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何心
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なにごころ
ふりがな文庫
“
何心
(
なにごころ
)” の例文
つい、その
頃
(
ころ
)
、
門
(
もん
)
へ
出
(
で
)
て——
秋
(
あき
)
の
夕暮
(
ゆふぐれ
)
である……
何心
(
なにごころ
)
もなく
町通
(
まちどほ
)
りを
視
(
なが
)
めて
立
(
た
)
つと、
箒目
(
はゝきめ
)
の
立
(
た
)
つた
町
(
まち
)
に、ふと
前後
(
あとさき
)
に
人足
(
ひとあし
)
が
途絶
(
とだ
)
えた。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
中
(
うち
)
の一人が
何心
(
なにごころ
)
なく土産物の
包
(
くる
)
んであつた新聞紙を手に取つて見た。新聞紙は奈良のものだつたが、矢張り新しい事が載つてゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
客は
忽
(
たちま
)
ち
慚愧
(
ざんき
)
の体にて
容
(
かたち
)
を改め、貴嬢願わくはこの書を一覧あれとの事に、
何心
(
なにごころ
)
なく
披
(
ひら
)
き見れば、思いもよらぬ結婚申し込みの書なりけり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
(中略)
下女
(
しもをんな
)
(中略)
何心
(
なにごころ
)
なくあぜづたひに
行
(
ゆ
)
く向うの
方
(
かた
)
、すすきのかげより思ひがけなく、
下男
(
しもをとこ
)
横だきにして
池中
(
ちちう
)
へなげ入れける。(中略)
案頭の書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私はその草の中に立って、
何心
(
なにごころ
)
なく向うの
崖
(
がけ
)
を
眺
(
なが
)
めました。今でも悪い景色ではありませんが、その頃はまたずっとあの西側の
趣
(
おもむき
)
が違っていました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
谷中
(
やなか
)
から上野を抜けて東照宮の下へ
差掛
(
さしかか
)
った夕暮、
偶
(
ふ
)
っと森林太郎という人の家はこの辺だナと思って、
何心
(
なにごころ
)
となく
花園町
(
はなぞのちょう
)
を
軒別
(
けんべつ
)
門札
(
もんさつ
)
を見て歩くと
忽
(
たちま
)
ち見附けた。
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
その日も
何心
(
なにごころ
)
なく一皿の
中
(
うち
)
少しばかり食べしがやがて二日目の
暁方
(
あけがた
)
突然
腸
(
はらわた
)
搾
(
しぼ
)
らるるが如き
痛
(
いたみ
)
に目ざむるや、それよりは
夜
(
よ
)
の
明放
(
あけはな
)
るるころまで
幾度
(
いくたび
)
となく
廁
(
かわや
)
に走りき。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
市郎は我が
背後
(
うしろ
)
で
微
(
かすか
)
に物の動く
気息
(
けはい
)
を聞いたので、
何心
(
なにごころ
)
なく
顧
(
みかえ
)
ると、驚くべし
彼
(
か
)
のお杉
婆
(
ばばあ
)
は手に
磨
(
と
)
ぎ
澄
(
すま
)
したる
小刀
(
こがたな
)
を
振翳
(
ふりかざ
)
して、あわや彼を突かんとしているのであった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
雨
(
あめ
)
がポツ/\
降
(
ふ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
自分
(
じぶん
)
は
山
(
やま
)
の
手
(
て
)
の
方
(
はう
)
をのみ
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
た。
初
(
はじ
)
めは
何心
(
なにごころ
)
なく
見
(
み
)
るともなしに
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
る
内
(
うち
)
に、
次第
(
しだい
)
に
今
(
いま
)
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
る
前面
(
ぜんめん
)
の
光景
(
くわうけい
)
は一
幅
(
ぷく
)
の
俳畫
(
はいぐわ
)
となつて
現
(
あら
)
はれて
來
(
き
)
た。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
ジュウジュウと音を立てて暗くなって来た、私はその音に
不図
(
ふと
)
何心
(
なにごころ
)
なく眼が覚めて、
一寸
(
ちょいと
)
寝返りをして横を見ると、
呀
(
アッ
)
と
吃驚
(
びっくり
)
した、自分の
直
(
す
)
ぐ
枕許
(
まくらもと
)
に、
痩躯
(
やせぎす
)
な
膝
(
ひざ
)
を
台洋燈
(
だいランプ
)
の
傍
(
わき
)
に出して
女の膝
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
この人も死ぬる二三年前に夜遊びに出でて帰りしに、
門
(
かど
)
の
口
(
くち
)
より
廻
(
まわ
)
り
縁
(
えん
)
に沿いてその
角
(
かど
)
まで来たるとき、六月の月夜のことなり、
何心
(
なにごころ
)
なく
雲壁
(
くもかべ
)
を見れば、ひたとこれにつきて寝たる男あり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「永久に……」と彼は
何心
(
なにごころ
)
なく考えた。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
縁側
(
えんがは
)
に
行
(
ゆ
)
きて
戸
(
と
)
を
開
(
ひら
)
き、「いざ
御覽
(
ごらん
)
遊
(
あそ
)
ばさるべし」と
手
(
て
)
を
支
(
つか
)
ふ。「
一寸
(
ちよいと
)
其中
(
そのなか
)
に
入
(
はひ
)
つて
見
(
み
)
よ」と
口輕
(
くちがる
)
に
申
(
まを
)
されければ、
彼
(
か
)
の
男
(
をとこ
)
ハツといひて
何心
(
なにごころ
)
なく
籠
(
かご
)
に
入
(
はひ
)
る。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「ああ、そうですか。」と云いながら、忠一は
何心
(
なにごころ
)
なく
四辺
(
あたり
)
を見廻したが、
忽
(
たちま
)
ちあッと叫んだ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
芥川氏は
何心
(
なにごころ
)
なく封を切つて読み下したが、暫くすると
可笑
(
をか
)
しさうににや/\笑ひ出した。すると
恰
(
ちやう
)
ど
其処
(
そこ
)
へ
予
(
かね
)
て
心安立
(
こころやすだて
)
の
滝田樗陰
(
たきたちよいん
)
氏が女中に導かれて、ぬつと入つて来た。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
もし旅人、疲れし足をこのほとりに
停
(
と
)
めしとき、
何心
(
なにごころ
)
なく見廻わして、何らの感もなく行過ぎうべきか。見かえればかしこなるは哀れを今も、七百年の後にひく
六代御前
(
ろくだいごぜん
)
の
杜
(
もり
)
なり。
たき火
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
自分は既に述べたよう
何処
(
どこ
)
へも行く当てはない。大勢が下車するその場の騒ぎに引入れられて
何心
(
なにごころ
)
もなく席を立ったが、すると車掌は自分が要求もせぬのに
深川行
(
ふかがわゆき
)
の
乗換
(
のりかえ
)
切符を渡してくれた。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何心
(
なにごころ
)
なく、
眩
(
まばゆ
)
がつて、すツとぼ/\、
御覽
(
ごらん
)
の
通
(
とほ
)
り
高足駄
(
たかあしだ
)
で
歩行
(
ある
)
いて
來
(
く
)
ると、ばらり/\、カチリてツちや
砂利
(
じやり
)
を
投
(
な
)
げてるのが、
離
(
はな
)
れた
所
(
ところ
)
からも
分
(
わか
)
りましたよ。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
主人
(
あるじ
)
が先に立って奥の一室へ案内する、私も
何心
(
なにごころ
)
なく
其
(
そ
)
の跡について行くと、貴族の家の
習慣
(
ならい
)
として、広い一室の壁に先祖代々の人々の肖像画が順序正しく
懸
(
か
)
け
列
(
つら
)
ねてある。
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
何心
(
なにごころ
)
なく、
端
(
はし
)
を、キリ/\と、
手許
(
てもと
)
へ、
絞
(
しぼ
)
ると、
蜘蛛
(
くも
)
の
巣
(
す
)
のかはりに
幻
(
まぼろし
)
の
綾
(
あや
)
を
織
(
お
)
つて、
脈々
(
みやく/\
)
として、
顏
(
かほ
)
を
撫
(
な
)
でたのは、
薔薇
(
ばら
)
か
菫
(
すみれ
)
かと
思
(
おも
)
ふ、いや、それよりも、
唯今
(
たゞいま
)
思
(
おも
)
へば、
先刻
(
さつき
)
の
花
(
はな
)
の
匂
(
にほひ
)
です
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
むこうは笠を傾けて挨拶もせずに行き過ぎたが、たしかにその人らしかったと
家
(
うち
)
へ帰ってから
何心
(
なにごころ
)
なくしゃべっていたのを、
禿
(
かむろ
)
の八千代が立ち聞きして、それを八橋に訴えた。八橋は
赫
(
かっ
)
となった。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
何心
(
なにごころ
)
なく、
背戸
(
せど
)
の
小橋
(
こばし
)
を、向こうの
蘆
(
あし
)
へ渡りかけて、思わず足を
留
(
と
)
めた。
海の使者
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、しをらしく
言
(
い
)
つたので、
何心
(
なにごころ
)
なく
其
(
そ
)
の
言
(
ことば
)
に
從
(
したが
)
つた。
片しぐれ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
としをらしく
言
(
い
)
つたので、
何心
(
なにごころ
)
なく
其
(
そ
)
の
言
(
ことば
)
に
從
(
したが
)
つた。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何心
(
なにごころ
)
なく言った顔を、
訝
(
いぶか
)
しそうに
打視
(
うちなが
)
めた。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
心
常用漢字
小2
部首:⼼
4画
“何”で始まる語句
何
何処
何時
何故
何人
何方
何卒
何處
何日
何事