身神しんしん)” の例文
今朝は湯加減がことによろしいように思われて身神しんしん爽快。天気もまた好い。朝飯もすみ、新聞もよみ終って、ふらりと宿を出た。
秋の修善寺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ここを先途せんどげども、せども、ますまするるなみいきおいに、人の力はかぎりりて、かれ身神しんしん全く疲労して、まさ昏倒こんとうせんとしたりければ、船は再びあやうく見えたり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
屍体の始末をなしたる人間が睡眠後……特に介抱その他に依る身神しんしんの疲労又は一種の安心等のために平常よりも深き熟睡に陥りたる場合に於て、その屍体より受けたる深刻なる暗示のために
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そこで、イルコックとバクスターは時計がかりとなり、ウエップは寒暖計かんだんけい晴雨計せいうけい主任しゅにんとなり、一同の身神しんしんをなぐさむるためにガーネットは音楽の主任となって、ハーモニカを鳴らすこととなった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「ほ。……それでよくあの身神しんしんがつづくものだの」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しづめ給へとくと御相談の手段も御座候ふべし古語こごにもとほおもんぱかりなきときは近きうれひありと申すはまさしく是なるべしされども三人よるとき文珠もんじゆ智慧ちゑ此平左衞門左仲御つき申しをるうちは御安心なされ能々御思案候べしと種々相談しけるうちやゝ半日餘りお島が雪の中にいましめられ身神しんしんともに冷凍ひえこゞ人心地ひとごこちもなきてい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それに引続く身神しんしんの全機能の停止があってのちに、やがて息を吹き返すと
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)