“しんしん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
森々24.1%
駸々17.7%
縉紳12.7%
津々10.1%
深々5.1%
身神3.8%
搢紳3.8%
心身3.2%
浸々3.2%
岑参1.9%
真心1.3%
参々1.3%
岑々1.3%
身心0.6%
品々0.6%
寂々0.6%
心神0.6%
振震0.6%
新進0.6%
森深0.6%
森然森然0.6%
沈々0.6%
津津0.6%
深森0.6%
眞神0.6%
秦晋0.6%
臣々0.6%
蓁々0.6%
親親0.6%
震々0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
御堂おどうさっと松風よりも杉のひのきの香の清々すがすがしい森々しんしんとした樹立こだちの中に、青龍の背をさながらの石段の上に玉面の獅子頭の如く築かれて
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
中には粉末の腐骨が残されていて、肉の疲れを見すまし黴菌は駸々しんしんと周囲を腐蝕し始めます。外部の黴菌もこれに呼応します。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ここに一言して置く。わたくしはこの拙著中人物の生死を記するに大抵没あるいは終の語を以てし縉紳しんしん公侯の死にもこうといい卒という語を
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しかしこの句を読むと、俳味津々しんしんたるのみならず、何だか春の夜に調和するように思われるから妙である。異色ある句といわなければならぬ。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
夜は深々しんしんと更けて、麹町こうじまち六番町のウイラード・シムソンのやしきのあたりは、まるで山奥のように静まり返っています。
計略二重戦:少年密偵 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
ここを先途せんどげども、せども、ますまするるなみいきおいに、人の力はかぎりりて、かれ身神しんしん全く疲労して、まさ昏倒こんとうせんとしたりければ、船は再びあやうく見えたり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かえって正当と見られるような、そういう時勢となったので、そこで多数が団結し、何々党、何々組などと、そういう党名や組名をつけて、搢紳しんしんの館や富豪の屋敷へ
弓道中祖伝 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかし心身しんしんの疲労はひどく、火のそばへは寄ったものの、誰も立っていられる者はなかった。そのまま、そのところに彼らは泥のような睡りに落ちていったのだ。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
城中いたるところ浸々しんしんと濁流が渦巻いて、ふくれあがった馬のかばねや兵の死骸があくたと共に浮いては流されて行く。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
是等の動詞の用法は海彼岸の文学の字眼じがんから学んだのではないであらうか? 字眼とは一字のこうの為に一句を穎異えいいならしめるものである。例へば下に引用する岑参しんしんの一聯にちようするがよい。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
冷遇ふッて冷遇て冷遇ふり抜いている客がすぐ前のうちあがッても、他の花魁に見立て替えをされても、冷遇ふッていれば結局けッく喜ぶべきであるのに、外聞の意地ばかりでなく、真心しんしん修羅しゅらもやすのは遊女の常情つねである。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
唐突に羊歯や木賊とくさ参々しんしんと密生した仄暗い沼沢の中へ押出された。
地底獣国 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
……今試験のため、すなわちパンのために、恨みをのみ涙をのんでこの書を読む。岑々しんしんたるかしらをおさえて未来永劫えいごうに試験制度を呪詛じゅそすることを記憶せよ
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
能々よく/\うんかなひし事かなされど二日二夜海上にたゞよひし事なれば身心しんしんつか流石さすがの吉兵衞岩の上にたふふし歎息たんそくの外は無りしが衣類いるゐは殘らずしほぬれ惣身そうしんよりはしづくしたゝり未だ初春しよしゆんの事なれば餘寒よかんは五體に染渡しみわたはりにてさゝれる如くなるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
以て百ばかつゞけ打に打せければあはれむべし傳吉は身のかはやぶにくさけて血は流れて身心しんしん惱亂なうらんし終に悶絶もんぜつしたるゆゑ今日のせめは是迄にて入牢じゆらうとなり之より日々にせめられけるが數度の拷問がうもんに肉落て最早こしも立ずわづかに息のかよふのみにて今は命のをはらんとなす有樣なり爰に於て傳吉思ふやうかゝ無體むたいの拷問はひとへに上臺憑司が役人とはら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「また始まッた、ヘン跳馬じゃじゃうまじゃアあるまいし、万古に品々しんしん五月蠅うるさい」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
日が恐しく早く暮れてしまうだけ、長いはすぐに寂々しんしんけ渡って来て、夏ならば夕涼みの下駄の音にさえぎられてよくは聞えない八時か九時の時の鐘があたりをまるで十二時の如くしずかにしてしまう。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それというのが、打ちみたところ、この女は立派に成熟していたが、すこし心神しんしんにやや過度の消耗しょうもうがあり、左肺尖ひだりはいせん軽微びじゃくながら心配の種になるラッセル音が聴こえるのだ。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なるほど、つい今しがた、三分間に亘って、湿度曲線がはげしく振震しんしんしていた。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ああ、帆村君。私です。捜査課長の大江山警部ですよ」それは故幾野課長の後を襲った新進しんしんの警部だった。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
枯柳や梅にとり囲まれ、神田川の水にのぞんで、火事をよそに森深しんしんと更けている。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
トントントントンとそう云っている間も戸外そとでは続けざまに戸を叩く、森然森然しんしんと更けた七月の夜の所は本所錦糸堀でひたひたと並んでいる武家屋敷から少し離れた堀添いの弓師左衛門の家である。
日置流系図 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
初秋の夜も沈々しんしんと更けた十二時すぎになると、アーラ不思議や、忽然こつぜんとして一人の女に化けた妖怪が現れ、累々るいるいと並んでいる石碑の間を歩いて行くのを見届けたから、翌朝再びその場へ行ってみると
おばけの正体 (新字新仮名) / 井上円了(著)
見れば見るだけ興味の津津しんしんたるものを覚える。
レンブラントの国 (新字新仮名) / 野上豊一郎(著)
山の手の夜は海底うなぞこのようだ。その暫らくの間を埋めて、深森しんしんと耳の痛くなるような、音のない夜の音が聞えて来る。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
天の高いところに、かれらの眞神しんしんかたちを眺めた。
蝶を夢む (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
彼は蒲東ほとうから興安こうあんへ出て布店ぬのみせをやっているおじもとにいて、秦晋しんしんの間を行商している者で、その時は興安へ帰るところであった。
陳宝祠 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
政治上に於て君々きみきみたらざるも臣々しんしんたらざるを得ずと言うに等しく、婦人の道は柔和忍辱盲従に在り、夫々おっとおっとたらざるも妻々つまつまたらざるを得ずとて
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
桃之ももの夭々ようよう、其葉蓁々しんしん、桃の節句は昔から婚嫁こんかの季節だ。村の嫁入よめいり婿取むことりは多く此頃に行われる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
臣又願わくは陛下益々ますます親親しんしんの礼をさかんにし、歳時さいじ伏臘ふくろう使問しもん絶えず、賢者は詔を下して褒賞ほうしょうし、不法者は初犯は之をゆるし、再犯は之をゆるし、三ぱん改めざれば、則ち太廟たいびょうに告げて、地を削り
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
するとそれを眺めていた土地の老翁や神官などが、みなあッと、声を放っていた。その声と共に、震々しんしん、梨の木は葉をふりこぼし、幹は血のごとき樹液をほとばしらせた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)