搢紳しんしん)” の例文
むこ十川そごう(十川一存かずまさの一系だろうか)を見放つまいとして、搢紳しんしんの身ながらにしゃくや筆をいて弓箭ゆみややり太刀たちを取って武勇の沙汰にも及んだということである。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
かえって正当と見られるような、そういう時勢となったので、そこで多数が団結し、何々党、何々組などと、そういう党名や組名をつけて、搢紳しんしんの館や富豪の屋敷へ
弓道中祖伝 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
平中はそんな気持であった。漁色家の心理と云うものは、王朝時代の搢紳しんしんも江戸時代の通人つうじんと同じようなもので、過ぎ去った女のことに後々までこだわっているつもりはなかった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
廷珸と同じ徽州きしうのもので、親類つゞきだなど云つてゐたが、此男は搢紳しんしんの間にも遊び、少しは鼎彝ていい書画の類をも蓄へ、又少しは眼もあつて、本業といふのでは無いが
骨董 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
いったい当時の京都の武士は将軍家を始めとして皆幾らかずつ公卿の感化を受け、惰弱な搢紳しんしんの生活ぶりを真似まねていたので、弾正なぞも和歌が上手な割りに戦の方はそう得意でもなかったらしい。
廷珸と同じ徽州きしゅうのもので、親類つづきだなどいっていたが、この男は搢紳しんしんの間にも遊び、少しは鼎彝ていい書画の類をも蓄え、また少しは眼もあって、本業というのではないが
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)