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考
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かんがえ
ふりがな文庫
“
考
(
かんがえ
)” の例文
明治七年の四月になって河野は大阪から
泉州
(
せんしゅう
)
の貝塚へ移り住んだ。その時分から彼の敬神の
考
(
かんがえ
)
は非常に突きつめたものになっていた。
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
職業にしようというほどの
考
(
かんがえ
)
はなかったであろう後に彼女が琴曲の師匠として門戸を構えたのは別種の事情がそこへ導いたのであり
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
只
(
ただ
)
職人の積りで居るのだから、政治の
考
(
かんがえ
)
と云うものは少しもない。自分でも
仕
(
し
)
ようとも思わなければ、
又
(
また
)
私は出来ようとも思わない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
と、坂と嶺とを
明
(
あきらか
)
に区別して書いてあるのは、坂の頂きが嶺であると思っていた昔の人の
考
(
かんがえ
)
を示したものと解してよいように思われる。
峠
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
たまたま苦労らしい
嘆
(
なげき
)
らしい事があっても、己はそれを
考
(
かんがえ
)
の力で分析してしまって、色の
褪
(
さ
)
めた気の抜けた物にしてしまったのだ。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
▼ もっと見る
彼女は危険を
預防
(
よぼう
)
する
考
(
かんがえ
)
で、七つの小さなものを木箱の中に入れ、自分の部屋の中に置いて、母兎を箱の中に押入れては乳をのませた。
兎と猫
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
謎の女の
考
(
かんがえ
)
は、すべてこの一句から出立する。この一句を
布衍
(
ふえん
)
すると謎の女の人生観になる。人生観を増補すると宇宙観が出来る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
またちっとでも
強情
(
ねだ
)
りがましい了見があったり、一銭たりとも御心配を
掛
(
かけ
)
るような
考
(
かんがえ
)
があるんなら、私は誓って口は利かんのです。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
併
(
しか
)
し彼は、ある時斎藤が、偶然その隠し場所を発見したということを聞くまでは、別に確定的な
考
(
かんがえ
)
を持っていた訳でもなかった。
心理試験
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかるに
言
(
い
)
おうと
云
(
い
)
う
望
(
のぞみ
)
は、
終
(
つい
)
に
消
(
き
)
えず
忽
(
たちまち
)
にして
総
(
すべて
)
の
考
(
かんがえ
)
を
圧去
(
あっしさ
)
って、こんどは
思
(
おも
)
う
存分
(
ぞんぶん
)
、
熱切
(
ねっせつ
)
に、
夢中
(
むちゅう
)
の
有様
(
ありさま
)
で、
言
(
ことば
)
が
迸
(
ほとばし
)
り
出
(
で
)
る。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「この
考
(
かんがえ
)
が先入主となりて、ただ大な声と目をむくだけで気魂精神更に加はらず」といひ、菊五郎の秀吉のみを大に褒めしは例の
片贔負
(
かたびいき
)
なり。
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
わたくしなんぞの
考
(
かんがえ
)
では、一体新思想というものが、もう
纏
(
まとま
)
って出来ているかどうだか、も少し待って見なくては分らないと思うのですから。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
「何かよい
考
(
かんがえ
)
はないかねえ。お父様は今までにそんなことに
馴
(
な
)
れていられないから、ひどく苦にしていらっしゃるのだが。」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
或
(
あるい
)
はまた、一夜に髪の色を白くするような事件に捲きこまれて見たいというような愚にもつかぬ
考
(
かんがえ
)
を抱いて居たのである。
狂女と犬
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
この
考
(
かんがえ
)
は、留吉をたいへん気安くして、元気よく玄関の前まで、留吉を歩かせました。「御用の方はこの
釦
(
ボタン
)
を押されたし」
都の眼
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
その点にかけてはおときの方は、さほど世話になったと云う
考
(
かんがえ
)
も深くはないので、どんな裏長屋でもいいから一軒構えたいと年中せがんでいた。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
それァいい
考
(
かんがえ
)
だ。おいら達も
初
(
はじめ
)
は乞食か何かになった気でやり始めたんだがね。やって見ると思ったより
収入
(
みいり
)
はあるしね。なかなか面白いんだ。
渡鳥いつかへる:軽演劇一幕四場
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そんな
女々
(
めめ
)
しい
考
(
かんがえ
)
はすこしも持っていません。力のあらん限り、どこまでもこの怪人をやっつけなければならぬと、かたく決心をしていました。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
かよ
子
(
こ
)
は、お
母
(
かあ
)
さんが、まだ
生徒
(
せいと
)
の
時代
(
じだい
)
から、この
学校
(
がっこう
)
に
教
(
おし
)
えていられる
先生
(
せんせい
)
の
生活
(
せいかつ
)
を
考
(
かんがえ
)
えると、なんとなく
尊
(
とうと
)
く
頭
(
あたま
)
の
下
(
さ
)
がるような
気
(
き
)
がしました。
汽車は走る
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「原子核内の勢力が兵器に利用される日が来ない方が人類のためには望ましい」という
考
(
かんがえ
)
は、八年前も今も変らない。
原子爆弾雑話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
涙ながら霊を祭るとかいふ陳腐なる
考
(
かんがえ
)
を有り難がるも常人ならば
詮方
(
せんかた
)
なきも、文学者たらん者は今少し考へあるべし。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
元のところへ来て、プッと消えた、私は子供心にも、不思議なものだとは思ったが、その時には決して怖ろしいという様な
考
(
かんがえ
)
は、少しも浮ばなかった。
子供の霊
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
が、余りいろいろな
慾張
(
よくば
)
りな
考
(
かんがえ
)
が次から次と頭の中に
湧
(
わ
)
いて来ますので、どうと言って急に考が
定
(
きま
)
らない風でした。
蕗の下の神様
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
この快楽を菜食ならば著しく減ずると思う。殊に愉快に食べたものならば実際消化もいいのだ。これをビジテリアン諸氏はどうお
考
(
かんがえ
)
であるか
伺
(
うかが
)
いたい。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
またこの
考
(
かんがえ
)
は日本精神という語の用いられない前から存在したものではあるが、日本精神運動にもそれが含まれまたは合流して来たことは疑がなかろう。
日本精神について
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
こっちから恩恵を施してやるのだという太々しい
考
(
かんがえ
)
は持たないまでも、老妓の好意を負担には感じられなかった。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
政治家はただ民を民衆という一団として見、経済学者は数を以てのみ人を見、軍人はあたかも将棋の駒を動かすが如き
考
(
かんがえ
)
を以て部下の兵に臨むのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
そりゃあ、なる程、人のまだ考えたことのない
考
(
かんがえ
)
を考えている子供だとか、あらゆる不公平を無くしてしまう工夫をしている子供だとか云うのもいました。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それでこの話はおじゃんになったのですが、しかし小鳥屋の
才取
(
さいとり
)
をするこの仙人は、わたしに鳥を売りつけようという
考
(
かんがえ
)
は思いきらなかったものと見えます。
オカアサン
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
天地といえども壊滅は予約されているし、第一、自己が死んでこの世に消滅した後の作品の不朽と否とを心にかけるという事自身が既に卑しい
考
(
かんがえ
)
ではないか。
永遠の感覚
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
実はそんな世間並な年輩染みた
考
(
かんがえ
)
に名を仮りて、幽里子の家と素性とを突き留めたかったのかも知れません。
奇談クラブ〔戦後版〕:05 代作恋文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
僕も昔は同感だったが、今の
考
(
かんがえ
)
で見れば、子規の蕪村ビイキが公平を失しているように思われる。芭蕉俳句のモチーヴは、元来非常に単純なものなのである。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
まだ何の
考
(
かんがえ
)
もない子供でしたから、そんなに悪いことだとも思わず、吉公がうまく二銭の苞を、取ったことを、何かエライことをでもしたように、感心しました。
納豆合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
左
(
さ
)
れば先生の
考
(
かんがえ
)
にては、新聞紙上に掲載を終りたる後、
更
(
さ
)
らに
自
(
みず
)
から筆を
執
(
とり
)
てその
遺漏
(
いろう
)
を補い、又後人の参考の
為
(
た
)
めにとて、幕政の当時親しく見聞したる事実に
拠
(
よ
)
り
福翁自伝:01 〔慶應義塾の社中にては〕
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
これまで多くの人々はふだんの平和に甘えて、だらけた
考
(
かんがえ
)
におち、お金の上でも、間違った、むだのついえの多い生活をしていた点がどれだけあったかわかりません。
大震火災記
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
これでは『
仮令
(
たとえ
)
死
(
し
)
んでも……。』という
考
(
かんがえ
)
が
橘姫
(
たちばなひめ
)
の
胸
(
むね
)
の
奥深
(
おくふか
)
く
刻
(
きざ
)
み
込
(
こ
)
まれた
筈
(
はず
)
でございましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
それでは
貴様
(
あなた
)
は宇宙に神秘なしと言うお
考
(
かんがえ
)
なのです、
要之
(
つまり
)
、貴様には
此
(
この
)
宇宙に寄する此人生の意義が、極く平易
明亮
(
めいりょう
)
なので、貴様の頭は
二々
(
ににん
)
が
四
(
し
)
で、
一切
(
いっせつ
)
が間に合うのです。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
あっしあ加州の御客に聞いておぼえましたがネ、西の人は
考
(
かんがえ
)
がこまかい。それが
定跡
(
じょうせき
)
です。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
こうした
考
(
かんがえ
)
を一瞬間のうちに頭に
閃
(
ひら
)
めかした私は、又も、何者かに
追駈
(
おいか
)
けられているような予感がして、チョット腕時計と電気時計を見較べた。どちらも十二時に四分前である。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
父親はこの
頃
(
ごろ
)
為吉が妙にふさいでばかりいるのが
合点
(
がてん
)
がいかないのでした。為吉はまだ
八
(
やっ
)
つでしたが、非常に頭のよい賢こい子で、何かにつけて
大人
(
おとな
)
のような
考
(
かんがえ
)
を持っていました。
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
以上の二ヶ条より辛じて松明を得て針路を探り候ともいかにして吾々の満足する批評者を
得申
(
えもう
)
すべき、このことについては失望の嘆声を発するのほか何らの
考
(
かんがえ
)
も浮び申さず、
嗚呼
(
ああ
)
師を失いたる吾々
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
その
考
(
かんがえ
)
の
慧敏
(
けいびん
)
なことと、その論鉾の巧みなことと、その綜合的の方法、などの力に富んでいることは驚くべきものであって、今でも繰返して読むだけの
価値
(
ねうち
)
はたしかにあるものである。
今世風の教育
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
番「いゝや物取ではない、何でも是は粂之助の
仕業
(
しわざ
)
に相違ないという
私
(
わたい
)
の
考
(
かんがえ
)
だ」
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「不承知か、困ッたもんだネ。それじゃ宜ろしい、こうしよう、我輩が謝まろう。全くそうした深い
考
(
かんがえ
)
が有ッて云ッた訳じゃないから、お気に障ッたら
真平
(
まっぴら
)
御免下さい。それでよかろう」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「そうよ……それはいい
考
(
かんがえ
)
だわ……でもいい
工合
(
ぐあい
)
に来てくれればいいわね。」
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
直観ということは、単に過程が否定せられて、一度的に最終の真理が見られるということではない。それは
極
(
きわ
)
めて幼稚な神秘的な
考
(
かんがえ
)
である。芸術的直観といえども、そうしたものではない。
デカルト哲学について
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
彼はもう
急
(
せき
)
込んで、水木の顔を覗込んだ。だが水木は、如何にも
考
(
かんがえ
)
深そうに
魔像
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
それに毎週一度ずつ
此方
(
こちら
)
から
外
(
ほか
)
の人を御馳走しては費用も随分かかります。私の
考
(
かんがえ
)
には何か外の意味で家族的の交際を開いて多くの家族を一堂に
聚
(
あつ
)
める
工風
(
くふう
)
をした方がよかろうと存じます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
そういう
考
(
かんがえ
)
が南里君の食慾を駆り立てた——「そうだ。今夜こそ、おれは」南里君は自分の決意をたしかめるもののように心の中で繰り返した。その夜、南里君は計画どおり娘に近づいていった。
鶺鴒の巣
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
愛する魂——むろん相互愛に充たされたる夫婦は、永久に別れて
了
(
しま
)
うことはできない。
兎角
(
とかく
)
人間の
考
(
かんがえ
)
は、時間と空間とに拘束されているので、われ等の住む世界の真相が、腑に落ち難いようである。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
考
常用漢字
小2
部首:⽼
6画
“考”を含む語句
考慮
思考
勘考
考案
無考
熟考
御考
考違
考妣
推考
支考
考込
被考
参考
參考
考深
思考力
考究
考事
一考
...