もの
)
の
話
(
はなし
)
ばかりを
続
(
つづ
)
ける、ミハイル、アウエリヤヌイチは
注意
(
ちゅうい
)
して
聴
(
き
)
いていながら『それは
真実
(
まったく
)
です。』と、そればかりを
繰返
(
くりかえ
)
していた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
あの夜から毎晩、四人は螺旋階段にひそんで、怪鳥の現われるのを
待伏
(
まちぶ
)
せた。怪鳥は空から来る、新田はそう断言した。博士にも北村にも信じられなかったが、新田は確信ありげに
繰返
(
くりかえ
)
し断言した。
廃灯台の怪鳥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と、
繰返
(
くりかえ
)
してキョロキョロしている。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は喜いちゃんから、その書物を受け取って、無意味にそこここを
引
(
ひ
)
っ
繰返
(
くりかえ
)
して見ていた。実は何が何だか私にはさっぱり解らなかったのである。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お糸は
已
(
すで
)
に長吉のよく知っている事情をば再びくどくどしく
繰返
(
くりかえ
)
した。お糸が芸者になるという事は二、三年いやもっと前から長吉にも
能
(
よ
)
く分っていた事である。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
なんという
残忍
(
ざんにん
)
な
微笑
(
びしょう
)
を
浮
(
うか
)
べながら、わたしはこの『なんにも』という句を、
繰返
(
くりかえ
)
したことだろう!
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
紫繻子の猿股が、もう一度優しく
繰返
(
くりかえ
)
した。色の黒い、
脣
(
くちびる
)
の厚い、四十
恰好
(
かっこう
)
の
巖乗
(
がんじょう
)
な男だ。
踊る一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「手術後、ガーゼを取って、手紙を見よ」この信号は、
繰返
(
くりかえ
)
し発信されたのだった。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ぼくにはよく解らないながら、川北氏の一言一句はネルチンスキイの
肺腑
(
はいふ
)
に
染
(
し
)
み
渡
(
わた
)
るとみえ、彼はいかにも
恐縮
(
きょうしゅく
)
した様子で、「I'm sorry.」を
繰返
(
くりかえ
)
しては
頷
(
うなず
)
いていました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
況
(
いわ
)
んや向後の作物が旧来の傾向を
繰返
(
くりかえ
)
して満足せぬ限り、時と、場合と、作家の性癖と、発展の希望とによって生面を開きつつ推移する限り、何派
高浜虚子著『鶏頭』序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
幾度
(
いくど
)
となく有りがとうを
繰返
(
くりかえ
)
したのであったが、それがその人の一生涯の恐らく最終の感激であった。
勲章
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
新一は同じ言葉を夢見るように
繰返
(
くりかえ
)
したきり、黙り込んでしまった。彼の目はどこか遠くを見つめたまま、釘づけのように動かなくなった。そしてその目が段々大きく見開かれて行った。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
太平洋艦隊司令長官「……最大の
欠陥
(
けっかん
)
は、命令系統が一つでないということだ。強敵日本軍に対して同時作戦が行われないでは、勝利への
途
(
みち
)
は絶対に発見されないのだ。このことは再三余の
繰返
(
くりかえ
)
したところだ」
諜報中継局
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いずれも私の一度経過した
煩悶
(
はんもん
)
(たとい種類は違っても)を
繰返
(
くりかえ
)
しがちなものじゃなかろうかと推察されるのです。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
稽古の男は「
小稲半兵衛
(
こいなはんべえ
)
」をさらった
後
(
のち
)
同じような「お
妻八郎兵衛
(
つまはちろべえ
)
」の
語出
(
かたりだ
)
しを二、三度
繰返
(
くりかえ
)
して帰って行ったのである。蘿月は
尤
(
もっと
)
もらしく
坐
(
すわ
)
り
直
(
なお
)
して扇子で軽く
膝
(
ひざ
)
を
叩
(
たた
)
いた。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そうしてその翌晩になれば、どこから忍んで参るのか、やっぱり、いつもの
艶
(
なま
)
めかしい囁き声が、夫との睦言を
繰返
(
くりかえ
)
し、又幽霊の様に、いずことも知れず消え去ってしまうのでございます。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
今朝も、また
更
(
さら
)
に
繰返
(
くりかえ
)
して探して下さるそうです
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もう一遍
繰返
(
くりかえ
)
して「意識の連続」と申します。この句を割って見ると意識と云う字と連続と云う字になります。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
繰
常用漢字
中学
部首:⽷
19画
返
常用漢字
小3
部首:⾡
7画
“繰返”で始まる語句
繰返し
繰返言
繰返々々