浸々しんしん)” の例文
そして、自然に身の近くに、やがて浸々しんしんと、水が誘いにくれば、たちまち泥の皮をはいで、ちろちろと泳ぎだすのです。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城中いたるところ浸々しんしんと濁流が渦巻いて、ふくれあがった馬のかばねや兵の死骸があくたと共に浮いては流されて行く。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんどの元宵節げんしょうせつを機して、梁山泊のともがらが、その一芸一能と変幻出没な化身けしんのもとに、上下、あらゆる面の人中へ浸々しんしんまぎれ入っていたには相違なく、北京城頭の三層楼そうろうにあがった炎は
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
冷たい砂の表面を掻き掘ると、その穴から、浸々しんしんと、ぬるい春の水が湧いて出た。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寄手は、浸々しんしんと、寿春へつめよせる。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)