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集
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たか
ふりがな文庫
“
集
(
たか
)” の例文
転がつた
無頼漢
(
ならずもの
)
は、埃のなかで蛙のやうに手足をばたばたさせながら
喚
(
わめ
)
いた。
附近
(
あたり
)
には同じやうな無気味の
輩
(
てあひ
)
がぞろぞろ
集
(
たか
)
つて来た。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
何
(
なん
)
にもならないで、ばたりと力なく墓石から下りて、腕を
拱
(
こまぬ
)
き、
差俯向
(
さしうつむ
)
いて、じっとして立って居ると、しっきりなしに蚊が
集
(
たか
)
る。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして二
枚
(
まい
)
の
大畫
(
たいぐわ
)
(
今日
(
けふ
)
の
所謂
(
いはゆ
)
る
大作
(
たいさく
)
)が
並
(
なら
)
べて
掲
(
かゝ
)
げてある
前
(
まへ
)
は
最
(
もつと
)
も
見物人
(
けんぶつにん
)
が
集
(
たか
)
つて
居
(
ゐ
)
る二
枚
(
まい
)
の
大畫
(
たいぐわ
)
は
言
(
い
)
はずとも
志村
(
しむら
)
の
作
(
さく
)
と
自分
(
じぶん
)
の
作
(
さく
)
。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
えつやの髪に
虱
(
しらみ
)
がいっぱい
集
(
たか
)
っていたことを、母が呆れたように云っていたのを覚えている。家の玄関には大きな姿見が置いてあった。
生い立ちの記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
線路の上に五六人、
集
(
たか
)
って何やら見ていた。見ているのではない。
取片附
(
とりかたづけ
)
ていた。雪が血に染って子供の死体は滅茶苦茶であった。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
お色の
倚
(
よ
)
っていた欄干から、二間ほど離れた
一所
(
ひとところ
)
に、五、六人の
乞食
(
こじき
)
が
集
(
たか
)
っていた。往来の人の袖に縋り、
憐愍
(
あわれみ
)
を乞う
輩
(
やから
)
であった。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
往来にはもう弥次馬が
集
(
たか
)
って、馬車を四台も停めて頻りに話しあっている役人連を、ぽかんと口をあけたまま、じろじろと眺めていた。
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「お
詫
(
わ
)
びはどんなにでも致しますから、どうか御勘弁を」「命ばかりはどうか助けてお
遣
(
や
)
んなすって」寄って
集
(
たか
)
って拝み倒しにかかった
風流化物屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
すわ、九条殿の館の前に、何事かが起ったぞと、物見だかい往来の者が、一人立ち二人立ち、もう垣をなすほど
集
(
たか
)
っていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて一同は校堂を出て、その横手にある草地の一角に集った。皆で
寄
(
よ
)
って
集
(
たか
)
ってそこに新しい記念樹を植えた。樹の下には一つの石を建てた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
往来は
眩
(
まぶ
)
しい程日が照っていましたが、家の前には大勢の人が
集
(
たか
)
っていて、僕が出て行きますと一斉にこっちを見ました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一人の人間を相手にして、寄って
集
(
たか
)
って組んずほぐれつしているらしいが、その一人の人間が非常に豪傑であるらしい。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それなら幸ひの大森鬘、これならこはれても好からうといふので、寄つて
集
(
たか
)
つて押冠せたが、その為に幕明きが十分ばかり延びたのは、見物こそ好い災難。
硯友社と文士劇
(新字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
外記 おゝ、家來は勿論、をぢも妹も親類一門、寄つて
集
(
たか
)
つてふたりの仲を裂かうとする。四方八方みな敵だ。
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
上り端に喰いかけの茶碗と、塩鱒の残っている皿が置きッ放しになって居り、それに蠅が黒々と
集
(
たか
)
っていた。
不在地主
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「ハイジャアナイ、君ダッテ五子カラ聞イテ知ッテタンダロウ、ミンナデ寄ッテ
集
(
たか
)
ッテコノ老人ヲ騙シニカヽッテタンダ、ミンナデ颯子ヲ邪魔ニシテヤガル」
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
大勢
(
おほぜい
)
寄
(
よ
)
つて
集
(
たか
)
つて
己
(
おれ
)
を三つも四つも
打
(
ぶ
)
ち
倒
(
のめ
)
しアがつて、
揚句
(
あげく
)
のはてに
突飛
(
つきと
)
ばされたが、悪いところに石があつたので、
膝
(
ひざ
)
を
摺剥
(
すりむ
)
いて血が
大層
(
たいそう
)
出るからのう……。
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
車から十二三間も後方に、四五人が
集
(
たか
)
つて何か口々に喚いてゐる。街燈にぼんやりと照し出されたその黒い塊の横には、粉々にうち壊かれた荷車が転がつてゐる。
道化芝居
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
寺の前の
不動堂
(
ふどうどう
)
の高い縁側には
子傅
(
こもり
)
の老婆がいつも三四人
集
(
たか
)
って、手拍子をとって子守唄を歌っている。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
寄り
集
(
たか
)
っていた群集の中から、
年老
(
としお
)
いた
鳶
(
とび
)
の者らしい顔が出て来ると、感に
堪
(
た
)
えたように言った。
山県有朋の靴
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
そのまた叱られた子供が
跣足
(
はだし
)
で逃げ出しながら、
洟
(
はな
)
を垂らして私たちの自動車の廻りに
集
(
たか
)
って来たり、プラツア・デ・カタルニア街というのはそういう
陋巷
(
ろうこう
)
であったが
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
寄って
集
(
たか
)
って広く売り附ける様にしますが当派の外から現われた発明は、非難に非難を加え、何うやら斯うやら信用を失わせて了います、今私の様な独学孤立の人間が
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
縁先の
蓆
(
むしろ
)
に広げた切芋へ、蠅が真っ黒に
集
(
たか
)
って、まるで蠅を干したようになっているのがある。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「矢っ張り場所が
悪
(
わる
)
いんだ」と野々宮がいふ。男は
二人
(
ふたり
)
で笑つた。団子坂の
上
(
うへ
)
迄
来
(
く
)
ると、交番の前へ人が
黒山
(
くろやま
)
の様に
集
(
たか
)
つてゐる。
迷子
(
まひご
)
はとう/\巡査の手に渡つたのである。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
だから、やれ決死の士だの、やれ、韓国独立の犠牲だのと、さんざん空虚な美名で僕を祭り上げて、寄って
集
(
たか
)
って僕を押し出して、この手で伊藤を殺させようとしているんです。
安重根:――十四の場面――
(新字新仮名)
/
谷譲次
、
林不忘
(著)
平生
(
へいぜい
)
尤も親しらしい
面
(
かお
)
をして親友とか何とか云っている人達でも、斯うなると寄って
集
(
たか
)
って、
手
(
て
)
ン
手
(
で
)
ンに
腹
(
はら
)
散々
(
さんざ
)
私の欠点を算え立てて、それで君は斯うなったんだ、自業自得だ
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
天晴
(
あっぱれ
)
東洋の舞台の
大立物
(
おおだてもの
)
を任ずる水滸伝的豪傑が寄って
集
(
たか
)
って天下を論じ、提調先生
昂然
(
こうぜん
)
として自ら蕭何を以て処るという得意の壇場が髣髴としてこの文字の表に現われておる。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
お島め乃公をポチか何かと思って、お膳を
投出
(
ほうりだ
)
して、御丁寧に悲鳴を揚げた。馬鹿な奴だ。
家中
(
うちじゅう
)
の人が井戸
浚
(
がえ
)
でも始ったように寄って
集
(
たか
)
って来た。茶碗も何も
粉微塵
(
こなみじん
)
になって了った。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
(あゝ、こいつは悪くなって来た。みんな悪いことはこれから
集
(
たか
)
ってやって来るのだ。)と達二は思ひました。全くその通り、
俄
(
にはか
)
に牛の通った痕は、草の中で無くなってしまひました。
種山ヶ原
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
一万二万と弟や妹の分前はあっても、自分には
一握
(
ひとつかみ
)
の土さえないことを思うと頼りなかった。それかと言って、養家へ帰れば、寄って
集
(
たか
)
って
急度
(
きっと
)
作と結婚しろと責められるに決っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
腐肉
(
くされにく
)
に
集
(
たか
)
る
蒼蠅
(
あをばへ
)
でもロミオには
優
(
ま
)
す
幸福者
(
しあはせもの
)
ぢゃ、
風雅
(
みや
)
びた
分際
(
ぶんざい
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
集
(
たか
)
り
集
(
たか
)
る。
新頌
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
何
(
なん
)
にもならないで、ばたりと
力
(
ちから
)
なく
墓石
(
はかいし
)
から
下
(
お
)
りて、
腕
(
うで
)
を
拱
(
こまぬ
)
き、
差俯向
(
さしうつむ
)
いて、ぢつとして
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
ると、しつきりなしに
蚊
(
か
)
が
集
(
たか
)
る。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして二枚の大画(今日のいわゆる大作)が並べて掲げてある前は最も見物人が
集
(
たか
)
っている。二枚の大画は言わずとも志村の作と自分の作。
画の悲み
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
周
(
まわ
)
りに
集
(
たか
)
った者は、そんなことをすぐ考えている顔つきだった。——そしてはまた、下郎の足と、踏んでいる手綱を見て
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女はかういふと、手を延ばしてこの日本の将校を手提鞄か何ぞのやうに
軽々
(
かる/\
)
と車のなかに引張りあげた。そして皆で寄つて
集
(
たか
)
つて胴上げにした。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
……それはそうと、ねえ重助さん、向こうにどんな奴が
集
(
たか
)
っていたって、船頭の奴らが何をごてようと、心配はいらないからそう思っていておくれ。
犬神娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
寒気も幾らか緩んだやうにさへ思はれた。若者や娘たちの群れが、袋を担いで現はれた。歌声が響き出して、流しの群れの
集
(
たか
)
らぬ家は稀れであつた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
バラバラと米友の
周囲
(
まわり
)
に
集
(
たか
)
って来たのは、河岸に遊んでいた子供連であります。これは米友がここに留守居をしていた時分の
馴染
(
なじみ
)
の子供連であります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこには農夫の群が黒山のように
集
(
たか
)
って、
母親
(
おふくろ
)
の腕に抱かれたお隅の死体を見ておりました。源は父親と顔を見合せたばかり、互に言葉を
交
(
かわ
)
すことも出来ません。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
豆の葉に
集
(
たか
)
ってゝ誰にでも捕れるものを
大金
(
てえきん
)
を出して下さるだもの、
其様
(
そん
)
なに戴いちゃア済みません
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「むろんないよ。
船長
(
おやじ
)
はあの小僧を、
皆
(
みんな
)
が寄って
集
(
たか
)
って怖がるのが、気に入らないらしいんだ」
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
物見高く囲りに
集
(
たか
)
って、なすところもなくわいわいと打ち騒いでいる群衆を押しのけながら、退屈男はのっそりと露払いの弥太一といった、その若者の傍らに歩みよりました。
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
權三 寄つて
集
(
たか
)
つておればかり
虐
(
いぢ
)
めちやあ困るな、助の野郎め、狡い奴だ。おぼえてゐろ。
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「でもずつと暑くなつたらこんなことでは済まないけれど、まあ、割にゐない方だらうね。——その代り小さい虫が沢山灯に
集
(
たか
)
つて来る。今でも少しはまひ/\してるでせう?」
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
人が沢山
集
(
たか
)
つてゐる。三四郎は
入口
(
いりぐち
)
で
一寸
(
ちよつと
)
蹰躇した。野々宮さんは超然として
這入
(
はい
)
つた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
(ああ、こいつは
悪
(
わる
)
くなってきた。みんな悪いことはこれから
集
(
たか
)
ってやって来るのだ。)と達二は思いました。
全
(
まった
)
くその通り、
俄
(
にわか
)
に牛の通った
痕
(
あと
)
は、草の中で
無
(
な
)
くなってしまいました。
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「駐在所で、仕末が
出来
(
でけ
)
ねえだら、長野へつゝ走つて、何うかして貰ふが
好
(
え
)
いし、長野でも何うも出来ねえけりや、仕方が無えから、村の顔役が
集
(
たか
)
つて、千曲川へでも
投込
(
はふりこ
)
んで了ふが
好
(
え
)
いだ」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
終には取返しが付かなくなるのが
看
(
み
)
え
透
(
す
)
いていながら万に一つ帰朝すれば
恢復
(
かいふく
)
する望みがないとも限らないのを
打棄
(
うっちゃ
)
って置くべきでないと、在留日本人の某々等は寄って
集
(
たか
)
って帰朝を勧告した。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
男親は小さな、瞼毛の深い眼を細めながら、松の枝のやうな両掌をひろげて、息子の顔面に
集
(
たか
)
る蠅を取りにかかつた。息子は両親の顔を見上げながら、少年のやうな微笑を歪んだ口辺に浮べてゐる。
続重病室日誌
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
“集”の意味
《名詞》
何かをたくさん集めたもの。 とくに、文章、音楽、絵画、詩などの作品を集めたもの。
(出典:Wiktionary)
集
常用漢字
小3
部首:⾫
12画
“集”を含む語句
群集
集団
集合
集會
蒐集
寄集
集会
蝟集
人集
採集
凝集
蒐集家
召集
古今集
集注
密集
表面採集
募集
集團
撰集
...