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何
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なんに
ふりがな文庫
“
何
(
なんに
)” の例文
是迄
(
これまで
)
だつて、私は貴方のことに就いて、
何
(
なんに
)
も世間の人に話した覚は無し、是から
将来
(
さき
)
だつても
矢張
(
やはり
)
其通り、何も話す必要は有ません。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「加うるに君が居ても差支えない。諸君のような人ばかりなら、
幾人
(
いくたり
)
居たって私は心配も
何
(
なんに
)
もしないが。」と梓は
愁然
(
しゅうぜん
)
として
差俯向
(
さしうつむ
)
く。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お
母様
(
ふくろさん
)
に願っているのにお
前
(
めえ
)
さんのような事を云われると、
私
(
わっち
)
ア了簡が
小
(
ちい
)
せえから
屈
(
すく
)
んで仕舞って、ピクーリ/\として
何
(
なんに
)
も云えないよ
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何
(
なんに
)
も欲しかないが、
先方
(
むこう
)
で
彼様
(
ああ
)
用心すると、
此方
(
こっち
)
でも何か
摘
(
つま
)
んでやり度くなる。お前は豪いよといわれると、何だか豪いような心持になる。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「いゝえ。言わしてもらいまっせ。私は
何
(
なんに
)
も義理の弟さんの悪口いいたいことはソラおまへん。おまへんけどでんな。現在血を分けた姪の……」
俗臭
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
▼ もっと見る
その
中
(
うち
)
三人の被害者は丁度こんな具合に喉を絞められていましたっけ。貴女はほんとに
何
(
なんに
)
も見なければ聞きもしなかったと云うのですか? 奥さん
目撃者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ハハハハこいつはあきれた。華族や金持ちを豆腐屋にするだなんて、えらい事を云うが、どうも
何
(
なんに
)
も知らないね」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何
(
なんに
)
もしたくないのだから、家賃とか米代とか、お
母
(
っか
)
さんに
酷
(
きび
)
しく言われるものは、
拠
(
よんどころ
)
なく書き物をして五円、八円取って来たが、
其様
(
そん
)
な処へ遊びに行く銭は
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
我意は
何
(
なんに
)
も無くなつた唯だ好く成て呉れさへすれば汝も
名誉
(
ほまれ
)
我も悦び、今日は是だけ云ひたいばかり、嗚呼十兵衞其大きな眼を湿ませて聴て呉れたか嬉しいやい
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
これらは
大方
(
おほかた
)
、
而
(
しか
)
も
今年
(
ことし
)
六ツになる
女
(
をんな
)
の
子
(
こ
)
のわたしたちの
玲子
(
れいこ
)
——千
草
(
ぐさ
)
は、まだやつと
第
(
だい
)
一のお
誕生
(
たんじやう
)
がきたばかりで、
何
(
なんに
)
も
解
(
わか
)
りません——に、
宵
(
よひ
)
の
口
(
くち
)
の
寐床
(
ねどこ
)
のなかなどで
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
白髪小僧はこう尋ねられても
何
(
なんに
)
も返事をせずに、只ぼんやりと青眼爺さんの顔を見ていた。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
酒は飲むし、筋肉はたるんでゐる。——もうビスクラに期待するものは
何
(
なんに
)
もないよ。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
帰って母様にそう言って、この
讐
(
かたき
)
を取ってもらいます。綱雄さんと私は奥村さんに見かえられました。私はもうこの間
拵
(
こしら
)
えていただいた友禅もあの
金簪
(
きんかん
)
も、帯も指環も
何
(
なんに
)
もいりませぬ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
何
(
なんに
)
も見えないから、だんだん押分けて見ていると、
後
(
うしろ
)
からいやに押す人があるから、何の気なしに振返って見ると、わたしのお客は人を置去りにして
向
(
むこう
)
の方へ歩いて行くんじゃないの。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「僕は
何
(
なんに
)
も知らないで寢てゐたが、頭の一つや二つ蹴飛ばされたかも知れない。」
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
何
(
なんに
)
も解らずに
面白可笑
(
おもしろをかし
)
く暮してゐた夢も全く覚めて、考へれば考へるほど、自分の身が
余
(
あんま
)
りつまらなくて、もうどうしたら可いんだらう、と
鬱
(
ふさ
)
ぎ切つてゐる矢先へ、今度は身請と来たんで御座います
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
何
(
なんに
)
も知らないおしおは、例によって愛想よく男を迎えた。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
念仏も
弥陀
(
みだ
)
も
何
(
なんに
)
も要らん、一心に男の名を
称
(
とな
)
えるんだ。早瀬と称えて袖に
縋
(
すが
)
れ、胸を抱け、お蔦。……早瀬が来た、ここに居るよ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『ほゝゝゝゝ。それはさうと、
御腹
(
おなか
)
が空きやしたらう。何か食べて行きなすつたら——まあ、
貴方
(
あんた
)
は今朝から
何
(
なんに
)
も食べなさらないぢやごはせんか。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
と敏子も得意になって
反
(
そ
)
り返った。
何
(
なんに
)
もしないものに食ってかかって来るところは
成人
(
せいじん
)
した新女性によく似ている。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
此の婚礼が破談に成っては
何
(
なんに
)
も知らないおえいや丹三郎が可哀そうだ、お前が承知さえしてくれゝば実に此の上もない目出たい事だから、どうか勘弁してやってくれ
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何
(
なんに
)
も知らない兄を、
其所
(
そこ
)
まで連れて行くのには一通りでは駄目だと思うし、と云って、
無暗
(
むやみ
)
にセンチメンタルな文句を口にすれば、兄には馬鹿にされる、ばかりではない
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕はあいつが
何
(
なんに
)
もする事ができなくなるようにしてやりたいと思っているんだ。それもおれが自身に手を下さずに、自然に他の人が手を下すような、そういう機会をつくらせようと思っている。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
かう云ふ
何
(
なんに
)
も存じません
粗才者
(
ぞんざいもの
)
の事で御座いますから
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
唯
(
と
)
見
(
み
)
ると、
何
(
ど
)
うしたことかさ、
今
(
いま
)
いふ
其
(
その
)
檜
(
ひのき
)
ぢやが、
其処
(
そこ
)
らに
何
(
なんに
)
もない
路
(
みち
)
を
横截
(
よこぎ
)
つて
見果
(
みはて
)
のつかぬ
田圃
(
たんぼ
)
の
中空
(
なかそら
)
へ
虹
(
にじ
)
のやうに
突出
(
つきで
)
て
居
(
ゐ
)
る、
見事
(
みごと
)
な。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『今日は
何
(
なんに
)
も頂きたくないと言つて、お
粥
(
かゆ
)
を
少許
(
ぽつちり
)
食べましたばかり——まあ、朝から眠りつゞけなんで御座ますよ。
彼様
(
あんな
)
に眠るのが
奈何
(
どう
)
でせうかしら。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
世の中は何が
幸福
(
しあわせ
)
になるか知れない。乃公も春之助と名をつけて貰うとよかった。八幡太郎も安藤太郎も
乃公
(
おれ
)
に
何
(
なんに
)
もくれやしない。太郎なんて全く割の悪い名前だ。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ヘエ怖い一生懸命に私が
斯
(
こ
)
う鎌で殺す気も
何
(
なんに
)
もなく殺してしまって見ると、
其様
(
そん
)
な顔でも
何
(
なん
)
でもないので、私がしょっちゅう師匠の事ばかり夢に見るくらいでございますから
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その時町内に
馬鹿竹
(
ばかたけ
)
と云って、
何
(
なんに
)
も知らない、誰も相手にしない馬鹿がいたんですってね。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と見ると、どうしたことかさ、今いうその檜じゃが、そこらに
何
(
なんに
)
もない路を
横断
(
よこぎ
)
って
見果
(
みはて
)
のつかぬ田圃の
中空
(
なかぞら
)
へ
虹
(
にじ
)
のように突出ている、見事な。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
途中で釣の道具を
買調
(
かいそろ
)
えて、乃公は
可成
(
なるべく
)
水の静かな処に陣取って、
釣魚
(
つり
)
を始めた。二三箇所試したが、流が早いから
何
(
なんに
)
も釣れない。それで乃公はだんだん上の方へ行った。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
又
何
(
なんに
)
も知らねえおえいや丹三郎が不憫だと仰しゃれば
些
(
ちと
)
申したい事がある、おえいや丹三郎さんが
何
(
なん
)
にも知らねえという訳はがんしねえ、と言うものは、
先達
(
せんだっ
)
て
店
(
たな
)
で拾った
文
(
ふみ
)
がありやす
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
友人は
固
(
もと
)
より
何
(
なんに
)
も知らずに連れ出されたのであるが、バルザックは
兼
(
か
)
ねて自分の苦心している名を
目付
(
めつけ
)
ようという考えだから往来へ出ると何もしないで店先の看板ばかり見て
歩行
(
ある
)
いている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「お
前
(
めえ
)
、もうちっとこっちに居てくんねえな。おいら勝手に
好
(
すき
)
な真似はしてるけれど、友達も
何
(
なんに
)
もありゃしないやな。本当は心細くッて、一向
詰
(
つま
)
らないんだぜ。」
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婆さんは
何
(
なんに
)
も知らないから年さえ取れば兄の家がもらえると信じている。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうするとお村は
何
(
なんに
)
も言わずに友之助の
膝
(
ひざ
)
に取付き、声を揚げて泣きますから、友之助は一向何事とも分らぬから、兎も角も早く様子が聞きたいと云うので、
向島
(
むこうじま
)
の
牛屋
(
うしや
)
の
雁木
(
がんぎ
)
から上り、船を帰して
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「やあい!
何
(
なんに
)
も言うことがないもんだから。やあい!」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
といつた
風情
(
ふぜい
)
で
面倒臭
(
めんだうくさ
)
さうに
衣服
(
きもの
)
を
着
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
たから、
私
(
わし
)
は
何
(
なんに
)
も
問
(
と
)
はずに
少
(
ちい
)
さくなつて
黙
(
だま
)
つて
控
(
ひか
)
へた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「御用心が過ぎて、今度は
何
(
なんに
)
も見えませんでしたの」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
外に姉さんも
何
(
なんに
)
も居ない、
盛
(
さかり
)
の頃は本家から、女中料理人を引率して新宿
停車場
(
ステエション
)
前の池田屋という飲食店が夫婦づれ乗込むので、
独身
(
ひとりみ
)
の
便
(
たより
)
ないお幾婆さんは、その縁続きのものとか
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「書置も
何
(
なんに
)
もございませんでしたわ」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ものを
教
(
おし
)
へますと
覚
(
おぼ
)
えますのに
嘸
(
さぞ
)
骨
(
ほね
)
が
折
(
を
)
れて
切
(
せつ
)
なうござんせう、
体
(
からだ
)
を
苦
(
くる
)
しませるだけだと
存
(
ぞん
)
じて
何
(
なんに
)
も
為
(
さ
)
せないで
置
(
お
)
きますから、
段々
(
だん/″\
)
、
手
(
て
)
を
動
(
うご
)
かす
働
(
はたらき
)
も、ものをいふことも
忘
(
わす
)
れました。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
海があるばかりで、他には
何
(
なんに
)
もない。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
娘は山賊に捕われた事を、
小児心
(
こどもごころ
)
にも知っていたけれども、
堅
(
かた
)
く
言付
(
いいつ
)
けられて帰ったから、その頃三ヶ国
横行
(
おうこう
)
の
大賊
(
たいぞく
)
が、つい私どもの
隣
(
となり
)
の
家
(
うち
)
へ入った時も、
何
(
なんに
)
も言わないで黙っていました。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
何
(
なんに
)
も分らないのね」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「そうだは御挨拶でございますこと、私は名も
何
(
なんに
)
もございませんよ。」
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
昨日
(
きのう
)
は
唯
(
ただ
)
綱を
手繰
(
たぐ
)
って、一人で越したです。
乗合
(
のりあい
)
も
何
(
なんに
)
もない。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“何”の解説
何(か)は、漢姓のひとつ。『百家姓』の21番目。
(出典:Wikipedia)
何
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
“何”を含む語句
何処
如何
何方
何故
何人
何時
何所
幾何
奈何
何樣
何程
何様
何日
何處
何事
如何様
何家
何分
何等
何者
...