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佳
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よ
ふりがな文庫
“
佳
(
よ
)” の例文
令はそこでそれをまた
里正
(
りせい
)
に催促して献上さした。市中の
游侠児
(
あそびにん
)
は
佳
(
よ
)
い促織を獲ると
篭
(
かご
)
に入れて飼い、値をせりあげて金をもうけた。
促織
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
苗代川は現実の世から見ればまさに夢の国だとも思える。進歩を誇る吾々に
易々
(
やすやす
)
と
佳
(
よ
)
いものが出来にくいのと何たる対比であろうか。
苗代川の黒物
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
それくらい好きな煙草を長崎にいたときやめて、
佳
(
よ
)
い煙草も安く喫める
欧羅巴
(
ヨーロッパ
)
にいたときにも決して口に
銜
(
くわ
)
えることすらしなかった。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
その結果、支那人は
旧
(
ふる
)
くからこの草を熱愛した。それはその草状が
佳
(
よ
)
いという訳ではなく、その草に含んでいる香気を愛でたのである。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
「出家には、ものおしみをする人の心がどうしても解りません、わしに
佳
(
よ
)
い梨がある、それを出して、皆さんに御馳走をしよう」
種梨
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
ねがわくば、この
佳
(
よ
)
き日にあたって、
下々
(
しもじも
)
へも、ご仁政の
実
(
じつ
)
をおしめしたまわらば、宋朝の栄えは、万代だろうとおもわれますが
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その頃、私は師匠の家に寝泊まりしていた。当時は肉の
佳
(
よ
)
いのは牝牛といったものです。ロースだのヒレーだのということは知りません。
幕末維新懐古談:23 家内を貰った頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
東坡巾先生は道行振の下から腰にしていた小さな
瓢
(
ひさご
)
を取出した。一合少し位しか入らぬらしいが、いかにも上品な
佳
(
よ
)
い瓢だった。
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
こんなふうで、自分の中学においての成績は三年ごろまではまず中ぐらいのところであったが、それから後は
佳
(
よ
)
いほうであったと言えよう。
わが中学時代の勉強法
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
述斎は濹上に遊ぶべき時節の最も
佳
(
よ
)
きは花の散った後若葉の頃であるとなした。これは柳北が『花月新誌』に言うところと全く符合している。
向嶋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
宗教は詩人と愚人とに
佳
(
よ
)
くして実際家と智者に要なしなどと唱うる人は、歴史も哲学も経済も何にも知らない人であります。
デンマルク国の話:信仰と樹木とをもって国を救いし話
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
「お彼岸だものですから、お
墓詣
(
はかまいり
)
に一人で出て来たついでに、あんまり気持が
佳
(
よ
)
いのでつい何時までも家に帰らずにふらふらしていました。」
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
歌を詠まなかった万葉時代の我々は、果してこの草を何と呼んでいたろうか。以前
佳
(
よ
)
い名があって不幸にして忘れられたか。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
兄さんが読んだら泣くだろう。
佳
(
よ
)
い兄さんだった。兄さんは、僕が八つの時から、お父さんの身代りになって僕を
可愛
(
かわい
)
がり、導いて下さった。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そうして毎日そのスープを飲むが牛の頭は一年に二、三度より取かえない。しかし毎日煮ているからスープの味は非常に
佳
(
よ
)
くって滋養分も多い。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
その時分の
無落款
(
むらっかん
)
のものに極めて
佳
(
よ
)
いものが多かったからかも知れませんが、兎に角近世作家のものが、もっとあってもいいと思ったほどでした。
浮世絵画家の肉筆:――花は霞を透してひとしおの風情があるもの――
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
却説
(
さて
)
小助
(
こすけ
)
は、
家
(
いへ
)
を
出
(
で
)
た
其
(
そ
)
の
足
(
あし
)
で、
同
(
おな
)
じ
村
(
むら
)
の
山手
(
やまて
)
へ
行
(
い
)
つた。こゝに
九兵衞
(
くへゑ
)
と
云
(
い
)
ふものの
娘
(
むすめ
)
にお
秋
(
あき
)
と
云
(
い
)
ふ、
其
(
そ
)
の
年
(
とし
)
十七になる
野上一郡
(
のがみいちぐん
)
評判
(
ひやうばん
)
の
容色
(
きりやう
)
佳
(
よ
)
し。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
新派は初めから大きらひですし、新劇はどれが
佳
(
よ
)
いのかわからないで行く気になれず、と、まあかういふわけでした。
懐かし味気なし:五年振で見る故国の芝居
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
日というものがこんなに
佳
(
よ
)
く橘に
人事
(
ひとごと
)
でなく存在していることが、大きな広いところにつき抜けて出た感じであった。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
わたしの故郷はもっと
佳
(
よ
)
いところが多いのだ。しかしその佳いところを記すには姿もなく言葉もないので、どうやらまずこんなものだとしておこう。
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
「御用聞が暇で困るのは、世の中が無事な証拠さ。それほど退屈なら、
跣足
(
はだし
)
で庭へ降りて、水でも汲むがいい、土が冷えていてとんだ
佳
(
よ
)
い心持だぜ」
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
容貌
(
きりょう
)
は
佳
(
よ
)
し性質もこんな温厚な娘だったが、玉にも
瑕
(
きず
)
の例でこの娘に一つの難というのは、肺病の血統である事だ。
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
「さあ、どつちが
佳
(
よ
)
からうな。」長谷川氏は敵の偵察をするやうにじつと頭を
傾
(
かし
)
げた。「
俺
(
わし
)
は種子田がよいと思ふのだが、
併
(
しか
)
し嬢の思はくもあるでな。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
定「何もございませんが、いつもの魚屋が
佳
(
よ
)
い
鰈
(
かれい
)
を持ってまいりました、珍らしい事で、鰈を取って置きました」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「そうです。あなたにとっては
佳
(
よ
)
き歌を百首詠むより、国を治め正しき戦の法を学ぶことの方が大切なのです」
蒲生鶴千代
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
何処を見ても物の色は
佳
(
よ
)
い。暗く影の深い鎮守の森、白く日に光る渓川の水、それを
彩
(
いろど
)
るものは秋の色である。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
寒いばかりではない、もう苦しくて荷を背負って居る
荷持に縋らなくてはならぬ
(
荷物を下さなくては苦しい
)
けれども景色もまた
佳
(
よ
)
いです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
癩病
(
らいびょう
)
病院に血痕のある木!
誰
(
た
)
れしもあまり
佳
(
よ
)
い
心持
(
こころもち
)
がしない、こんな場所だから昼間でも人通りが
頗
(
すこぶ
)
る少ない、
殊
(
こと
)
に夜に
入
(
い
)
っては、
甚
(
はなは
)
だ寂しい道であった。
白い蝶
(新字新仮名)
/
岡田三郎助
(著)
こゝに在るは善き人々なるをば、客人も
夙
(
と
)
く悟り給ひしならん。されど此等の事思ひ定め給はんには、先づ快く一夜の勞を
醫
(
いや
)
し給ふに若かず。こゝに
佳
(
よ
)
き
牀
(
とこ
)
あり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
ヂュリ あい、
其
(
その
)
晴着
(
はれぎ
)
が
最
(
いっ
)
ち
佳
(
よ
)
い。それはさうと、
乳母
(
うば
)
や、
今宵
(
こよひ
)
は
予
(
わし
)
をどうぞ
一人
(
ひとり
)
で
寢
(
ね
)
かしてくりゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
問「大衆文芸の功労者は?」答「よく働いて
佳
(
よ
)
い作を見せた、数多くの大衆文芸家と、大衆文芸を論議してくれた、数多くの純文芸家と、大衆文芸を鼓舞してくれた、 ...
大衆文芸問答
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一同は一足お先に
那河川
(
なかがわ
)
に架けたる橋を渡り、河畔の
景色
(
けいしょく
)
佳
(
よ
)
き花月
旅店
(
りょてん
)
に着いて待っていると、
間
(
ま
)
もなく杉田先生得意満面、一行の荷物を
腕車
(
わんしゃ
)
に満載してやって来た。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
肩つきの
按排
(
あんばい
)
は西洋婦人のように肉附が
佳
(
よ
)
くってしかもなだらかで、眼は少し眠むいような風の
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その中の小品に相当に
佳
(
よ
)
いものがあつたので、彼女も文展に出品する気になつて、他の大幅のものと一緒にそれを搬入したが、鑑査員の認めるところとならずに落選した。
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
信州
(
しんしゅう
)
の
戸隠
(
とがくし
)
山麓なる
鬼無村
(
きなしむら
)
という
僻村
(
へきそん
)
は、避暑地として
中々
(
なかなか
)
佳
(
よ
)
い
土地
(
ところ
)
である、自分は数年
前
(
ぜん
)
の夏のこと
脚気
(
かっけ
)
の
為
(
た
)
め、保養がてらに、数週間、
此地
(
ここ
)
に
逗留
(
とうりゅう
)
していた事があった。
鬼無菊
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
曉告ぐる五月の
輕風
(
そよかぜ
)
ゆたかに草と花とを含み、動きて
佳
(
よ
)
き
香
(
か
)
を放つごとくに 一四五—一四七
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
かつて預言者エレミヤは
佳
(
よ
)
き無花果と腐った無花果と二
筺
(
かご
)
を並べて、神の聖意に
順
(
したが
)
う者をば佳き無花果、不信仰の者を腐った無花果に
譬
(
たと
)
えたことがありますが(エレミヤ二四)
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
然
(
しか
)
り
而
(
しこう
)
してその男子の如くなるや、知識気力の深浅強弱
如何
(
いかん
)
の辺に
止
(
とど
)
まり、
専
(
もっぱ
)
ら精神を練るの教えを主として、当局の婦人においても、その範囲を脱せざれば甚だ
佳
(
よ
)
しといえども
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
青年は一週間ほど
経
(
た
)
ってまた来た。今度は自分の作った原稿を
携
(
たずさ
)
えていた。あまり
佳
(
よ
)
くできていなかったから、遠慮なくその
旨
(
むね
)
を話すと、書き直して見ましょうと云って持って帰った。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
※ンチの作だらうと云ふ「
基督
(
キリスト
)
」は一も二も無く※ンチに決めて
仕舞
(
しま
)
ひたい程
佳
(
よ
)
い絵である。
之
(
これ
)
も女らしい
基督
(
キリスト
)
で、顔にも髪にも緑色を用ひたのが其の悲し
味
(
み
)
のある表情に適して居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
欠伸
(
あくび
)
をしながら、煙草を御自分も喫み、管理人にも一本下すったそうでまたその煙草が外国製のものらしく、
迚
(
とて
)
も堪らない
佳
(
よ
)
い香がしたが、吸っているうちに何だか少し頭がぼんやりしてきて
情鬼
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
故にそのリリシズムを理解しない限りにおいて、百千の句は
悉
(
ことごと
)
く皆凡句であり、それを理解する限りにおいて、彼のすべての句は皆
佳
(
よ
)
いのである。例えば
小督局
(
こごうのつぼね
)
の廃跡を訪うて
咏
(
よ
)
んだという句
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
ただその両者が結びついた時にのみ見られる
佳
(
よ
)
さで、人間がああでもないこうでもないと、ややもすれば無意味な苦心を重ねた後に、自然が最後の仕上げの鑿を
揮
(
ふる
)
って、重苦しい塊まりを崩し
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
高田の作ったこの句も、客人の古風に
昂
(
たか
)
まる感情を締め抑えた清秀な気分があった。梶は
佳
(
よ
)
い日の午後だと喜んだ。出て来た梶の妻も食べ物の無くなった日の
詫
(
わ
)
びを云ってから、
胡瓜
(
きゅうり
)
もみを出した。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
座敷の三
方
(
ぱう
)
は
硝子障子
(
がらすしやうじ
)
で、廊下がグルリと
𢌞
(
ま
)
はり
縁
(
えん
)
のやうになつてゐた。障子の外へ出て見ると、
中二階風
(
ちうにかいふう
)
に高く作られて、直ぐ下が稻田であると分つた。星明りにも見晴らしの
佳
(
よ
)
いことが知られた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
それから又いつもの通りに
佳
(
よ
)
いお茶が出る。旨い菓子が出る。
半七捕物帳:03 勘平の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
皆様おそろいで
佳
(
よ
)
き年をお迎えのことと存じます。
雨の玉川心中:01 太宰治との愛と死のノート
(新字新仮名)
/
山崎富栄
(著)
なが
笑
(
ゑ
)
まひをわれは
佳
(
よ
)
き小麥のごとき
糧
(
かて
)
とす。
生けるものと死せるものと
(旧字旧仮名)
/
アンナ・ド・ノアイユ
(著)
この
佳
(
よ
)
い
入日
(
いりび
)
を眺めてゐるのですね。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
佳
(
よ
)
き人のよき衣つけて寄りつどふ
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
佳
常用漢字
中学
部首:⼈
8画
“佳”を含む語句
佳味
佳人
絶佳
佳肴
佳什
佳境
佳節
佳人意漸疎
佳婿
佳香
佳水
佳麗
佳酒
西湖佳話
佳句
佳否
佳饌
美酒佳肴
佳吟
佳耦
...