勇士ゆうし)” の例文
「さあ、これがはなしをした源吉げんきちさんのおはかだ。おくにのためにつくしたむら勇士ゆうしだ。みんなよくおれいをいっておがみなさい。」
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
理不盡りふじんなるいかり切先きっさきたゞ一突ひとつきにとマーキューシオー殿どの胸元むなもとをめがけていてかゝりまする、此方こなたおなじく血氣けっき勇士ゆうし、なにを小才覺ちょこざいなと立向たちむか
いうまでもなく小太郎山こたろうざんから、伊那丸いなまる急変きゅうへんむちをはげましてきた小幡民部こばたみんぶ山県蔦之助やまがたつたのすけ巽小文治たつみこぶんじの三勇士ゆうしである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兎角とかくするほどに、海底戰鬪艇かいていせんとうてい試運轉しうんてんをはり、櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさふたゝ一隊いつたい指揮しきして上陸じやうりくした。電光艇でんくわうていあだか勇士ゆうしいこうがごとく、海岸かいがん間近まぢか停泊ていはくしてる。
いままたうでずもうをって、いよいよ大力だいりきなのにおどろきました。どうしてこの子はいまにえらい勇士ゆうしになりますよ。
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ほんとうにこんなようなさそりだの勇士ゆうしだのそらにぎっしりいるだろうか、ああぼくはその中をどこまでも歩いてみたいと思ってたりしてしばらくぼんやり立っていました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
灰色ネズミ軍の勇士ゆうしはしばらく穴の中にじっとして、中から攻撃こうげきされるのを待ちかまえました。
とて越中ゑつちうかしらでゝしたあかくニヤリとわらひ、ひとさしゆび鼻油はなあぶらひいて、しつぺいはらんと歯噛はがみをなし立上たちあがりし面貌つらがまへ——と云々うんぬんかくてこそ鬼神きじん勇士ゆうし力較ちからくらべも壮大そうだいならずや。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その間を押しわけて前に出てみると、ホテルの建物はひどくかたむき、今にも転覆てんぷくしそうに見えていた。その前に、蟹寺博士が、まるで生き残りの勇士ゆうしのように只一人、凛然りんぜんとつっ立っていた。
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
天地間てんちかんの千にんまさりの勇士ゆうしだというに、どうしていれずみをしているのです。
前夜ぜんやのうちに、皇子おうじ馬車ばしゃも、それについてきた騎馬きば勇士ゆうしらも、なみうえへ、とっととんで、うみなかはいってしまったものとおもわれたのであります。
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうなると、つねの怯者きょうしゃ勇士ゆうしになるものだ。伊部熊蔵いのべくまぞうはカッといかって、中断ちゅうだんされたなわのはしから千ぼんびさしくさりにすがって、ダッ——と源氏げんじへ飛びこんだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そういう勇士ゆうしをむざむざところすのはもったいない。なんとかしてたすけてやったらどうか。」
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「どうしてきみらはそんなにバカなんだい? きみらの勇士ゆうしをよそへやっちゃうなんて! なんだってまた、灰色ネズミに気をゆるしたんだい? まったくかんべんならん!」
旅順りよじゆん吉報きつぱうつたはるとともに幾干いくばく猛將まうしやう勇士ゆうしあるひ士卒しそつ——あるひきずつきほねかは散々ちり/″\に、かげとゞめぬさへあるなかをつと天晴あつぱれ功名こうみやうして、たゞわづかひだり微傷かすりきずけたばかりといたとき
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
怪傑かいけつと怪傑、勇士ゆうしと勇士、五三の桐の幕のなかには渾然こんぜんとうちとけ合って、意気いきりんりんたるものがある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ゆきが、あのようにもっては、どんなおとこやましてくることはできぬだろう。……しかし、その勇士ゆうしは、また非凡ひぼんじゅつで、ゆきうえわたってこないともかぎらない。
びんの中の世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もっとも勇敢ゆうかんたたかって、華々はなばなしく江南こうなんはなった、勇士ゆうしなかに、純吉じゅんきちがありました。
からす (新字新仮名) / 小川未明(著)
むねみぎにつけられた、燦然さんぜんとしてかがや戦傷徽章せんしょうきしょうは、その戦功せんこう名誉めいよをあらわすものであると同時どうじに、これを健全けんぜん人々ひとびとは、この国家こっかのためにきずついた勇士ゆうしをいたわれという
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
皇子おうじは、てどもてども、姫君ひめぎみえないので、はらをたてて、ひとつには心配しんぱいをして、幾人いくにんかの勇士ゆうししたがえて、みずからシルクハットをかぶり、燕尾服えんびふくて、黒塗くろぬりの馬車ばしゃ
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あすの夜明よあけに、てきのトーチカをくだいてしまえという命令めいれいがくだった。ちゅう一をはじめ一めいを、天皇陛下てんのうへいかにささげた勇士ゆうしたちは、故郷こきょうへ、これがさいごの手紙てがみいてねむりにつきました。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)