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興
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きょう
ふりがな文庫
“
興
(
きょう
)” の例文
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
うのは全く
此方
(
こっち
)
が悪い。人の勉強するのを面白くないとは
怪
(
け
)
しからぬ事だけれども、何分
興
(
きょう
)
がないから
窃
(
そっ
)
と両三人に相談して
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
わけても最近の『
文芸倶楽部
(
ぶんげいクラブ
)
』(大正四年十一月号)に出でし
江見水蔭
(
えみすいいん
)
が『水さび』と題せし一篇の如き我身には取分けて
興
(
きょう
)
深し。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
夜もすがら二人して
興
(
きょう
)
に乗じて吹き明かしたが後で聞けばそれは鬼の
化身
(
けしん
)
であったという、名笛の伝説を思い出さずにいられなかった。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今ごろは、かの
女狐
(
めぎつね
)
と
男狐
(
おぎつね
)
、知る人もなしと額をあつめて、
謀
(
はかりごと
)
の真最中でござろう。そこへ乗りこんで、驚く顔を見てやるのも一
興
(
きょう
)
……
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
此
(
これ
)
を取り彼をひろげて
暫
(
しばら
)
くは見くらべ読みこころみなどするに贈りし人の趣味は
自
(
おのずか
)
らこの取り合せの中にあらはれて
興
(
きょう
)
尽くる事を知らず。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
いまだ昼前だのに、——時々牛の鳴くのが
入交
(
いりまじ
)
って——時に笑い
興
(
きょう
)
ずるような人声も、動かない、静かに風に伝わるのであった。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
庄造は
興
(
きょう
)
あることに思って、
家
(
うち
)
の中から食物を持って来て投げてやった。と、狸は
旨
(
うま
)
そうにそれを食ってから
往
(
い
)
ってしまった。
狸と俳人
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
井戸ばたの流し場に
手水
(
ちょうず
)
をすました自分も、鶏に
興
(
きょう
)
がる子どもたちの声に引かされて、覚えず彼らの後ろに立った。先に父を見つけたお児は
奈々子
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
とにかく
博士
(
せんせい
)
と来たら、
興
(
きょう
)
が乗れば、敵と味方との区別なんかもう
滅茶苦茶
(
めちゃくちゃ
)
で、科学の力を
残酷
(
ざんこく
)
に発揮せられますからなあ。
毒瓦斯発明官:――金博士シリーズ・5――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
鳥はみんな
興
(
きょう
)
をさまして、一人
去
(
さ
)
り二人
去
(
さ
)
り今はふくろうだけになりました。ふくろうはじろじろ
室
(
へや
)
の中を見まわしながら
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
聞いてさえ
興
(
きょう
)
を
催
(
もよお
)
しければ妹は
如何
(
いか
)
なる人物ならんと好奇心より早く見たくなり窓の
格子戸
(
こうしど
)
へ顔を当てて「兄さん、きっとそうでございますよ」
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
彼はただ笑ったばかりで別になんの説明も加えなかったが、場合が場合であるから、その笑い声は一座の
興
(
きょう
)
をさました。
鷲
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
余は
興
(
きょう
)
に
乗
(
じょう
)
じた。運転手台に前途を
睥睨
(
へいげい
)
して
傲然
(
ごうぜん
)
として腰かけた。道があろうと、無かろうと、斯速力で世界の果まで
驀地
(
まっしぐら
)
に駈けて見たくなった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
しきりに
帽子
(
ぼうし
)
のひさしを上げたり、さげたり、目をいからしてみたり、口をまげてみたりして、ひとり
興
(
きょう
)
がっていた。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
みんながすっかり
興
(
きょう
)
に入ったころを見はからって、そっと
懐
(
ふところ
)
から
剣
(
つるぎ
)
をお取り出しになったと思いますと、いきなり片手で兄の
建
(
たける
)
のえり首をつかんで
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
興
(
きょう
)
が
大
(
おお
)
いに起こって来たというふうである。小畑の胸にもかれの胸にも中学校時代のことがむらむらと思い出された。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
人々は皆、その独特な乾杯の辞を
喝采
(
かっさい
)
し
興
(
きょう
)
がった。ハスレルも皆といっしょに笑い出して、上
機嫌
(
きげん
)
な様子に返った。しかしクリストフは当惑していた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
やがて、
彼
(
かれ
)
らの
列
(
れつ
)
がある
高
(
たか
)
い
広場
(
ひろば
)
に
達
(
たっ
)
したときに、かつて
天上
(
てんじょう
)
の
神々
(
かみがみ
)
たちよりほかには
知
(
し
)
られていなかった
芸当
(
げいとう
)
をして、
打
(
う
)
ち
興
(
きょう
)
じたことでありましょう。
深山の秋
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
始めは
興
(
きょう
)
を添えた彼の座談もだんだん
皆
(
みん
)
なに飽きられて来た。
嫂
(
あによめ
)
は
団扇
(
うちわ
)
を顔へ当てて
欠
(
あくび
)
を隠した。自分はとうとう彼を外へ連出さなければならなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そしてしかたなしに監督に向きなおって、その父に当たる人の在世当時の思い出話などをして一人
興
(
きょう
)
がった。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そこで今まで
臆面
(
おくめん
)
も無く力競べをしていた若者たちはいずれも
興
(
きょう
)
のさめた顔を見合せながら、周囲に
佇
(
たたず
)
んでいる見物仲間へ
嫌
(
いや
)
でも加わらずにはいられなかった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
雨はやみ、風は起らず、鳥も歌わない、虫も鳴かねば、水音も聞えぬ、一行の
興
(
きょう
)
じ声が絶えると、
森
(
しん
)
として無声、かくも
幽寂
(
さび
)
しき処が世にもあろうかと思われた。
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
「おれが案内して来たわけじゃない。ふらふらとこっちへやって来たら、和服の陸軍中将も
興
(
きょう
)
に乗って、ふらふらとついて来たから、一緒にここへ這入ったまでさ」
山県有朋の靴
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
商売人だとか、それに類似の者でないことだけは、ここで断言して置きます。兎も角、皆さんをアッと云わせる趣向ですから、そいつを明かしてしまっては
興
(
きょう
)
がない。
覆面の舞踏者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
息子や娘が母を時代おくれだと思い、父を
俗物
(
ぞくぶつ
)
だと考えるようになり、友だちとは楽しそうに
興
(
きょう
)
ありげに熱心に話をする息子が、両親にはむっつりして、いうことがない。
親子の愛の完成
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
大いに
興
(
きょう
)
を
催
(
もよお
)
し、さっそくたくさんな花を
摘
(
つ
)
んで、その
紫汁
(
しじゅう
)
でハンケチを
染
(
そ
)
め、また白シャツに
摺
(
す
)
り
付
(
つ
)
けてみたら、たちまち
美麗
(
びれい
)
に
染
(
そ
)
まって、大いに喜んだことがあった。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
*王様はとりわけ、アーサー王と
円卓
(
えんたく
)
の騎士の話を書いた、イフヴェンとゴーディアンの物語を好いていられます。それでご家来の人達とあの話をして
興
(
きょう
)
がっていられます。
幸福のうわおいぐつ
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そうしてそのころのいわゆる「
興
(
きょう
)
の湧いた時」には書けなくって、かえって自分で自分を
軽蔑
(
けいべつ
)
するような心持の時か、雑誌の締切という実際上の事情に迫られた時でなければ
弓町より
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
しかし正月頃に登った人のカット・ステップの跡が残っているのには少々
興
(
きょう
)
をそがれた。
単独行
(新字新仮名)
/
加藤文太郎
(著)
「でも、
御前
(
ごぜん
)
がお
出
(
い
)
でが無いのに、我々で参詣しても一向
興
(
きょう
)
が御座いませんから……」
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
なべものは一般に冬のものと決まっているところへ、こればかりは夏のものであることも、
大方
(
おおかた
)
の
興
(
きょう
)
を呼ぼう。東京では、どじょうなべというより「
柳川
(
やながわ
)
」というほうが通りがいい。
一癖あるどじょう
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
ずいぶん長いあいだをおいて、たまさか、わたしたちはちょいとした森を通りぬけることがあったが、その森はふつうの森のように、とちゅうの
興
(
きょう
)
をそえるようなものではなかった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
ただ、赤飯を
焚
(
た
)
いて、軒提灯を吊して、祭らしい一日を送るのが楽しみだった様である。元園町時代には、
神輿舁
(
みこしかつぎ
)
に祝儀を打って、宅の前で神輿を揉むのを
興
(
きょう
)
がられたと云う話もあった。
解説 趣味を通じての先生
(新字新仮名)
/
額田六福
(著)
わずかな
興
(
きょう
)
を覚えた時にも、彼はそれを確める
為
(
ため
)
に大声を発して笑ってみた。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
市中ならんには警察官の中止解散を受くる
際
(
きわ
)
ならんに、水上これ無政府の心
易
(
やす
)
さは
何人
(
なんびと
)
の妨害もなくて、
興
(
きょう
)
に乗ずる演説の続々として試みられ、悲壮激越の感、今や朝日川を領せるこの時
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
うち
興
(
きょう
)
じていると、「しこらん」という土地の名菓が出る。豊太閤が賞美してこの名を与えたそうである。形は
兜
(
かぶと
)
の
錣
(
しころ
)
のごとく、かおりは
蘭
(
らん
)
のごとしというのだそうな。略して「しこらん」。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
筋肉しまり、背高く、江戸っ児らしい浅黒い顔、性質はむしろ憂鬱であるが、悪寒を与えるほどではない。
興
(
きょう
)
に乗ずると大いにはしゃぐ、時によっては毒舌も振るう、それでいて人に愛される。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この日課を始めた時、僕はまず「
破戒
(
はかい
)
」を読んできかせました。次に「
多情仏心
(
たじょうぶっしん
)
」を。父はいずれも
興
(
きょう
)
がって聴きました。しかし父は自分から求めることはしません。いつも僕が押しつけるのです。
わが師への書
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
空に高く、
幽
(
かす
)
かに聞えてくるのである、夜も
更
(
ふ
)
けて十時過ぎた頃だった、今まで
興
(
きょう
)
に乗じて夢中に
談
(
はな
)
していた
老爺
(
おやじ
)
が、突然誰も訪れた声もせぬのに、一人で返事をしながら、
談
(
はなし
)
半ばに、ついと
起
(
た
)
って
千ヶ寺詣
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
ところが、少佐の声は、
興
(
きょう
)
もなさそうに乾いたものだった。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
泡立つ神の
興
(
きょう
)
。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
また宴席、酒
酣
(
たけなわ
)
なるときなどにも、上士が
拳
(
けん
)
を打ち
歌舞
(
かぶ
)
するは極て
稀
(
まれ
)
なれども、下士は
各
(
おのおの
)
隠し芸なるものを奏して
興
(
きょう
)
を
助
(
たすく
)
る者多し。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
すっかり
興
(
きょう
)
にひたって心もくつろぎ、また彼自身の感傷を彼自身の詩情で霧のような酔心につつんで思わず出たことばでもあろう。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
又、此の屑屋が
興
(
きょう
)
がつた男で、
鉄砲笊
(
てっぽうざる
)
を
担
(
かつ
)
いだまゝ、落ちた
処
(
ところ
)
を
俯向
(
うつむ
)
いて、
篦鷺
(
へらさぎ
)
のやうに、竹の
箸
(
はし
)
で
其処等
(
そこら
)
を
突
(
つっ
)
つきながら、
胡乱々々
(
うろうろ
)
する。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
君江はまるで
落語家
(
はなしか
)
か芸人などと遊んだような気がして、俄に
興
(
きょう
)
が覚め、折角きょう一日夢を見ていたような心持はもう消え失せてしまった。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そういいながらも、博士は肥満した腰のあたりを、みょうにふりながら、ロロー殿下の一挙一動を、じろりじろりと
興
(
きょう
)
ふかげににらむのであった。
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
どの人の色紙にも短尺にも筆のあとは見えなかったので、彼はたまらないほどに
興
(
きょう
)
あるもののようにそり返って笑った。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すると天皇もいっしょに出てご覧になり、たいそうお
興
(
きょう
)
深くおぼしめして、そのお心持をお歌にお歌いになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
矢野は格子の前に立った時から見るとよほど血色がよくなった。ふたりでザボンを切ってしばらく笑い
興
(
きょう
)
ずる。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
天幕の外もさゞめいた。
興
(
きょう
)
未だ尽きぬので、今一つ「
墨絵
(
すみえ
)
」の曲を所望する。終って此
興趣
(
きょうしゅ
)
多い一日の記念に、手帳を出して関翁以下諸君の署名を求める。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
“興”の解説
興(こう)または倭 興(わ こう、生没年不詳)は、5世紀中頃(古墳時代中期)の倭王倭王興(日本人名大辞典)。「倭王興」とも倭王興(日本人名大辞典)。
済の子・武の兄で、「倭の五王」の1人。第20代安康天皇に比定する説が有力視されるが、市辺押磐皇子 、木梨軽皇子に比定する説もある。
(出典:Wikipedia)
興
常用漢字
小5
部首:⾅
16画
“興”を含む語句
興味
興奮
感興
遊興
興行
不興
元興寺
清興
酔興
頓興
一興
復興
興趣
中興
即興
細川忠興
興行師
昼興行
勃興
興津
...