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しんしん
ふりがな文庫
“
駸々
(
しんしん
)” の例文
「今の例は、昔の新儀だった。
朕
(
ちん
)
の新儀は、また後世の先例となろう。藤房、そちには
駸々
(
しんしん
)
たる時勢の歩みがわからんとみえるな」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中には粉末の腐骨が残されていて、肉の疲れを見すまし黴菌は
駸々
(
しんしん
)
と周囲を腐蝕し始めます。外部の黴菌もこれに呼応します。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一時
駸々
(
しんしん
)
として動き始めるかと見えた「文芸」復興から、取り残されるように見えたのは、何故か独り科学だけだったのだ。
日本イデオロギー論:――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判
(新字新仮名)
/
戸坂潤
(著)
而
(
しか
)
して兵器の進歩は今日にあっても
駸々
(
しんしん
)
として底止するところを知らず、今後果して
那辺
(
なへん
)
にまで及ぶべきや、ほとんど予想すべからざるものがある。
世界平和の趨勢
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
筏船は
駸々
(
しんしん
)
と走って来る。歌のような帆鳴りの音がする。
泡沫
(
しぶき
)
がパッパッと
船首
(
へさき
)
から立つ。
船尾
(
とも
)
から一筋
水脈
(
みお
)
が引かれ、月に照らされて縞のように見える。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
過ぐる五十年間に万国の貿易は
駸々
(
しんしん
)
隆盛の域に進み、その額八倍するに至れり。すなわち左のごとし。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「石狩ハ全道ノ中央ニアリ、四方ヲ控制スルニ便ナルヲ以テ、鎮府ヲココニ建テ、分散
紛擾
(
ふんじょう
)
ノ弊ナク、北虜
駸々
(
しんしん
)
日ニ進ムノ勢ヲ抑ヘテ北門ノ
鎖鑰
(
さやく
)
ハジメテ固カラン」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
彼は
駸々
(
しんしん
)
と滲み出して来る無量の淋しさと、頼りなさに、自分の身も心も溺れそうな気がした。
禰宜様宮田
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
文明の進歩
駸々
(
しんしん
)
として我党の空想を実にしたるのみか、
却
(
かえっ
)
てその空想者の思い到らざる所にまで達して、遂に明治の新日本を出現したるこそ不思議の変化なれ、
望外
(
ぼうがい
)
の
仕合
(
しあわせ
)
なれ。
〔気品の泉源、智徳の模範〕
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
物質的の文明
駸々
(
しんしん
)
として進み、明治の天地は全く別世界の観を呈するに至りたると同時に、人民一般に物質的快楽あるを知りて、理想的快楽あるを知らざるの弊、日一日よりはなはだしきに至れり。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
位置をかえて、城頭から望めば、
駸々
(
しんしん
)
と迫って来る兵馬の奔流と、
千瓢
(
せんぴょう
)
の
馬印
(
うまじるし
)
は、さらに、手に取るように見えているはずである。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それにも拘わらず
爾来
(
じらい
)
女子教育の発達は
駸々
(
しんしん
)
として進み、なかんずく米国の如きは最も隆昌の域に達し、女子は男子と等しく
如何
(
いか
)
なる高等教育をも受け得
現代の婦人に告ぐ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
駸々
(
しんしん
)
と水泳場も住居をも追い流す都会文化の
猛威
(
もうい
)
を、一面灰色の焔の屋根瓦に感じて、小初は心の
髄
(
ずい
)
にまで
怯
(
おび
)
えを持ったが、しかししばらく
見詰
(
みつ
)
めていると
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ここは外海の九十九里ヶ浜で、おりから秋の日暮れ時、天末を染めた
夕筒
(
ゆうづつ
)
が、浪
平
(
たいら
)
かな海に映り、物寂しい景色であったが、一隻の帆船が銚子港へ向かって、
駸々
(
しんしん
)
として
駛
(
はし
)
っていた。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
山陰山陽両方面とも、今日までの戦況では、遺憾ながら秀吉の精鋭の
駸々
(
しんしん
)
たる攻勢に利があって、毛利方に
戦捷
(
せんしょう
)
があったとはいいがたい。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
右に曲がり左に曲がり、時にはグルリと後返りをし、
駸々
(
しんしん
)
として進んで行く。その様子が、眼には見えないが一定の航路が出来ていて、その航路に従って進んで行くように思われる。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
けれど曹軍の怒濤は、大河を決するように、いたる所で北国勢を撃破し、
駸々
(
しんしん
)
と
冀州
(
きしゅう
)
の領土へ
蝕
(
く
)
いこんで来た。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どうしたら住みよいホッタテ小屋を、建てることが出来るかという談合をな。……大勢は
駸々
(
しんしん
)
として進んで行くよ。そうともそうとも成就に向かってな。適せない物は自然に亡びる。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
……しかし年を経て、彼の勢力が
駸々
(
しんしん
)
と諸州に根を張るようにでもなったすえには、
一朝
(
いっちょう
)
には仆せますまい。なぜなら前に北条の仆れた
轍
(
てつ
)
を見ておりますから
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
落ち込む水をすぐ捉らえて、漏斗に入れられた酒や水が漏斗形にグルグル廻りながら下の
容器
(
いれもの
)
にしたたるように捉えられた水は穴の内面を眼にも止まらぬ勢いで漏斗形に
駸々
(
しんしん
)
と馳せ廻り
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
やがて方向はそれによって
駸々
(
しんしん
)
と支障もなく流れだした。しかしその進路にはまた伏兵のうごきが見え、その動きはいよいよ
執拗
(
しつよう
)
に、いよいよふえるばかりだった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
若殿のご座船を先頭に、二十隻の船は
駸々
(
しんしん
)
と、湖水の波を左右に分け、神宮寺の方へ進んで行ったが、やがて目的の地点まで来ると、頼正は扇で合図をした。二十隻の船はピタリと止まる。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
時に、秀吉の羽柴軍はすでに
橡
(
とち
)
ノ
木
(
き
)
峠の国境を続々越え、この府中と一路つながる板取、孫谷、落合などへ
駸々
(
しんしん
)
と近づきつつあったことは、まだここには分っていなかった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
張教仁は暗い車内の、クッションへ腰を掛けたまま、事の意外に驚きながらも、覚悟を極わめて
周章
(
あわ
)
てもせず、眼を閉じて運命を待っていた。どこをどのように走るのか、自動車は
駸々
(
しんしん
)
と走って行く。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
駸々
(
しんしん
)
、船底を破って溢れて来る清水のように、見るまに、全陣地は、上杉兵に散らされ、そこやここに、惨として、すでに
屍
(
しかばね
)
となっている幾多の兵の紅に、霧の
霽
(
は
)
れ間から、かっと
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三隻ながら
駸々
(
しんしん
)
と、薩摩へ向かって
駛
(
はし
)
っている。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
きのう北国の上杉勢をむかえて甲信の境に戦っているかと思えば、きょうは上州や相州に出て北条家をおびやかし、また忽ち転じては、三州遠州美濃までも兵火を放って
駸々
(
しんしん
)
とやってくる。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
船は
駸々
(
しんしん
)
と流れて行った。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この時を境として
観
(
み
)
ても、時代はあきらかな推移を告げていたのだ。文化は
駸々
(
しんしん
)
と進んでいる。西力——
南蛮船
(
なんばんせん
)
による文化の
東漸
(
とうぜん
)
は——火薬、鉄砲などの武器に大変革を起していたのである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今や
樊川
(
はんせん
)
の曹仁が、
駸々
(
しんしん
)
と堺に迫りつつある事態を告げ、出でてこれを迎撃し、さらに敵の
牙城
(
がじょう
)
樊川を奪り、もって、蜀漢の前衛基地としてこの荊州を万代の
泰
(
やす
)
きにおかねばならないと演説した。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
四世五十二年にわたる呉の国業も、
孫皓
(
そんこう
)
が半生の暴政によって一朝に滅んだ。——
陸路
(
くがじ
)
を船路を、北から南へ北から南へと
駸々
(
しんしん
)
と犯し来れるもののすべてそれは新しき国の名を持つ
晋
(
しん
)
の旗であった。
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武器、兵糧、馬、物具などを収めて、
駸々
(
しんしん
)
と
斜谷
(
やこく
)
を取りひろげ、やがて西城を占領して後、さらに次の作戦に入ろう。——西城は山間の小県ではあるが、あれには蜀の兵糧が蓄えてあるに相違ない。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
駸々
(
しんしん
)
として白浪を蹴っている。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
駸
漢検1級
部首:⾺
17画
々
3画
“駸々”で始まる語句
駸々乎
駸々堂