トップ
>
悪
>
あ
ふりがな文庫
“
悪
(
あ
)” の例文
旧字:
惡
ときどき手を合せて拝みたい気もちのするのも、
悪
(
あ
)
しき情慾の
奴隷
(
どれい
)
となって、のたうち廻った思い出のなせる
仕業
(
しわざ
)
とのみはいえまい。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
(予美と申すは地下の根底にありて、根の国、底の国とも申して、はなはだきたなく
悪
(
あ
)
しき国にて、死せる人の
罷
(
まか
)
り往くところなり)
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
磐城平より当然海岸伝ひに北上いたすべき道を左に
枉
(
ま
)
げ候事、好会また期し難き興もこれあり候次第、
悪
(
あ
)
しからず御諒察下され度候。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さるを富貴は
前生
(
さきのよ
)
のおこなひの
善
(
よ
)
かりし所、貧賤は
悪
(
あ
)
しかりしむくいとのみ説きなすは、
一〇一
尼媽
(
あまかか
)
を
蕩
(
とら
)
かす
一〇二
なま仏法ぞかし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「あなたの名前を拝借して××××氏を攻撃しました。僕等無名作家の名前では効果がないと思ひましたからどうか
悪
(
あ
)
しからず。」
病中雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
これに続く心理状態は他のものに接してその善きところを取り、
悪
(
あ
)
しきところを捨て、長所を摂して、短所を排するということである。
東西両文明の調和を論じて帝国の将来に及ぶ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
十七年ぶりで父に会う、というよりもほとんど生れてはじめて父に会おうとしている、
善
(
よ
)
かれ
悪
(
あ
)
しかれ一生の一転機となるに違いない。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
豪商百万両の金も、飴やおこし四文の銭も、
己
(
おの
)
がものとしてこれを守るの心は同様なり。世の
悪
(
あ
)
しき諺に、「泣く子と
地頭
(
じとう
)
には
叶
(
かな
)
わず」
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
われらは歌といふ語を拝借してもよろしからんとの考にて、歌と言ひ来りたるも、それが
悪
(
あ
)
しとならば如何にも名づけ給はるべし。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
その
遣方
(
やりかた
)
の実際を見ないで、結果ばかりを見ていうのである。その遣方の
善
(
よ
)
し
悪
(
あ
)
しなどは見ないで、唯結果ばかり見て批評をする。
模倣と独立
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
得たことは
善
(
よ
)
し
悪
(
あ
)
しであった佐助が彼女の機嫌を取ってくれるのは
有難
(
ありがた
)
いけれども何事もご無理ごもっともで通す所から次第に娘を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼らが最もうち解けている最中に、老人はおり
悪
(
あ
)
しく、ブラームスにたいする賛辞を述べた。クリストフは冷やかな憤りにとらわれた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「三つ
子
(
ご
)
の心は百までも」「老馬
路
(
みち
)
を忘れず」という。青年時代に植えた
種子
(
たね
)
は、よかれ、
悪
(
あ
)
しかれ、いつまでも身辺に
纒
(
まと
)
いつく。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
おり
悪
(
あ
)
しく、その
晩
(
ばん
)
に、ひどいあらしが
吹
(
ふ
)
いて、
海
(
うみ
)
の
中
(
なか
)
は、さながら
渦巻
(
うずま
)
きかえるように
見
(
み
)
られたのでした。
家族
(
かぞく
)
のものは
心配
(
しんぱい
)
しました。
一本の銀の針
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
殊に
就中
(
なかんずく
)
蕪村の如く、文化が彼の芸術と逆流しているところの、
一
(
ひとつ
)
の「
悪
(
あ
)
しき時代」に生れた者は、特に救いがたく不遇である。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
ただ静かに貴嬢を顧みたまいて
貴嬢
(
きみ
)
の顔色の変われるに心づき、いかにしたまいし
心地
(
ここち
)
悪
(
あ
)
しくやおわすると甘ゆるように問いたまいたる
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
これで仏の本説は、人の
善
(
よ
)
き事は善く、
悪
(
あ
)
しき事は悪しく、箇々報いが来り、決して差し引き帳消してふ事がないと主張するものと判る。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
決して、ただ
悪
(
あ
)
しざまに申したり、
戯
(
ざ
)
れ
口
(
ぐち
)
を
弄
(
もてあそ
)
んだ次第ではありませぬ。どうぞ、
烏滸
(
おこ
)
がましい女の取越し苦労と、お聞き流し下さいませ
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
希臘
(
ギリシャ
)
の美術はアポロンを神となしたる国土に発生し、浮世絵は虫けら同然なる
町人
(
ちょうにん
)
の手によりて、日当り
悪
(
あ
)
しき
横町
(
よこちょう
)
の
借家
(
しゃくや
)
に制作せられぬ。
浮世絵の鑑賞
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
善き僕は
悪
(
あ
)
しき子に優るが、善き子は善き僕以上であります。僕はいくら善くても他人ですが、子は親の生命、親から出たものであります。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
一一 この女というは母一人子一人の家なりしに、
嫁
(
よめ
)
と
姑
(
しゅうと
)
との仲
悪
(
あ
)
しくなり、嫁はしばしば親里へ行きて帰り来ざることあり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
まづ/\此の死骸を片付くるこそ肝要ならめ。参詣の人々の眼に止まりなば
悪
(
あ
)
しかりなむ。こや/\馬十よ/\。お客様に水参ゐらせぬか。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「はい、わたくし一人、お名ざしでござります——が、かまえて、
悪
(
あ
)
しゅうはふるまわぬつもりでござりますゆえ、御懸念には及びませぬ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
自分達の汽車は午前六時にチヤアリング・クロスの
停車場
(
ステイシヨン
)
へ着いた。折
悪
(
あ
)
しく日曜の朝なので
倫敦
(
ロンドン
)
の街は皆戸を締めて死んだ様に寝て居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
句の
良
(
よ
)
し
悪
(
あ
)
しも
畢竟
(
ひっきょう
)
、作者の心にあるのであります。作者の心が
奥床
(
おくゆか
)
しい心であれば自然に奥床しく映じ、奥床しく諷詠するようになります。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「ではなるべく急いで下さい。今は、ほう、もう四時ですね。すると十時ごろまでかかりますね。警官と私の助手を呼びますから、
悪
(
あ
)
しからず」
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
われら猿とは
古代
(
いにしえ
)
より、仲
悪
(
あ
)
しきものの
譬
(
たとえ
)
に呼ばれて、互ひに
牙
(
きば
)
を鳴らし合ふ身なれど、かくわれのみが彼の猿に、
執念
(
しゅうね
)
く狙はるる覚えはなし。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
もっともよい木はよい実を結び
悪
(
あ
)
しき木は悪しき実を結ぶということがあるから、全く無い訳ではないけれども、いかにもその範囲が狭いです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「どうでしょうか、
此方様
(
こなた
)
にも御存じはなしさ、ただ
好
(
い
)
い女だって途中で聞いて来たもんだから、どうぞ
悪
(
あ
)
しからず。」
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
而して彼れは冷眼に之を見たり。是れ彼れが一派の餓鬼大将(
請
(
こ
)
ふ語の不敬を許せ、猶君が所謂楠公権助のごときのみ、
悪
(
あ
)
しき意味あるに非る也)
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
まづ
己
(
おのれ
)
からその道に
背
(
そむ
)
きて、君をほろぼし、国を奪へるものにしあれば、みな
虚偽
(
いつわり
)
にて、まことはよき人にあらず、いとも/\
悪
(
あ
)
しき人なりけり。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
むかし元禄の頃に大野
秀和
(
しうわ
)
といふ俳人が居た。同じ俳人仲間の宝井
其角
(
きかく
)
が、自分の事を
悪
(
あ
)
し
様
(
ざま
)
に噂をしてゐるといふ事を聞いて、大層腹を立てた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
横川景三
(
おうせんけいさん
)
殿の弟子
分
(
ぶん
)
の細川殿も早く
享徳
(
きょうとく
)
の頃から『君慎』とかいう書を公方に
上
(
たてまつ
)
って、『君行跡
悪
(
あ
)
しければ民
順
(
したが
)
はず』
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
しかし、今夜は、折
悪
(
あ
)
しく、西風が少し立ったので、チャセゴ取りは少なかった。
昼座敷
(
ひるざしき
)
から居残っている親戚の者を入れても、五十人とはなかった。
手品
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
徒
(
いたず
)
らに物事に驚かず、よきものと
悪
(
あ
)
しきものの区別を知り、あらゆるものの価値を正当に批判し、しかもなお熱情をもってよきものを喜ぶ大人の眼が
大人の眼と子供の眼
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
すべての
悪
(
あ
)
しき雲のはらわれた後にこそ誠に『晴やかな平和、ゆるぎなき心の静けさがある。』のではあるまいか。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
「まア、えい。まア、えい。——子供同士の
喧嘩
(
けんか
)
です、先生、どうぞ
悪
(
あ
)
しからず。——さア、吉弥、
支度
(
したく
)
、支度」
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
謙信公のお人となりを見申すに十にして八つは大賢人、その二つは大悪人ならん。怒りに乗じて為したまうこと、多くは
僻事
(
ひがごと
)
なり。これその
悪
(
あ
)
しき所なり。
川中島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
けれども抽象的な概念と言語はすべてのものから個性を奪って一様に黒塊を作り、ピーターとポールとを同じにする
悪
(
あ
)
しきデモクラシーを行うものである。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
「これは旦那からのお礼です。もっとあげたいんだけれど、何分、年上のきよが以前からいるんでその
釣合
(
つりあい
)
もあってそうもならないんですから
悪
(
あ
)
しからず」
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
そして
悪
(
あ
)
しき交りがそれの善き光沢を一日か二日のうちに
害
(
そこな
)
う
★
のである。諸君の証券は台所と流し場とを改造した俄か造りの貴重品室の中へ入ってしまう。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
これでは京にあまり近すぎるので、
善
(
よ
)
かれ
悪
(
あ
)
しかれ、京都の影響が響きすぎて困るにちがいないのである。そこへいくと弘法の方が一段上の戦略家だと思った。
比叡
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
と
眉
(
まゆ
)
を
皺
(
しわ
)
むる折も折、
戸外
(
おもて
)
を通る納豆売りの
戦
(
ふる
)
え声に覚えある奴が、ちェッ
忌々
(
いまいま
)
しい
草鞋
(
わらじ
)
が切れた、と打ち
独語
(
つぶや
)
きて行き過ぐるに女房ますます気色を
悪
(
あ
)
しくし
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
妾の
容子
(
ようす
)
の常になく
包
(
つつ
)
ましげなるに、顔色さえ
悪
(
あ
)
しかりしを、
親
(
した
)
しめる女囚に
怪
(
あや
)
しまれて、しばしば問われて、秘めおくによしなく、
遂
(
つい
)
に事
云々
(
しかじか
)
と告げけるに
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
小生なども道の事をば修行中なれば、
矢張
(
やはり
)
おきみさん同様の迷もをりをり生じ候へども、決して其迷を増長せしめず候。迷といふも
悪
(
あ
)
しき事といふにはあらず。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
それに、一人で
書
(
ほん
)
ばかり読んでいるのは、若い者には
好
(
よ
)
し
悪
(
あ
)
しですよ、神経衰弱になったり、
華厳
(
けごん
)
に飛び込んだりするのはそのためだと言うじゃありませんか。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「
悪
(
あ
)
しゅうは取計らわぬ、屋敷へ参らぬか、私のためには命の恩人のお前を、父上も憎うは
思召
(
おぼしめ
)
すまい」
奇談クラブ〔戦後版〕:12 乞食志願
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と言い、更にまた、たとい
悪
(
あ
)
しき法律にても、誤れる裁判にても、これを改めざる以上は、これに違反するは、徳義上不正である
所以
(
ゆえん
)
の理を説破し、なお進んで
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
とにかく、それの感じられるものが善きことであり、それの
伴
(
ともな
)
わないものが
悪
(
あ
)
しきことだ。極めてはっきりしていて、いまだかつてこれに疑を感じたことがない。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
永い間あれほどの苦労の種だった船長は、もう
悪
(
あ
)
しき者
虐遇
(
しひたげ
)
を
息
(
や
)
める処
(註三三)
へ行ってしまった。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
“悪”の解説
悪(あく)は、一般的な意味では、善の反対または欠如である。非常に広い概念であることもあるが、日常的な使い方では、より狭い範囲で深い邪悪さを表現することが多い。それは一般的に、複数の可能な形をとると考えられている。例えば、悪と一般的に関連している個人的な道徳的悪、または非個人的な自然的悪(自然災害または病気の場合のように)の形や、宗教的思想においては悪魔的または超自然的/永遠的な形などである。
(出典:Wikipedia)
悪
常用漢字
小3
部首:⼼
11画
“悪”を含む語句
悪戯
悪魔
悪漢
悪口
憎悪
悪寒
悪気
悪業
悪鬼
悪性
醜悪
好悪
折悪
悪霊
悪感
邪悪
悪戯盛
悪狡
悪徒
悪戯気
...