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祠
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ほこら
ふりがな文庫
“
祠
(
ほこら
)” の例文
庭の奥の林の中には、近所の百姓地で荒れ放題になっていたという、稲荷様の
祠
(
ほこら
)
を移して、元のままながら小綺麗に
祀
(
まつ
)
ってあります。
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ふと、お袖の見たあいての女性も、
祠
(
ほこら
)
の横の大きな木の幹に、半ば、すがたを隠して、じっと、射るような眼をしているのであった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここにも夜店がつづき、
祠
(
ほこら
)
の横手の
稍
(
やや
)
広い空地は、植木屋が一面に並べた
薔薇
(
ばら
)
や
百合
(
ゆり
)
夏菊などの鉢物に時ならぬ花壇をつくっている。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
昼から陰っていた大空は高い
銀杏
(
いちょう
)
のこずえに真っ黒に
圧
(
お
)
しかかって、稲荷の
祠
(
ほこら
)
の灯が眠ったように薄黄色く光っているのも寂しかった。
半七捕物帳:18 槍突き
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
六三園は純粋の日本式庭園で、諏訪明神の
祠
(
ほこら
)
があり、地蔵の石像があり、
茶亭
(
さてい
)
が設けられ、温室には各種の花が培養せられて居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
殊勝
(
しゆしよう
)
らしく
聞
(
きこ
)
えて
如何
(
いかゞ
)
ですけれども、
道中
(
だうちう
)
、
宮
(
みや
)
、
社
(
やしろ
)
、
祠
(
ほこら
)
のある
處
(
ところ
)
へは、
屹
(
きつ
)
と
持合
(
もちあは
)
せた
藥
(
くすり
)
の
中
(
なか
)
の、
何種
(
なにしゆ
)
のか、
一包
(
ひとつゝみ
)
づゝを
備
(
そな
)
へました。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
太助とは、山の神の
祠
(
ほこら
)
のあるところへ餅を供へにも行つたことが有ります。都會の子供などと違ひ、玩具も
左樣
(
さう
)
自由に手に入りません。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
又は山の中の小さな石の
祠
(
ほこら
)
を引っくり返し、お狐様の穴に懐中電燈を突込んだりして、寝ても醒めても兇器の捜索に夢中になっていた。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
津島の天王の信仰は弘く及んでいるようだが、
御葭場
(
みよしば
)
という
祠
(
ほこら
)
のあるのは湾内沿岸だけで、それも伊勢の側はどうであるかわからない。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
図183は家庭内の
祠
(
ほこら
)
を、写生したものである。小さなテーブルの上にならんでいるコップは真鍮製で、赤い色をした飯が盛ってある。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
揚子江と
灌水
(
かんすい
)
の間の土地では、蛙の神を祭ってひどく
崇
(
あが
)
めるので、
祠
(
ほこら
)
の中にはたくさんの蛙がいて、大きいのは籠ほどあるものさえある。
青蛙神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
往還
(
わうくわん
)
よりすこし
引入
(
ひきい
)
りたる
路
(
みち
)
の
奥
(
おく
)
に
似
(
に
)
つかぬ
幟
(
のぼり
)
の
樹
(
た
)
てられたるを何かと問へば、
酉
(
とり
)
の
市
(
まち
)
なりといふ。
行
(
ゆ
)
きて見るに
稲荷
(
いなり
)
の
祠
(
ほこら
)
なり。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
人間の毛髪を刈取ったものを私は寺の本堂や小さな
祠
(
ほこら
)
の壁や柱に、
亥
(
い
)
の年の女とか何とか記されて
吊
(
つ
)
り下げられてあるのを見る。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
その時、ふと注意を転じると、母家の左の隅の方に古い稲荷の
祠
(
ほこら
)
のあるのが眼に
這入
(
はい
)
った。津村の足は思わず垣根の中へ進んだ。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
薄緑の芝生や、しなやかに昇る噴水で飾られた
園
(
その
)
がある。
処々
(
しよ/\
)
に高尚な大理石の像が立てゝある。木立の間には、愛の神を
祀
(
まつ
)
つた
祠
(
ほこら
)
がある。
クサンチス
(新字旧仮名)
/
アルベール・サマン
(著)
その日も孝也がでかけたので、日が
昏
(
く
)
れてから二人は会った。屋敷の北の隅に「茂庭明神」といって氏の神を
祀
(
まつ
)
った
祠
(
ほこら
)
がある。
月の松山
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
裏庭の梅林に小さな
稲荷
(
いなり
)
の
祠
(
ほこら
)
のあるのを、次兄が、開けて見たら妙な形の石があったというので、祖母にひどく
叱
(
しか
)
られました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
蔦
(
つた
)
のからまった小さな
祠
(
ほこら
)
のあるのを認めると共に、その祠の側の杉の大樹の下に、人が一人立っているのをさとらないわけにはゆきません。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
大島の神社の境内に、
御幣
(
ごへい
)
を木の下に立て、
茅
(
かや
)
をもってこれを囲んであるものがある。これは島内の安全を祈るための
祠
(
ほこら
)
代用であるとの話だ。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
比叡坂本側の
花摘
(
はなつみ
)
の
社
(
やしろ
)
は、色々の伝えのあるところだが、里の女たちがここまで登って花を摘み、
序
(
ついで
)
にこの
祠
(
ほこら
)
にも奉ったことは、確かである。
山越しの阿弥陀像の画因
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
稲荷の
祠
(
ほこら
)
も垣根も雪に
隈取
(
くまど
)
られ、ふだんの
紅殻
(
べんがら
)
いろは、河岸の黒まった倉庫に対し、
緋縅
(
ひおど
)
しの
鎧
(
よろい
)
が投出されたような、鮮やかな
一堆
(
いったい
)
に見える。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
道祖
(
さえ
)
の神の
祠
(
ほこら
)
を
後
(
うしろ
)
にして、
佇
(
たたず
)
んでいる沙門の
眼
(
ま
)
なざしが、いかに天狗の
化身
(
けしん
)
とは申しながら、どうも唯事とは思われません。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その上に、彼は
白無垢
(
しろむく
)
の布を肩から
吊
(
つ
)
って、胸にうやうやしく白木の
祠
(
ほこら
)
をかかえていた。唐突なほど
真面目
(
まじめ
)
くさっていた。鎮守の
小祠
(
しょうし
)
である。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
即ち、被告は、神の名により、不当の価格にて医薬を売ろうとしたものであり、人命救助の目的を以って竹駒稲荷の
祠
(
ほこら
)
を
建立
(
こんりゅう
)
したものではない。
或る部落の五つの話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「や、や、あの
山神
(
さんじん
)
の
祠
(
ほこら
)
の台座、後面の石垣のまん中の丸石を抜き取ると、その下が抜穴、そこに佐渡の金箱が隠して有るので御座りまするか」
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
きょうはそのお稲荷さまなんか、あれどもなきがごときありさまで、今その
祠
(
ほこら
)
のうしろの庭隅に、この壮大なお祭りが開かれようとしています。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
撮影しに行つた際、私達はそこで弁当をつかつたが、傍にはやはり何かの社といふよりは
祠
(
ほこら
)
があつて、いまも遊山の人が来るらしい形跡が見えた。
「晩年」によせて
(新字旧仮名)
/
小山清
(著)
多分二時を少し廻った時刻でしたが、すると
彼処
(
あそこ
)
に御存知の様に、何んとか言う
情事
(
いろごと
)
の
祠
(
ほこら
)
があるんで、そいつを一寸
拝
(
おが
)
んで行く気になったんです。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼は其の辺に有名な行者で、梅林の奥に小さな
祠
(
ほこら
)
を守つて居た。彼自らの言ふ所によると、
齢
(
よはひ
)
は既に九十を過ぎて居た。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
池は田となったが、小さな
祠
(
ほこら
)
はいまでも残っていて命日には桜井家の当主が代々まつりを断やさないというのである。
加波山
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
二人は
稲荷
(
いなり
)
さんの
祠
(
ほこら
)
についた。祠は小さいが、八幡さまのに次ぐくらいの大松が二本生えている。僕達はその下に立った。もう日の暮れ近くだった。
村一番早慶戦
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その時わしはたまらなくなって立ち上がりました。わしは
餓鬼
(
がき
)
の
祠
(
ほこら
)
を拝んでいるのではないかという気がしたのです。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
そこには、
小
(
ちい
)
さな
祠
(
ほこら
)
があって、その
縁
(
えん
)
の
下
(
した
)
なら、
安全
(
あんぜん
)
と
思
(
おも
)
ったのでしょう。けれどそこは
湿気
(
しっけ
)
にみち、いたるところ、くもの
巣
(
す
)
が、かかっていました。
どこかに生きながら
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
晩春の午後、裏庭では旦那が気ぜわしそうに爺さんや、若い衆たちを指図して、小さな
祠
(
ほこら
)
を荷馬車に積ませていた。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
そのために後日、向山という所大いに崩れ、住民
困
(
くるし
)
んで
祠
(
ほこら
)
を建て神に
祀
(
まつ
)
ったが、今も倉科様てふ祠ある(『郷土研究』四巻九号五五六頁、林六郎氏報)
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
街道は白く弓なりに
迂廻
(
うかい
)
しているので
忽
(
たちま
)
ち私は彼らの
遥
(
はる
)
か行手の馬頭観音の
祠
(
ほこら
)
の傍らに達し、じっと息を殺して
蹲
(
うずくま
)
ったまま物音の近づくのを待伏せした。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
嘉門次が帰りそうにもないので、小舎から二、三町も行く、鳥居があって四尺ばかりの
祠
(
ほこら
)
を見せる、穂高神社の奥の院だという、笹を分けると宮川の池。
梓川の上流
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
ほんの僅かばかりの、
愼
(
つつ
)
ましい祈願をかける人人の神神は、同じやうに
愼
(
つつ
)
ましく、小さな
些
(
ささ
)
やかな
祠
(
ほこら
)
で出來てる。
宿命
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
稲荷坂というのは、
旧
(
もと
)
布哇
(
はわい
)
公使の別荘の横手にあって、坂の中ほどに小さい稲荷の
祠
(
ほこら
)
がある。社頭から坂の両側に続いて桜が今を盛りと咲き乱れている。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
そこには小さな
祠
(
ほこら
)
が祭られていたが、その祠の真うしろの、一番大きい団栗の幹に、大釘が五本ほど打ちこんであるのを、かつて彼は見たことがあった。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
踊るような恰好の一本松や、竹藪へ登る壊れた石段、「猿田彦大神」の
祠
(
ほこら
)
などには、はっきりした記憶があった。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
そして今夜の宿泊所を求めるために、人影の全く絶えた、石段ぎわの小さい
祠
(
ほこら
)
の暗闇の方へいざり寄って行った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
村を出はずれて、おいなりさまの
祠
(
ほこら
)
のあるところまでゆくと、道ばたのアシのしげみの向うから、山羊をつれた人が、こっちへやってくるのが見えました。
柿の木のある家
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
土神は何とも云へずさびしくてそれにむしゃくしゃして仕方ないのでふらっと自分の
祠
(
ほこら
)
を出ました。足はいつの間にかあの樺の木の方へ向ってゐたのです。
土神と狐
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それに、たとえ機会が与えられたとしても、
祠
(
ほこら
)
のうしろを見ることは、非常な勇気の
入
(
い
)
る仕事だ。イザとなったら、おれにはこわくて出来ないかも知れぬ。
疑惑
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
何の風情もない、饅頭笠を伏せた樣な芝山で、
逶迤
(
うねくね
)
した
徑
(
みち
)
が嶺に盡きると、太い杉の樹が
矗々
(
すく/\
)
と、八九本立つてゐて、二間四方の荒れ果てた愛宕神社の
祠
(
ほこら
)
。
赤痢
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それ故、村人は赤星重右を一種の、何かふしぎな天狗の一種のような、決しておろそかにできないもののような考えを持ち、それを
祠
(
ほこら
)
のなかに加えたのである。
天狗
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
お稲荷様の
祠
(
ほこら
)
の脇から杉の木立ちの生い茂っている桜山続きの裏山の
嶮
(
けわ
)
しい細径を登りはじめたが、なるほどこれが亭主のいわゆる裏道伝いというのであろう。
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
燈明の火が明るく輝き、紫の幕が、華やかに
栄
(
は
)
え、その奥から、
真鍮
(
しんちゅう
)
の
鋲
(
びょう
)
を持った
祠
(
ほこら
)
の、
扉
(
とぼそ
)
が覗いていた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
道の行きどまりに小さな
祠
(
ほこら
)
があった。いつもは、その前を何べん通りすぎても、特に気をとめて見たこともない。しかし、私はその前にひざまずいて
伏
(
ふ
)
し
拝
(
おが
)
んだ。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
“祠”の解説
祠(ほこら)とは、神を祀る小規模な殿舎。語源は神道用語の「ほくら(神庫、宝倉)」の転訛という。小祠(しょうし)、小堂(しょうどう)とも。もともとは古神道に由来する信仰であるが、神仏習合によって道祖神に関連した仏(地蔵菩薩など)も祀るようになった。神社の簡略形で、人が立ち入ることが難しい場所や、集落や個人が所有する土地に設置され、神職は常駐しない。
(出典:Wikipedia)
祠
漢検1級
部首:⽰
10画
“祠”を含む語句
小祠
祠堂
祠堂金
淫祠
祠官
祠前
古祠
祭祠
社祠
祠畔
菅神祠
素女祠
葛女祠
野祠
陳宝祠
神祠巫覡
神祠
町祠
生祠記
水祠
...