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身心
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しんしん
能々運に
叶ひし事かな
然ど二日二夜海上に
漂ひし事なれば
身心勞れ
流石の吉兵衞岩の上に
倒れ
伏歎息の外は無りしが
衣類は殘らず
潮に
濡惣身よりは
雫滴り未だ
初春の事なれば
餘寒は五體に
染渡り
針にて
刺れる如くなるを
以て百
許り
續け打に打せければ
憐れむべし傳吉は身の
皮破れ
肉裂て血は流れて
身心惱亂し終に
悶絶したるゆゑ今日の
責は是迄にて
入牢となり之より日々に
責られけるが數度の
拷問に肉落て最早
腰も立ず
纔かに息の
通ふのみにて今は命の
終らんとなす有樣なり爰に於て傳吉思ふやう
斯る
無體の拷問は
偏に上臺憑司が役人と
腹を