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造作
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ぞうさ
ふりがな文庫
“
造作
(
ぞうさ
)” の例文
私共の村から夏の夕食後に一寸九段下あたりまで縁日を
冷
(
ひ
)
やかしに往って帰る位何の
造作
(
ぞうさ
)
もなくなったのは、もう余程以前の事です。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あんなにも探し廻って、発見出来なかった賊が、
暁
(
あかつき
)
の光の中では、たった一目で、馬鹿馬鹿しい程
造作
(
ぞうさ
)
なく、見つかってしまったのだ。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
こうして
経
(
た
)
って見れば
造作
(
ぞうさ
)
もないようなものだがね、三年の
子守
(
こもり
)
はなかなかえらかった。これまでにするのが容易じゃなかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
兵馬にはここ幾日かを休養させ、ふたたびの御指揮あらば、義貞の
勢
(
せい
)
をけちらして、洛中をとりかえすことも、なんの
造作
(
ぞうさ
)
ではございません
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
多寡が
胡粉
(
ごふん
)
を塗った張子の面ですから、力まかせに引きめくれば
造作
(
ぞうさ
)
もなしに取れそうなものですが、それがわたくしには出来ませんでした。
半七捕物帳:65 夜叉神堂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
このぶとの
小
(
ちい
)
さな
頭
(
あたま
)
の
中
(
なか
)
に、その
世間
(
せけん
)
というものがみんな
入
(
はい
)
っているはずだ。それをすっかり、
俺
(
おれ
)
のものにしてしまうことは
造作
(
ぞうさ
)
もないことだ。
太陽とかわず
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
少し馴れれば
造作
(
ぞうさ
)
もありませんのにただ面倒だろうと思って拵えない人がありますが、そういう人は料理を研究しようという心がないのですね。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「使えますとも。誰にでも
造作
(
ぞうさ
)
なく使えます。ただ——」と言いかけてミスラ君はじっと私の顔を眺めながら、いつになく
真面目
(
まじめ
)
な口調になって
魔術
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「大きな声じゃ言えんがね、それは
造作
(
ぞうさ
)
なくやれるんだよ」とその女は、
炉
(
いろり
)
の
側
(
そば
)
で小さな声で母に話し始めたのだった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
書いてあることは何の
造作
(
ぞうさ
)
もないように見えてかえって印象が鮮やかだ。寛永十九年七月二十一日のことである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
婆「そんな事なら
何
(
なん
)
の
造作
(
ぞうさ
)
も有りませんが、少し道具が入りますから、一寸宅へ帰って持ってまいりましょう、奉公先はお大名ですか、お旗下ですかえ」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は「猿が手を持つ」を反覆するよりも「あばたの顔面に及ぼす影響」と云う大問題を
造作
(
ぞうさ
)
もなく解釈して、
不言
(
ふげん
)
の
間
(
かん
)
にその答案を生徒に与えつつある。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小金吾が取れずといふに「なあに、
造作
(
ぞうさ
)
はございません、そつちへよつておつもりを気を付けてお出なさい」と
華道
(
はなみち
)
のすつぽん辺まで来て、右の
偏袒
(
かたはだぬぎ
)
となり
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
春から夏へかけて生れた猫の子は、
造作
(
ぞうさ
)
なく育つようだけれども、秋口になってからのは、次第に冷気が加わるためであろう、どうも育ちにくいようである。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
糧食係の男は
造作
(
ぞうさ
)
もなく目的の箱を見いだして、表面の凝霜をかきのけてからふたを開き中味を取り出す。
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「なに
造作
(
ぞうさ
)
もないことです」と悪魔の子は言いました。「あなたの馬は実に立派で、まっ黒な毛並みがつやつやしてるから、私は
一目
(
ひとめ
)
で好きになってしまいました。 ...
天下一の馬
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
大法寺の経蔵に向った二人の手先は、何の
造作
(
ぞうさ
)
もなく、その中で馬鹿囃子をやっている、押上の笛辰と、その弟子で太鼓の上手と言われた、
三吉
(
さんきち
)
を縛って来ました。
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
今日は為事をした、「裸婦」四回分書いた、未だ書けるが自重して寝る、鏡花の「婦系図」読んで泣いた、そして泣かせる小説なら
造作
(
ぞうさ
)
なく書けることに気付いた。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
凡
(
およ
)
そ半時間ばかりも無言で考えた所で、チャント分った。一体
是
(
こ
)
れは
斯
(
こ
)
う云う意味であるが
如何
(
どう
)
だ、物事は
分
(
わかっ
)
て見ると
造作
(
ぞうさ
)
のないものだと云て、
主客
(
しゅかく
)
共に喜びました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
考えると美醜というのは人間の
造作
(
ぞうさ
)
に過ぎない。分別がこの対辞を作ったのである。分別する限り美と醜とは向い合ってしまう。そうして美は醜でないと論理は教える。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
われわれは、手のつけようのない無知のために、この
造作
(
ぞうさ
)
のない礼儀を尽くすことをいとう。こうして、眼前に広げられた美の
饗応
(
きょうおう
)
にもあずからないことがしばしばある。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
彼はこの数日の間に葡萄酒を飲む習慣をなくしてしまったのだが、あんまり
造作
(
ぞうさ
)
がないので、
親同胞
(
おやきょうだい
)
も、出入りの人たちも、これは意外に思った。そもそもの話はこうである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「いや、どうも近ごろにないけっこうな修行をいたしました。事のついでにと申しては無心がましゅうて恐れ入るが、ちょうどお
斎
(
とき
)
のころじゃ。夕食ご
造作
(
ぞうさ
)
にはあずかれまいかな」
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
クリストフがなし得たすべては、記者としてではなく、友人としてなしたある打ち明け話を、決して濫用しないという言質を求めることだった。記者は
造作
(
ぞうさ
)
なくその言質を与えた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「さてはご主人でござりまするか、
某
(
それがし
)
こそは旅の者、はからず道を踏み迷いまして、意外のご迷惑をかけますばかりか、このようなご
造作
(
ぞうさ
)
に相成りまして、誠にもって恐縮の至り」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
訳も
造作
(
ぞうさ
)
もないことさ。……いったい、おれはとんちきでの、検死などに立合わされるとひどく気が
浮
(
うわ
)
ついて、おれの眼玉はとかくとんでもねえところへ行きたがる、悪いくせさの。
顎十郎捕物帳:04 鎌いたち
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「あのとびらのところにいるわたしの影にだって、つい
造作
(
ぞうさ
)
なくできましょうよ。」
影
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
(うちの庭の
垣根
(
かきね
)
は、とても低かったから、乗り
越
(
こ
)
えるにはなんの
造作
(
ぞうさ
)
もなかった)
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
戸
(
と
)
を
敲
(
たた
)
いて、開けておくれと言えば、何の
造作
(
ぞうさ
)
はないのだけれども、
止
(
よ
)
せ、と
留
(
と
)
めるのを
肯
(
き
)
かないで、
墓原
(
はかはら
)
を夜中に
徘徊
(
はいかい
)
するのは
好
(
いい
)
心持
(
こころもち
)
のものだと、二ツ三ツ
言争
(
いいあらそ
)
って
出
(
で
)
た、いまのさき
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あすこには
熔岩
(
ようがん
)
の層が二つしかない。あとは柔らかな火山灰と
火山礫
(
かざんれき
)
の層だ。それにあすこまでは牧場の道も立派にあるから、材料を運ぶことも
造作
(
ぞうさ
)
ない。ぼくは工作隊を申請しよう。」
グスコーブドリの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
山籠の暮しは
却々
(
なか/\
)
つらい。断食をしたり、祈祷をしたりするのがつらいのではない。そんなことはセルギウスの為めには
造作
(
ぞうさ
)
はない。つらいのは、思も掛けぬ精神上の煩悶があるからである。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
いいな?
造作
(
ぞうさ
)
にあつかって腹ごしらえもできた。田沼の兵を斬りながら行くのだ。来いよ、仙太郎! さらばだ。……(戸口の方へ)一剣、天下を行く……(ドシドシ歩いて戸外へ消える)
斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
月謝の
滞
(
とどこお
)
りが原因だったから、復籍するに
造作
(
ぞうさ
)
はなかったが、私は考えた
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
これは
矢張
(
やは
)
りお
爺
(
じい
)
さんの
言
(
い
)
われる
通
(
とお
)
り、この
際
(
さい
)
、
大
(
おお
)
いに
奮発
(
ふんぱつ
)
して
霊界
(
れいかい
)
との
交通
(
こうつう
)
を
盛
(
さか
)
んにする
必要
(
ひっよう
)
がございましょう。それさえできれば
斯
(
こ
)
んなことは
造作
(
ぞうさ
)
もなく
判
(
わか
)
ることなのでございますから……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
訊
(
き
)
くものじゃない。この世の中にわしに出来ないものなどは、一つもないわ。不沈軍艦なぞ造ろうと思えばわけはない。十ヶ月の
猶予
(
ゆうよ
)
期間さえあれば、不沈軍艦一隻、なんの
造作
(
ぞうさ
)
もなく造って見せるわ
不沈軍艦の見本:――金博士シリーズ・10――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「きょうはお延さんにお
造作
(
ぞうさ
)
をかけますな。はっはっはっ。」
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
草ばくち打ちの一人や二人、何の
造作
(
ぞうさ
)
もないことだ。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
という挨拶で、あとは
造作
(
ぞうさ
)
もない。
早耳三次捕物聞書:04 海へ帰る女
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
オヽおもしろし
覺悟
(
かくご
)
とは
何
(
なん
)
の
覺悟
(
かくご
)
許嫁
(
いひなづけ
)
の
約束
(
やくそく
)
解
(
と
)
いて
欲
(
ほ
)
しゝとのお
望
(
のぞ
)
みかそれは
此方
(
このはう
)
よりも
願
(
ねが
)
ふ
事
(
こと
)
なり
何
(
なん
)
の
迂
(
まは
)
りくどい
申上
(
まをしあ
)
ぐることの
候
(
さふらふ
)
の
一通
(
ひととほ
)
りも
二通
(
ふたとほ
)
りも
入
(
い
)
ることならず
後
(
のち
)
とはいはず
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
にて
切
(
き
)
れて
遣
(
や
)
るべし
切
(
き
)
れて
遣
(
や
)
らん
他人
(
たにん
)
になるは
造作
(
ぞうさ
)
もなしと
嘲笑
(
あざわら
)
ふ
胸
(
むね
)
の
内
(
うち
)
に
沸
(
わ
)
くは
何物
(
なにもの
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼は戸口へ来ると同時に、犬の子よりも
造作
(
ぞうさ
)
なく、月の光を
堰
(
せ
)
いた簾の内へ、まっさかさまに投げこまれたのであった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
歌は残って、関の址と云う程の址はなく、
松風
(
まつかぜ
)
ばかり
颯々
(
さっさつ
)
と
吟
(
ぎん
)
じて居る。人の世の千年は実に
造作
(
ぞうさ
)
もなく過ぎて了う。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「ウン、そうよ、そうよ。この小っちゃい仲間は、まことに気持のいいやつでね。貴様たち二人くらいの命を取るのはなんの
造作
(
ぞうさ
)
もありやしないのさ」
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これを直ぐに抜出そうとすれば薄い膜を破って筋を
截
(
き
)
るばかりで
造作
(
ぞうさ
)
もないけれども上の方の睾を先へ抜くと下の方のが奥へ
釣上
(
つりあが
)
ってとても抜けなくなる。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「思いますに、上がり場の板を、踏めば落ちるような
造作
(
ぞうさ
)
にしておき、主上
臨幸
(
りんこう
)
のせつ、
陥
(
おとしい
)
れたてまつらんとの、恐ろしい
企
(
たくら
)
みではないかと私には見られまする」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、
造作
(
ぞうさ
)
なく一つをピンセットで
摘
(
つま
)
み
上
(
あ
)
げると、
眼鏡
(
めがね
)
の
穴
(
あな
)
にはめて、ねじまわしで、くるくるとまわしました。それから、つるの
上
(
あ
)
げ
下
(
お
)
ろし
具合
(
ぐあい
)
をよくしらべてから
小さなねじ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
イヤ
夫
(
そ
)
れは
造作
(
ぞうさ
)
もない話だ、お前さえ今から決断して隠れる気になれば
直
(
す
)
ぐに私が隠して
遣
(
や
)
る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「先生ちっと
活溌
(
かっぱつ
)
に散歩でもしなさらんと、からだを
壊
(
こわ
)
してしまいますばい。——そうして実業家になんなさい。金なんか
儲
(
もう
)
けるのは、ほんに
造作
(
ぞうさ
)
もない事でござります」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
聴衆にたいする率直な信頼の念と、当然のこととして
造作
(
ぞうさ
)
なく得られるものと思っていた成功にたいする信頼の念とは、今や崩壊してしまった。敵をもつのはもとよりであると思ってはいた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
御用の声でおどかせば云わせる
術
(
すべ
)
もありますが、なにかの邪魔になるといけねえと思って、今度は猫をかぶって帰って来ました。なに、近いところだから
造作
(
ぞうさ
)
はねえ、用があったら又出掛けますよ
半七捕物帳:63 川越次郎兵衛
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
志「それじゃア
一寸
(
ちょっと
)
診
(
み
)
て上げて、
後
(
あと
)
で又いろ/\昔の話をしながら
緩
(
ゆる
)
りと一杯やろうじゃアないか、知らない土地へ来て馴染の人に逢うと何だか懐かしいものだ、病人は熱なら
造作
(
ぞうさ
)
もないからねえ」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“造作”の意味
《名詞》
(ぞうさ、ぞうさく)造ること。
(ぞうさく)建物の内部の天井を張ったり、棚をつけたりして、家の内部を作ること。
(ぞうさく)建築内部の仕上材や取付物のこと、主に取り外し可能なもの。
(ぞうさく)顔のつくり。
(ぞうさ)手間や費用がかかること。
(出典:Wiktionary)
造
常用漢字
小5
部首:⾡
10画
作
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
“造”で始まる語句
造
造詣
造花
造做
造化
造主
造船所
造兵廠
造酒
造出