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よこつら
ふりがな文庫
“
横面
(
よこつら
)” の例文
彼
(
か
)
の時遅く、この時早く、万平は鳥打の
横面
(
よこつら
)
を平手で二つ三つ
千切
(
ちぎ
)
れる程
殴
(
は
)
り飛ばした。男の鳥打帽がフッ飛んで闇の中に消えた。
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼は、歯をくいしばって、われとわが
横面
(
よこつら
)
を、がーんとなぐりつけた。そして、はっとしたところで、彼は、懸命の声をふりしぼって
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いきなりその男の
胸倉
(
むなぐら
)
を
掴
(
つか
)
み、右手の
拳
(
こぶし
)
をしたたか
横面
(
よこつら
)
に飛ばした。二つ三つ続け様に
喰
(
くら
)
わしてから手を離すと、相手は意気地なく
倒
(
たお
)
れた。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そして次の十九日、即ち犯罪の行われた翌々朝、
狼狽
(
ろうばい
)
した当局者の
横面
(
よこつら
)
をはり飛ばす様に、又しても、前代未聞の
椿事
(
ちんじ
)
が突発したのである。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
おかめも驚き取付く所を
横面
(
よこつら
)
を
擲倒
(
はりたお
)
す、又這寄ってしがみ付くうち、ずる/\とおえいを仁助が引ずりながら脇道へ入り込む。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
姐御は、もう一つ与吉の
横面
(
よこつら
)
をはりとばして、胸ぐらをとって小突きまわしたが、その時はもう表の戸は、ぐいぐいあけられかかっている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私はその中に
閉籠
(
とじこも
)
り、世の中との交渉を絶つ事によって、ようやく
嘲罵
(
ちょうば
)
の声を耳にしず、石をぶつけられ、
横面
(
よこつら
)
を張飛ばされる事を免かれました。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
「随分酷いのね。」と、お葉は落葉を掴んで
起上
(
おきあが
)
ったが、やがて
畜生
(
ちきしょう
)
と叫んで、
其
(
その
)
葉を七兵衛の
横面
(
よこつら
)
に叩き付けた。
眼潰
(
めつぶ
)
しを食って
老爺
(
じじい
)
も慌てた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼等は必ず帽子をとって、この上もなく丁寧におじぎをしました。もしも子供がお行儀が悪かったら、たいてい
横面
(
よこつら
)
の一つも張り飛ばされました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
おりよく——全くおりよく、天運だ——その時船の
横面
(
よこつら
)
に大きな波が浴びせこんで来たので、片方だけに人の重りの加わった船はくるりと裏返った。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それは、新吉が、ファットマンの鼻の上から
無事
(
ぶじ
)
に下へ下りたとき、
例
(
れい
)
の
団長
(
だんちょう
)
がいきなり
飛
(
と
)
んで来て、新吉の
横面
(
よこつら
)
をぴしゃりとなぐったことでした。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
ぷいと
横面
(
よこつら
)
を吹く川風に、灰のような
細
(
こまか
)
い
霰
(
あられ
)
がまじっていたくらいで、順番に楽屋入をする芸人たちの帽子や外套には、
宵
(
よい
)
の口から白いものがついていた。
雪の日
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
で、いきなりピシャリと
横面
(
よこつら
)
を張られたような気がして、さすがにそのあと
暫
(
しばら
)
くは寄り着こうともしなかった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と二十一二の体の肥つた、血気の若者は、取られた
袂
(
たもと
)
を振放つて、いきなり、重右衛門の
横面
(
よこつら
)
を烈しく撲つた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
市五郎にとっては容易ならぬ
侮辱
(
ぶじょく
)
ですから、ムカッと怒って、ポカリと一つ木戸番の
横面
(
よこつら
)
を
撲
(
なぐ
)
りつけました。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何日
(
いつ
)
ぞやは障子を開けておいたのが惡いとかいつて、突然手近にあつた子供の
算盤
(
そろばん
)
で細君の
横面
(
よこつら
)
を思ひきり
抛
(
なぐ
)
つた。細君の顏はみる/\腫れ上つた、眼にも血が
浸
(
にじ
)
んで來た。
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
下劣な楽長がその譜面台から離るるのを見るや否や、彼は
桟敷
(
ボックス
)
の外に飛び出したのだった。楽長をとらえてその
横面
(
よこつら
)
をはりとばしてやるために、二階の階段を駆け降りていった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
奪
(
うばは
)
んとなすにぞ又七は長助に
聲
(
こゑ
)
を掛け
盜人々々
(
ぬすびと/\
)
と
呼
(
よば
)
はりければ長助は
先刻
(
せんこく
)
より
外
(
ほか
)
一人の男と
組合
(
くみあひ
)
居
(
ゐ
)
たるが此聲を聞て金を
取
(
とら
)
れては
大變
(
たいへん
)
と
振放
(
ふりはな
)
し又七の
懷中
(
くわいちう
)
へ手を
入
(
いれ
)
たる男の
横面
(
よこつら
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
僕は予期しない瞬間に、
平手
(
ひらて
)
で
横面
(
よこつら
)
を力任せに打たれた人のごとくにぴたりと
止
(
と
)
まった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
アルフレッド大帝は、牛飼のおかみさんにお菓子を焼かされ、
横面
(
よこつら
)
を張りとばされました。牛飼のおかみさんは、あとで自分のした事に気づいて、どんなに空恐ろしくなったでしょう。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
お俊を追い出して親方の
横面
(
よこつら
)
を張り
擲
(
なぐ
)
ってくれるのだ、なんぞといえば女房まで世話をしてやったという、大きな面をしてむやみと親方風を吹かすからしてもう気に喰わねえでいたのだ
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
工事中
(
こうじちう
)
土瓦
(
つちかはら
)
のもり
上
(
あが
)
つた
海邊橋
(
うみべばし
)
を、
小山
(
こやま
)
の
如
(
ごと
)
く
乘
(
の
)
り
來
(
く
)
る
電車
(
でんしや
)
は、なだれを
急
(
きふ
)
に、
胴腹
(
どうばら
)
を
欄干
(
らんかん
)
に、
殆
(
ほとん
)
ど
横倒
(
よこだふ
)
しに
傾
(
かたむ
)
いて、
橋詰
(
はしづめ
)
の
右
(
みぎ
)
に
立
(
た
)
つた
私
(
わたし
)
たちの
横面
(
よこつら
)
をはね
飛
(
と
)
ばしさうに、ぐわんと
行
(
ゆ
)
く
時
(
とき
)
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
女房に
横面
(
よこつら
)
を打たれたのも、
鹿
(
しし
)
ヶ
谷
(
たに
)
の山荘を
仮
(
か
)
したのも、しまいにこの島へ流されたのも、——しかし
有王
(
ありおう
)
、喜んでくれい。おれは鶴の前に夢中になっても、
謀叛
(
むほん
)
の
宗人
(
むねと
)
にはならなかった。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ハッと思う間もなく、恐しい風が一同の
横面
(
よこつら
)
をいやというほど
殴
(
なぐ
)
った。「さあ引返せッ」と隊長が
呶鳴
(
どな
)
った。すわ何事が起ったのだろう。
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
組屋敷の役人が威張りまして町人百姓などを
捉
(
とら
)
えて只今申す圧制とか何とか云うので、少し気に入らんことがあると無闇に
横面
(
よこつら
)
を張飛ばしたり
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
斯
(
かか
)
る賭博に喧嘩の伴うのは珍しくない。二人は勝負の争いから
忽
(
たちま
)
ちに喧嘩を始めて、熊吉は
燃未了
(
もえさし
)
の枝を
把
(
と
)
るより早く、重蔵の
横面
(
よこつら
)
を一つ
撲
(
なぐ
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と云ううちに、右の手で岩のような
拳固
(
げんこ
)
を作って、お神さんの右の
横面
(
よこつら
)
をグワーンとなぐりつけました。お神さんは
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
そして
鉢巻
(
はちまき
)
の下ににじんだ汗を
袖口
(
そでぐち
)
で
拭
(
ぬぐ
)
って、炊事にかかった妻に先刻の五十銭銀貨を求めた。妻がそれをわたすまでには二、三度
横面
(
よこつら
)
をなぐられねばならなかった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
茶袋は飛んで行ってその男の
横面
(
よこつら
)
をピシリと打って、その手を逆に
捻
(
ひね
)
り上げてしまいましたから
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いくら
仕
(
し
)
がない芸人でも、女から
手切
(
てぎれ
)
を貰って引込むような男だと、高をくくられたのが
口惜
(
くや
)
しいから、金は
突返
(
つっかえ
)
して、高慢ちきな
横面
(
よこつら
)
を
足蹴
(
あしげ
)
にして飛出そうと立ちかかる途端
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
女はいきなり
横面
(
よこつら
)
をひっぱたいて、「身よりもなくて
可哀
(
かわい
)
そうだと思って、目をかけてやれば、つけあがりやがって、生意気な
真似
(
まね
)
をしやあがる。」と云う意味の言葉を
浴
(
あび
)
せかけた。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
傍
(
そば
)
に居ちゃ、もうこっちが
撮出
(
つまみだ
)
されるまでも、
横面
(
よこつら
)
一ツ
打挫
(
うちひしゃ
)
がなくッては、新橋へ帰られまい。が、私が
取組合
(
とっくみあ
)
った、となると、随分舞台から飛んで来かねない友だちが一人居るんだからね。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すると兄さんが突然手を
挙
(
あ
)
げて、私の
横面
(
よこつら
)
をぴしゃりと打ちました。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
引明
(
ひきあけ
)
て金三四十兩
懷中
(
ふところ
)
に入れ
立上
(
たちあが
)
る處に
横面
(
よこつら
)
へ
冷
(
ひや
)
りと
觸
(
さは
)
る物あり何かと
疑
(
うたが
)
ひ見れば
縮緬
(
ちりめん
)
の
單物
(
ひとへもの
)
浴衣
(
ゆかた
)
二三枚と倶に
衣紋竹
(
えもんだけ
)
に掛てありしにぞ
毒
(
どく
)
喰
(
くは
)
ば
皿
(
さら
)
迄と是をも
引外
(
ひきはづ
)
して懷中へ
捻込
(
ねぢこみ
)
四邊
(
あたり
)
を
窺
(
うかゞ
)
ひ人足の
絶間
(
たえま
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
兎
(
と
)
にかく手がかり足がかりの岩を辿って、下へ下へと
危
(
あやう
)
くも降りてゆくと、暗い中から
蝙蝠
(
かわほり
)
のようなものがひらりと飛んで来て、市郎の
横面
(
よこつら
)
を
礑
(
はた
)
と打った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と云いながら力に任せて右内の胸を
蹶
(
け
)
て、
横面
(
よこつら
)
をポーンと
打
(
ぶ
)
ったから、其処へ倒れました。日頃柔和な右内だが、余りのことと思わず道中差へ手をかけて角右衞門を
瞋
(
にら
)
む。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
吾輩は思わず犬を放り出して羽振学士の
横面
(
よこつら
)
を力一パイ
啖
(
く
)
らわせた。和製バレンチノが一尺ばかり飛上って、傍の猫の籠の上にブッ倒れて、そのままグッタリと伸びてしまった。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
女はわーっと泣き出すと、竜之助はすっくと立って物も言わずに黒坂の
横面
(
よこつら
)
をピシーリ。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ばさりというのは、死体が冷たい手で、警官の
横面
(
よこつら
)
をなぐりつけた音であった。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今戸橋を渡りかけた時、
掌
(
てのひら
)
でぴしゃりと
横面
(
よこつら
)
を
張撲
(
はりなぐ
)
るような河風。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と云いさま拳固で長二の
横面
(
よこつら
)
を殴りつけました。そうでなくッても憎い奴だと思ってる所でございますから、長二は
赫
(
かっ
)
と
怒
(
いか
)
りまして、打った幸兵衛の手を
引
(
ひ
)
とらえまして
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
とタンカを切ってやったら牛太の奴吾輩の襟首を
掴
(
つか
)
んでギューギューと小突きまわした。
序
(
ついで
)
に
拳固
(
げんこ
)
を固めて吾輩の
横面
(
よこつら
)
を一つ鼻血の出る程
啖
(
く
)
らわしたから、トタンに堪忍袋の緒が切れてしまった。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
今戸橋
(
いまどばし
)
を渡りかけた時、
掌
(
てのひら
)
でぴしやりと
横面
(
よこつら
)
を
張撲
(
はりなぐ
)
るやうな
河風
(
かはかぜ
)
。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
警衛の役人が米友の
横面
(
よこつら
)
をピシャリと一つ
撲
(
なぐ
)
りました。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
刀を持ったなりドブリと綾瀬川へ飛び込むと、
葮
(
よし
)
葦
(
あし
)
の繁った処に一艘船が
繋
(
つな
)
いで居りましたが、
苫
(
とま
)
を揚げて
立出
(
たちいで
)
たは荷足の仙太郎で、
楫柄
(
かじづか
)
を振り上げて惣兵衞の
横面
(
よこつら
)
を殴る。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と云い終らぬうちに巡査から
横面
(
よこつら
)
を
喰
(
くら
)
わせられた。
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と拳を固めて、ぽんと惠梅比丘尼の
横面
(
よこつら
)
を打ったから眼から火が出るよう。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
金を持ってるから出せなんと云って私の
頬片
(
ほっぺた
)
を
嘗
(
な
)
めやアがったから、
其奴
(
そいつ
)
の
横面
(
よこつら
)
を
打
(
ぶ
)
った処が、脇差を抜いたから、私は一生懸命に泥坊/\と云って逃げる途端に、足を踏外して此処へ
落
(
おっこ
)
ちたんだ
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
横
常用漢字
小3
部首:⽊
15画
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
“横面”で始まる語句
横面擦
横面殴