トップ
>
努
>
つと
ふりがな文庫
“
努
(
つと
)” の例文
彼は
縄梯子
(
なわばしご
)
に取りすがって、舷檣の頂きに登ろうと
努
(
つと
)
めた。それはあたかも去りゆくものの最後の
一瞥
(
いちべつ
)
を得んと望むかのように——。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
ところが、
鍋島家
(
なべしまけ
)
の役筋の方では、訴えられて非常に弱った。殊に、
刈屋頼母
(
かりやたのも
)
は極力それを揉み消し、百助と久米一との和解に
努
(
つと
)
めた。
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
詩以外には何も念頭に無いというあどけない表情を
努
(
つと
)
めて、晩秋の寒さをこらえ、午後三時には、さすがに男は浮かぬ顔になり
犯人
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と今頃漸く世間並みの心掛けに
努
(
つと
)
めている。お父さんにしても新聞記者に金は出来るものでないという自信があるから、至極諦めが好い。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
彼らが日々の衣食のために働かねばならぬ時間を、
努
(
つと
)
めて短くしようとしている国家の目的も、主としては
爰
(
ここ
)
にあるのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
二人共
平生
(
へいぜい
)
の通りの樣子をしようと
努
(
つと
)
めた。しかし彼等が戰はねばならぬ悲しみは完全に征服され、または隱し
覆
(
おほ
)
はれるものではなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
船長は僕のこの向う見ずな考えを
諫止
(
かんし
)
しようと
努
(
つと
)
めたが、僕は高級船員の
居候
(
いそうろう
)
を断わって、かの一室を独占することにした。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
これはうちの親方の使う
口上
(
こうじょう
)
の一つであった。わたしはなるべくかれと同じようなしかつめらしい言い方でやろうと
努
(
つと
)
めた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
否
(
いな
)
、誤らざるどころでない、実によく
穿
(
うが
)
っていることを感じて、その後ますます
恩誼
(
おんぎ
)
を知るの感を深めることについて、心のうちに
努
(
つと
)
めている。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
動物
(
どうぶつ
)
の
標本
(
ひようほん
)
は
皆
(
みな
)
、ぱのらまの
風景
(
ふうけい
)
の
中
(
なか
)
に、それをあしらつて、
自然
(
しぜん
)
の
景色
(
けしき
)
の
中
(
なか
)
にそれ/″\
動物
(
どうぶつ
)
が
棲
(
す
)
んでゐる
所
(
ところ
)
を
見
(
み
)
せることに
努
(
つと
)
めてをりますから
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
彼等
(
かれら
)
は
更
(
さら
)
に
春
(
はる
)
の
到
(
いた
)
つたことを一
切
(
さい
)
の
生物
(
せいぶつ
)
に
向
(
むか
)
つて
促
(
うなが
)
す。
草
(
くさ
)
や
木
(
き
)
が
心
(
こゝろ
)
づいて
其
(
そ
)
の
活力
(
くわつりよく
)
を
存分
(
ぞんぶん
)
に
發揮
(
はつき
)
するのを
見
(
み
)
ないうちは
鳴
(
な
)
くことを
止
(
や
)
めまいと
努
(
つと
)
める。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
私
(
わたくし
)
は一
生
(
しょう
)
懸命
(
けんめい
)
、
成
(
な
)
るべく
涙
(
なみだ
)
を
見
(
み
)
せぬように
努
(
つと
)
めましたが、それは
母
(
はは
)
の
方
(
ほう
)
でも
同様
(
どうよう
)
で、そっと
涙
(
なみだ
)
を
拭
(
ふ
)
いては
笑顔
(
えがお
)
でかれこれと
談話
(
はなし
)
をつづけるのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
只
(
ただ
)
考えたのは、何とかして、
検札
(
けんさつ
)
や
旅客訊問
(
りょきゃくじんもん
)
の
網
(
あみ
)
に
引懸
(
ひっかか
)
るまいとして、こそこそ逃げ込むことばかりにこれ
努
(
つと
)
めた。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
我らは彼の作物たる万象に上下左右を囲まれて呼吸している。さればそれに依て
益々
(
ますます
)
神を知らんと
努
(
つと
)
むべきである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
この店員は自分の
有
(
もの
)
を
他人
(
ひと
)
に取られまいとする時には京都弁を使ふが、
他人
(
ひと
)
から何か貰ひ受けたいやうな折には、
努
(
つと
)
めて京都訛りを押し隠さうとする。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
実は拙者も折々は、そのように思わぬこともないが、そういう考えの出る時には
努
(
つと
)
めて消そうと試みて来ました。
村井長庵記名の傘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
幸之助の家出、お北の家出、両家ともに
努
(
つと
)
めて秘密にしていたのであるが、女中らの口からでも洩れたと見えて、早くも組じゅうに知れ渡ってしまった。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
もつと
落着
(
おちつ
)
いて防火に
努
(
つと
)
めることもできたらうし、また不断から用意して、適当な設備もできた筈ですからね。
フアイヤ・ガン
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかし彼は衣食する上にはある英字新聞の記者を
勤
(
つと
)
めているのだった。僕はどう云う芸術家も
脱却
(
だっきゃく
)
出来ない「
店
(
みせ
)
」を考え、
努
(
つと
)
めて話を明るくしようとした。
彼 第二
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこで
外貨國債
(
ぐわいくわこくさい
)
の
利拂資金
(
りばらひしきん
)
として、
又
(
また
)
我國全體
(
わがくにぜんたい
)
の
對外的
(
たいぐわいてき
)
の
支拂資金
(
しはらひしきん
)
として、
在外正貨
(
ざいぐわいせいくわ
)
の
補充
(
ほじう
)
を
努
(
つと
)
めたのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
座員と
懇意
(
こんい
)
になることを
努
(
つと
)
めたから、若し彼等の間に秘密があれば、とっくに知れていなければならぬ筈なのに、不思議と何の手掛りを掴むことも出来なかった。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そんな事があり得るだらうか、と言つたやうな平次の顏を見乍ら和七は一生懸命辯解に
努
(
つと
)
めるのです。
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
もう一度、ぶるぶるッと身を
顫
(
ふる
)
わせた歌麿は、何とかして金兵衛の姿を、眼の先から消そうと
努
(
つと
)
めた。
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
彼はさう堅く歯を噛み合はして、
瞼
(
まぶた
)
を堅く閉ぢて、もう一遍寝入らうと
努
(
つと
)
めて見た。
塊的
(
かたまり
)
になつた睡気は然し後頭の隅に引つ込んで、眼の奥が
冴
(
さ
)
えて痛むだけだつた。
An Incident
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
不勉強位であったから、どちらかと云えば運動は比較的好きの方であったが、その運動も
身体
(
からだ
)
が虚弱であった為め、規則正しい運動を
努
(
つと
)
めてやったというのではない。
私の経過した学生時代
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その後も、小平太はできるだけ自分の心の
動揺
(
どうよう
)
を同志の前に隠すように
努
(
つと
)
めた。もっとも、彼が同志に心のうちを
覚
(
さと
)
られまいとするには、もう一つほかに理由があった。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
彼は自分の
滑稽
(
こっけい
)
商売にも似合わぬ顔つきを人には見せたくないと
努
(
つと
)
めているのだが、努めれば努めるほど顔その物が反対に言うことをきかなくなって、鏡にでも映してみれば
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
彼は
一切
(
いっさい
)
の
角
(
つの
)
を隠して、周囲に同化す可く
努
(
つと
)
めた。彼はあらゆる村の
集会
(
しゅうかい
)
に出た。諸君が
廉酒
(
やすざけ
)
を飲む時、彼は
肴
(
さかな
)
の沢庵をつまんだ。葬式に出ては、「諸行無常」の旗持をした。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ねえ、私達は
潔
(
いさぎよ
)
くその恩を被ようではありませんか! さうして愛を
豐
(
ゆた
)
かに持つことに
努
(
つと
)
め、それをすべてに
捧
(
さゝ
)
げることに、決して自分の
利益
(
りえき
)
を考へないやうにと
心掛
(
こゝろが
)
けませう。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
出來
(
でき
)
る
限
(
かぎ
)
り
長命
(
ちようめい
)
をさせるように
努
(
つと
)
めなければならないことがおわかりとなりますでせう。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
「いつ頃から君はここで、こんな風にしているの」私は
努
(
つと
)
めて、平然としようと骨折りながら
訊
(
き
)
いた。彼女は今私が足下の方に
踞
(
うずくま
)
ったので、私の方を見ることを止めて上の方に眼を向けていた。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
例の
瘰癧
(
るいれき
)
のO君とはただ文学上において話せるのみだ。彼は根本的思索には心が向かっていない。彼は考えずしてただ味わおうとのみ
努
(
つと
)
めている。彼の唯一の根底は生の刺激すなわち歓楽である。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
庭
(
にわ
)
の
金魚鉢
(
きんぎょばち
)
に、
何
(
なに
)
かかくしていると
気
(
き
)
がついてからは、
近所
(
きんじょ
)
からも
爪
(
つま
)
はじきされている
老人
(
ろうじん
)
に
対
(
たい
)
し、ことさら
親切
(
しんせつ
)
にしてやつて、そのかくしているものが
何
(
なに
)
かということを
知
(
し
)
るのに
努
(
つと
)
めたのでした。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
努
(
つと
)
めずして自然にソレが私の体に
備
(
そなわっ
)
て居ると
云
(
いっ
)
ても
宜
(
よろ
)
しい。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
信者たち、
努
(
つと
)
めよ
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
と、家康もそれにたいして、“
変通
(
へんつう
)
”をふくみ、
努
(
つと
)
めて、こころも体もやわらかにもち、そしてしばしを、小幡の本丸で休息していた。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
努
(
つと
)
めてその
煩累
(
はんるい
)
を避け、各自家限りの農業を行おうとして、勢い右申すがごとき能率の高いいわゆる労力省略機械の必要を感じて来たのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
けれども彼を喜ばせる爲めにさう——本當にさう感じたやうに救はれたやうに見せようと
努
(
つと
)
めた。だから私は滿足したやうな微笑を浮べて答へた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
わたしの
弁護士
(
べんごし
)
は、犬がその日のうちに寺に
迷
(
まよ
)
いこんで、寺男が戸を
閉
(
し
)
めたとき、中へ閉めこまれたものであるということを
証拠
(
しょうこ
)
立
(
だ
)
てようと
努
(
つと
)
めた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
かくのごとき考えをもってその欠点を
矯正
(
きょうせい
)
せんと
努
(
つと
)
めるものがあるかと思って、新たに工夫を
運
(
めぐ
)
らすに至る人もあろうと思い、僕は本問題を
提
(
ひっさ
)
げたのである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そのなかには「鬼談」というところまでは到達しないで、単に「奇談」という程度にとどまっているものもないではないが、その
異
(
い
)
なるものは
努
(
つと
)
めて採録した。
こま犬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そこで
此
(
こ
)
のことを
極力
(
きよくりよく
)
努
(
つと
)
めたのであるが、
其結果
(
そのけつくわ
)
二
億圓
(
おくゑん
)
以上
(
いじやう
)
の
在外資金
(
ざいぐわいしきん
)
を
買取
(
かひと
)
ることが
出來
(
でき
)
たのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
だが、読んで
或
(
ある
)
ことに気がつきはしなかったかどうか。夫人は大五郎氏の表情からそれを読もうと
努
(
つと
)
めたが、彼の気抜けのした様な顔は、何事をも語っていなかった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
銀太夫君は師匠から芸を習うと共に、師匠のインテリ
啓発
(
けいはつ
)
に
努
(
つと
)
めた。
鐘師匠
(
かねししょう
)
は我儘な人だけれど、気心は極く好い。腹を立てゝも、長くこだわらない。奥さんも同じことだった。
心のアンテナ
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
努
(
つと
)
めて心を引き立てるように、いろいろ注意を加えましたが、どうも一向きき目がない。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そしてふたたび、書中の
文言
(
もんごん
)
を疑うように、
眼
(
まなこ
)
をそれへ
努
(
つと
)
めてみたが、疑うべくもない文字の上へ、はや
滂沱
(
ぼうだ
)
と涙がさきにこぼれていた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
學院
(
インスティテユーション
)
」といふ字の意味を考へながら、最初の言葉と聖書の句との間の關係を知らうと
努
(
つと
)
めてゐる時に、私の直ぐ背後で
咳拂
(
せきばら
)
ひがしたので頭を向けた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
ミリガン夫人は、リーズがまだ話をしようと
努
(
つと
)
めていることを話して、医者はもうじき
治
(
なお
)
ると言っていると言った。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
病臥中、はじめの一週間ほどは
努
(
つと
)
めて安静を守っていたが、日がだんだんに経つにつれて、気分のよい日の朝晩には縁側へ出て小さい庭をながめることもある。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
努
(
つと
)
めて幼少の時に
描
(
えが
)
いた理想を
養
(
やしな
)
うことは
年々歳々
(
ねんねんさいさい
)
枯
(
か
)
れゆく心の
色香
(
いろか
)
を新たむるの道であろうと信ずる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
努
常用漢字
小4
部首:⼒
7画
“努”を含む語句
努力
努々
努〻
阿努
久努
超努級
美努王
美努村
美努
文室珍努
布努村
布努
安努
奮励努力
大努力
和加布都努志命
努自
努眼
努奈河媛
努力感