中途ちうと)” の例文
あれもそれ中途ちうと盲目めくらつたんだから、それまでにはたらいて身體からだ成熟できてるしおめえもつてるとほりあんで仕事しごと出來できるしするもんだから
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかるに、中途ちうとえて大瀧氏おほたきしあらはれて、懷中ふところから磨製石斧ませいせきふ完全くわんぜんちかきを取出とりいだし、坪井博士つぼゐはかせまへして。
身體からだゆすり、下駄げたにて板敷いたじき踏鳴ふみならすおとおどろ/\し。そのまゝ渡場わたしばこゝろざす、石段いしだん中途ちうとにて行逢ゆきあひしは、日傘ひがささしたる、十二ばかりの友禪縮緬いうぜんちりめん踊子をどりこか。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
文句もんく色々いろ/\へて、あるひつよく、あるひよわく、あるひのゝしり、あるひはふざけ、種々樣々しゆ/″\さま/″\こといてやつた。中途ちうとへたたれてはまつたてき降伏かうふくするわけだから、れい持藥ぢやくのつもりで毎日まいにちいた。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
永昌寺えいしやうじのあるやま中途ちうとには、村中むらぢうのおはかがありました。こんもりとしげつたすぎはやしあひだからは、いしせたむら板屋根いたやねや、かきや、竹籔たけやぶや、くぼ谷間たにまはたけまで、一えました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
のち商業学校せうげふがくかうてんじて、中途ちうとから全然すつかりふでたうじて、いまでは高田商会たかだせうくわいに出てりますが、硯友社けんいうしやためにはをしい人をころしてしまつたのです、もつとも本人の御為おためには其方そのはう結搆けつかうであつたのでせう
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
物置ものおきよこけた張板はりいた中途ちうとから、ほそくびを前へして、こゞみながら、苦茶くちや々々になつたものを丹念に引きばしつゝあつた手をめて、代助をた。一寸ちよつとなんとも云はなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
質朴しつぼくあいするに堪へたり、余炉辺にし一客にふて曰く、是より山奥にいたらば栗樹くりありや否、余等一行探検たんけん中途ちうとにして飢餓きがおちゐることあらん乎、栗等の果実くわじつりて餓死がしのがれんとすと
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
固めしが稻葉家の運や惡かりけん花山院殿と菊亭殿きくていどのの御二方は難なく通り給ひしが勅使大納言殿の御駕籠此孫橋へ差掛られし時けた中途ちうとより折れて橋板五枚ばかりと共に日野家の御先供さきども水中に落入や否や續いて大納言殿の陸尺も踏外ふみはづし忽ち御駕籠かごも水中へ落入既にしづまんとする有樣に周章狼狽あわてふためき陸尺共は足を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
中途ちうとちるのは、とゞかないので。砂利じやりが、病院びやうゐん裏門うらもんの、あの日中ひなか陰氣いんきな、枯野かれのしづむとつた、さびしいあか土塀どべいへ、トン……と……あひいては、トーンとあたるんです。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
毎日まいにちかならあせでぐつしりとしめるので、強靱きやうじん纎維せんゐちからもろつて、あきつめたい季節きせつまでにはどうしても中途ちうとで一へねばならぬと勘次かんじ自慢じまんしてひもほこりくははつてよごれてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
および余をあはせて総計十七名、中途ちうとかへりし者をのぞけば十二名とす、右の三角印は中途ちうとかへりしものとす、此他人夫十九名同道者どう/\しや三人、合計ごうけい三十九名とす、ただし人夫中四人及道者三人は中途にかへりたるを以て
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
平岡は、白襯衣しろしやつそでうで中途ちうとまくげて
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
といつたほどであるから、おはづかしいが、わたしにしてはうまれてはじめての冒険ぼうけんで、あしえ、きもえて、中途ちうとおもはず、——絶頂ぜつちやういしほこらは八幡宮まんぐうにてましますのに、——不動明王ふどうみやうわう、とねんずると、やあ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)