“人数(にんず)” の例文
旧字:人數
井戸は小屋を懸(かけ)、厠(かはや)は雪中其物を荷(になは)しむべき備(そなへ)をなす。雪中には一点(てん)の野菜(やさい)もなければ家内(かない)の人数(にんず)にしたがひて、雪中の食料(しよくれう)を貯(たくは)ふ。
やっぱりみんな錨(いかり)を下ろすが早いか女のところへ上陸したに相違ない。ガルシア・モレノ号は僕の前にたったこれだけの人数(にんず)だった。
そして残(のこり)の人数(にんず)を二手(ふたて)に分けて、自分達親子の一手は高麗橋(かうらいばし)を渡り、瀬田の一手は今橋(いまばし)を渡つて、内平野町(うちひらのまち)の米店(こめみせ)に向ふことにした。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
先生はその上に私の家族の人数(にんず)を聞いたり、親類の有無を尋ねたり、叔父(おじ)や叔母(おば)の様子を問いなどした。そうして最後にこういった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
売らぬと云う側(がわ)は、人数(にんず)で関係地主の総数(そうすう)五十三人中の三十名、坪数で二十万坪の十二万坪を占めて居る。彼等の云い分はざッと斯様(こう)だ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
職員四人分の卓(つくゑ)や椅子、書類入の戸棚などを並べて、さらでだに狭くなつてゐる室は、其等の人数(にんず)に埋(うづ)められて、身動(みじろ)ぎも出来ぬ程である。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
それで彼らは自分たちの方の幕下(ばっか)のものを糾合し遊説して二百人からの人数(にんず)をこしらえまして、その組合というものを組織したのであった。
つねよりもおおぜいの人数(にんず)でござりましたから、さいしょはなか/\気が立っておりまして、「憂きも一と時うれしさも思ひさませば夢候(そろ)よ」
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「ですが、御牒(ごちょう)によって、長門(ながと)の厚東(こうとう)ノ入道、周防(すおう)の大内義弘(よしひろ)、そのほか大島義政なんども、みな、人数(にんず)をあげてお出迎えに出ておりますが」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一体地獄にはどれ程の人数(にんず)が居る事だらう——僧侶(ばう)さんや牧師が人を罪人扱ひにするお説教を聴く度(たび)に、誰でもがこんな考へを起すものだが
残酷なようであるが、限られた人数(にんず)で限られた時間に仕事をしなければ、機関長の沽券(こけん)にかかわるんだから止(や)むを得ない。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
今演ぜられつつある踊が一段落となって今の見物人が追い出されたために繰込むべく待合わしている此の待合室の客は刻々に人数(にんず)を増して来た。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
涼しき真夜中の幽静(しずか)なるを喜びつつ、福井の金主が待てる旅宿に赴(おもむ)かんとて、そこまで来たりけるに、ばらばらと小蔭より躍(おど)り出ずる人数(にんず)あり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
追手(おって)は漸次(しだい)に人数(にんず)を増して、前から後(うしろ)から雪を丸めて投げた。此(こ)の雪礫(ゆきつぶて)を防ぐ手段として、重太郎も屋根から石を投げた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「素的素的」ガルールはすっかり誘入(ひきい)れられてしまって、「その加勢の人数(にんず)は私(あっし)が引受けます。一週間と経たないうちに、きっと纏めてつれて来ます」
たくさんのおともの人数(にんず)もきまっていました。でも、人魚のひいさまは、つむりをふって、にっこりしていました。
その時(とき)の私達(わたくしたち)の人数(にんず)はいつもよりも小勢(こぜい)で、かれこれ四五十名(めい)も居(お)ったでございましょうか。仕立(した)てた船(ふね)は二艘(そう)、どちらも堅牢(けんろう)な新船(あらふね)でございました。
淋しい山路を人数(にんず)の勢いで通る時などは、つとめて大きな声で話をして景気をつけるのがあたりまえであります。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
家来とは何だと云(い)うと、「イヤ事急なれば皆この城中に詰(つ)める方々にお賄(まかない)を下さるので人数(にんず)を調べて居る処です。 ...
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
自分一人でさえ断(き)れそうな、この細い蜘蛛の糸が、どうしてあれだけの人数(にんず)の重みに堪える事が出来ましょう。
蜘蛛の糸 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
どうかすると火がぱつと光りを増して、その度に向うの屋根の上にゐる幾人かの人数(にんず)を明かに照らし出した。
父の死 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
六人の人数(にんず)と十頭の犬で広い野山谷々を駆けまわる鹿を打つとはすこぶるむずかしい事のようであるが
鹿狩り (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
二丁目三丁目と下がりては戸ごとに「徴発ニ応ズベキ坪数○○畳、○間」と貼札(はりふだ)して、おおかたの家には士官下士の姓名兵の隊号人数(にんず)を記(しる)せし紙札を張りたるは
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
人数(にんず)はさのみ変らねどあの子が見えねば大人までも寂しい、馬鹿さわぎもせねば串談(じようだん)も三ちやんの様では無けれど、人好きのするは金持の息子さんに珎(めづ)らしい愛敬
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
骨牌(かるた)の会は十二時に迨(およ)びて終りぬ。十時頃より一人起ち、二人起ちて、見る間に人数(にんず)の三分の一強を失ひけれども、猶(なほ)飽かで残れるものは景気好く勝負を続けたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
これからすぐに王さまのところへ行って、この前のような船と、同じ人数(にんず)の水夫と、それからうじ虫と肉とパンと車と革綱(かわづな)を、先(せん)のとおりに用意しておもらいなさい。
黄金鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
五人の人数(にんず)を要する上に、一度櫂(かい)を揃えて漕出せば、疲れたからとて一人勝手に止(や)める訳には行かないので、横着(おうちゃく)で我儘(わがまま)な連中(れんじゅう)は、ずっと気楽で旧式な荷足舟(にたりぶね)の方を選んだ。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
就きましては凡(およ)そ二百人も人数(にんず)が押出しました押出して浅間山を十分に取巻いて見た所が、北條彦五郎は岩穴の中に住んでいる、その穴の入口が小さくて、中へ這入るとずっと広くて
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さいわい片側だけの見物で、象の血を見た人数(にんず)もあまりたんとではない。さまざまに世話役が骨を折り、舁役(かきやく)が怪我をしたのだと誤魔化(ごまか)してようやくおさまりをつけてホッと胸を撫でおろす。
髪結(かみゆい)のお辰(たつ)と、豆腐屋(とうふや)の娘(むすめ)のお亀(かめ)とが、いいのいけないのと争(あらそ)っているうちに、駕籠(かご)は更(さら)に多(おお)くの人数(にんず)に取巻(とりま)かれながら、芳町通(よしちょうどお)りを左(ひだり)へ、おやじ橋(ばし)を渡(わた)って、牛(うし)の歩(あゆ)みよりもゆるやかに進(すす)んでいた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
梅幸(ばいかう)の姿に誰れがいきうつし人数(にんず)まばゆき春の灯の街
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
潮する人数(にんず)、風雅(みやび)の衣彩(きぬあや)に乱れどよむ日。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
小勢(こぜい)な人数(にんず)には広過ぎる古い家がひっそりしている中に、私(わたくし)は行李(こうり)を解いて書物を繙(ひもと)き始めた。なぜか私は気が落ち付かなかった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いつからともなく向うの方から五六人か七八人位の人数(にんず)でガヤガヤと話しながら、こっちの方へ来る声が聞こえ初める。
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その槙だが、いまの弁解(いいとき)を聞くまでは、おなじく、この人数(にんず)に、はきもののその数は、と思ったのだそうである。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「それから断わっておくが、女子供を質になんぞとっては、いけないよ。あとの始末がめんどうだからね。じゃ、人数(にんず)がそろったら、そろそろ出かけよう。」
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
毎晩なかなか人数(にんず)が多い——これにはリンピイの客引きもあずかって力がある——のだから、はじめ二時にどかんと「賭け札(テップ)」を売った金だけでも、往々にして
たくみに大殿をワナにおとし入(い)れ、桑名(くわな)にいる秀吉(ひでよし)の陣屋(じんや)まで、送りとどけんとする呂宋兵衛、さだめし明日(あす)はぎょうさんな人数(にんず)をもってくりだすことでしょう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一行の渋江、矢川(やがわ)、浅越(あさごえ)の三氏の中では、渋江氏は人数(にんず)も多く、老人があり少年少女がある。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
(掘(ほ)る処図(づ)には人数(にんず)を略してゑがけり)右は大家(たいか)の事をいふ、小家の貧(まづ)しきは掘夫(ほりて)をやとふべきも費(つひえ)あれば男女をいはず一家雪をほる。吾里にかぎらず雪ふかき処は皆(みな)然(しか)なり。
太古(おほむかし)からその年代までの人数(にんず)を数へ立てたら、随分な数(すう)に上(のぼ)るだらうが、その残りが皆(みんな)天国に居るとすると、神様のお裁きも、かなり善(よ)い加減なものと言はなければならない。
前将軍の秀忠がおびただしい人数(にんず)を連れて滞在しているところへ、新将軍の家光が更におびただしい同勢を具して乗り込んで来たのであるから、京の都は江戸の侍で埋(うず)められた。
鳥辺山心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
石川光明氏とか自分とかをおいては他に相当の人物が見当らなかったためにこの人数(にんず)の中へ加えられたのであろうが、今日にしてこの事のあるということは全く時の力であって
人数(にんず)はかのそそくさにこの女中と、他には御飯たきらしき肥大女(ふとつてう)および、その夜に入りてより車を飛ばせて二人ほど来たりし人あり、一人は六十に近かるべき人品よき剃髪(ていはつ)の老人
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御随行(おとも)の人数(にんず)は凡(およ)そ五六十人(にん)、いずれも命(みこと)の直属(ちょくぞく)の屈強(くっきょう)の武人(つわもの)ばかりでございました。
しまつたと叫びてよろめきながら同じく後(うしろ)の崖に落ち、路傍(みちばた)に取残されしは、娘御ひとりとなり候処、この時手に手に、提灯(ちょうちん)持ちたる家中の侍とも覚しき人数(にんず)駈け来り、娘御の姿を見候て
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
始め二つに輪作りし人数(にんず)はこの時合併して一(いつ)の大(おほい)なる団欒(まどゐ)に成されたるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
到底(どうせ)取りきれる事ではないが、うっちゃって置けば野菜が全滅になる、取れるだけは取らねばならぬ。此方(こっち)も生きねばならぬ人間である。手が足りぬ。手が足りぬ。自家の人数(にんず)ではやりきれぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
隣村から応援に来た最一人(もひとり)の背のヒヨロ高い巡査、三里許りの停車場所在地に開業してゐる古洋服の医師(いしや)、赤焦(あかちや)けた黒繻子の袋袴を穿いた役場の助役、消毒器具を携へた二人の使丁(こづかひ)、この人数(にんず)は
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
耀く人数(にんず)はかたまりころげて
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)