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理窟
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りくつ
ふりがな文庫
“
理窟
(
りくつ
)” の例文
資生堂の暖かそうな
飲料
(
のみもの
)
は、
理窟
(
りくつ
)
なしに捨ててしまって「違っているぞ」と承知しながら、その方へむかって歩みを運ぶのであった。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「いずれ、その内持ってくつもりだがね。——意気地がなくって、
理窟
(
りくつ
)
がわからなくって、個人としちゃあ三文の価値もないもんだ」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしそれなら
尚更
(
なおさら
)
私
(
わたくし
)
の
申上
(
もうしあ
)
げる
事
(
こと
)
がよくお
判
(
わか
)
りの
筈
(
はず
)
で、
神社
(
じんじゃ
)
の
装置
(
そうち
)
もラジオとやらの
装置
(
そうち
)
も、
理窟
(
りくつ
)
は
大体
(
だいたい
)
似
(
に
)
たものかも
知
(
し
)
れぬ……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
さうして
極
(
きま
)
り
切
(
き
)
つた
理窟
(
りくつ
)
も
反覆
(
はんぷく
)
して
聞
(
き
)
かせて
居
(
ゐ
)
るうちにはころりと
落
(
お
)
ちて
畢
(
しま
)
ふといふ
其
(
そ
)
の
呼吸
(
こきふ
)
を
内儀
(
かみ
)
さんは
能
(
よ
)
く
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
るのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
その言い分にも
理窟
(
りくつ
)
がないわけでもなく、あの病気のひどい絶頂に、夜昼をわかず使った氷代だけでも、生やさしい金ではなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
それはもう
幾歳
(
いくつ
)
になつたから親に別れて可いと
謂
(
い
)
ふ
理窟
(
りくつ
)
はありませんけれど、
聊
(
いささ
)
か慰むるに足ると、まあ、
思召
(
おぼしめ
)
さなければなりません
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
相手は、意のままである。下手に、自然を装い、
理窟
(
りくつ
)
を言って相手に理解させ安心させようなどと努力すれば、かえっていけない。
座興に非ず
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それは
丁度
(
ちやうど
)
日本
(
にほん
)
の
國號
(
こくがう
)
を
外人
(
ぐわいじん
)
が
何
(
なん
)
と
呼
(
よ
)
び
何
(
なん
)
と
書
(
か
)
かうとも、
吾人
(
ごじん
)
は
必
(
かなら
)
ず
常
(
つね
)
に
日本
(
にほん
)
と
呼
(
よ
)
び
日本
(
にほん
)
と
書
(
か
)
かねばならぬのと
同
(
おな
)
じ
理窟
(
りくつ
)
である。(完)
誤まれる姓名の逆列
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
愛の冷却した夫婦の結合は不自然であるとか虚偽であるとかいう勝手な
理窟
(
りくつ
)
を附けて不条理極まる破縁を不人情とも
没義道
(
もぎどう
)
とも思わず
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「お母さん、もう戦争なんて、ありませんよ。
理窟
(
りくつ
)
から云ったって、日本は戦争をしない方が勝ちです。それが世界の動きなんだから」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
たといその二品が桐田の家にあろうとも、こっちの知ったことではないと、
理窟
(
りくつ
)
には合わんけれど、やつはまずそう言い張るのだ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
理窟
(
りくつ
)
を申していると際限もありません、が、私が
此処
(
ここ
)
で
申上
(
もうしあ
)
げ
度
(
た
)
いのは、夢は従来の心理学者が発表したような、簡単な睡眠中の
刺戟
(
しげき
)
や
奇談クラブ〔戦後版〕:14 第四次元の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
なるほど、あなたのおっしゃることは
唯
(
ただ
)
それだけ伺っていれば
理窟
(
りくつ
)
が通っています。
何処
(
どこ
)
にも切り込む
隙
(
すき
)
がないように聞えます。
途上
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この先生の言としては怪むに
足
(
た
)
らない、もし
理窟
(
りくつ
)
を言って対抗する積りなら初めからこの家に
出入
(
でいり
)
をしないのである。と彼は思い返した。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「興に依りて之を作る」と左注にあるが、興の
儘
(
まま
)
に、
理窟
(
りくつ
)
で運ばずに家持流の語気で運んだのはこの歌をして一層なつかしく感ぜしめる。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
もちろん樗牛全集の一巻、二巻、四巻などは、読みは読んでもむずかしくって、よく
理窟
(
りくつ
)
がのみこめなかったのにちがいない。
樗牛の事
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
自分が従来服従し
来
(
きた
)
ったところのものに対して或る反抗を起さねばならぬような境地(と私は言いたい。
理窟
(
りくつ
)
は
凡
(
すべ
)
て後から生れる者である)
性急な思想
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
体験しましたわれわれの悲しみは
理窟
(
りくつ
)
で説明も何もできません。院にもあなたの御様子をよく申し上げます。必ず御同情をあそばすでしょう
源氏物語:09 葵
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
彼はいわゆる用心深い人で、笑うのはしっかりした理由があるときだけ、すなわち、
理窟
(
りくつ
)
と法則とにかなったときだけである。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
芸人としての
理窟
(
りくつ
)
を言えば、それはたくさんあることはある。人を笑わせるには自分から笑っていては利き目がないということもその一つだ。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
ただあのようなおどけたことをしている人間がいつでもそれ相当に苦心をして造った
理窟
(
りくつ
)
に身を捧げているのが賛成出来なかっただけである。
厨房日記
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
理窟
(
りくつ
)
や議論はどうにもあれ、宇宙の或る何所かで、私がそれを「見た」ということほど、私にとって絶対不惑の事実はない。
猫町:散文詩風な小説
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
行商人はそうした取引にいちいち
叮嚀
(
ていねい
)
に、何か
理窟
(
りくつ
)
をつけては、決して高くないとか、品が違うなどと言いくるめてしまう。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
たいがい弱いほうに
理窟
(
りくつ
)
があるに
相場
(
そうば
)
がきまっているから、そこでこの夫婦喧嘩師の茨右近と知らずのお絃は、いつも大勢を向うにまわして
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
清盛は些細な罪で有能な官吏を流罪にするのは当をえた政治ではないなどと妙な
理窟
(
りくつ
)
をこね、基道を突っついてしつっこく法皇にせっつかせた。
無月物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
三之丞が云うだろう
理窟
(
りくつ
)
はもうおよそ察しているから、わざと念を入れて三左衛門をやったのだが、果して来るかどうかと思うと落着きがない。
備前名弓伝
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
全く絵の仕事位割切れない、
理窟
(
りくつ
)
通りに行かぬものはあるまい。正道もあてにならず邪道もまた必ずしも
軽蔑
(
けいべつ
)
に値しない。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
と病中の
無聊
(
ぶりょう
)
にかかる研究心を起せしと見ゆ。中川は何事にも一応の
理窟
(
りくつ
)
を組立つる
癖
(
くせ
)
あり「イヤ、食合せの
禁忌
(
きんき
)
という事は必ずあるべき事だ。 ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
しかし少し
理窟
(
りくつ
)
を追って考えてゆくならば、無生物からしてひょっくりと生物が生まれてくる
筈
(
はず
)
のないことは、むしろ当然であると思われるのです。
チャールズ・ダーウィン
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
疑心暗鬼
(
ぎしんあんき
)
から、ついそこへ参ったというのは、
理窟
(
りくつ
)
では説明の出来ない、何かの感応があったのでございましょうか。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
人類は、後を行く者が、前を行くものよりもすぐれているべきだと思った。
理窟
(
りくつ
)
はない、まさに親馬鹿の
発露
(
はつろ
)
である。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
それは単に
理窟
(
りくつ
)
の上の話であり、葛巻の芸術に圧倒されたわけでもなければ、わが芸術に自信を失う、絶望した、ということと全然意味が違っている。
青い絨毯
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
片手に
提
(
さ
)
げてる継続問題ぢやありませんか、
其様
(
そんな
)
乾燥無味な
理窟
(
りくつ
)
で、
彼
(
あ
)
の多感多情の藤野を殺すことは出来ませんよ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
世のいろいろの宗教はいろいろの道をたどりてこれを
世人
(
せじん
)
に
説
(
と
)
いているが、それを私はあえて
理窟
(
りくつ
)
を言わずにただ感情に
訴
(
うった
)
えて、これを草木で
養
(
やしな
)
いたい
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
『どう
理窟
(
りくつ
)
をひねっても、泥棒をやっても仕方がないとする理由は見つからないね。何しろ自分が生きるために、果てなく人を犠牲にしてゆくんだからな』
人間山水図巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
面白
(
おもしろ
)
げなる
顔色
(
がんしよく
)
の
千番
(
せんばん
)
に一番
捜
(
さが
)
すにも
兼合
(
かねあひ
)
と
申
(
もう
)
すやらの
始末
(
しまつ
)
なりしに
候
(
そろ
)
度々
(
たび/″\
)
の
実験
(
じつけん
)
なれば
理窟
(
りくつ
)
は
申
(
まう
)
さず、今も
然
(
しか
)
なるべくと
存候
(
ぞんじそろ
)
愈々
(
いよ/\
)
益々
(
ます/\
)
然
(
しか
)
なるべくと
存候
(
ぞんじそろ
)
。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
だから、その結び付きを知らせてやりさえすれば、清川や青年団などの
理窟
(
りくつ
)
をみんなは本能で見破ってしまう。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「書生の
理窟
(
りくつ
)
じゃ。ま、理窟はよい、わしが負けておこう。今、兵頭が参ったなら、改めて話すことがある」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
それはそうかもしれない。が、ようするに、
理窟
(
りくつ
)
は理窟だ。実際には、この警察の広告のために、とうとうあの思いがけない結果となってしまったではないか。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
ここにこそ
俺
(
おれ
)
の学ぶべきところがあるのかもしれないぞ、と、
悟浄
(
ごじょう
)
はへんな
理窟
(
りくつ
)
をつけて考えた。俺の生活のどこに、ああした本能的な没我的な瞬間があるか。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
われわれは、そんな宇宙がどうの、不生不滅がどうの、空がどうの、般若がどうのというような、自分らの生活と、全く縁の遠い
理窟
(
りくつ
)
を、聞こうとは思わないのだ
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
仕様のない
若旦那
(
わかだんな
)
だ。こんな晩に東京から、飛び出して来て、旦那をとっちめるなんて、
理窟
(
りくつ
)
のねえ事を
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
こうして一つ一つをとってみると様々な考証や
理窟
(
りくつ
)
はつくが、しかし四つ
揃
(
そろ
)
ったところを眺めると、時代の相違を忘れるほど見事な調和を示しているのが不思議だ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
何事も
理窟
(
りくつ
)
っぽく、数学的に物を考える末造が
為
(
た
)
めには、お常の言っている事が不思議でならない。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その娘は腹違いの妹の学校友達で、お新と言って、色の黒い
理窟
(
りくつ
)
好な
異母妹
(
いもうと
)
とは大の仲好だった。
船
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何もあの小僧が居なけあ船が出ねえって
理窟
(
りくつ
)
もあるめえし……お
前
(
めえ
)
んとこの
船長
(
おやじ
)
がいくら
変者
(
かわりもの
)
だってそんな無鉄砲な酔狂をして
乗組員
(
のりくみ
)
を腐らせるような
馬鹿
(
ばか
)
でもあんめえ。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
花岡の声 ……なんだか知らないが、そんな
理窟
(
りくつ
)
はどうでもいいじゃないか。理窟が多すぎる。
胎内
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
非合理な事実をそのままにしておいて、かえってそれを合理化する
理窟
(
りくつ
)
を考え出すこともある。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
それにまた
理窟
(
りくつ
)
で自分をやりこめるほどゴットフリートが
利口
(
りこう
)
だなどとは、思いもよらないことだった。
彼
(
かれ
)
はやり返してやる
議論
(
ぎろん
)
か
悪口
(
あっこう
)
を考えたが、思いあたらなかった。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
と
恁
(
かう
)
云
(
い
)
ふです。
我々
(
われ/\
)
を
這麼格子
(
こんなかうし
)
の
内
(
うち
)
に
監禁
(
かんきん
)
して
置
(
お
)
いて
苦
(
くる
)
しめて、
而
(
さう
)
して
是
(
これ
)
は
立派
(
りつぱ
)
な
事
(
こと
)
だ、
理窟
(
りくつ
)
の
有
(
あ
)
る
事
(
こと
)
だ、
奈何
(
いかん
)
となれば
此
(
こ
)
の
病室
(
びやうしつ
)
と、
暖
(
あたゝか
)
なる
書齋
(
しよさい
)
との
間
(
あひだ
)
に
何
(
なん
)
の
差別
(
さべつ
)
もない。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
“理窟”の意味
《名詞》
理窟(りくつ 「理屈」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
理屈 の別表記。
(出典:Wiktionary)
理
常用漢字
小2
部首:⽟
11画
窟
常用漢字
中学
部首:⽳
13画
“理窟”で始まる語句
理窟屋
理窟張