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無頼
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ぶらい
ふりがな文庫
“
無頼
(
ぶらい
)” の例文
礼儀を知らない
無頼
(
ぶらい
)
の徒でないかぎりは、すべての家庭は諸君のために門戸をひらいて、非常に親切に面倒を見てくれるのである。
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
卑しい
傀儡
(
くぐつ
)
の顔を写しましたり、不動明王を描く時は、
無頼
(
ぶらい
)
の
放免
(
はうめん
)
の姿を
像
(
かたど
)
りましたり、いろ/\の
勿体
(
もつたい
)
ない真似を致しましたが
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その荘院には、つねに百姓らしからぬ
無頼
(
ぶらい
)
のみを寄せ集め、ただ武勇を誇っては、遠近に喧嘩の相手と機会を求めてばかりいた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これ他なし
我邦
(
わがくに
)
固有の旧文化破壊せられて新文化の基礎遂に成らず一代の人心甚だ
軽躁
(
けいそう
)
となりかつ
驕傲
(
きょうごう
)
無頼
(
ぶらい
)
に走りしがためのみ。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
無頼
(
ぶらい
)
の生活もして居りません。ひそかに読書もしている筈であります。けれども、努力と共に、いよいよ自信がなくなります。
自信の無さ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
一道の達人、諸国の脱藩者、それから
無頼
(
ぶらい
)
な放浪者なぞから成る二百四十人からの群れの腕が馬籠の問屋場の前で鳴った。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかるに私は、小さい頃から、
無頼
(
ぶらい
)
の性質でございまして、
暴
(
あば
)
れ者などの
頭
(
かしら
)
となって、
仁侠
(
にんきょう
)
の
真似
(
まね
)
など致しますのが、何より好きでございました。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
以前、この氏の虚無思想は、氏の
無頼
(
ぶらい
)
な
遊蕩
(
ゆうとう
)
的生活となって表われ、それに伴って氏はかなり利己的でもありました。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そこで当然、落込んでいったのは、
市井
(
しせい
)
無頼
(
ぶらい
)
の徒のむらがっている、自由で放縦な場処だった。そんな
仲間
(
なかま
)
にはいるのに、なんの手間暇がいるであろう。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
女が酒の醸造を
掌
(
つかさど
)
ったことは、近昔の文学では狂言の「
姥
(
うば
)
が酒」に実例がある。
無頼
(
ぶらい
)
の
甥
(
おい
)
が鬼の面を
被
(
かぶ
)
り、
伯母
(
おば
)
の老女を
脅
(
おど
)
して貯えの酒を飲むのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
これは彼が自分の
無頼
(
ぶらい
)
の一生を叙述して子孫のイマシメにするために残した「夢酔独言」という奇怪にして捧腹絶倒すべき自叙伝の書き出しの文章である。
安吾史譚:05 勝夢酔
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
悪遊びと乱行が、骨の髄まで染み込んでいる出羽守は、
市井
(
しせい
)
無頼
(
ぶらい
)
の徒のようになっていて、この側近の臣に対しては、あまり主従の別を置かないのである。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
無頼
(
ぶらい
)
の徒が共産党の仮面を冠って潜入した。秘密結社が活動した。街路の壁や、辻々の電柱や、露路の奥にまで日本人に反抗すべしという
宣単
(
せんたん
)
が貼られ始めた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
典獄は
沈思
(
ちんし
)
してそうあろうそうあろう、察し申す、ただこの上は獄則を謹守し、なお
無頼
(
ぶらい
)
の女囚を改化遷善の道に
赴
(
おもむ
)
かしむるよう導き教え、同胞の暗愚を訓誨し
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
無頼
(
ぶらい
)
の徒、無職者は激増し、街道筋に存在する木賃宿は各地より集まる各種の行商人遊芸人等の巣窟となり、附近一帯の住民の生活に甚だしい悪影響を与へつつある。
釜ヶ崎
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
華美を極めた晴着の上に
定紋
(
じょうもん
)
をうった
蝦茶
(
えびちゃ
)
のマントを着て、飲み仲間の主権者たる事を現わす
笏
(
しゃく
)
を右手に握った様子は、ほかの青年たちにまさった
無頼
(
ぶらい
)
の風俗だったが
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
村の人の幾らか好くなつたらうと望を
属
(
しよく
)
して居たのにも
拘
(
かゝは
)
らず、相変らず
無頼
(
ぶらい
)
で、
放蕩
(
はうたう
)
で後悔を為るどころか一層大胆に悪事を行つて、殆ど傍若無人といふ有様であつた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
亞尼
(
アンニー
)
に
一人
(
ひとり
)
の
息子
(
むすこ
)
があつて、
極
(
ご
)
く
放蕩
(
ほうたう
)
無頼
(
ぶらい
)
な
男
(
をとこ
)
で、十
幾年
(
いくねん
)
か
前
(
まへ
)
に
家出
(
いへで
)
をして、
行衞不明
(
ゆくゑふめい
)
になつたといふ
事
(
こと
)
は
兼
(
かね
)
て
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
りましたが、
亞尼
(
アンニー
)
は、それをば
常
(
つね
)
に
口僻
(
くちぐせ
)
のやうに
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
渠等
(
かれら
)
の
無頼
(
ぶらい
)
なる
幾度
(
いくたび
)
も
此
(
この
)
擧動
(
きよどう
)
を
繰返
(
くりかへ
)
すに
憚
(
はゞか
)
る
者
(
もの
)
ならねど、
衆
(
ひと
)
は
其
(
その
)
乞
(
こ
)
ふが
隨意
(
まゝ
)
に
若干
(
じやくかん
)
の
物品
(
もの
)
を
投
(
とう
)
じて、
其
(
その
)
惡戲
(
あくぎ
)
を
演
(
えん
)
ぜざらむことを
謝
(
しや
)
するを
以
(
も
)
て、
蛇食
(
へびくひ
)
の
藝
(
げい
)
は
暫時
(
ざんじ
)
休憩
(
きうけい
)
を
呟
(
つぶや
)
きぬ。
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何か立ち上って答えるらしい様子であったが、それも聞き取れない。二人で笑い合う気配であった。海軍の兵は一旦崩れかかると、陸軍の兵よりも
無頼
(
ぶらい
)
の感じが濃くなるのだ。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
「——さきほどの申渡しをいまいちど聞かせるが、
無頼
(
ぶらい
)
、無宿の者は、ほんらい佐渡ヶ島へ送るべきところ、お上の格別なる
御仁恵
(
ごじんけい
)
をもって、
加役
(
かやく
)
人夫に仰せつけられたものである」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
父
無頼
(
ぶらい
)
にして身と持物とを失へるため、わが母我を
一人
(
ひとり
)
の主に事へしむ 四九—五一
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
この人たちは
啻
(
ただ
)
に酒家
妓楼
(
ぎろう
)
に
出入
(
いでいり
)
するのみではなく、常に
無頼
(
ぶらい
)
の徒と会して
袁耽
(
えんたん
)
の技を闘わした。良三の如きは頭を一つ
竈
(
べっつい
)
にしてどてらを
被
(
き
)
て
街上
(
かいじょう
)
を
闊歩
(
かっぽ
)
したことがあるそうである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼女は、屋根の下で育てられた子供の中で、私が一番
性
(
たち
)
が惡く、
無頼
(
ぶらい
)
だと云つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
是は長庵
近來
(
ちかごろ
)
再び
無頼
(
ぶらい
)
の行ひになりし事を知ざればなり
扨
(
さて
)
又長庵は追々
己
(
おのれ
)
が心がらにて
困窮
(
こんきう
)
に及び
何哉
(
なにかに
)
能
(
よき
)
仕事
(
しごと
)
の
有
(
あれ
)
かしと思ひ居ける所故是を見るより
先々
(
まづ/\
)
金
(
かね
)
の
蔓
(
つる
)
に取付たりと
竊
(
ひそ
)
かに悦び直に
返事
(
へんじ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
われやなほ
無頼
(
ぶらい
)
なりしよ「赤光」のおひろの歌を愛でたるころは
斎藤茂吉の死を悲しむ
(旧字旧仮名)
/
吉井勇
(著)
無頼
(
ぶらい
)
の眠りたる墓は立てり。
氷島
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「
巷間
(
こうかん
)
無頼
(
ぶらい
)
の徒さ」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
伝吉はたちまち
枡屋
(
ますや
)
を
逐
(
お
)
われ、
唐丸
(
とうまる
)
の
松
(
まつ
)
と称された博徒
松五郎
(
まつごろう
)
の
乾児
(
こぶん
)
になった。
爾来
(
じらい
)
ほとんど二十年ばかりは
無頼
(
ぶらい
)
の生活を送っていたらしい。
伝吉の敵打ち
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
同時にあれほどの
大酒
(
おおざけ
)
も、喫煙もすっかりやめて、氏の
遊蕩
(
ゆうとう
)
無頼
(
ぶらい
)
な生活は、日夜
祈祷
(
きとう
)
の生活と激変してしまいました。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
師直の
破倫
(
はりん
)
、淫欲ときては、なかなかこんな程度のものではなかった。彼がいかに乱淫
無頼
(
ぶらい
)
な男であるかは、次の一例でも分ろうと、書いているのだ。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『私は
無頼
(
ぶらい
)
の徒ではない。』(一行あき。)具体的に言って呉れ。私は、どんな迷惑をおかけしたか。(一行あき。)私は借銭をかえさなかったことはない。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
諸処方々
無沙汰
(
ぶさた
)
の不義理重なり中には二度と顔向けさへならぬ処も
有之
(
これあり
)
候ほどなれば何とぞ礼節をわきまへぬは文人
無頼
(
ぶらい
)
の常と御寛容のほど
幾重
(
いくえ
)
にも
奉願上
(
ねがいあげたてまつり
)
候。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
幕府廃止以来、世態の急激な変化は兵庫奉行の逃亡となり、代官手代、奉行付き別隊組兵士なぞは位置の不安と給料の不渡りから多く
無頼
(
ぶらい
)
の徒と化したことを告げた。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
蓬生の
良人
(
おっと
)
、この家の長男、戸野大弥太が父にも叔父にも、いや一族の誰にも似ないで、
放蕩
(
ほうとう
)
であり
無頼
(
ぶらい
)
であることが、父、兵衛の苦労の種、乱心の原因になっており
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
かくて
妾
(
しょう
)
は世の人より大罪人大悪人と呼ばるる
無頼
(
ぶらい
)
の婦女子と室を同じうし、
起臥
(
きが
)
飲食を共にして、ある時はその親ともなり、ある時はその友ともなりて互いに
睦
(
むつ
)
み合うほどに
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
しかしこの女は今になつても、ああ云ふ
無頼
(
ぶらい
)
な混血児を耶蘇基督だと思つてゐる。おれは一体この女の為に、蒙を
啓
(
ひら
)
いてやるべきであらうか。
南京の基督
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
けれども
無頼
(
ぶらい
)
の私にとっては、それだけでも勇猛の、大事業のつもりでいたのだ。私は、いまこの二少年の憫笑に遭い、自分の無力弱小を、いやになるほど知らされた。
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
平常
(
ひごろ
)
、彼女が思っていた通り、やはり伏原半蔵は優し気のある人だった。年は四十を越え、
無頼
(
ぶらい
)
な浪人仲間に
身過
(
みす
)
ぎはしているが、今の言葉でも、
友誼
(
ゆうぎ
)
に厚い事はわかる……。
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
世には
淫猥
(
いんわい
)
無頼
(
ぶらい
)
の婦人多かるに、
独
(
ひと
)
り彼女の境遇のいと悲惨なるを
憐
(
あわ
)
れむの余り、妾の同情も自然彼女に集中して、
宛然
(
さながら
)
親の子に対するが如き有様なりしかど、あたかも同じ年頃の
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
全く
無頼
(
ぶらい
)
の徒が幼稚の
公達
(
きんだち
)
を欺いて誘い出した所業と察せられると言ってある。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「剣道名誉の武士にしては、少しく態度が
無頼
(
ぶらい
)
に過ぎる。といって
市井
(
しせい
)
の無頼漢にしては、余りに腕が
利
(
き
)
いている。……
胆
(
たん
)
の据え方、機のつかみ方、とてもとても常人ではない。……そうしてあれは? あの巻軸は?」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかもこの
無頼
(
ぶらい
)
の夫にして、
夙
(
つと
)
に温良貞淑の称ある夫人明子を遇するや、
奴婢
(
どひ
)
と一般なりと云ふに至つては、誰か善く彼を目して、人間の
疫癘
(
えきれい
)
と
做
(
な
)
さざるを得んや。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
獅子をも
斃
(
たお
)
す白光鋭利の
牙
(
きば
)
を持ちながら、
懶惰
(
らんだ
)
無頼
(
ぶらい
)
の腐りはてたいやしい根性をはばからず発揮し、一片の
矜持
(
きょうじ
)
なく、てもなく人間界に屈服し、
隷属
(
れいぞく
)
し、同族互いに敵視して
畜犬談:―伊馬鵜平君に与える―
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
柾木
孫平治
(
まごへいじ
)
といい、その前身は野武士で、血なまぐさい悪業の数々をし尽し、戦乱の世の暗闇に生きて暗闇へ死んでゆく、多くの
無頼
(
ぶらい
)
の徒と同じような運命を
辿
(
たど
)
っていたが、ある年
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蜂須賀村を
発
(
た
)
つ時の二千の野武士は、ここへ来ると五、六千になっていた。野武士が友の
無頼
(
ぶらい
)
を呼びあつめ、無頼の者がまた、遊んでいる人間を、どこからともなく引っ張って来て
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、雑人の着物を着、
山袴
(
やまばかま
)
を
穿
(
は
)
いたが、余りに、立派な太刀が目立つので、
鞘
(
さや
)
は布で巻き、
柄頭
(
つかがしら
)
の金具は取り捨て、野武士か何ぞのように、わざと
無頼
(
ぶらい
)
な恰好に、それを腰へ横たえた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いやいや。決してまだ天下は平定していません。漢中に
張魯
(
ちょうろ
)
あり、荊州に玄徳あり、江南に孫権の存在あり。加うるに、緑林山野、なお
無頼
(
ぶらい
)
の
巣窟
(
そうくつ
)
に適する地方は、どれほどあるかわからない」
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
頼
常用漢字
中学
部首:⾴
16画
“無頼”で始まる語句
無頼漢
無頼者
無頼仲間
無頼派
無頼物
無頼猫
無頼気質
無頼溌皮
無頼漢共
無頼漢街