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津々
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しんしん
ふりがな文庫
“
津々
(
しんしん
)” の例文
それだけでも、「
冥路の国
(
セル・ミク・シュア
)
」は興味
津々
(
しんしん
)
たるものなのに、一度折竹の口開かんか、そういう驚異さえも吹けば飛ぶ塵のように感じられる。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
しかしこの句を読むと、俳味
津々
(
しんしん
)
たるのみならず、何だか春の夜に調和するように思われるから妙である。異色ある句といわなければならぬ。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
今朝方、
暁
(
あかつき
)
かけて、
津々
(
しんしん
)
と降り積った雪の上を忍び寄り、狐は竹垣の下の
地
(
じ
)
を掘って
潜込
(
くぐりこ
)
んだものと見え、雪と砂とを前足で
掻乱
(
かきみだ
)
した
狼藉
(
ろうぜき
)
の有様。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
冬子は暫く体躯全体から湧き立つ重みのある厳そかな強い力に打たれていた。二十幾年求めて与えられなかった性格上の
饑
(
うえ
)
が
津々
(
しんしん
)
と迫る力に充たされて来る。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
こう二つの結びあいを離れて、さらにふたりの性格を箇々にながめてみると、なおその
友誼
(
ゆうぎ
)
を
完
(
まっと
)
うし合った底に、
津々
(
しんしん
)
たる両者の人間の味が噛みしめられる。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
「
津々
(
しんしん
)
として玉としたたる甘露の液と思うのが、実は
膿汁
(
うみしる
)
といたした処で、病人の迷うのを、
強
(
あなが
)
ち
白痴
(
たわけ
)
とは申されん、——むむ、さようなお心持でありましたか。」
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
無雑作な昔話にしても、土地に居つきの人そのままから、土地の音声を以て話してもらうと、古朴の味わい
津々
(
しんしん
)
たるものがあって、人をよろこばせること多大なものがあるのです。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
実に興味
津々
(
しんしん
)
たる心境らしい、相好を崩して銀太に向い
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
僕は日ごろこの句の
津々
(
しんしん
)
たる興味に感嘆する。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「フーム、実に興味
津々
(
しんしん
)
たる人物だ」
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
興味
津々
(
しんしん
)
たるものがあります。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
あらけなく
掻
(
かき
)
あくれば、綾子は顔を
赧
(
あか
)
めつつ、
悪汗
(
おかん
)
津々
(
しんしん
)
腋下
(
えきか
)
に
湧
(
わ
)
きて、あれよあれよと
悶
(
もだ
)
えたまう。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
深く
玩味
(
がんみ
)
してみると、そこに人間武蔵のおもしろさが
津々
(
しんしん
)
とつつまれているような気がする。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また
飛鳥山
(
あすかやま
)
より遠く
日光
(
にっこう
)
筑波
(
つくば
)
の山々を見ることを得れば
直
(
ただち
)
にこれを雲の
彼方
(
かなた
)
に
描示
(
えがきしめ
)
すが如く、臨機応変に全く相反せる製図の方式態度を併用して興味
津々
(
しんしん
)
よく平易にその要領を会得せしめている。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼にとっては、家康との交渉の不調が、実に、興味
津々
(
しんしん
)
たるものであるらしいのだ。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ
津々
(
しんしん
)
と地下泉の湧く
渚
(
なぎさ
)
に舌をねぶる
獣
(
けもの
)
のうつつなさといった
姿態
(
しな
)
。そしてそのうちに女の
鼻腔
(
びこう
)
が
昏絶
(
こんぜつ
)
のせつなさを洩らしたと思うと、彼はやにわに胸をのばして巧雲の唇へ移った。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
余韻
(
よいん
)
津々
(
しんしん
)
たるものがある。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
津
常用漢字
中学
部首:⽔
9画
々
3画
“津々”で始まる語句
津々浦々
津々美
津々泊々